1977 エホバの証人の年鑑
「それでは,王国と神の義をいつも第一に求めなさい。そうすれば,これらほかのものはみなあなたがたに加えられるのです」。忠実で真実な証人であるキリスト・イエスは,このように述べ,神の王国が最重要なものであるということに対して強く注意を喚起しました。また,イエスは神の王国の到来を祈り求めるよう人間に教えました。大勢の人々は,イエスが町々や村々に行って王国の良いたよりを宣べ伝えるのを見ました。イエスの弟子たちは,エホバのクリスチャン証人となるように招かれ,さらに,イエスと同じく人々のところへ行って『「天の王国は近づいた」と宣べ伝える』ように,との命令をイエスから受けました。―マタイ 6:10,33; 9:35; 10:7。
西暦一世紀にイエス・キリストの追随者になった人々だけではなく,その時以降,キリスト・イエスに倣ってエホバのクリスチャン証人となった人すべては,王国の良いたよりを宣べ伝える使命を帯びてきました。事物の体制の終結の時である今の時代に住むエホバのクリスチャン証人は,イエスの次の言葉に忠実に従ってきました。「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」― マタイ 24:14。
1922年にアメリカのオハイオ州シーダー・ポイントで開かれたエホバの証人の国際大会において,「王とその王国を宣伝し,宣伝し,宣伝しなさい」という,行動を促す感動的な言葉が響き渡りました。それは,宇宙に関する神の壮大な目的の中で神の王国が占める重要な位置に対する認識に基づくものでした。その業は確かにそれ以来,より一層大きな規模で行なわれてきました。1920年代当時,王国の良いたよりを告げるエホバの証人の数は全世界で5万人足らずでした。しかし彼らは,エホバ神に対する全き信仰と全幅の信頼を抱きつつ前進し,この業に加わるよう他の人々を招きました。完了して間もない1976奉仕年度の報告によると,エホバの祝福の下に,実に224万8,390人ものエホバの証人が,王国を宣べ伝えるというクリスチャンの業に携わりました。その業に携わるようになった新しい人も多く,昨奉仕年度中に19万6,656人がエホバに献身してバプテスマを受けました。この業が210の土地と海洋の島々で行なわれたことを見ても,王国の良いたよりが現在あらゆる国民に対する証しのために世界中で宣べ伝えられていることは明らかです。
王国を宣べ伝えるというこの重大な業は,現在の事物の体制が終わりに近づくにつれ,今まで以上に重要性を増しています。その業は,キリスト・イエスがマタイ 10章で述べておられるとおり,あらゆる状況の下で,しかも人々や諸国家の様々な反応を受けながら行なわれています。初期のクリスチャンを遣わしてこの業を行なわせた際にイエスは彼らに次のように告げられました。「どんな都市または村に入っても,その中にいるふさわしい者を捜し出し,去るまではそこにとどまりなさい。その家の中に入るときには,家の者たちにあいさつをしなさい。そして,その家がふさわしいなら,あなたがたの願う平安をそこに臨ませなさい。しかし,もしふさわしくないなら,あなたがたからの平安をあなたがたのもとに帰らせなさい。どこでも,人があなたがたを迎え入れず,またあなたがたのことばを聴かない所では,その家またはその都市から出るさいに,あなたがたの足のちりを振り払いなさい」。(マタイ 10:11-14)クリスチャンに求められていることは,町々や村々に行き,人々の家を尋ねて王国の良いたよりを人々に告げることです。このような業は,隣人に対するクリスチャン愛の表われですが,すべての人がそれに感謝するわけではありません。家の人の中には,自分たちのところに伝えられた平和の良いたよりを歓迎する人々もいますが,聞くことを望まない,ふさわしくない人々もいます。そうした人々に無理に話す必要はありません。良いたよりを携える人々が家々を訪れて,その良いたよりを紹介することは,イエスの教えに従っていることなのですから,多くの人が聞こうとしなくても落胆する理由はありません。むしろ,彼らは,耳を傾ける人々を見いだして大いに喜び,キリスト・イエスが命じられたクリスチャンの務めを行なっていることを知って満足します。あなたは,そのような王国の奉仕に携わっておられますか。
王国の業に対する反対
初期クリスチャンの時代から今日に至るまで,王国の良いたよりを告げる人々は,反対者から数々の苦しみを受けてきましたが,それは意外なことではありませんでした。イエスがこう述べておられたからです。「あなたがたは,わたしの名のゆえにすべての人の憎しみの的になるでしょう。しかし,終わりまで耐え忍んだ人が救われる者です」。(マタイ 10:22)真のクリスチャンは,自分たちが反対に耐えることによって良い事柄が成し遂げられるのを知っています。イエスはそうした状況を次のように語られました。「ご覧なさい,わたしはあなたがたを,おおかみのただ中にいる羊のように遣わすのです。それゆえ,へびのように用心深く,しかもはとのように純真なことを示しなさい。人びとに警戒していなさい。人びとはあなたがたを地方法廷に渡し,また自分たちの会堂でむち打つからです。いえ,あなたがたはわたしのために知事や王たちの前に引き出されるでしょう。彼らと諸国民への証しのためにです。しかし,人びとがあなたがたを渡すとき,どのように,または何を話そうかと思い煩ってはなりません。話すべきことはその時あなたがたに与えられるからです」。(マタイ 10:16-19)第一世紀にキリスト・イエスによって遣わされた使徒たちや他のクリスチャンは多くの苦しみを経験しましたが,当時の諸国民の中で大きな証言がなされ,そのことは消されることのない歴史として残っています。
