新しい世の社会と共に安全へ逃れなさい
1953年7月25日土曜日,ニューヨーク市ヤンキースタヂアムに於けるヱホバの証者の新世社会の大会第7日目の午後,13万4333名の聴衆を前に,ものみの塔協会々長は次の(二部分から成る)講演をしました。そしてこの講演と共に当協会の新しい書籍,『新しい天と新しい地』を発表したのであります。
『あなた方はエルサレムが軍隊に囲まれるのを見た時には,その荒廃は近づいたと知りなさい。その時ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。〔エルサレム〕市中にいる人々は立ち去りなさい。』― ルカ 21:20,21,口語。
1 どんな物を固執して居る人々の上に危険が増大して居ますか? 安全はどこにありますか? 何故ですか?
古い物の呪と破滅が進められて居る間,新しい永続する物の建設は成功のうちに進行して居ります。古い物が完全に破滅された時,新しい物が大混乱の中に始まる必要はありません。又人間が原始人の如きレベルから出発する必要もありません。反つて,新しい物が楽園の美わしさにまで発展する道が備えられるのであります。今は益益危くなる時であります。同時に大きな機会をとらえる時でもあります。古い物が呪われて居るにも拘らずそれに固執して居る者に対しては,着着と危険が増大して居ります。人類唯一の安全は,速やかに,しかも後らすことなく,新しい物えと逃れるべきであります。人類が古い物の終りに生き残り,永続する幸福と平和と愛の将来を楽しむ為の,大きな機会は新しい物のうちにあるのです。新しい物は,この世の空しい栄光を着た人人が,おこがましくもその建設を約束して居る様なものでありません。新しい物は,宇宙の王座に座し給う全能者のものであります。彼の御言葉は,19世紀の間記されて依然として真であります ―『見よ私は一切のものを,新たにする。』(黙示 21:5,口語)今日,彼は御自分の言葉を行為によつて支持して居られます。新しい物がつくられて居ります。それらが造られるのを見,それに逃れるものは本当に幸福であります。その神の新しい世の社会に於いて,彼らの安全と保護は決して損なわれません。
2 聖なる物と思われて居る物に避難所を求める前,何をすべきですか? そして,歴史的どんな実例がそれを勧めて居ますか?
2 人間は,長い間聖なるものとされて来た或物に固執し,恰もそれが魔除けでもあるかの様にそれを信頼する傾向があります。それらが神より出でたものであり,神がそれらを守るように思われるから,その様な聖い物に避難所を得るならば,自分の安全が保証されると考えるのであります。然し,人間が聖なるものとした物は,たとえそれが非常に古い物であつても,神にとり聖くないこともありましよう。その様なものに頼ることは,偽りの希望をもつて自己をあざむくことを意味します。それらの物が神の約束した新しい物と一致して居るかどうかを決定することが必要であります。若し一致して居ないものであるならば,それらが次え引渡されて新しい物と合体することはありません。現代に於けるこの真理について,我我は歴史的な実例を有して居ります。事実,この実例は我らの時代に於いて生ずべきことの予言でした。19世紀前エルサレムにあつたヘロデの宮殿よりも大いなる聖さや,嫉妬や狂信でとりあつかわれた宗教的宮殿は一つもありません。その宮殿及びその前そこにあつた宮殿を合せれば,それは殆ど1000年の間存在して居たことになります。それにも拘らず,イエスキリストは案内されてヘロデの宮殿を調査した後次の如く言つたのです『覆えされることなしには,一つの石も他の石の上に残ることのない日が来るであろう。』― ルカ 21:5,6,口語。
3 イエスは何故宮殿が棄てられると宣言したのですか? それが破壊された時にも神の宮殿がなくならなかつたことはどうしてですか?
