『死後の生存』についての聖書的研究 ― その3
3回に亘つて説明されるこの記事の(前に出版された)前の二つの部分で,現在のキリスト教国の牧師と民事,軍事の権力者たちが,丁度むかしの指導者たちと同じく事前の情報や導びきや,そして慰めを得ようとして霊媒術に頼つていることが分りました。今日の有名な科学者たちは,特別の設備を用いて,注意深く調査しましたが,いまでも調査に失敗しており,その霊媒現象を測定することはできないと認めています。急速に拡大している現代の宗教,霊媒術は,現在人間と話をしたり,連絡したりする見えざる霊者とは,かつて地上に生活してそれから死んだ,男,女,子供たちの『不滅の魂』に他ならぬと,主張しています。聖書は,霊媒術者のその主張とは全く反対であつて,つねに人間の魂の死ぬことを教えています。人間の魂が死滅するということは,イエス・キリスト,ペテロ,パウロの語つた力強い言葉や,モーセおよびイエスの御父であり生ける神ヱホバの忠実なヘブル人証者たちによつて書かれた記録の中で,くり返し述べられています。さらに,人間だけでなく(幾千年前地上に生存した)御使を含めて,汚れた反逆の行をした者たちの行為について聖書は詳しく説明していますが,それは現在なお生きている見えざる御使共の極めて悪い欺瞞の行為を明瞭に説明しているものです。それらの見えざる御使共は,生きている人間と実際に話をしたり,又はその他の影響を及ぼして『死後の生存』を信じさせようとしています。反逆の御使共とそのような悪い交りを結ぶことの危険さと,生命を亡すその侵入をどのようにして防ぐかということが,この最終回の記事の中でことごとく論ぜられています。
1 (イ)以前聖なる霊者であつた『神の子たち』は,どのように,そして何時自ら悪鬼になりましたか?(ロ)何時それらの御使は神の定めた奉仕の地位を故意に棄てましたか? その時より今日まで,聖書に書かれているヱホバのどんな裁きの決定は彼らに適用されましたか?
自分自ら堕落したこれらの『神の子たち』は,長期間に亙つて人間の肉の形に現われ,一人かそれ以上の妻をそれぞれ持つて,霊者にふさわしくない悪い生活をいたしました。神の定めた霊界から自ら離れた彼らは,原の地位を保たず,エデンの楽園の外にいた罪深い女たちと生活していました。利己的で,淫逸な,かつ非神権的なこの行をすることにより,これらの霊者の『神の子たち』は,自ら悪鬼になつて,サタンの側に立ちました。それで,悪魔サタンに与えられた神の宣告は,彼らにも適用するのです。弟子ユダがユダ書の中で次のように述べて,自ら悪鬼になつたこれらの御使たちを指していることは明らかです。『ヱホバはエジプトの地より民を救われたが,後に信仰を示さぬ者たちを亡ぼされた。もとの地位を保たず,自分の住むべきところを棄てた御使たちを,神は大いなる日の裁きのために永遠の鎖りでつなぎ,暗やみの下に,保たれている。ソドム,ゴラモも,まわりの町々も同じように,甚だしい淫行にふけり,不自然な肉慾に走つたので,永遠の火の刑罰をうけ,人々の見せしめにされた。』― ユダ 5-7,新世。
2 正しい道から外れたそれら霊者の『神の子たち』の行為は,どんな面で,地上最初の女とその夫のなした行為に比較されますか?
2 それら『神の子たち』のもとの地位は,天の霊界でした。そして,天的御使の住居としてではなく,人間や下等動物の住居としての地の基礎が置かれる前に,それらの御使たちは存在していました。彼らの住む正しい所は,高い天の見えざる霊界であつて,彼らは神の他の霊的御使たちと共に交り,神の御顔を直接拝することができました。それで,この低い地に来て,罪深い女たちを,肉慾を充すための妻となし,不自然な子たちの母にすることは間ちがいです。アダムはエバに従つて罪を犯し,神に反逆しました。これらの『神の子たち』は,『人間の娘たち』に従つて罪を犯し,悪鬼になつて神に反逆しました。ソドムとゴモラがそれらの御使に比べられていることから,ユダはそれらの御使を意味したのです。ソドムとゴモラは甚しい淫行をなし,不自然な肉慾に走りました。そして,ソドムの中に住んでいたロトを訪れるため,人間の形に表われたふたりの御使たちに,男色を行おうとすらしたのです。(創世 19:1-11)イスラエル人たちも,その聖なる国民以外の異教の女どもと悪い淫行を行いました。(民数 25:1-9; 31:15,16)『神の子たち』の罪も同じようでした。
3,4 (イ)不従順の御使である『神の子たち』に対する即時の罰および将来の罰は聖書にどう述べられていますか?(ロ)象徴的な聖書のどんな言葉が用いられているため,不敬虔な御使共になされた即時の罰は,不敬虔な人間共を罰する聖書的な永久の場所,または一時的な場所と区別されますか?