今日に至るまで,神とその王国に敵対する者たちからの反対があります。現在エホバの証人は,40を超える土地で国家からの禁令や束縛また制限,さらには激しい迫害を経験しています。1976奉仕年度中,アルゼンチン,ベニンおよび中央アフリカ共和国は,エホバのクリスチャン証人の崇拝を公に禁止している国々に加わりました。それでもエホバの証人は忍耐を示しています。彼らは,現在の事物の体制が終わるまで辛抱しなければならないことを知っているのです。
エホバのクリスチャン証人は反対される理由および自分たちが何をすべきかということを理解しています。キリストは次のように語られました。「弟子は師より上でなく,奴隷も主より上ではありません。弟子が自分の師のように,また奴隷が自分の主のようになればそれでじゅうぶんです。人びとが家あるじをベエルゼブブと呼んだのであれば,ましてその家の者たちをそのように呼ばないでしょうか。それゆえ,彼らを恐れてはなりません。覆われているもので,おおいをはずされないものはなく,知られないで終わる秘密はないからです。わたしがやみの中で話すことを,明るい所で言いなさい。また,ささやかれて聞くことを,屋上から宣べ伝えなさい。そして,体を殺しても魂を殺すことのできない者たちを恐れてはなりません。むしろ,魂も体もともにゲヘナで滅ぼすことのできるかたを恐れなさい」。(マタイ 10:24-28)真のクリスチャンは恐れに屈するどころか,できる限りの方法で光を輝かせます。
エホバの証人はエホバ神に用いていただけることを特権と考えています。また,エホバの証人は世界各地にいるので,あらゆる場所の人々に良いたよりを携えて行き,彼らが全能の神とみ子,キリスト・イエスに対してどのような立場を取っているかを公に示す機会を与えることができます。そのことについてイエスはこう語りました。「あなたがたを迎える者はわたしをも迎えるのであり,わたしを迎える者は,わたしを遣わしたかたをも迎えるのです。預言者であるということで預言者を迎える者は預言者の報いを得,義人であるということで義人を迎える者は義人の報いを得るでしょう。そして,弟子であるということでこれら小さな者のひとりにほんの一杯の冷たい飲み水を与える者がだれであっても,あなたがたに真実に言いますが,その者は自分の報いを決して失わないでしょう」。(マタイ 10:40-42。マタイ 25:31-46; 使徒 5:33-39と比較してください。)人々が気づいていても,いなくても,エホバの真のクリスチャン証人をどのように扱うかは,彼らの将来の見込みを大きく左右するのです。
『今こそ救いの日です』
神の定めにより,現在の事物の体制の終わりを経験しようとしている世代に残されている時は短くなっています。そうではあっても,王国を宣べ伝える業はまだ終わっていない,ということをエホバの証人は知っています。彼らは使徒パウロの次の言葉をはっきりと思いに留めているのです。「彼とともに働きつつ,わたしたちはまたあなたがたに懇願します。神の過分のご親切を受けながらその目的を逸することがないようにしてください。『受け入れることのできる時にわたしはあなたのことばを聞き,救いの日にあなたを助けた』と言っておられるのです。見よ,今こそ特に受け入れられる時です。見よ,今こそ救いの日なのです」。(コリント第二 6:1,2)救いの日がいまだ終わりに至っておらず,良いたよりを伝えて人々に愛をより一層示すためのすばらしい機会が現在でも与えられていることを,エホバの証人は確かに喜んでいます。
この救いの日にあって,多くの人々が神の目的を認識しないのを見ても,キリストの真の追随者は落胆することはありません。彼らは宣べ伝えて弟子を作る業を辛抱強く,また休むことなく行ない続けます。彼らは,イエス・キリストの命令を守るようあらゆる国民を教えることに喜んで時間を費やします。真理の知識を得て,神およびキリスト・イエスの下にある神の王国の側に立つようそのような人々を援助することには大きな喜びがあります。ひとりの人が神に献身して神への奉仕を始めるごとに,それはエホバ神の悪らつな反対者であるサタン悪魔に対する新たな勝利となるのです。エホバのクリスチャン証人は,自分たちが王国のすばらしい業にあずかっていることを知っているので,エホバ神がこの「終わりの日」に関するご自分の目的を成し遂げられるのを目の当たりに見て,大いに喜ぶことができます。―マタイ 28:19,20。コリント第二 6:14-17。
王国を宣べ伝える業のために用いられる協会
エホバの証人は全世界で宗教活動を遂行するため,長年にわたり,数多くの宗教法人団体をそれぞれの土地の法律に基づいて設立してきました。