3 その宮殿は聖都エルサレムに於いて,最も華麗を極めたものでした。その中にあつて,選ばれたアロンの家族の子孫が,忙しく聖なる奉仕をなして居ました。その宮殿は『家』と呼ばれたのであります。しかるに,このあらゆる聖い交わりにも拘らず,イエスはその前でこう申したのです ―『ああエルサレムよ,エルサレムよ,予言者たちを殺し,遣わされた人人を石で打つ者よ。牝鶏がその雛をつばさの下に集めるように,どんなに幾たびも,私はお前の子供たちを集めようとしたことか,しかしあなた方は其を欲しなかつた。見よ,あなた方の家は荒野となつて棄てられる。』(マタイ 23:37,38)イエスは,その宮殿が商売取引の家と化し,盗人の巣窟と化して居たことを知つて居たばかりでなく,彼を殺そうと陰謀を企てて居た祭司がその宮殿に仕えて居た事をも知つて居りました。それは単に外見だけが聖かつたのであり,内面には少しの聖さもなかつたのであります。それ故イエスはそれがヱホバ神によつて棄てられ,それがヱホバ神のもたらす新しい組織制度に合体することが許されない事を宣言したのであります。37年後それはイエスが予言された運命に遭遇したのでした。そこにあつた石で覆されずに残つたものは一つもありませんでした。しかしながら,ヱホバ神の新しい宮殿,即ち『生ける石』から成る霊の宮殿は存続したのであります。そのうちで,新しい組織制度が運営されたのであります。それは,全地に於ける真の神の清い崇拝と,人類全家族の永遠の祝福の結果をもたらすものでした。―ペテロ前 2:5。エペソ 2:20-22。
4,5 新しい組織制度は,エルレムとその宮殿が破壊されるまで待つて居ましたか? あなたのその解答に対する証拠は何ですか?
4 新しい組織制度は,エルサレムとその宮殿が破壊されるまで,始められずに待つて居たのでありません。イエスが死より復活し昇天して,人間としての犠牲の血の価値をもつてヱホバ神の御前にあらわれた時,新しい組織制度は実体的に始つたのです。人類を罪とその罰,死より救う為,神に本当に受けいれられる犠性を持つイエスは,神の新しい大祭司として仕えたのであります。古代ユダヤ人の組織制度の肉体的大祭司は,神の前に自分の職を失つたのであります。何故ならその大祭司は,シナイ山に於いて,モーセが神とイスラエルの仲保者となつて結ばれた律法の契約によつて大祭司とされたからであります。然し,今やイエスはモーセよりも偉大な予言者となり,又仲保者となつたのであります。そして彼は,神と霊のイスラエル,つまり磐としてのイエスの上にたてられたクリスチャン会衆との間に結ばれた新しい契約の仲保となつたのであります。この様にして,神がシナイに於いて肉のイスラエルと結んだ古い律法の契約は,その祭司職,犠性,祝節及びそれに伴う義務と共に悉とく廃棄されたのであります。(ヘブル 3:1; 9:11-15。コロサイ 2:13,14。申命 5:2,3; 29:1)その時以来,イエスキリストは神から油そそがれた大祭司として,天の神の御前に聖所を持つ神の霊の宮殿に仕えて居るのであります。
5 イエスが新しい永遠の大祭司として自らあらわれ給うたことは,この古い組織制度の最後が到来したという意味でした。彼について次の様に記されて居る通りであります。『今や世の末に当つて,彼はご自身を犠牲にすることによつて,罪を除くため,唯一度だけ現れて居られる。』(ヘブル 9:26,口語)この事実と完全に一致して,エルサレムにあつて棄てられたヘロデの宮殿は(西暦)70年チトス将軍のひきいるローマ軍によつて破壊されたのであります。その時こそ,聖都と言われたエルサレムそのものが破壊された時であります。
6 クリスチャン会衆とエルサレムとの関係に関して,我々は何を見落してはなりませんか? そして,其処より遂に逃避したことは何を意味しましたか?
6 1953年の今日,我我は一つの重要な点を見落してはなりません。即ち,西暦33年のペンテコストに,神の新しい契約が結ばれ,磐なるイエスキリストの上にクリスチャン会衆が建て始められてより34年の間,エルサレムの都は,クリスチャン会衆の本部都市として役にたつたということであります。会衆の指導機関は其処にあり,それは12人の使徒と,イエスの兄弟ヤコブの如き他の弟子達によつて構成されて居ました。彼らは宮殿の庭を人人の群を集めて宣教するのに便利な場所としてつかつたのであります。使徒パウロが西暦56年頃暴徒におそわれたのはこの宮殿に於いてでありました。それから,同62年,狂気じみたユダヤの石投げによつて弟子ヤコブや他の忠実なクリスチャン達が殺されたのも,エルサレムに於いてでありました。しかし,西暦67年になつた時,クリスチャンの指導機関とイエスの他のすべての弟子達とは,エルサレムは勿論ユダヤの全地から逃げたのであります。クリスチャンは何故其処に留つて,古い聖都と他のユダヤの地に於いてイエスキリストに関する善い音信を宣教しつづけなかつたのでしよう? それは迫害を恐れたからでしようか? それは,善い音信を宣教する彼らの職務の不忠実からでしようか? そうではありません!。それは,彼らが他の処で宣教を続けることが出来るように,自分の生命を保存する為にとつた賢明な走路<コース>であつたのです。それはイエスが,宮殿の棄てられることを予言し,弟子たちに次の如く言つた予言的な御命令に従つてのことなのです。
7 彼らが従った命令に含まれていた予言は何ですか?