3 これら『神の子たち』は,神の天的な奉仕を棄てて,不従順という罪を犯しました。それで,彼らは悪魔サタンの『裔』または子孫になつて,悪魔と共に死の宣告をうけています。ユダの手紙もこのことを示しています。なぜなら,それはかつてエジプトから救われても後にヱホバへの信仰を示さずに亡ぼされたイスラエル人について述べてから,堕落した御使たちについて語り,それから悪い不道徳を行つて永遠の火の刑罰をうけたソドム,ゴモラの町について述べているからです。(創世 19:12-29)イエス・キリストは,この世の『終りの時』に関する予言を語り,その中で,クリスチャンに反対する山羊級の者は,これら堕落した御使共と同級のものであると語りました『呪われた者よ,私から離れて,悪魔とその御使共に備えられている永遠の火に入れ。』(マタイ 25:41,新世)しかし,不従順な御使たちに対する永遠破滅の宣告は,洪水のときに執行されませんでした。彼らの不自然な子孫であるネピリムは,人間であつて,ノアが自分の家族と下等動物の族を救うために建てた方舟に入れなかつたので,間ちがいなく亡びました。『神の子たち』の妻,つまりネピリムの母親たちは,洪水で溺れ死にしました。彼らも人間であつて,『神の子たち』が洪水を避けるために,人間の形を消して,霊界に戻つたとき,自分たちの妻を霊界に連れて行くことができなかつたからです。
4 それでは,その亡びが来る以前に,これら不従順な『神の子たち』には,どんな罰がなされましたか? 神は『(彼らを)大いなる日の裁きのために,永遠のくさりでつなぎ,暗やみの下に保たれている。』とユダは述べています。使徒ペテロも,彼らになされた即時の罰を述べ,こう語つています『神は罪を犯した御使たちを罰するのを差しひかえず,それらの者共をタルタロスに投げ入れて暗やみの坑に閉じこめ,裁きの時まで保つておられる。神は昔の世を罰するのをためらわずに,不敬虔な人々の世に洪水をもたらし,ただ正義の伝道者であるノアおよび他の七人の者だけを安全に守られた。神はソドムとゴモラを焼いて灰に帰し,彼らを罰して将来の不敬虔な人々に対する見せしめをつくられた。そして,不法の人々の放蕩な振舞に非常になやまされていた正義の人ロトを救われた。』(ペテロ後 2:4-7,新世)特に,大洪水の時から,イエス・キリストによる御国が設立されるヱホバの大いなる日の裁きの時までのあいだ,『罪を犯した御使共』は,罰をうけてタルタロスに住まねばならず,もはや高い『もとの地位』に戻ることができません。タルタロス(大抵『地獄』と誤訳されている)はゲヘナやハーデス(同じく『地獄』と誤訳されている)と同じではありません。ゲヘナは悪しき人間たちを永遠に亡す神の御準備を示し,ハーデスは人類一般の墓であつて,死人の復活の行われるところです。しかし,タルタロスは『罪を犯した御使たち』の閉じこめられるところです。
5,6 (イ)聖書のタルタロスと神話のタルタロスは,どのように似かよつていますか?(ロ)不敬虔な霊者たちを卑しめる(底ない抗に投げいれる)ことは,聖書的にどう定義されていますか?
5 聖書で言うタルタロスは,異教の神話で言うタルタロスではありません。丁度地が天よりも低いようにハーデスよりもはるかに低い一番低い下界のところではありません。異教の神話によると,下級の神々であるクローナスと他の霊者タイタンは,勝利の神ゼウス,すなわちジュピターによつてそのところに束縛されています。それは暗いところであつて,丁度天が地よりも高いところをみな取りかこんでいるように,下界をみな包んでいます。その神話の意味からも分る通り,タルタロスは一番わるい卑しめと,全き暗やみの状態を示します。それは人間の魂になされるのではなく,神に反逆する悪しき霊者になされるものです。これについてシリアック訳のペテロ後書 2章4節は,タルタロスという言葉の代りに『いちばん低い場所』という言葉を使つています。悪魔サタンを始めとして,これらの反逆の霊者たちは,文字通りのタルタロスに投げられたかのごとくにその地位を卑しめられ,神の奉仕から追い出されて亡びの宣告をうけ,いまや神の女の裔である栄光のイエス・キリストは,蛇の頭を砕くように彼らの頭を砕いてしまいます。
6 といつて,それらの霊者たちがすぐ天から追い出され,忠実な聖なる御使たちと接しなくなつたというわけではありません。大洪水から700年の後に生存したヨブについての聖書の記録によると,サタンがどのように天に昇つて『神の子たち』の集まりに入り,そしてヱホバに挑戦してヨブの忠実を試験しようとしたかが示されています。(ヨブ 1:6より2:10)そして,黙示録 12章1-7節の啓示によると,イエス・キリストによるヱホバの御国が(西暦)1914年,天に誕生したとき,サタンとその御使たちはその時まで天に許されていたことが分ります。その上,サタンとその悪鬼共はこの世の象徴的な天となり,地的な人間社会を支配しました。それで,サタンの天はハルマゲドンの戦の時に火で亡ぼされます。(ペテロ後 3:10-12)聖書の言うタルタロスは,地位とか場所を指すのではなく,神の宇宙的制度内の奉仕の特権を剥奪されている卑しめられた状態を意味します。
7 反逆した御使共の現在の地位と活動についてのどんな啓発の理解を私たちは認め,かつ知らす(あるいは播く)べきですか?
7 罪を犯したサタンと他の御使たちは,この卑しめられた状態の下にあつて,永遠のしばりをうけ,暗やみに閉じこめられています。つまり,暗やみの坑に入つています。その暗やみは,文字通りの実際のものではなく,霊的のものであつて,真理の光や,啓示や,恩恵が神から来ないことを意味します。『光は義しき人のためにまかれ,』悪鬼の霊者のためにはまかれません。(詩 97:11)この理由から,霊媒を通して述べられる霊者の言葉は,聖書を説明もせず,また聖書予言に解明の光を投げかけないのです。それで,たとえ,暗やみの坑にいようとも,それは人類との交りが霊媒を通してただ暗いところで為されるというわけではありません。昼の光の中であつても,彼らは人間の手先を通して働きかけることができます。
8 死んだ人間の魂の活動であると霊媒術が偽りにも主張する諸現象や連絡通信を,いま私たちはどのように正しく理解することができますか?