100年余り前の1872年のこと,数人の誠実なクリスチャンたちは,神のみ言葉を研究するためにアメリカのペンシルバニア州のとある小さな町で集まっていました。その小さな集まりが成長して,エホバのクリスチャン証人の世界的な組織になったのです。それらの男女はあらゆる階層,あらゆる宗教,国籍,および言語を背景に持つ人々で,神の王国の良いたよりを宣べ伝え,あらゆる人種の人々を弟子とする業に励んできました。(使徒 1:8。マタイ 28:19)それらイエス・キリストの追随者たちは,その業をさらに推し進めるため,1884年にペンシルバニア州の法律に基づく法人を設立しました。その法人の名称は当時「シオンのものみの塔冊子協会」でした。後日,その名称は,ペンシルバニア州の承認を得て「ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会」に変更されました。
1909年に,エホバの証人は便宜上本部をニューヨーク市に移すことにし,そのためにニューヨーク州の法人を設けることが必要になりました。それで,当時「一般人伝道者協会」と呼ばれ,今では「ニューヨーク州のものみの塔聖書冊子協会」として知られる法人を組織しました。その法人は,「冊子,パンフレット,新聞その他の宗教文書を出版することにより,各国の言語で聖書の真理を普及するという宗教的な目的,および布教活動」を促進するためのものです。エホバの証人の宗教的な業は拡大を続けたため,英国のロンドンに法人を設立することが必要になり,1914年6月30日に,エホバの証人の宗教的な業を遂行するため英国で「国際聖書研究者協会」が法人化されました。時の経過とともに,ドイツ,フランス,南米諸国,日本など他の多くの土地で,事実世界の人の住む全大陸で,非営利の宗教法人が次々に組織されました。エホバの証人は,平穏のうちに業を遂行するため,そうした法人団体を設立するに当たって各国の法律に喜んで従います。それらの宗教法人はいずれもひとつの業,すなわち,神の王国の良いたよりを証しのために全世界で宣べ伝えるという業を成し遂げるために調和を保ちつつ活動しています。
これらエホバのクリスチャン証人たちは,戸別にキリスト教を宣べ伝えたり,人々の家で聖書を個人的に教えたりして,人々を道徳的かつ霊的に向上させるよう日ごとに努力しています。『行って,すべての国の人びとを弟子としなさい』と言われたのはイエスご自身でした。ですから,エホバの証人はすべての国の人々に宣べ伝え,彼らに聖書を教えます。彼らはこの業を行なうのに人間の許可を得る必要はありません。なぜなら,それは神から与えられた任務だからです。エホバの証人は国家主義的ではありません。彼らは,エホバ神に全く献身し,エホバのご意志を行なうことと人類に愛を示すことを専ら願っている人々の一団です。その愛とは,み子に信仰を働かせる人はだれでも永遠の命が得られるよう,天のみ父がみ子を世に遣わしてくださったことに示される愛に似ています。―ヨハネ 3:16。
このような宗教活動を全世界で行なうために,ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会は世界中に支部を設立し,地の果てにまで代表者を派遣しています。また,聖書や,書籍,雑誌および,人々が聖書を理解するのに役立つ他の出版物を生産する印刷工場を建ててきました。そうした出版物の生産および配布は,エホバの証人の宗教活動の肝要な部分となっています。
今日エホバの証人は,210の国や島々で活動しており,昨奉仕年度中に3億5,925万8,019時間を費やして神の王国の良いたよりを宣べ伝えました。また,同期間中に,数多くの聖書や書籍,小冊子および雑誌をあらゆる国の人々に配布しましたが,それらの文書は今日まで194の言語で発行されています。ものみの塔協会は奉仕者や他の代表者を,宣教者,特別開拓者,巡回および地域監督として世界の各地に派遣しました。そのための費用だけでも昨年は1,151万9,454ドル32セント(約34億5,583万6,296円)に上りました。全世界のエホバの証人は自発的に寄付することにより,その業を喜んで支持したのです。
世界にはエホバの証人の支部が97あり,これら支部事務所で働く,ベテル家族の成員は三千人以上います。ベテル家族の成員が一番多いのは,ニューヨークのブルックリンにある世界の本部です。それら神の献身したしもべすべては,全地の兄弟たちに仕える特権を感謝し,昨奉仕年度中,数多くの国にある印刷工場で王国の音信を伝える出版物の生産に喜んで携わりました。その内訳は次のとおりです。聖書248万4,919冊,書籍と小冊子1億263万8,842冊,「ものみの塔」と「目ざめよ!」誌合わせて5億1,328万2,880冊,およびおびただしい数の他の印刷物。ベテルの家族は,また,様々の事務的な仕事を行ない,多くの会衆と交わって宣べ伝える業にも参加しました。
1976年に出版された,王国に関する文書