7 『あなた方は両親,兄弟,親族,友人たちによつてさえも渡されるであろう。そして彼らはあなた方の或る者を死なせるであろう。また私の名のためにあなた方はすべての人から憎まれるであろう。しかしあなた方の髪の毛一筋も損われないであろう。あなた方は忍耐によつてあなた方の生命をから得るであろう。さて,あなた方はエルサレムが軍隊に囲まれるのをみた時には,その荒廃は近づいたと知りなさい。その時,ユダヤにいる人人は山に逃げなさい。〔エルサレム〕市中にいる人人は立去りなさい。田舎にいる人人は〔エルサレム〕市中に来なさるな。それらの日こそ,聖書に記されたことが実現する,あの処罰の日なのだ。気の毒なものだ,― これらの日には,みごもつた女,乳飲児をもつた女たちは。大きな苦難が地の上にあり,み怒りがこの民の上にあるであろう。彼らは剣の刃に斃れ,或は捕虜となつて,すべての民族の中に連れて行かれるであろう。そしてエルサレムは異邦人の時代が終るまで,異邦人らに踏みにじられるであろう。』― ルカ 21:16-24,口語。
逃げる手掛り
8 クリスチャンが逃げる暗示を与えられたのは何時ですか? 彼らはどこへ逃げましたか? 彼らは,イエスのどんな言葉の成就からのがれたのですか?
8 紀元66年の11月,エルサレムにあつた指導機関とユダヤにあつたすべての弟子達とは,イエスが命じた様にその全区域より山に逃げる手掛りを与えられました。それは,ローマに反抗して居たエルサレム市に,シリヤ総督ガイゥス・ケスチュウス,ガルルスのひきいるローマ軍が到着した時のことでした。5日間の戦闘の後,彼は全市を将に占領しようした矢先,何ら合点のいく理由なしに軍勢を引きあげたのであります。その時ユダヤ人達がその後を追撃して,彼の軍勢は何千人もの損害をうけたのでした。クリスチャン達はそれを何年も前,イエスの与えられた暗示を理解したのであります。そこで彼らはエルサレムから逃げたのです。何故ならイエスの御命令に,ユダヤに居る者共が其処から山へのがれることでした。そこで彼らはユダヤの如何なる地方に留まりませんでした。彼らは,(既に生れた子供は勿論未だ生れない子供をも含めて)すべてヨルダン河を渡り,ギレアデの山岳地帯に移り,主にデカポリスの一都市ペラに移住したのです。彼らは其処に於いて,クリスチャンとしての活動と宣教を続行したのであります。そして其処に住む彼らは,西暦70年の始めにローマ軍が再びエルサレムを攻め,エルサレムに恐しい荒廃が訪れた時にも安全だつたのであります。エルサレムのその荒廃は,イエスがエルサレムに対して語つた悲しい言葉の成就だつたのです。即ちイエスはこう語りました ―『もしお前が今日この日,平和えの道を知つて居たならよかつたのに。しかしそれは今お前の目から隠されて居る。やがてお前の敵がお前のまわりに塁を築いて包囲し,四方からお前に攻めかかり,お前とそのうちにいるお前の子供らとを打ち亡ぼす日が来るであろう。そして彼らはお前の中にある一つの石をも他の石の上に残さないであろう。お前には神罰の臨む時がわからなかつたのである。』― ルカ 19:41-44,口語。
9 その時死滅して決して復旧しなかつたものは何ですか? だが,存続したものは何ですか?
9 聖都とその宮殿の生命を魔力で護ることは不可能でした。その腐敗した古い組織制度に固執した人人は,故なき闘いをし,エルサレムとユダヤ各地の荒野で死滅したのであります。しかし,ギレアデの山に在つたクリスチャン達は生き残り,宣教をつづけたのであります。その時死滅した古い組織制度は,永しえに葬り去られたのでした。アロンの家族の祭司職と,物質的宮殿に於けるヱホバの礼拝とは,全く復旧されませんでした。イエスキリストが仲保者となり,大祭司となつて結ばれた新しい契約のもとの新しいクリスチャンの組織制度は,今日にいたるまで存続して居るのです。
10 我々はどんな質問をしたくなりますか? その解答を知つた時,我々はキリスト教国についてどんなことを決定出来ますか?