8 彼らが『永遠にしばられる』ということは,大洪水以前のように,彼らが人の形に表われることはもはや許されないということです。大洪水から,キリストの忠実な使徒の時代にいたるまでの何千年のあいだ,イエス・キリストや神の忠実な御使たちは,人間の形に表われ得るこの力を用い,神の御意と御目的を果しました。しかし,罪を犯した御使たちは,その力を悪用するため,もはやこの力を用いることは許されていません。霊媒術者たちがその集りのときに行われると言う形態現出は,大洪水以前に『神の子たち』が為した形態現出とは違うものです。大洪水以前の形態現出は,瞬間になされ真昼間でも行われ,霊媒を用いず,独立した体になされました。今日,霊媒術者のする形態現出は,霊媒の体のプロトプラズムという物質を取り,そしてそれから『エクトプラズム』を取り出して,それから人間の様子に形づくるのです。現出が終ると,エクトプラズムは消滅して,無くなるのではなく,霊媒の体に戻ります。そして,霊媒は再び正常になり,意識を取り戻します。不従順な霊たちは,もはや形態を現わすことができないため,霊媒を通して働かねばなりません。また,人間に憑いて,人間を思う通りに動かせようとしています。むかし,イエスと使徒たちは悪鬼に憑かれた人々に会い,多くの悪鬼共を追い出して,人間を救いました。(マタイ 4:24; 10:1,8; 12:28,新世。ルカ 9:1; 10:17。使行 16:16-18)彼らはヱホバ神の真理と宇宙的至上権を守るために,神の霊によつてこのことを行つたのであり,霊媒や宗教的な浄め人が偽りの宗教的儀式や制度の教理,信仰,実践を守るために悪魔の力によつてするのとは違うものです。これら悪鬼共は霊媒や,テーブル打ち,霊叩き,その他の霊媒的な諸現象を通して働きかけ,そして死んだ人間の『逝去した魂』のような振をなし,かくして死人は決して死んでいるのではなく,いままで以上に生きているのであり,かつより多くのことを知つているという嘘を保ちます。
獄にいる霊たちに伝道する
9-12 (イ)イエスの使徒ペテロは,『獄にいる霊』は誰であると示していますか?(ロ)獄にいるそれらの霊に,イエスは何時そしてどのように伝道しましたか?(ハ)イエスのしたその伝道と,予言されている現在の全世界にわたるヱホバの御国の宣明とのあいだには,どんなちがいがありますか?
9 大洪水以前に『人間の娘たち』と結婚した『神の子たち』は不従順な行をなし,自ら悪鬼になつた霊者であると,使徒ペテロは更に示しています。ペテロは,どのようにそう示しているかに注意しなさい。『キリストもあなた方を神に導こうとして,自分は義人であつたが,義しくない者のためにただ一度罪について死なれた。彼は肉にて殺されたが,霊にて生かされた。このようにして,彼は獄にいる霊どものところに行き伝道された。これらの霊どもはむかしノアの時代に方舟がつくられているあいだ,神が寛容をもつて待たれている時に従わなかつた者たちである。数人の人々,すなわち八人の魂は,その方舟の中にいて無事に水を通り救われたが,これに相応するものはいまあなた方を救つているもの,すなわち洗礼である。それはイエス・キリストの(霊者としての)復活によるのである。(肉の汚れを取りのぞく「ユダヤ人に与えられたモーセの律法に従うことによつて」ことではなく,神に善い良心を願い求めることである)キリストは天に行かれて神の右に坐し,御使と権威と諸権を従えられた。』― ペテロ前 3:18-22,新世。
10 『獄にいる霊』とは,『人間の娘たち』を自分の妻にして,ネピリムの父となつた霊者,『神の子たち』です。彼らは大洪水後に人間の形を消滅して霊界に戻り,タルタロスの卑しい状態に投げいれられ,『大いなる日の裁きのために,永遠の鎖りでつながれ』ています。この裁きについて,使徒パウロはクリスチャン会衆にこう書きました。『世はあなた方によつて裁かれるのに,あなた方は小さい事柄を裁くことができないのか? あなた方は知らないのか,私たちは御使を裁くものである。』(コリント前 6:2,3,新世)これら『獄にいる霊』は,『地獄』すなわちシォール又はハーデスにはいません。イエス・キリストがシォールつまりハーデスにいた時,彼は誰にも伝道することはできなかつたのです。なぜなら,シォール又はハーデスは,人類の一般の墓であつて,イエスは3日間其処で死んでいたからです。(使行 2:27,31,32。詩 16:10)『すべて汝の手に堪うることは,力を竭してこれを為せ,そは汝の住かんところの陰府<シォール>には工作も計謀も知識も智恵もあることなければなり。』(伝道之書 9:10)