全地に霊的な食物を供給する,エホバの組織が主として用いているのは「ものみの塔」誌です。昨奉仕年度中,同誌の発行部数は78の言語で1,030万部に達しました。時々送られる次のような手紙の文面からも,「ものみの塔」誌の価値が大いに認められていることが分かります。「私は86歳になりますが,50年以上もの間貴協会のすばらしい『ものみの塔』誌を欠かさず読んで参りました。この老衰してゆく体がおもに霊的な食物によって支えられているのですから,とても欠かすことなどできません。私の予約購読の期間を向こう10年間延長していただけないでしょうか。『忠実で思慮深い奴隷』,および偉大な羊飼いの側に集められるすべての羊のためにささげる私の祈りが聞かれますように。アガペーにやさしい愛情を添えて」。
また姉妹誌の「目ざめよ!」誌は,エホバの証人に影響を与える世界の出来事を多数掲載すると共に,マラウィ,モザンビーク,ベニンのようなアフリカの国で忠実なクリスチャンたちが保った忠誠の記録を伝えてきました。ブルックリンの広報部門もテレビやラジオおよび他の報道機関を通してそうした事件をより広く伝える上で役立っています。こうして,エホバの証人が戦っている問題と,聖書の原則に従う上で彼らの示す揺らぐことのない忠節な態度は多くの人々に知らされてきました。
「あなたの将来 ― 不安なものですか。それとも安全なものですか」,そして「暴力と犯罪はどのようになくなるか」,これらは全世界で配布するために昨奉仕年度中に発行された二種類の「王国ニュース」の表題です。小冊子を進呈する取決めを持つ,従来のものより小型の二番目の方の「王国ニュース」は,一般からの反応もよく普通より3倍も多くありました。さらに「ものみの塔」誌の予約運動期間中に家庭聖書研究の奉仕を推し進めるために用いる32ページの新しい小冊子が3種類発行されました。その題名は次のとおりです。「安全な将来 ― どうすれば見いだせますか」,「人生にはこれ以上のものがある!」,「顧みてくださる神がおられますか」。
「神聖な奉仕」地域大会では,192ページで,堅い表紙が付された3冊の新しいポケット版の書籍が発表され出席者を喜ばせました。それらの初版は各200万部発行されました。そのうちの最初の本は「あなたの若い時代,それから最善のものを得る」と題するもので,十代の人々に大いに歓迎されました。また,大会会場では十代の若い人各人にその本が一冊ずつ無料で配られ,大変喜ばれました。ある少女は大会が終わるまでにその本を読み終えました。バプテスマを受けたクリスチャンで,15歳になる別の少女は,「私は『若い時代』の本を最後まで夢中で読みました。すみからすみまで読み終えるまでほかの事が手につきませんでした。私はこの本が大好きです」,と語りました。同じ年齢の少年はこう述べました。「ぼくはこの本を二回読みましたが,それでも,問題が起きる時に特定の部分を読み返すならとてもいい助けになると思います」。
二番目の,「聖霊 ― 来たるべき新秩序の背後にある力」という題名の本は,エホバの活動力とその働きに関する大変啓発的な研究手引書となっています。三番目の,「あなたを幸福にする良いたより」と題する本は,東洋の人々その他聖書についてほとんど知らない人々のために簡潔で分かりやすく書かれた聖書研究の手引書です。ある大会で中国人の一婦人はこの本にたいへん深い感銘を受け,直ちにその本を20冊求めて,香港にいる友人と親せきの人たちに郵送しました。
長年の間,エホバの証人は194の言語で出版物を発行してきました。それらはすべて王国の音信を教えるために用いられてきたのです。
組織的な教育のプログラム
神のみ言葉を教え教育することは,エホバの証人の活動で欠かすことのできない事柄です。イエス・キリストの弟子になりたいと望む人々を教えることの大切さを認識する一方,彼らは自分の霊的な必要を自覚しています。(マタイ 5:3)その必要は十分に満たされています。それは,イザヤが,「あなたの子らはすべてエホバに教えられた者となり,あなたの子らの平和はあまねく行き渡るであろう」と予告したとおりです。(イザヤ 54:13。ヨハネ 6:45)神の家の者を養う備えは,毎週行なわれる五つの集会,年に二回開かれる巡回大会,そして年に一度の地域もしくは全国大会を通して設けられています。それに加えて,特別な訓練を施し,入学する人々に益を与える学校が幾つもあります。
西暦一世紀当時,初期クリスチャンたちは神から教えを受けるために定期的に集まりました。コリント第一 14章26-33節でパウロが述べていることから分かるとおり,彼らの集会には秩序正しい取決めがありました。今日も同様に組織的な教育のプログラムがあります。
例えば,公開集会で講演者は,預言,教義,日常生活の諸問題,今日の重要問題など様々な主題に基づいて話します。そうした情報は会衆の成員だけではなく,聖書の真理に関心を持ってそこに出席する誠実な一般の人々にも役立ちます。(コリント第一 14:24,25)通常,公開集会の後に「ものみの塔」誌の研究が行なわれます。その目的は,「忠実で思慮深い奴隷」が準備した,時宜にかなった霊的な食物を供給することです。(マタイ 24:45-47)この集会に出席する人々は討議に参加するよう勧められており,交わっている新しい人々で討議に参加する人は少なくありません。