10 これらのすべては,今日の不思議な常ならぬ時代に住む我我にとつて,重大な意義があるのです。我我は何かそれに似た,或はそれ以上遙かに悪いものを目の前に見て居るのです。我我は,事の原因を尋ねたいという思に駆られます。我我は賢明にそうして,或行動走路<コース>の勧告を受くべきかどうかを知りたいと思うのです。パレスチナにある今日のエルサレム市が古代の宮殿の市としての伝説をつづけず,キリスト教国こそイエスやその使徒達時代の聖都をあらわす現代的相対物であるという事を知つた時,我我は次の如く尋ねざるを得ません。即ち,西暦70年エルサレムが包囲され破壊される因となつたのは何でしよう?と。これを知れば,我我は呪われたエルサレムの20世紀に於ける相対物キリスト教国のうえに,より広範囲な破壊が同様な理由で将に臨もうとして居るかどうかを決めることが出来ましよう。
11 その質問の解答にイエスが与えた鍵である予言は何でしたか?
11 イエスは弟子達に話した時にその解答についての鍵を与えました。之れは使徒マタイによつて記されています。『み国のこのよい音信はすべての国民えの証明となつて,全世界に宣伝えられるであろう。そして全き終末が来るであろう。そこであなた方が予言者ダニエルによつて言われた荒らす憎むべきものの聖い所に立つのを見た時には,(読む者は悟るがよい,)ユダヤに居る人人は山に逃げよ。屋根の上にいる者は家の中にある物を取りに降りるな。畑にいる者は,上衣を取りに帰るな。気の毒なことだ,これらの日には ― 孕つた女,乳飲児をもつ女たちは。あなた方が逃げなければならないことが,冬または安息日に起らないように祈りなさい。その時には世の初から今日まで,かつてなかつたほどの,否,今後もない程の大きな苦難が起るであろう。そして,もしこれらの日が少くされなかつたならば,助かる者は一人もないであろう。しかし神は選ばれた人人のために,これらの日を少くして下さるであろう。』― マタイ 24:14-22,新世。
12 それによれば,西暦70年に於けるエルサレムの恐ろしい破壊の原因は何でしたか?
12 『荒らす憎むべきものの聖い所に立つのを見た時』クリスチャンは山に逃げるべきです ― これこそ,エルサレムとユダヤ全地の恐るべき破滅を誘発した原因であります。その『憎むべきもの』は,エルサレムの宗教的指導者達が神の油そそぎ給うた王,イエスキリストの死を求めて,ローマ帝国と結んだ協定,つまり聯盟でありました。世界強国であつたその帝国は神の予言に於いて,憎むべきものとして,又地上にあるヱホバの聖徒達に挑戦する残虐な野獣として象徴されて居ります。それは先ず最初に,ヱホバの聖徒の長,御子イエスキリストを世界制覇の競争者として打ち負かそうとして,イエスを訴えたのであります。―使行 3:14; 4:27-30。
13 ローマの注意を神の聖なる者に向けたのは誰ですか? それは如何にしてですか? 又何故ですか?
13 ローマ帝国の注意を神の聖者に向けて復讐を謀つたのは,エルサレムの宗教的指導者であつたのです。何故なら,イエスが彼らの虚偽の行為と神の御命令えの違犯とを暴露したからであります。ローマ総督ポンテオピラトの前で,彼らはイエスが人民を煽動してカイザルに反抗せしめ,カイザルに税を納めることを禁じたのだと告訴したのであります。ピラトが宗教的圧迫をしりぞけてイエスを行かしめんとした時,ユダヤ人たちはこう叫んだのであります ―『もしあなたがこの人を釈放したならば,あなたは皇帝に忠信ではない。自分を王とするものは誰であつても皇帝に背くものである』総督ピラトがユダヤの愛国的民族主義に訴えて,『お前たちの王を私が刑柱につけようか。』と言つて,彼らを恥らせようとした時,あらゆる人人の中にあつてユダヤの祭司長たちは『私達には皇帝<カイザル>以外に王はありません』と答えたのであります。―ヨハネ 19:12-16,新世。
14 ヱホバは,宗教的要素に対して何故怒りと憎しみとを持つでしようか? 神は彼らにどんな苦い結果をもたらしましたか?
