旅行する監督が今日もたらす益
『実際わたしは,あなたがた,またラオデキアやヒエラポリスにいる人たちのために,彼らが大きな努力を払っていることを証しします』― コロサイ 4:13。
1,2 (イ)わたしたちの前には今日どんな危険がありますか。(ロ)どうすれば悪魔に抵抗する備えができますか。(ハ)エホバは『諸会衆を強める』ためのどんな優れた備えをされましたか。
わたしたちは,予告されていた「終わりの日」の終わりの期間の,「危機の時代」に住んでいます。(テモテ第二 3:1)それでもやはり,そのことに対する注意を適宜喚起するものがあると,多くの場合,目前に迫る危険に対していつのまにか無関心になってしまうのを避けられます。敵対する世とその見えない支配者とは相変わらず,信仰を弱め,誤導し,破滅させようとして,圧力を増し加えることに力を注いでいます。(ヨハネ 14:30。啓示 12:9,12)確かに『全世界は邪悪な者の配下にあります』。(ヨハネ第一 5:19)その邪悪な者は激しい怒りを抱いていて,神の戒めを守る者たちに対する戦いを強化しています。(啓示 12:17)エホバの民を生ける神から引き離し,むなしいこの世的な生き方に誘い込んで,『彼らの魂の牧者また監督』であるエホバ神から切り離すことに,陰険な手を使って腐心しています。悪魔の目的はだれかを飲み込むことです。―ヘブライ 3:12。ペテロ第一 1:18,19; 2:25; 5:8。
2 そういうみじめな結果を避けるためには,エホバがわたしたちに霊的強さを保たせるべくもうけてくださる備えすべてを必要とします。そのエホバの備えがあるからこそわたしたちは悪魔に抵抗し,エホバだけに神聖な奉仕をささげつづけることができるのです。(マタイ 4:8-11。ヤコブ 4:7)神の民に大きな益となるその備えの一つは,旅行する監督たちが神の民に奉仕し,「みんながどうしているかを見る」という取り決めです。その訪問は,敵に抵抗するよう「会衆を強め」,神への奉仕にいっそう活発になるよう彼らを鼓舞するのに寄与します。―使徒 15:36,41。ペテロ第一 5:9。コリント第一 16:9。
3 旅行する監督は羊の群れをどのように見るべきですか。そして彼らのためにどんな努力を払うべきですか。
3 旅行する監督たちの仕事はたしかに,思考を要する重要な仕事です。彼らは,「あなたは自分の羊の有様をはっきり知っているべきである。自分の群れに心を留めなさい」という箴言 27章23節(新)の原則を心に銘記していなければなりません。旅行する従属的な羊飼いたちは,群れを危険から守るために,群れの霊的状態をつぶさに観察しなければなりません。個々の「羊」に関心を払って,群れの必要に仕えることにも努力するはずです。(サムエル前 17:34,35; フィリピ 2:4と比較してください)兄弟たちの役に立ちたいと考えていますから,兄弟たちを教え,福音宣明の業を行なうよう励ますことに,真剣な努力を払うでしょう。(テモテ第一 5:17。テモテ第二 4:5)こうして身をついやす彼らは,会衆のために『大きな努力を払った』エパフラスのようでしょう。―コロサイ 4:12,13。
4 年長者の訪問から益を得るために,わたしたちは個人として何をすることができますか。
4 わたしたちひとりびとりは,この訪問を十分に活用することによって,それら年長者たちの助言や励ましや援助から大きな益を受けます。しかし,そのような祝福を得るには,わたしたち各自の協力と努力が求められます。
準備はぜひとも必要
5 どんな準備は,旅行する監督の訪問の成功と大きな関係がありますか。(コリント第一 14:40)
5 旅行する監督が会衆を訪問するときには,種々の活動が予定されます。訪問が良いものになるかどうかは,おもに,会衆が前もって行なう準備にかかっています。奉仕する時間と場所を計画し,グループが働く区域を取り分け,会衆のいろいろな記録を最新のものにしてチェックできるようにすることなどが必要です。伝道者たちは奉仕に参加する準備をすることによって大きな益を得るでしょう。補助開拓者として奉仕できる人たちもいるかもしれません。いく人かの長老や奉仕のしもべたちは仕事を都合して,その週のグループの活動に参加できるかもしれません。また長老たちは,その週に行なわれる長老の集会で取り上げる討議事項をよく考えておくことができます。訪問の週の取り決めを前もって,熱意を込めて発表するなら,その週は初めから終わりまで,励ましになる交わりと活動に満ちたものとなるでしょう。
6 どうすればもてなしの精神と思いやりを示せますか。