各会衆では幾つかの比較的小さなグループも都合の良い場所で毎週集会を開き,ものみの塔協会発行の,研究用に推薦されている書籍を用いて聖書を調べています。この研究集会は進んで部屋を提供してくださる兄弟の家で開かれます。小人数の集会なので,任命された司会者は各人の霊的必要により個人的な注意を払うことができます。
エホバの証人の任務は宣べ伝えて弟子を作ることですから,彼らが毎週奉仕会を開くのはふさわしいことです。そのプログラムの概要は毎月発行される「わたしたちの王国奉仕」に載せられています。昨奉仕年度中は,王国の音信を伝える際に聖書の用い方を改善することが強調されました。
神権学校も毎週司会され,大抵の会衆では普通奉仕会が開かれる晩に行なわれます。この学校に入っている人は短い話をしたり,聖書に関する事柄を人と話し合ったりする訓練を受け,資格を持つ監督から改善のための有益な助言や提案を与えられます。神権学校は確かにエホバの祝福を受け,演壇に立つ立派な講演者や一層有能な野外の賛美者を生み出してきました。
開かれている他の学校
1976奉仕年度中,ものみの塔ギレアデ聖書学校の第60期生と第61期生が宣教者として奉仕するための訓練を受けました。合計51名の学生がこの二つのクラスから卒業しました。この学校が学生各人の霊的な成長を大いに促したことは間違いありません。良いたよりの宣明者,また弟子を作るものとしての能力を向上させ,振舞いに関するキリスト教の原則への一層深い洞察を得させ,将来宣教者としての責任を担える備えを学生に施すからです。
会衆の長老たちは重い責任を負っています。その責任を果たせるよう彼らを助けるために,王国宣教学校は適切な訓練を施しています。ある国では,協会の支部で学校が開かれるので,長老たちはそこに招待されます。また,長老たちの便宜を図って,学校が一つの都市から別の都市へ定期的に移動して開かれる所もあります。2週間にわたる課程は,神の羊の群れを世話する際に求められる,牧し,教え,福音を宣明する責任を果たすためのより良い備えを彼らに与えます。―ペテロ第一 5:1-4。
ブルックリンのベテル家族の一員になった人々のためには,5か月間の新入者学校が常時開かれています。
こうした学校のすべては,全地で王国の関心事を促進するためにエホバの証人が組織的に設けている教育プログラムの一環として開かれているのです。
大会に対する感謝
全地の神の民は,約20の会衆から成る巡回区で年に2回開かれる大会の実際的なプログラムによって強められました。大会中,ヨシュア記 24章15節の,『わたしたちは,エホバに仕えます』という聖句に基づく主題に関連して多くの励ましとなる注解が聞かれました。ヤコブ 1章22-25節に基づく,『みことばを行なう者となりなさい』という主題の大会もたいへん感謝されました。プログラム全体を貫くその主題に基づいて,ヤコブ書,ミカ書および他の本の一部の聖句が一層深く考慮されました。世界各地から寄せられる意見や提案には細心の注意が払われます。あらゆる年齢層の人に,また真理の道に古い人や新しく関心を持った人々に益となる,平衡の取れた霊的宴を備える努力が払われています。
このことは,昨年中に開かれた4日間にわたる「神聖な奉仕」地域大会についても言えます。古くから真理に入っているひとりの人は,その大会について次のように語りました。「家族,若者,長老,野外奉仕など,神の民の生活のあらゆる面とかかわりのある事柄が取り上げられ,強調されました。そして,すべての人が霊的に益を受けました」。中には,個人に訴えるような的を突いたプログラムの性質に深い印象を受けた人もいました。
迫害の下で忠実を保つ
1976奉仕年度中,マラウィとモザンビークの兄弟たちは引き続き多くの苦難を経験しました。幾千人もの兄弟たちはマラウィの南端に隣接するモザンビークの領土内におり,モザンビーク軍の監視の下に難民収容所で生活しています。報告によれば,マラウィの難民は菜園を作ることができ,今年は豊作だったので,十分の食料を得るという兄弟たちの問題を解決する助けとなりました。しかし,隣接する地域の兄弟たちからの援助が必要とされ,救援活動が行なわれました。食料,衣類および医療品は幾らか供給されましたが,医療品の供給は十分ではありませんでした。また,兄弟たちの霊的な必要を満たす文書も幾らか届けることができました。昨奉仕年度中,当局は兄弟たちが収容所内に建設した大会ホールを強制的に閉鎖しました。兄弟たちは以前のように大勢で集まることはできませんが,巡回奉仕らしいものは今でも行なわれており,兄弟を霊的に援助するためにあらゆる努力が払われています。
マラウィ国内における政府の公式の立場は変わっていません。状態は良くなってはいるものの,あちこちで迫害のあることが伝えられています。多数の兄弟たちは投獄されており,昨奉仕年度中さらに幾つかのグループが逮捕・投獄されました。暴力的な迫害が収まった地域はかなりあるものの,他の地域は,エホバのしもべがエホバへの忠誠を守るがゆえに殴打されたり殺されたりしたという報告が寄せられています。政治的な青年グループからの狂信的な圧力のため自分の家で生活を続けることができなくなり,奥地に逃げ込まざるを得なかった兄弟も少なくありませんでした。兄弟たちを強制的に政党に加入させ,この世の事柄に関係させようとする努力は今だに行なわれています。しかし,それは兄弟たちにできないことです。―ヨハネ 17:14-16。