11 イエス・キリストが『獄にいる霊』に伝道されたのは,彼が『肉にて殺され』た後に,シォール又はハーデス,つまり一般の墓にいて死んでいた時ではなく,死人の中から復活されて『霊にて生きた』後のことでした。いまや神のごとくに不滅不朽の霊者となつて,イエスはそれら霊のところに伝道しました。イエスは何時このことをしましたか? 復活後の40日のあいだ,イエスが弟子たちと共に地上にいた時でしたか? 復活後の40日間ということはありません。なぜなら,『キリストは苦しみを受けられた後に,確かな多くの証によつて御自分の生きていることを示された。四十日間人々によつて見られ,そして彼は神の御国についての事柄を語つた。』このように,イエスは御自身の復活された証拠を証者となる弟子たちに示されました。その証拠は,悪鬼すなわち『獄にいる霊』のような敵には示されなかつたのです。(使行 1:3-11; 2:32; 3:15; 10:40-42,新世)それでは,オリブ山から昇天してよりペンテコストの日までの10日間に,イエスは伝道しましたか? いいえ,この10日のあいだ,イエスは天的御父のもとに昇つて行かれました。地より御父のところまで何十億光年の距離であるかは分りませんが,イエスは人間としての犠牲の価値を携えて最高者ヱホバ神の御前に現われるため昇天されました。(ヘブル 9:24-26; 10:12,13)罪を犯した『獄にいる霊』に伝道するため,イエスが回り道をするなどということは先ずあり得ません。その霊どもには,罪を取り除く犠牲は適用されないのです。しかも,イエスの昇天は,罪を取り除く犠牲を神に捧げるという最重要の事柄だつたのです。
12 それで,霊になつたイエス・キリストが『獄にいる霊たち』つまりタルタロスにいる霊たちに伝道したのは,イエスがヱホバ神の御前に着いてその右に坐し,御使,権威,もろもろの諸権を『従えされた』後にちがいありません。イエスが彼らに伝道したものは,御国の良いたよりである福音ではありません。『伝道する』という言葉は,使徒ペテロの書いた原文のギリシヤ語の中でも,『福音を宣伝する』という言葉とは違つています。『福音を宣伝する』ということは,良いたよりをもたらすということです。『伝道する』(七十人訳の中ではケリソ)とは,ただ発表すべきものを宣明する,公表する,又は先き触れするという意味です。何か悪いことがらをも宣明し,公表し先き触れすることがあります。例えば,ヨナはニネベに対して『叫ぶ』よう遣わされました。『四十日を歴ばニネベは亡ぼさるべし。』とヨナは呼ばわり言いました。これは不利益な裁きの音信を伝道したものです。(ヨナ 1:2; 3:2,4,5,7,七十人訳は,ここのところでケリソというギリシヤ語を用いています。)また,ヨエル書 3章9節はこう命じています『もろもろの国に宣つたえよ。(七十人訳はキリソ)戦いの準備を為し,勇士をはげまし,軍人をことごとくちかより来らしめよ。』またホセア書 5章8節には『ベテアベンにて呼ばりて言え(ギリシャ語でケリソ)』と書かれています。
13,14 ヱホバの天使長であつて,死人からの復活をうける以前のイエスは,聖書の中に記されているどんな場合に,どのように霊界で伝道しましたか? そして誰に伝道しましたか?
13 これらの『獄にいる霊ども』は,ヱホバの大いなる日の裁きのために永遠の鎖りでつながれているのですから,霊界に復活されたイエス・キリストはただ裁きの音信だけを伝道します。イエスが自分の霊力や栄光を空しくして,人間として生まれ,肉の人間イエス・キリストなる以前,彼はこのことを為しました。(ピリピ 2:5-8)どんな場合ですか?
14 先づ予言者モーセがネボ山の上で死んだ時でした。その時,神の子は『モーセの体について悪魔と言い争つたとき,悪口を言つて裁こうとはせず,ただ「ヱホバがお前を叱りつけますように」と言つた。』天使長ミカエルである神の霊的な子は,モーセの体を管理して,ヱホバ神のためにモアブの谷の中の場所に埋葬しました。何人もその場所を発見した者はなく,どの霊媒もその場所を示すことができません。(ユダ 9,新世。申命 34:1-6)他の場合は,ゼカリヤ書 3章1,2節の予言から示されています。それは,他のユダヤ人とともにバビロンから荒れ果てたエルサレムの都に戻り,エルサレムにヱホバ神の宮を建て始めた大祭司ヨシュアに関するものです。こう書かれています『大祭司の長ヨシュアがヱホバの使の前に立ち,サタンのその右に立ちて之に敵しをるを我に見す。ヱホバ(シリアック訳そしてヱホバの御使)サタンに言いたまいけるは,サタンよヱホバ汝をせむべし。すなわち,エルサレムを選びしヱホバ,汝をいましむ。』ヱホバがサタンを責めるということは,ヱホバの大いなる裁きの日に,サタンに裁きを行うということです。そのとき,サタンの支配をうけているこの悪い世の組織制度は終り,王の王であるイエス・キリストの支配する正義の世が始まります。そのことから考えてみると,イエスが肉にて死んで,死人からの復活によつて霊にて生かされる時より幾世紀もむかしは,ヱホバが御使の御子を用いてサタンを『責める』時機ではありませんでした。
15-17 (イ)洪水前のノアの伝道と,獄にいる霊者共にしたイエスの伝道は,なぜ,そしてどのように似かよつていますか?(ロ)洪水前のノアの伝道を知り,かつ聞いた者の中には,なぜ特別に顕著な者共がいましたか?