14 あなた方はそれに憎しみを感じますか? それなら,天に在す神が油そそぎ給うた王イエスキリストを裏切つてローマ帝国に渡し,神の民であると主張して居る彼らと残虐な反ヱホバ的世界強国であるローマ帝国との連合を神は一層烈しくお怒りになることでしよう。それはヱホバのメシヤ王国に敵対する宗教と政治との合同した陰謀であつたのです。その時彼らがイエスの血について叫んだ反逆的叫びをヱホバが聞き,それに基いて行動したのも当然です。即ち彼らはこう言つたのです ―『その血については,私たちと私たちの子孫とが責任を負おう。』神は彼らの家を汚れた宮殿として棄てたのも当然です! 神は彼らを憎むべき物の一部と考え,聖なる者イエスキリストによる御国に敵する憎むべき物と考えられたのも当然です!(マタイ 27:25; 23:38,新世)彼らは神の敵カイザルの友であると宣言して,自ら神の敵となつたのであります。さて,彼らにその裏切りの友情が結んだ苦い実を食べさせましよう。彼らがその様な邪悪な陰謀の軛の下で苦い目に遭い,彼らの政治的仲間に烈しく反逆するままにしておきましよう。神は偽善的宗教と政治の連合が時到つて分裂し,その憎むべき物の政治的な部分が,軍隊をもつて憎むべき物の宗教的部分に攻めかかり,イエスの血を罪深い宗教家とその子らにもたらし,エルサレムにその子ら110万人の血管から血の雨を降らせるということを前から知つて居られたのであります。
15 クリスチャン達は,不便利な時にならぬ中,破滅の地域から何時逃げましたか? そして彼らは,何を受けることをまぬかれましたか?
15 ユダヤ人がその友カイザルに叛逆したのは西暦66年でした。それは彼らに対する政治的支配者の虐待からでした。その年,憎むべき物の政治的部分の軍隊は彼らに刃向い,彼らの聖都エルサレムに対する予備攻撃をしたのでした。それは,憎むべき物が軍隊をもつて聖都エルサレムを包囲したのであつて,クリスチャンが自らの安全の為ユダヤから離れて山え逃げる徴と考えるべき光景でありました。クリムチャンの指導機関や,他の従順なクリスチャン達は,憎むべき物の軍隊がもどつて来て,ユダヤとエルサレムを完全に荒らすのが何時であるか知らずとも,不便利なユダヤ人の安息日や冬にならぬうちに移住したのであります。キリスト前第7世紀に於いて,バビロンの大軍勢は,エルサレムを荒廃さす為最初にもどつて来ました。西暦70年,ローマ軍がもどつて来ました。その年の春と夏の間に,包囲と完全な破壊がおとずれたのです。クリスチャン達は,速やかな従順な行動によつて,その恐るべき荒廃をのがれたのであります。―エレミヤ 37:6-10。
現代的実体
16 ダニエルは『憎むべき物』が何時あらわれると予言しましたか? 1914年以来の期間をその特別な時と示すものは何ですか?
16 『荒らす憎むべき物』について予言した時,イエスは予言者ダニエルもそう予言したと語りました。ダニエルは,それが『世の終り』に定められた時に生ずると申しました。(マタイ 24:15。ダニエル 11:29-35)イエスはそれが世の終りの時に生ずると申しました。そしてその様な出来事は1914年以来一つの継続的な事件としてあらわれました ― 世界戦争,饑饉,疫病,地震,クリスチャンの世界的な迫害,建設された神の国に関する福音の宣教,偽予言者と偽キリスト,それから荒らす憎むべき物 ― これらすべてはみな合体して,危険な『終りの時』をしるして居ります。この世の諸国民の『終りの時』を示す事柄は,神が『諸国民に定めた時』がその2520年の期間を1914年に終結し,長い間祈り求めて居た神の国が天に誕生し,その聖い,油そそがれた王イエスキリストは王座につき,全地を治め,彼の正しい王権に反逆したあらゆる国国を打ち砕く権利を授けられたのであります。―マタイ 24:3-25。黙示 12:1-5。詩 2:7-9。
17 『憎むべき物』は何処に見出されますか? それはどんな予言の成就によつて見分けられますか?