マラウィの兄弟たちが忠誠を保ってきたことはそれを見聞きする者に非常な励みとなってきました。マラウィの,忠誠を守るエホバのしもべたちによって世界中に大きな証言がなされました。わたしたちはマラウィの法律によっていつの日かエホバの証人に信教の自由が与えられることを引き続き願っています。その時が来るまで,隣接する地域の兄弟たちは援助を与えるためあらゆる努力を払うことでしょう。1976奉仕年度中ローデシアの兄弟たちだけでも,1万㌦(約300万円)余りを支出してマラウィとモザンビークの兄弟たちを援助しました。他の幾つかの国々の支部も,物質や金銭面での援助を差し伸べることができました。状況は容易ではありませんが,収容所に入れられている兄弟たちの物質および霊的な必要が満たされるため,援助の取決めを続行することができるよう望まれています。世界各地の兄弟たちは,祈りの中にマラウィの兄弟のことを覚え続けていると伝えています。わたしたちはみな,エホバのご意志通りに物事が運ばれるよう引き続きエホバにより頼みます。
昨奉仕年度中,西アフリカのダオメーという小さな国が国名をベニン人民共和国と改め,マルクス・レーニン主義的社会主義国であることを宣言しました。同国のエホバの証人に対して問題が次々に起こり始め,神の律法を破らせようとする圧力が彼らに加えられました。ある地域では戸別の証言活動が禁止され,幾つかの王国会館が閉鎖されたり政治集会の場所として取り上げられたりしました。4月の末に事態は最高潮を迎えました。ベニン人民共和国がエホバの証人の活動を禁止した旨発表がなされたのです。続いて迫害が起こり,ある所ではそれがあまりにも激しくなったため,兄弟たちは家を捨てて他の国へ逃げなければならないほどでした。ひどく殴打されたエホバのしもべは少なくありません。現在ベニンでは聖書を学ぶために集まり合うことは非常に難しくなっています。ここでもやはり,兄弟たちが互いに助け合う機会がありました。近隣諸国の兄弟たちは,真のクリスチャン精神を持ってベニンの兄弟たちに援助の手を差し伸べました。すべての人は,こうした状況下で必要な力と助けを,引き続きエホバに迎ぎ求めています。このことによってよい証言がなされ,世界の人々はエホバの証人がこのような厳しい迫害下でも忠実を保っていることに注目しています。わたしたちの愛するベニンの兄弟たちに引き続き励ましと援助を与えるため,あらゆる努力が払われるでしょう。
奉仕年度の末に,アルゼンチン共和国の大統領は,エホバの証人とその活動を禁止する布告に著名しました。同国北部で多数の兄弟たちが逮捕されました。ブエノスアイレスにある支部事務所と印刷工場は閉鎖され,兄弟たちは自分の持ち物さえ取り出すことができませんでした。この禁令に関するニュースは世界中に伝わり,多くの人々を驚かせました。聖書を学ぶために集まったという理由でさらに大勢のクリスチャンが逮捕され,兄弟たちの多くは警察の下にあるとの報告がアルゼンチンから寄せられています。エホバの証人は信教の自由に対する制限を撤回してもらうために訴訟を起こしました。しかるべき時に,判決の結果からアルゼンチン憲法が現在も有効で信教の自由があるか,それとも同国で自由が失われてしまったかが必ず明らかになるでしょう。しかし,いずれにしても,アルゼンチンのエホバの証人は,引き続き同国の模範的な市民として,隣人に善を行なってクリスチャンの務めを果たすことでしょう。全世界の兄弟たちは祈りの中でアルゼンチンの兄弟たちのことも覚えています。
エホバの証人および彼らの聖書教育の業を禁止する国々に加わったもうひとつの国は,中央アフリカ共和国です。今のところ同国政府がエホバの証人に対してどんな処置を取るかは分かりません。しかし,良いたよりの伝道を抑圧する努力がなされた世界の他の多くの土地の兄弟たちが行なったと同様,エホバ神の忠実なしもべたちはエホバを崇拝し続けるものとわたしたちは確信しています。神の王国は人類世界の希望です。したがって,神と神の王国を愛する人々は引き続きその事実を良いたよりとして宣明します。
王国の業が公に妨害されている国の数は,世界で40か国以上に増加しています。このことすべては,今がキリスト・イエスによる王国支配の下に現在の事物の体制が終結する時代であることを一層明白に示しています。
災害地の兄弟たちを援助する
昨年の2月,グアテマラの大震災に関するニュースが世界に伝えられました。数時間のうちに,近隣の国々から兄弟たちは救援物資を持ってグアテマラに到着しました。長老たちは直ちに計画を立て,兄弟たち全員の安否を確かめるよう努めました。建築資材が手に入り,短時間のうちに多くの小じんまりとした家が建てられました。ブルックリンにある協会の救援基金の中から資金が送られ,他の土地の兄弟からも直接に寄付が送られました。グァテマラの兄弟たちは世界の他の場所に住む兄弟たちの愛と関心を目の当たりに見ることができました。2万3,000人以上の死者を出したそのグァテマラの地震で,エホバの献身したしもべがひとりも死亡しなかったのは本当に喜ばしいことでした。同様に,盛んな救援活動が行なわれたイタリア北部の地震の場合にも兄弟の中で死亡した人はひとりもいませんでした。