15 使徒はペテロ前書 3章18-22節で,死をもうけたイエス・キリストの不当の苦しみとその霊界の生命をうけたよみがえりについて語つている時,急に幾千年も昔のノアの時代にいた不従順な霊者たちについて語つています。それを不思議に思つたことがありますか? 復活をうけたキリストは獄にいる霊たちに伝道しましたが,それはノアの日に生じたことと,ペテロの今論じている事のあいだには,類似点があるという驚きに値する言葉をペテロは述べているのです。マタイ伝 24章37-39節にあるイエス自身の言葉によると,ノアはイエス・キリストの予言的な人物でした。そして,ノアの妻は,『小羊の妻である花嫁』,すなわち霊によつて産み出されたイエスの追随者で成り立つ真の教会,または会衆の模型的な予影でした。ノアの3人の息子とその妻たちは,キリストを信ずる『大いなる群衆』を予表しました。キリストは来るべき新しい世を支配する千年統治の期間中,大いなる群衆の永遠の父になります。イエスの霊的な弟子たちで成り立つ忠実な会衆は,キリストと共に天で栄光をうけ,彼と共に統治しますが,大いなる群衆はそのようなことをしません。キリストの御国はハルマゲドンの戦の後,全地に地的パラダイスを復興しますが,彼らはそのパラダイスを相続します。西暦1914年以来,この悪しき世は『終りの時』であつて,これら地的の信者たちの『大いなる群衆』はすでに諸国から集められ,『小羊の妻である花嫁』の地上にいる最後の成員とともに,新しい世の社会に導かれています。―黙示 21:19。
16 ノアが自分の家族のために方舟をつくつて洪水を生き残つたように,大いなるノアであるイエス・キリストも新しい組織制度をつくります。その新しい組織制度の中にいて,『花嫁』級の成員と,将来神の息子,娘になる『大いなる群衆』は,来るべきハルマゲドンの戦におけるヱホバの大いなる裁きの執行を生き残ることができます。この新しい組織制度の中にいて,彼らは救主にして指導者かつ模範である大いなるノアに洗礼されねばなりません。そうすることによつて,この世のうけるハルマゲドンの亡びの火の大洗礼を避けることができます。―ペテロ前 3:21,新世。
17 古い世の終りの時にあつて,ノアは『正義の伝道者であつた』と使徒ペテロは述べています。(ペテロ後 2:5)ノア以外に,その家族の7人の者だけが方舟にいて救われました。それで,ノアが昔の世の人々に伝道したものは,洪水のときに行われるヱホバの裁きに関するものにちがいありません。ノアの伝道をうけた者の中には,ネピリムやその父親,すなわち人間の形に現われて人間の娘と結婚した『神の子たち』もいたに違いありません。このように,ノアは,洪水後タルタロスに閉じこめられる前の霊者に伝道しました。それらの霊者は人間の形に現われていたため,人間のノアは彼らに伝道することができました。
18,19 (イ)ヨハネによつて書かれた本の中の何処に,獄にいる霊共になされたイエスの伝道の主要点が記されていますか?(ロ)長なる反逆の霊と,人間の目には見えない悪霊共に対する予言された責めは,どのように,そして何時行われましたか? 予言されたどんな結果が起りましたか?
18 同じように,復活をうけたイエス,すなわち大いなるノアは,洪水後牢獄にいれられた霊者に伝道しました。人間イエスが殺される少し前,彼は弟子たちにむかいこう言われました。『さてこの世は裁かれるであろう。この世の支配者(サタン)は追い出されるであろう。』(ヨハネ 12:31,新世)しかし,『霊にて生かされた』後に,天にいるイエスは五旬節<ペンテコスト>の日,御自身の『花嫁』級の最初の成員たちに聖霊を注ぎ,新しい組織制度をつくり始めました。昔のノアは予言的な型を残しましたが,いまその型に一致して,天にいる大いなるノアが獄にいる霊共に伝道することは,全く正しいことです。(西暦)約96年頃,神は栄光をうけたイエス・キリストにすばらしい黙示を与え,そして年老いた使徒ヨハネにその黙示を伝えました。この黙示は,悪魔サタンとその御使たちである悪鬼共について多く述べています。この黙示をヨハネに与えたことは,獄にいる霊共に伝道したことに他なりません。というのは,黙示録 12章から後の章は,現在における悪魔サタンや悪鬼共の活動,その敗北,そして彼らが底の無い坑に投げいれられて,それから最後にうける永遠の亡びについて多く述べているからです。
19 第一次世界大戦の始まつた年である1914年に,ヱホバ神は,その時まで天に入つて自由の行動を取つていたサタンとその悪鬼共に痛切な責めを与え始めました。その年の秋に,『諸国民の定められた時』は終り,ヱホバ神が御子イエス・キリストの手によつて御国を設立する時は来ました。(ルカ 21:24,新世)黙示録 12章の中で象徴的に示されているごとく,神はその御国を誕生させましたが,それは御国をしてこの世の諸国民の只中で支配させ,そして来るべきハルマゲドンの戦の時に諸国民をこなごなに打ち砕くためです。御国が誕生してすぐ後に,ヱホバの長なる御使,すなわち天ではミカエルと知られている即位した王,天使長は,『龍と戦つた。龍とその御使たちは戦かつた。』龍であるサタンとその悪鬼の御使たちは,その戦に敗れ,天からこの地の近くに追い落され,そして間近に迫つているハルマゲドンの時まで,そこに束縛されています。(黙示 12:7-9,新世)悪魔と悪鬼共はすでにタルタロスの卑しめられた状態にいましたが,いまや文字通りにも彼らは卑しめられ,また彼らは大洪水以来タルタロスの獄に入つていましたがいまや文字通りに獄に入れられました。なぜなら,彼らはもはや天から追い出され,サタンの反逆の始まつた低い地に束縛されてしまつたからです。原の蛇である龍がこの責めに激怒し,いまヱホバ神の制度にむかつて憎悪を吐いているのは当然でありましよう。
20-22 (イ)ゼカリヤ書 3章1,2節にある神の与えた予言の最終的成就を,いまやどのようにして正しく示すことができますか?(ロ)獄にいる霊共にされるイエスの伝道は,なぜそしてどのように今でも行われていますか? 何時その伝道は終りますか?