6 旅行する監督夫妻は,会衆のもてなしを感謝すべきです。(ヘブライ 13:1,2)彼らは任命されたところで,さまざまな状況に適応することを学ばねばなりません。わたしたちの中にもなんらかの健康上の問題を持っている人がいるように,彼らにも制約となる限界があり,毎日同じペースを保つためには十分の休養が必要です。ですから,そういう点にも前もって適切な考慮を払う必要があります。もとより,旅行する監督夫妻は手の込んだものを期待すべきではありません。適当な宿泊設備,健康によい食事など,思いやりを込めて適度に準備されるものを何でも,心から感謝して受けるべきです。―ローマ 12:13。
7 どうすれば会衆は訪問から最大の益を得られますか。
7 会衆の長老や他の成員たちがよく準備を整え,訪問に対する熱意を盛り上げるなら,すべての人がそれだけ多く益を得ます。準備が良くなかったり,ぎりぎりになって大あわてで準備したりすると,最大の益を得そこなってしまうでしょう。
個人として益を得る方法
8 どのようにすればわたしたちは監督の話から個人的に益を得られますか。(箴 19:20; 20:18)
8 訪問がはじまるとき,それから最大の益を得るよう,めいめいにできることはたくさんあります。旅行する監督の話は,崇拝,クリスチャンとしての生活,「良いたより」を宣べ伝え教えるより効果的な方法,などに関するものです。聖書に基づく励ましや勧めを心に銘記する人々は,決定を下し,生活を調整するよう助けられることが多く,その結果として進歩します。(テモテ第一 4:15)このことをよく心に留めて,各集会に十分にあずかり,わたしたち個人に当てはまる助言の要点を学び取るようにしたいものです。―ヘブライ 10:23-25。
9 旅行する監督に近づくことにためらいを感ずる必要はありません。それはなぜですか。監督とどんなことを話せますか。
9 旅行する監督に対するわたしたちの態度も,監督の訪問から益を得るのに役立ちます。予定がぎっしりつまっているので,監督に近づくのをためらう人もあるかもしれません。でも監督は援助するために来ているのです。ですから,すべての人が自由な気持ちで,監督と近づきになるべきです。(コリント第二 6:11-13)集会で学んだ事柄,出版物の中の興味深い点,野外奉仕で経験したこと,自分の奉仕活動を改善することに関する問題,などを話せるでしょう。―フィリピ 4:8,9。
10 旅行する監督と野外活動をいっしょにするなら,どんな面で益が得られますか。
10 また恐れを感じたり,野外でいっしょに奉仕することをしりごみしたりすべきでもありません。監督のただ一つの目標は,わたしたちのすることを批判するのではなくて,わたしたちを励まし,助けることです。(使徒 18:27,28)もちろん,監督から何か提案があれば,喜んで受け入れます。監督は自分のことを重く見すぎることなく,他の人々を親切にやさしく扱うよう心がけるべきです。(テサロニケ第一 2:7,8)もし今まで,監督の訪問から十分に益を得ることをためらっていた人がいるなら,次回の訪問では,その点でなんらかの努力をしてみることにしましょう。そうすれば,監督にとってもわたしたちにとっても,喜びはいっそう大きなものになるでしょう。
11 姉妹たちが監督の妻と交わり心から協力することによって,どんな益が生まれますか。
11 旅行する監督のほとんどは既婚者で,妻を同伴します。重要な問題について相談を受けるのは監督ですが,会衆内の姉妹たちはとくに妻との交わりや,野外奉仕における手本から益を受けることができます。妻は夫の指示のもとに働き,さまざまな分野でいっしょに奉仕することを望む姉妹たちに喜んで同行します。もしかして地元の姉妹たちが交通手段を提供し奉仕に参加できる場合,午前中の野外奉仕に対するよい支持を午後もずっと継続できるなら,それはいつでも感謝されます。そうすればたいてい夫の自由な時間が増え,さらに多くの人と働くよう取り決めることができます。ですから姉妹たちは,訪問をいっそう効果的なものにするこういう機会に恵まれています。
12 必要のより大きい所で奉仕することを望んでいる人は,どうすることができますか。
12 あなたはどこか別の場所で,王国奉仕にもっと十分に参加することに関心がありますか。もしあなたの会衆の区域がよく伝道されているなら,別の地域に,あなたの援助をより有利に用い得るところがあるかどうか,旅行する監督に尋ねてみてください。(コリント第二 10:15,16)世界中どの国でも,業を監督している人々は,あなたが努力を拡大するよう助けることを望んでいます。
13 (イ)開拓者たちは自分のかかえている問題を旅行する監督と話し合うことによって,どのように助けられてきましたか。それはなぜですか。(ロ)ある開拓者たちは監督の訪問に対する感謝をどのように言い表わしましたか。(ハ)あなたの会衆の開拓者たちも同じような感想を述べますか。