パメラ台風が太平洋上のグアム島を襲った時にも,兄弟たちを助ける機会がありました。災害は広範に及び,エホバの証人の王国会館の屋根の一部は破損し,その島にある宣教者の家はもはや人が住めなくなってしまいました。家や他の物質的な物は補充することもでき,修理することもできます。幸い,その災害で兄弟はひとりも命を失いませんでした。このような状況の下で,兄弟たちは嘆き悲しむ人々を慰め,そうした災害のもはや起こらない時代が来ることを説明する機会を得ています。証言の業はグアム島で引き続き行なわれています。
このように,災害や問題がどこで起きようと,規模の大小にかかわりなく,エホバのしもべは援助に赴いて兄弟たちに対する愛を直ちに表わします。これはエホバの道であり,エホバに仕えるすべての人々に,確かに祝福をもたらします。なるほど,世界中で問題は増加の一途をたどっています。しかし,クリスチャンの兄弟たちはお互いに助け合うことをやめません。
建設計画
昨奉仕年度中,エホバは王国の業を数々の方法で祝福してくださいました。個々のクリスチャンは,パウロとアポロが行なったのと同様に,真理の種を植えたり,あるいは植えられた所にやって来て種に水をそそいだりすることができます。しかし,成長させてくださるのはエホバです。(コリント第一 3:6,7)王国の業が世界中で拡大するため,施設や“業を行なうための道具”を得る努力が払われねばなりません。そのようなわけで,ベネズエラの兄弟たちは,ラ・ビクトリア市に新しい支部を建設するため一年中一生懸命に働きました。それらの施設は間もなく使用できるものと思われます。
カナダと日本では支部の増築が必要となり,その工事は昨年中に完了しました。エルサルバドル,フィンランド,フランス,グァテマラおよびザンビアでは支部の増築作業が続けられています。ギリシャでは,王国の業が拡大し続けているため,支部の大きな印刷工場が新たに建てられました。南アフリカの支部でも目下建築工事が進められています。
業の増大に伴い,新しい支部事務所が南太平洋のニューカレドニア島に設立されました。業の拡大と足並みをそろえてゆくため,また,長老の一団や会衆の取決め,そして支部を通して会衆に属するエホバのしもべたちひとりひとりに援助を差し伸べるためにあらゆる努力が払われてゆきます。
支部の施設の増大に加え,世界中にある幾千もの会衆では,新しい王国会館の建設や,従来の会館の増改築が必要になりました。集会の出席者の増加,および新しい会衆の発足などがその原因です。こうした活動すべては証言の促進に貢献しました。
王国の業
建物もある意味では証言になりますが,神のみ言葉を使って人々を教えることは効果的な証言方法の一つです。それゆえ,昨奉仕年度中,他の人々に真理を伝える各自の方法を改善することに努めるようにとの強い励ましが,すべてのエホバの証人に与えられました。これは,ローマ 10章13節から15節の次の言葉と調和しています。「『エホバのみ名を呼び求める者はみな救われる』のです。しかし人は,自分が信仰を持っていない者をどうして呼び求めるでしょうか。また,自分が聞いたこともない者にどうして信仰を持つでしょうか。また,宣べ伝える者がいなければ,どうして聞くでしょうか」。一世紀のクリスチャンは,ペテロとヨハネが使徒 4章20節で「わたしたちとしては,自分の見聞きした事がらについて話すのをやめるわけにはいきません」と述べているような立場を取りました。ですから,圧迫や迫害を受けている時でも,クリスチャンは,み言葉を宣べ伝え続けるという見方を保ち,そうする助けをエホバに祈り求めます。―使徒 4:29-31と比較してください。
野外で働く伝道者すべてにより良い援助を差し伸べるために,統治体は米国内の旅行する監督たちとの会合を開くよう取決めました。その監督たちの1グループは昨年の3月末にブルックリン・ベテルの王国会館に集まり,統治体の成員も旅行する監督たちの発言を聞くために出席しました。アメリカ全土の旅行する監督たちでなる他の幾つかのグループとも会合することにより,「群れの有様」を十分に把握できました。また,新奉仕年度の10月と11月に世界中の支部から支部の調整者と他の兄弟たちを迎えて会合を開く取決めが,もうけられました。それはなすべき多くの業が残されていることが明らかだからです。―箴 27:23,新。
とどまるところを知らないインフレと経済的な圧迫を考慮に入れ,全時間奉仕をしている兄弟たちがその業を続けて行くのを援助する努力がなされ,そのため,全時間奉仕者のうち手当てを受け取っている人々については手当てが増額されました。特別開拓者に対する時間の要求は月140時間に減りました。特別開拓者はこれによって全時間奉仕にとどまるよう助けられ,会衆で牧する業を行なう時間を持てるようになり,必要な場合には収入を得るために働くための時間を見いだせるようになりました。正規開拓者に対する時間の要求は月に90時間,年に最小限1,000時間になりました。これは,開拓者が引き続き経済的な必要を賄い,開拓奉仕にとどまれるようにするためです。昨奉仕年度中,かなり大勢の人々は経済上の理由で開拓奉仕をやめなければなりませんでした。