20 サタンが天から追い出されたことについて,聖書の黙示録 12章10節にはこう書かれています『今や私たちの救いと力と御国そして神のキリストの権威は来た。なぜならば,神の前にあつて昼も夜も私たちの兄弟を責める者は追い落されたからである。』(新世)それで,前に引用したゼカリヤ書 3章1,2節(468頁14節)の予言は全く最終的に成就したのです。ゼカリヤの予言の中の『ヱホバの使』とは,主ヱホバとともに宮に来て裁きの業をなすとマラキ書 3章1節で述べられている『契約の使』と同じ者です。すなわち,栄光をうけたイエス・キリストです。イエスはヱホバの長なる御使,つまり天使長であるだけでなく,ヱホバの大祭司であります。地上では,イエスは兄弟の祭司たち,すなわちイエスの足跡に従つて彼と共に『王なる祭司』になる従属の祭司たちによつて代表されます。(ペテロ前 2:9)龍である悪魔サタンが責めているのは,これら従属の祭司たちです。彼らを責める時,実際には彼らの頭なる大祭司イエス・キリストを責めていることになります。彼らに為されることは,イエスに為されることと同じだからです。(マタイ 10:40; 25:40,45)エルサレムの宮を再建しようとユダヤ人たちがバビロンから戻つた後,サタンはユダヤの大祭司ヨシュアに敵対したとゼカリヤの予言は示していますが,それと同じく,大祭司イエス・キリストに従う祭司たちの残れる者が(西暦)1919年に現代のバビロンより救い出された後,サタンは彼らと戦い彼らを責めました。
21 マラキ書 3章1節の予言を成就している事実から見るとき,ヱホバとその『契約の使』は1918年の春に霊的な宮に来たことが分りす。その時以来,『ヱホバの使』は宮にいて,裁きの業を行つており,そしてその裁きは悪魔サタンにも及ぶものです。それで,サタンがイエスに従う地上の祭司の残れる者たちに反対し,ヱホバの大祭司イエス・キリストに敵対する行をするとき,宮にいる『ヱホバの使』イエス・キリストはサタンにこう言います『サタンよヱホバ汝をせむべし。すなわちエルサレムを選びしヱホバ汝をいましむ。』(ゼカリヤ 3:2)ヱホバの長なる御使,すなわち天使長であるイエス・キリストはサタンを天から地に投げ落してから後,すぐにハルマゲドンの戦を行つてサタンを亡ぼそうとはしなかつたのです。ハルマゲドンの戦をする前に,サタンに『短い時』を許しました。このようにして,サタンの制度に臨んだ艱難は短くされ,そしてヱホバの選んだ『王なる祭司たち』の福利は図られました。この理由のために,『ヱホバの使』であるイエス・キリストは宮に来てからも,サタンにむかつて『ヱホバ汝をせむべし』としか言えないのです。栄光をうけたイエス・キリストは,いまやこのようにして霊界の「獄にいるサタンや他の霊たちに伝道して」います。彼らを責めるようヱホバにお願いすることは,彼らに対する裁きの伝道です。来るべきハルマゲドンの戦で,ヱホバは彼らに裁きを行い,サタンと霊の悪鬼たちを責めます。
22 そのように,復活されたイエス・キリストのする「獄の中の霊たちへの伝道」はハルマゲドンの戦まで続きます。サタンとまた獄に入れられた他の霊たちは,いまでも聖書的なタルタロスの中におり,神の恵みと御目的に関しては暗やみの中に入つています。この地上におけるその卑しめられた状態について,エゼキエルの予言は『マゴグの地』と予言しています。そして,その支配者ゴグは悪魔サタンの予言的な象徴です。―エゼキエル 38:1より39:11まで。
23 (イ)すでに二度も卑くされた反逆の御使たちは,さらにどんな卑しめ(又は,底の無い坑に入れられること)をうけますか?(ロ)その後,これら反逆の霊どもは,臆病者,嘘つき,霊媒術を行う者に対してヱホバの備えている予言の報いを,どのように受けますか?
23 間もなくして,ヱホバがハルマゲドンでサタンを責むるとき,ヱホバは長なる使を通してサタンとその悪鬼共を捕え,それから底の無い坑に投げ入れ,1000年のあいだ封印をします。その間イエス・キリストは栄光をうけた王なる祭司たちと共に統治します。(黙示 16:14-16; 20:1-6)そのとき,聖書的なタルタロスはなくなります。この世の悪しき天は無くなつて,キリストとその栄光に輝く『花嫁』で構成される新しい天は,正義の新しい世を支配します。(ペテロ後 3:13)19世紀むかしに,イエスが坑に入つていたとき,彼はタルタロスにいたのではなく,3日のあいだ死の状態にいました。その後,死人からの復活をうけて救い出されました。(ロマ 10:6-8。申命 30:12-14)同じように,サタンとその悪鬼の霊どもは,底の無い坑に入れられるとき,死んだ状態になり,全くの無活動で人間と交渉を持つことができず,もはや死んだ人間の不滅の霊であるというような振をすることはできません。霊媒術または心霊論はその霊媒もろともにハルマゲドンで亡ぼされます。そして,霊媒術を行う者たちは,全き亡びの絶滅を象徴する『第二の死』をうけて亡ぼされてしまいます。黙示録 21章8節(新世)は,来るべき新しい世について,こう述べています。『おくびょう者,信仰の無い者,汚れた忌まわしい者,人殺し,淫行をなす者,霊媒術をする者,偶像を拝む者,すべての嘘言者たちには,火と硫黄の燃える池がその受くべき報いである。これは第二の死を意味する。』
霊者との連絡ではなく復活
24,25 (イ)聖書を正しく信ずる人たちは,永遠に生きておられヱホバ神のどんな業を待つていますか? その業により,人々は,かつて地上に生きていて,そして死んだ多くの男や,女や,子供たちと会うことができますか?(ロ)かつて地上に生きていまは死んでいる幾百万という人々の,多くのすばらしい見込みは,どのようにイエスの死と復活に依存していますか?