17 1914年以来の期間が『終りの時』と確証されたけれども,それではダニエルやイエスの予言した荒らす憎むべき物とその軍隊は何処にあるのでしよう。ごらんなさい! それは今日ヱホバ神の御国とその聖い,油そそがれた王イエスキリストに敵対して居る政治と宗教の陰謀のうちにあります。あなた方御自分で,詩篇 2篇の1節-6節の成就を通じてそれを認めて下さい ―『何なればもろもろの国人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや,地のもろもろの王はたちかまえ,群伯はともに議り,ヱホバとその受膏者とにさからいて言う,われらその械をこぼち,その繩をすてんと。天に坐するもの笑いたまわん。主彼等を嘲り給うべし,かくて主は忿恚をもてものいい,大いなる怒をもてかれらを怖じまどわしめて宣給う,しかれども我わが王をわが清きシオンの山にたてたりと。』(使行 4:24-30)国際連合として知られて居る世界聯合は,神のメシアの御国に敵対する宗教と政治の陰謀の主要な,しかも最も力ある表現であります。我我は『宗教と政治』と言います。何故なら,この世の宗教は御国に敵対するその世界的陰謀に加つて居るからです。それは特にキリスト教国の宗教であります。
18 第一次世界大戦中,宗教家牧師達は,マタイ伝 25章40節を無視して,神の国に対し如何に不忠を表明しましたか?
18 ヱホバの証者は西暦1914年以前の何十年もの間,『諸国民に定められた時』が1914年に終る際,キリストによつて神の国が完全に打ちたてられると宣教しました。彼らの宣教が正しい証拠に,この地上諸国民は世界制覇を目ざして1914年突如として第一次世界大戦をはじめました。それについで,今日にいたるまで悲しい出来ごとが続いて居ります。キリスト教国の宗教家牧師達がヱホバの証者の示す予言を究めたならば,そして彼らが現代歴史の事実と対照してその意義を知り,神の御心に対する忠誠を表明したならば,彼らは神の国を歓迎し,それこそ世界を支配すべき唯一の政府であると人に勧めたことでありましよう。それどころか彼らはそれと全く反対な行動をとつたのであります。即ち,彼らは神の油そそがれた王イエスキリストの地上領土を支配しようとする世界戦争に於いて,政治的な要素を提携したのであります。彼らは,神の任命した王に忠実な,ヱホバの証者達の迫害を指導し,政治国家の剣の腕をふるい,ヱホバの証者を地上から消滅せしめようとしました。彼らはイエスの次の言葉を少しも考慮しなかつたのであります ―『ほんとに私はあなた方に言う,私の兄弟の最も少さい者の一人にしてくれたことは,つまり私にしてくれたのである。』(マタイ 25:40)牧師達は,その政治的友の気嫌をそこねることを恐れて,この世の戦する国国に従うことを選び,イエスキリストをカイザルに対する煽動者としたのであります。それはイエスの真の追従者を煽動者とすることによつてです。
19,20 世界第一次大戦の終つた時,牧師達は,政治家達の戦後の提案に如何に従いましたか? だが,その外の物を人類の唯一の希望と宣言した者は誰ですか?
19 1918年,第一次世界大戦が終つて戦後の聯合政治計画が提案された時,キリスト教国の牧師達は直ちにそれを支持しましした。それは何の為でしたでしようか? キリストを王として受け容れる為でしようか? いいえ,そうではありません。そうでなく,調和を保つ古い世界組織の力を備える為に国際聯盟を持つ為でした。キリスト教国の牧師達は,政治家達の指導に真先に従い,国際聯盟を首唱したのであります。1919年の1月,フランスのパリで平和会議がなされる前に,アメリカのキリスト聯合会議は,国際聯盟の建設を促し,それは単に平和の手段であるばかりでなく,『神の国の地上に於ける政治的隠現である』ということをパンフレットで宣言したのであります。更に彼らは次の様につけ加えました。『勝利によつて正義の住む新しい天と新しい地とがもたらされないならば,英雄達の死は全く空しいものとなりましよう ― ペテロ後 3:13。』言葉をかえて申すなら,戦後の世界は,神が約束された新しい天と新しい地であり,国際聯盟が神の国の『政治的顕現』として新しい天を形成したのであり,神の新しい世の新しい天となるキリストの真の王国は不必要になつたという事なのです。
20 ローマの法王に関して言うなら,彼は国際聯盟に席を得ることに失敗こそしたけれども,彼の教職の特典を提案したのであります。1920年の1月,国際聯盟はキリスト教国の牧師の支持と祝福のもとに運営を始めたのであります。それと同時に,ヱホバの証者の勇敢な叫が,常ならぬ勇気と確信の調の音響が聞えだしました。それは,キリストのもとの神の国こそ,失望せる人類に唯一つの希望であると宣明したのであります。
21 それら二つの戦後活動のうち,神の国を推進したのはどちらですか? 神の怒りをかきたてたのはどちらですか? 今日までのどんな証拠によつてですか?