一時開拓奉仕は廃止され,補助開拓奉仕と呼ばれる新しい奉仕が設けられた旨発表がありました。この奉仕は,1か月に野外でわずか60時間を費やすだけでよく,人々から非常な熱意をもって受け入れられました。年度末の報告によれば,大勢の人がすぐに補助開拓を始め,その奉仕を大いに楽しみました。救いの日である現在,世界中で良いたよりを増々広めてゆく上で,こうした調整すべてが貢献するよう強く望まれます。
会衆の長老たちをその仕事の面で援助するため,巡回監督の活動に特別の注意が向けられました。巡回監督の訪問中,長老と奉仕のしもべの集まりが開かれます。また,その訪問中に長老たちが話し合うべき幾つかの点が本部から連絡されます。その上,長老と奉仕のしもべの推薦,それに彼らの資格を検討する点で,経験を積んだ巡回監督の援助は長老の助けとなります。
全世界の奉仕活動
今年も再び,97の支部事務所の管轄下にある210の異なる土地と海洋の島々から王国の奉仕に関する報告が寄せられたことは喜びです。昨奉仕年度中,王国伝道者の最高数に当たる224万8,390人が奉仕活動を報告しました。1975年度の最高数は217万9,256人でした。1976年度中に野外奉仕に携わった王国伝道者の数は前年度よりも増加していますが,奉仕の報告によると,時間は前年度の3億8,229万6,208時間と比べると減少しており,3億5,925万8,019時間でした。開拓者の数も減少し,報告を寄せた特別開拓者と正規開拓者の数は,前年度の13万225人に対して11万4,026人でした。開拓者が1万6,000人ほど少なくなったため,時間も減少しました。また会衆のある伝道者たちが以前ほど多くの時間を野外奉仕に費やさなかったという報告も寄せられています。王国を宣べ伝える活動にはまだなされねばならないことが多くあります。開拓者の取決めに調整が加えられると共に,王国の奉仕の特権に対する認識が深まるにつれ,新奉仕年度には野外で行なうエホバへの奉仕にもっと多くの時間が費やされることが望まれています。
昨年度は音信を載せた出版物の配布の面で優れた年でした。合計4,635万687冊の聖書,書籍,および小冊子が世界中の人々の手に渡りました。昨年発行された3冊の新しい小冊子は証言の業に貢献しました。報告によると,小冊子は前年度よりも1,000万冊余り多く配布されたからです。配布された雑誌は2億7,935万1,007冊でした。その外に,「王国ニュース」が多くの言語で何億部も配布されました。
報告はさらに,1億4,568万279件の再訪問が関心を持つ人々になされ,毎週平均133万9,466件の家庭聖書研究が司会されたことを示しています。再訪問をし,聖書研究を司会するという奉仕のこの分野は,人々が救いへの道を歩むのを助ける上で非常に重要です。新奉仕年度にはこれらの活動にも増加の見られることが望まれます。
他の人々に良いたよりを伝える人の数が増加する見込みは十二分にあります。というのは,今年の主の夕食の祝い(記念式)には全世界で497万2,571人の人が出席したからです。そのうち1万187人は表象物にあずかり,霊によって生み出された,エホバ神の子としての立場を示しました。そこに出席した多くの人々は,キリスト・イエスの贖いの犠牲,およびエホバがみ子を通して備えてくださったすばらしい事柄に対する感謝の気持ちに動かされて,エホバが人類のためにしておられる良い事柄について他の人々に伝えるに違いありません。現在良いたよりを伝道している人々は新しい人々を助けることができます。こうしたことすべての結果,エホバ神のお名前はいっそう賛美されるのです。
世界中に組織されているエホバの証人の会衆は昨年中4万155を数え,初めて4万台に達しました。前年度は3万8,256でした。エホバのしもべたちが互いに集まり合うことをやめていないのを知るのはうれしいことです。
先のページに掲げられている一覧表は,全世界の国々とエホバの証人の活動を示しています。国名がアルファベット順に並べられておらず,他の国々と一か所にまとめられている国が幾つかありますが,それらは,エホバの崇拝者たちにとりわけ厳しい反対や相当な危険のある国々です。そうした場所にいる兄弟たちは秘かに集会を開かなければなりませんが,彼らも集まり合うことをやめてはいません。他の人々に神の王国の良いたよりを伝えているところを発見されれば命を失うことになりかねません。しかし,兄弟たちはそのような厳しい処罰の影につきまとわれながらも勇気を持って隣人に善を行ない続けています。エホバ神の保護を与える世話が引き続き彼らの上にありますように。この難しい「終わりの日」に神への奉仕を行なうには忍耐が必要です。全世界のエホバの証人が忠実さと辛抱強さを示しているのを見るのは大きな喜びです。―ヘブライ 10:35,36。
[24-31ページの図表]
全世界のエホバの証人の1976奉仕年度の報告
(出版物を参照)