24 ハルマゲドンで亡ぼされる者たちには,『死後の生存』がありません。しかし,霊媒術とあらゆる偽りの宗教から離れて,ヱホバ神を崇拝し,またキリストの足跡に従う人々はハルマゲドンの戦を生き残つて,死なずに神の新しい正義の世に入ります。(ペテロ後 3:10-15)それらの生き残る人々は,ハルマゲドンで亡ぼされた人々と連絡通信をいたしません。それらの人々は,死人は死んでいるのであつて,死後は生存が無いということを知つています。嘘を言う霊たちの手先きになる霊媒たちは,ひとりも生き残りません。そしてこれらの霊共は,底の無い坑にいて死んだ状態であり,まつたくの無力であつて,キリスト統治の1000年間は諸国民を欺くことができません。ハルマゲドン生残者たちは,死人と連絡通信するという不可能な事を行わず,むしろ復活を待ち望んでおり,死人のよみがえりによろこびの準備をしています。一般の墓であるハーデス,又はシォールにいて神の記憶の中にいるすべての者のよみがえりに,愛の準備をしています。(ヨハネ 5:28,29。黙示 20:12,13)墓からのよみがえりがなされますが,それは人体形成用のエクトプラズムを出す霊媒の人体現出によるのでなく,ヱホバ神の復活の力によるのです。ヱホバ神は御意のままに,各人に独立した人間の体を与えます。(コリント前 15:36-38)これこそ,生きている者に対する真実にして固い永遠の慰めを与えるものであります。
25 よみがえつてくる死人たちは,霊の世界やエーテルの存在にいたときに,人間の体が無くてもかえつて自由に感じ,死ぬ以前よりも多くのことを知つたなどとは言いません。むしろ,彼らは聖書の真実であること,死人は墓の中にいて死んでいること,人間の魂は死ぬべきものであること,死人はなにも知らず,何も感じないこと,そして死ぬ前の最後の考えは死の眠りから目を覚ました時の最初の印象に結びついているということを語ります。(詩 6:5; 115:17。伝道之書 9:5,10。イザヤ 38:10,18,19)彼らは死んだ時と同じ個性を持つため,間ちがいなくその人であるということが分ります。死んでいる幼児も,子供も,青年も,老人も,死の状態にいるとき,一人として年を取つたとか,多くのことを学んだとかいうことはありません。彼らは地上の生命に回復されて,ヱホバ神とキリストによるヱホバの御国を学ぶ機会を持ちます。そして,楽園<パラダイス>の地における永遠の生命を得させるために設けられるヱホバの御準備に与ります。かくして,人類の中の従順な者たちは神の像と状に似る完全な人間にまで向上します。これはみな,神の御子イエスが人類のために死なれて,死人の中よりよみがえされ,『霊にて生かされ』給うたからです。かくして,イエスは天に昇天して神の御前に現われ,人類のための人間としての犠牲の価値を捧げることができました。
26,27 (イ)イエス・キリスト千年統治の終りに,地に住む人々は,地上に生き続ける資格があるということを,どのように示しますか?(ロ)その時地上に住む幾十億という人々の中,誰が『火の池』に投げ入れられますか? そして,その『池』とは何ですか?
26 一般の墓であるシォール又はハーデスが,その中にいる最後の者を出すときに,もはや死人はおりません。つまり,私たちの最初の両親であるアダムとエバからうけついだ罪と死の刑罰によつて死んでいる人はひとりもいません。この敵である死と,その死にともなう人類一般の墓は取り除かれ,そして,死人と連絡通信をするということは全くなくなります,なぜなら,そのような死人はいないからです。『彼(キリスト)は王となり,神がすべての敵をその足下に置くまで支配しなければならぬ。最後の敵である死も亡ぼされる』(コリント前 15:25,26,新世)彼らは天の霊界で永遠に生き続けませんが,しかし楽園の地に住む完全な人間として永遠に生き続けるのにふさわしいだろうか,という問題が生じます。キリスト千年統治の終りに,各人は自分自身でその問題を解決します。どのように?
27 千年統治の終りに,サタンと悪鬼共を解き放つことによります。キリストの千年統治のあいだ,サタンと悪鬼共は底の無い坑に閉じこめられ,人間と交渉を持つことができず,もはや人類を惑すことも,また人類向上のキリストの業を妨害することもできません。『さて千年が終るとすぐにサタンはその獄から解放される。それから,地の四隅の諸国民を惑すために出て行く。』(黙示 20:7,8,新世)サタンと悪鬼共は,『死後の生存』という嘘,すなわち生きている者は死者と連絡通信を為し得るという嘘にもとづいて人類を惑すことはできません。しかし,サタンはある形式の利己主義を用いて完全な人間を多く惑し,宇宙主権者ヱホバ神に敵対するサタンの軍勢に参加させるでしよう。丁度エデンの原の楽園で完全な人間アダムに行つたのと同じであります。(ヤコブ 1:12-15)利己主義に負けてしまい,神権的な新しい世に敵対してサタンと共に戦う者たちは,ヱホバ神に対する人類忠実の試験に失敗する者たちです。彼らの名前は,ヱホバ神の『生命の書』に書かれません。故に,彼らは意識的な反逆者としての刑罰をうけ,『火の池』と象徴される『第二の死』に投げこまれ,その意識的な罪のために死なねばなりません。彼らはシォール又はハーデスに投げ入れられず,又アダムからうけついだ罪のために死ぬのでもありません。
28,29 (イ)どんな聖句によると,また誰のために,ヱホバは『火の池』を特別に準備しましたか?(ロ)千年の終りに行われるヱホバの試験を通る人々には,どんな結果が生じますか?
28 この象徴的な『火の池』に,サタンとその悪鬼の天使たちも加ります。これらの者たちも,永遠の亡びである『第二の死』という罰をうけ,永遠にわたつて消滅してしまいます。アダムの罪による死の後に生存はありませんでしたが,それと同じく,この『第二の死』の後にも生存はありません。一般の墓であるシォールまたはハーデスからの復活はあつても,火の池であるゲヘナからの復活はありません。このようにして,原の蛇であるサタンと,人間および霊で成り立つその『裔』全部は,エデンのパラダイスで予言されていたように,その頭を全く打ち砕かれてしまい,二度と恢復することはできません。―創世 3:15。
29 完全になつた人間の中でも忠義を保ちかつ従順な者たちは,地上に生き残ります。この厳しい試験を無事に通つた彼らの報いは,不滅性を与えられるのではなく,新しい世における永遠の生命を得るにふさわしいと,その義を宣明されることです。そして,彼らの名前はヱホバの『生命の本』に書きこまれ,かくして地的パラダイスの中に備えられたヱホバ神の完全な御準備を用い,永遠果てしなく幸福を楽しむことです。『死はもはやないであろう。そして,歎きも叫びも苦しみもないであろう。』― 黙示 20:9より21:4まで,新世。
生命を奪う欺瞞を防ぐ
30,31 人間の魂と,霊媒術についての聖書の正確な知識は,なぜいま是非とも必要なのですか?