21 さて,これら戦後の二つの活動の中,何れが本当に神の国を推進したでしようか? 至高なる神の憎しみを起したのはそのどちらでしようか? ヱホバの証者でしようか? それとも,牧師の祝福した国際聯盟でしょうか? さて,ヱホバの証者は此処ニューヨーク市,ヤンキースタヂァムに新しい世の社会を代表して未だに存在して居ります。しかし,政治的新しい天,国際聯盟は一体どこにあるでしようか? それは第二次世界大戦中何処にあつたでしようか? それは無活動の希望なき深穴の中にあつたのです。それに関する非難を除去する為,彼らは,それを再び復興して,それに新しい外見を着せて,国際連合という新しい名を与えたのであります。聖書予言の研究生は,これこそ正に予言された通りであるという事を知つて居ります。―黙示 17:9-11。
22 国際聯盟は,第二次世界大戦までに如何に崩壊しましたか? 今や我々はどんな質問をしますか?
22 国際聯盟とキリスト教国の宗教家牧師達は,非常に仲良く提携し,公けには少しも分裂がありませんでした。しかし,1933年の10月,ヒットラーが権力を持つてから8ヶ月後,ナチドイツは軍備縮小会議と国際聯盟から脱退し,国際聯盟の崩壊が始つたのであります。そして日本はその年の3月27日に脱退しました。この後,1934年9月18日,共産主義ロシアが始めて入会を認められました。その何年か前にロシアはその圏内の宗教を烈しく迫害したことに関して抗議されました。1935年ファシストイタリーは国際聯盟を軽蔑し,侵略を始めました。国際聯盟はそれに対し制裁手段をとりムツソリーニ支配下のイタリーは1937年12月11日にその団体より去つたのであります。1939年,ヒットラー支配下のドイツがポーランド侵略によつて国際聯盟はもがくことも出来ない底なき坑におとしいれられました。これは第二次世界大戦を促進したのであります。さて,我我は次の事を尋ねます。即ち,国際聯盟が深穴におちたその年まで,『荒らす憎むべき物』の軍隊は,現代の実体的エルサレムを包囲して居たでしようか? いいえ,注目に値する程のことはありませんでした。
23 『憎むべき物』がクリスチャンの逃避の合図となり得ない時は如何にありましたか? そして,我々はその荒らす軍隊についてはどんな質問をしますか?
23 さて,次の点に注目して下さい ― 国際聯盟がその深穴におとされて,その憎むべき物が6年間その底なき穴にあつた時,憎むべき物は存在しなくなりました。従つてその時には,真のクリスチャンが安全を求めてキリスト教国から山えのがれる徴,つまり憎むべき物が聖なる所に立つ徴はありませんでした。しかし1945年の始め,底なき坑に大騒動が起りました。そしてヱホバ神とその王にとり憎むべき物であつた物がサンフランシスコ(カリフォルニャ州)会議に於いて再び準備をはじめました。その会議は,第二次世界大戦後の46ヶ国の会議でした。1945年10月24日,ロシアがその戦後の世界安全制度に関する書類を承認した時に憎むべき物が現れ国際連合憲章が効力をもつに至つたのであります。野獣の如き荒らす憎むべき物は再びあらわれたのであります。だがその荒らす軍隊は何処にあるのでしよう。それは国連の軍隊を指すのでしようか? 我我は1931年6月2日,ダグラス・マッカーサー元帥が,或牧師達の戦争に対する立場を批評して『宗教と愛国主義とは常に手をとりあつて来た』と言つた事をおぼえて居ます。そして,彼は更につけ加えて,次の様に言つたのです。『同聯盟を支持した牧師達のうち,その条項を読み,そのもとに於いて,世界の平和は最後には武装軍隊によつて維持されるという事を認識したものが何人居るか知りたいと思う。』しかしながら,国際聯盟は武装軍隊を全く持たなかつたのであります。
24 1944年,アメリカの牧師達や一般民衆達はどんなことに乗り出しましたか? そして英国の首相は,それが必要とするものに関して何と言いましたか?