13 旅行する監督は,おそらく何年も開拓者として野外で働いてきており,人を落胆させがちな問題をよく知っています。ですから他の開拓者たちは,経済上の問題であろうと,健康,家族に対する責任その他の問題であろうと,自分がかかえている特定の問題について監督と少しの時間話し合って,新鮮な見方を教えられ,この奉仕をつづける決意を新たにするよう助けられることが少なくありません。(フィリピ 4:11-13。テサロニケ第一 3:7-10。ガラテア 4:13。テモテ第一 5:8)最近,旅行する監督の援助を受けた二人の開拓者から,次のような手紙が来ました。
「わたしたちは[監督の]会衆訪問を心から感謝しています。監督は全会衆のみならずわたしたち二人にとっても大きな励ましでした。わたしたちは二人の問題の性質がどうあろうと,開拓奉仕に専念するように励まされました」。
また病気で二週間床についていたある特別開拓者は,次のように言いました。
「その月の奉仕があまり思わしくなかったので,わたしはとてもがっかりしていました。しかし巡回監督の訪問があって,わたしたちはみな非常な励ましを受けました。監督の訪問は非常に楽しく,全員が(わたしはとくに),エホバへの奉仕の改善にいっそうの努力を試みる用意ができたと感じています」。
そうです,開拓者たちも,会衆内のすべての人と同じく,監督の訪問から益を受けるようにしてください。―フィリピ 3:16。
責任ある立場に任命されている人々に益を得させる
14,15 (イ)パウロが長老や奉仕のしもべたちに関心を払ったことは,何からわかりますか。(ロ)どんな重要な事柄を旅行する監督と話し合えますか。監督との時間をどのように賢明に用いることができますか。
14 第一世紀に,パウロは長老や奉仕のしもべたちに対して特別の関心を払いました。(フィリピ 1:1)パウロは,テモテ第一 3章1-10,12,13節,テトス 1章5-9節では彼らの資格のあらましを述べ,多くの優れた助言を与えています。同様に今日でも,旅行する監督は会衆内の責任ある兄弟たちに,明確な助言や援助を与えることによって益を得させます。
15 長老たちとの集会では,旅行する監督たちは励ましになる提案や忠告を与えます。彼らは以前,会衆の責任を負っていたことがあり,そのうえにたくさんの会衆に奉仕して経験を積んでいますから,福音宣明と弟子を作る業のさまざまな面について,また牧羊に関する活動や集会を改善することについて,実際的な意見を述べ,また実際的な助言を与えることができます。しかし,この集会で付随的な問題に長い時間がついやされるなら,会衆に影響するこれらのより重要な問題を討議する益は得られないでしょう。したがって地元の長老たちは,訪問に備えて討議事項を準備し,会衆の霊的福祉と進歩にとって最も重要な事柄を話し合う機会をもうけるようにしなければなりません。―箴 21:5。フィリピ 1:9-11。
16 奉仕のしもべはどのように,またなぜ,監督の訪問中に援助を受ける機会を利用すべきですか。
16 もしだれかが奉仕のしもべであるなら,会衆の書籍研究のグループの中での仕事に,記録を扱う割り当てに,あるいは王国会館の中の他の仕事に関して,旅行する監督がその奉仕のしもべを援助できる面があるでしょう。奉仕のしもべは,進歩するために,援助を受ける機会を利用すべきです。(ルカ 16:10)奉仕のしもべは,自分が信頼できまた進歩的であることを証明することによって,兄弟たちに奉仕したい,将来より大きな特権にあずかるにふさわしい者でありたいという願いを確かに示すことになります。―コリント第一 4:1,2。
17 重要な問題を扱っている長老たちは,どのように訪問から益を受けますか。
17 長老たちはまた,旅行する監督の意見や助言が,重大な問題を扱うのに非常によい助けになることに気づくでしょう。(箴 13:10)最近起きたばかりの,あるいは未決の悪行問題を扱うのに,長老たちはいく分困難をおぼえていたかもしれません。その場合,訪問者の聖書的助言は,決定を下す前に問題を注意深く検討するよう長老たちを助けるでしょう。―箴 15:22。
18,19 (イ)人間の不完全さから,長老たちの間にも時にどんな問題の起こることがありますか。(ロ)そのような場合に,旅行する監督はどのように援助しますか。
18 人間の不完全さゆえに,長老たちや奉仕のしもべたち自身の間にも,時々なにか問題の起こることがあるかもしれません。(ヤコブ 3:2)不必要なあらさがしや誤解があったかもしれません。長老のひとりが秘密をもらし,それが人の感情を傷つけ,またその長老と他の長老たちに対する敬意をそこなう結果になっている,ということもあるかもしれません。(箴 25:9)だれかが,誇りのために自分を重く見すぎるほどに平衡を失い,りくつに合わないことを主張しているかもしれません。(ローマ 12:3)こうした問題やこれに似た問題が協力を妨げ,地元の責任ある兄弟たちがその問題を解決できないでいたらどうでしょうか。