24 13年後,憎むべき物が大失敗して底なき穴にあつた時,アメリカ牧師達と一般民衆とは,世界共通の制度の中核をつくることに乗り出しました。1944年5月24日,英国のチャーチル首相は議会でスペイン問題について論じた時,次の様に言いました。『我我は世界組織のうちに,我我がそれによつて世界の為にかち得たあらゆる物を豊に体現しなければならない。そして国際聯盟の如き制度を持たなければならない。我我は我我の世界制度を武装しなければなりません。そしてそれが指示された範囲内で圧倒的な軍隊を持つようにしなければならない。』
25 第八の世界列強は,その軍隊を何時得ましたか? これは何と思い違いしてはなりませんか? 何故ですか?
25 今日,国際聯盟の後継者である国際連合は,聖書に予言されて居る世界的強国のうち第8番目に生じたものであります。この第八の世界列強の『第八の軍隊』は朝鮮に於いては圧倒的な軍事力を示そうとしませんでした。しかし,少くともこの第8番目の世界的強国,国際連合は,19ヶ国の国からなる軍隊を持つて居ります。この警察軍は,1950年の法王の聖年の6月27日に行動に出ました。しかし,当時この荒らす物の連合軍は,実際には共産主義の侵略に対してキリスト教国を防衛する為に行動して居たのです。従つて,我我はそれら国際連合軍を,現代の実体的エルサレムであるキリスト教国を包囲して居る軍隊と思い違いしてはなりません。では,その軍隊は何なのでしよう?
26 ではそれらの軍隊は何ですか? これから成就されるどんな予言がそう示しますか?
26 イエスが現代のこの実体的エルサレムを荒らすと予言した軍隊は,国際連合の政治的隊伍のうちにあるのです。それこそキリスト教国の宗教制度に戦を挑む要素なのであります。1945年,『憎むべき物』が深穴の中より出て来た時,それは,当初から反宗教的共産主義陣営を強力な会員に加え入れたのです。1953年の反キリスト教国勢力の平和攻勢によつて如何なる者といえども油断すべきでありません。反キリスト教国陣営は,必ずや増大し。エルサレムの現代的実体が恐ろしい荒らす軍勢に完全に取り囲まれるまでにいたりましよう。深き穴より出でた獣の如き憎むべき物の『十の角』はすべて,その宗教的同僚に向くでありましよう。宗教的なその同僚は,姦盗を犯してその憎むべき物のうちに加わり,ヱホバの油そそがれた御子,王の王,主の主に敵対する世界的陰謀に加わつたのであります。神の次の御言葉は必ず成就しなければなりません ―『あなたが見た,十の角と,かの獣とは,かの姦婦を憎み,彼女を荒れ果てさせ,裸にするであろう。そして彼女の肉を食い,彼女を火で焼くであろう。何故ならば,神は,神の言葉の成しとげられるまで,彼らが御旨を行うこと,心を一つにすること,そして彼らの国をかの獣たちに与えることとを,彼らに決心させ給うたからである。』― 黙示 17:16,17。
27 それ故,予言の読者は,軍隊がエルサレムの実体を包囲するのを何時見ましたか? その実体物はどんな運命に遭遇しますか?
27 それ故国際連合の出現した1945年は,理解力をもつてダニエルの予言とイエスの警告を読む者が,エルサレムの現代的実体が軍隊に取り囲まれるのを見る時を示して居るのです。それはエルサレムの現代的実体を霊的な姦婦として荒れ果てさせ裸にする為の包囲なのであります。その霊的な姦婦は友情をもつて世界的国際連合とみだらな行為をつづけ,カイザルを友として,キリストによる神の国を敵として斥けたのであります。それ故,今やそれは霊的な姦婦としてハルマゲドンで神の律法による刑罰を受けるに適わしいのであります。―レビ 21:9。
28 今我々の目の前に何の徴がありますか? その頂点はどうなるでしょうか?
28 ハルマゲドンの戦が近づいて居る確な兆は,今や我我の目の前にあります。この姦淫を行う宗教と政治の連合が終に砕けてその象徴的獣と十の角とが,姦婦の宗教制度に刃向う時,それは『全能の神の大いなる日の戦』が始つたことを示します。神はこの戦によつてメシヤの国に敵するあらゆるものを罰するのであります。そして,王イエスキリストと,その天使達刑執行者が,あらゆる『憎むべき物』とキリストの統治に反するこの古い世のあらゆる要素とを打ち滅ぼす時に,その戦は終結するのであります。