19 長老たちは旅行する監督に自分たちの秘密を打ち明け,お互いの間に一致した関係を取り戻せるよう,監督の助けを求めるべきです。(エフェソス 4:1-3)監督は,神の言葉に基づいて問題を論理的に考え抜く点で,長老たちを助けることができるでしょう。(箴 20:3)こうして問題をすみやかに,しかも穏やかに解決すべく努力するとき,長老たちは,訪問中の主にある,年長の兄弟と問題を討議して神の言葉により物事を正すという取り決めの価値を認識していることを示せるでしょう。―テモテ第二 3:16。
20 もし旅行する監督が判断を誤ったなら,その問題はどのように扱えますか。
20 さらに長老たちは,旅行する監督もやはり不完全であることを認めなければなりません。ペテロにも落ち度があったのと同じように,時には地元の兄弟たちにとって監督が判断を誤ったように思えることがあるかもしれません。(ガラテア 2:11-14)訪問している監督が,自分には助言の必要はないと考えるべきでないのは,他のすべての長老と同じです。もしいく人かの長老が,何か監督の言ったこと,またはしたことによって心を乱されているなら,そのことについて監督に尋ねるのが親切でしょう。誤解していたとか見落としていたということもあり得ます。そうであれば事情をくみ,愛でその問題を覆うことができます。(ペテロ第一 4:8)しかしまた一方,監督がもっと有益な方法で兄弟たちに奉仕するために自分に適用する必要のある妥当な助言を,長老たちのほうが与えることもあるかもしれません。でも監督はダビデのように,彼らの忠告を,『拒みたくない』愛ある親切と考えるでしょう。―詩 141:5,新。
推薦を考慮するときの助言者
21,22 (イ)長老や奉仕のしもべを推薦することはなぜ重要な責任ですか。(ロ)推薦について検討するとき,旅行する監督が助言者としてそれに加わるなら,長老たちはどのように益を受けますか。
21 長老団は,新しい長老や奉仕のしもべを推薦する,あるいはすでに任命されている人々を解任することに手を着ける責任を正しく果たすよう努力してきました。ある人に会衆の責任を負う資格があるかどうかを考量するのは重要な事柄です。このことを強調しているのは,テモテ第一 5章22節にある使徒パウロの次の言葉です。「だれに対しても性急に手を置いてはなりません。また,他の人の罪にあずかる者となってはなりません。自分を貞潔に保ちなさい」。
22 したがって,旅行する監督が会衆に益を与えるもう一つの方法は,地元の長老団に加わって,推薦に関しいっしょに検討することです。推薦される人はどの人も,聖書的資格にかなっていなければなりません。(テモテ第一 3:1-10,12。テトス 1:5-9。ペテロ第一 5:1-4)たとえば,その人は本当に霊的な人でしょうか。『多くの実を結び,イエスの弟子であることを示す』点で模範的ですか。(ヨハネ 15:8)助言者の役目を持つ訪問中の監督は,そうした問題を前にしている長老たちを,客観的な方法で援助できます。これは長老たちが,監督の助言や意見から益を得る機会となります。同様に,監督は自分の心の中で問題をはっきりさせるために,質問を持ち出すかもしれません。こうした討議の目標は,推薦の対象となっている人々が本当に責任を担う資格を備えているかどうかについて,平衡のとれた判断を下すことでなければなりません。
23 (イ)わたしたちは旅行する監督の訪問からどのように最大の益を得られますか。(ロ)訪問を感謝することからどんな結果が生まれますか。
23 旅行する監督はわたしたちのために確かに大きな努力を払います。わたしたちはその奉仕から益を受けましょう。個人的な問題を克服しまた忍ぶように,あるいは愛による兄弟関係をいっそう密にするようにわたしたちを助ける目的で監督が与える正当な助言を,すべて受け入れましょう。(ペテロ第一 2:17)この世が加える圧迫に耐え,常に霊的武具で完全に身を固めて断固悪魔と戦おうという決意をますます強くするよう,監督たちはわたしたちを確かに助けることができます。(エフェソス 6:11-18)わたしたちは旅行する監督の訪問を感謝しましょう。それは,「イエス・キリストの表わし示される時に,賛美と栄光と誉れのいわれ」となるあの試された質の信仰を培うようわたしたちを助けるための,今一つの備えなのです。―ペテロ第一 1:7。
[24ページの図版]
家々で宣べ伝える
会衆で教える
[25ページの図版]
若い人たちを励ます
年を取った人たちを慰める