30 『死後の生存』という偽の教えに対する聖書の見解は,はつきりしています。しかし,魂は死んでも生き残るという説に対して,聖書は何と述べているかを知つている人は全く僅かな数です。そのわけで,友人や愛人を失つて悲しむ人々,また世界の恐怖と艱難に苦しむ多くの人々は,悪鬼崇拝である霊媒術の犠牲者になつているのです。聖書の予言は次のことを予言しました。すなわち,この悪しき世に対してなされる神の裁きの恐ろしい宣明にもかかわらず,利己的な人々は『自分の手の業を悔い改めず,そして見ることも,聞くことも,歩くこともできない金,銀,銅,石,木の偶像や悪鬼共を崇拝する。彼らは又人殺しや,霊媒の行や,淫行や,盗みを悔い改めなかつた。』(黙示 9:20,21,新世)人間の知識は進歩して行くにもかかわらず,人は『惑わす霊の言葉と悪鬼の教えに注意を払い,信仰から離れさるであろう。』彼らは悪鬼共の餌食となり,永遠の亡びをうけます。白亜館にいる支配者,王宮にいる支配者,また共産主義のクレムリンにいる支配者,全くすべての支配者の導きをうけている全国民は,ハルマゲドンの戦における亡びにむかつて導かれているのです。栄光をうけたイエス・キリストが『獄にいる霊共に伝道した』黙示は,悪鬼共の支配者である龍から,そしてその獣のような目に見える制度から『悪鬼共によつて霊感された表現が』出て行くのを予見しました。『霊感されたそれらの表現は,全地の王たちのところに行き,全能の神の大いなる日の戦争のために王たちを集める。……そしてヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる場所に彼らを集める。』(黙示 16:14-16そしてテモテ前 4:1,新世)悪鬼に導かれる者は,ひとりもハルマゲドンに生き残ることができません。
31 クリスチャンと自称する人々も異教の人々も,すべての人は悪鬼共の攻撃をうけて亡びに落ちこむという大危機に面しています。キリスト教国に頼ることはできません。キリスと教国は霊媒術を防ぐどころか,霊媒術はキリスト教国内でも異教国と同じようにひろまつています。なぜ? なぜならば,キリスト教国であるローマ・カトリック,ギリシャ・カトリック,そして新教徒<プロテスタント>は,『人間の魂不滅』という非キリスト教の教理を教えているからです。その教理は,霊媒術の基礎になつているため,キリスト教国の信者たちは霊媒術のすすめと欺きにすぐ応じてしまうのです。ローマカトリックは,自分こそ霊媒術に敵対する最強の防壁と言うかもしれません。しかし,ローマ・カトリックの教を調べるとき,カトリックは悪鬼共の悪の力を支持していることが分ります。例えば,
32 (イ)霊媒術の主張(ロ)霊媒術の現象(ハ)「死人からの」音信,についての質問にたいして,ローマ・カトリック教会は,どのように答えていますか?
32 オーストラリヤ,シドニーにあるローマ・カトリックの放送局ツウー・エス・エムの放送質問(318)『霊媒術の主張に真理はあるか?』の答えとして,聖心宣教師ランブル博士はこう答えました。
『魂が体から分離していて,体が死んでも生き残るという主張は,真である。すべての人は本能的にこのことを知つている。そして,新教主義への信仰を失おうときに,この基礎的な理性の真理は残るのである。彼らの多くは霊媒術に頼る。それで,霊媒術は非カトリック信徒たちのあいだでひろまつている。宗教制度としてみるとき,霊媒術は人間努力の結果であつて,特定の人々のあいだで流行している。……』
『あなたの教会は,なぜ霊媒術をはつきり非難するのですか?』という質問(319)に答えて,ランブル博士はこう答えています。
『カトリック教会は,霊の世界や,神や,悪しき霊,良き霊の存在をたしかに信じている。そして,永続する人間の魂の存在をも信じている。しかし,霊媒術の現象は,せいぜい自然の原因によるのであり,往々にしてごまかしである。そして,多くの場合悪しき霊が働いている。霊の影響によるどの結果も,良い霊の働きによらないことは確かである。霊媒は気味の悪い悪鬼のような亢奮状態で行う。その結果は,まつたく悪いものである。知らせられる音信にしろ,その仕掛にしろ,どれもみな神を冒瀆していて,不道徳であり,神にふさわしくないものである。』
『カトリック教会は,あの世の霊者たちと連絡通信していますか?』の質問(320)に,彼はこう答えています。
『カトリック教会の歴史の中には,死んだ人の魂から送られた言葉が多く記録されている。これらの記録が真実か否かについては,歴史的批判をうけている。ある記録は,たしかに疑わしいものであることが分つた。他の記録に疑を挿む余地は無い。概して,神は時折り魂をして一瞬間だけ警告を告げさせたり,また祈りを要求せしめたりするようである。しかし熱狂的なところはない。そして,その音信は自然のものであつて,死人に真理を求めている人々の奇妙な努力によるのではない。カトリック教会は,送られる音信を調べてみて,その音信が良い霊によつて送られたか,又は悪い霊によつて送られたかを見定める。(1)その音信は,カトリックの教えと道徳の原則と相反してはならない。ガラテア 1:9。……』― 1938年2月11日,アメリカ,ミネソタ州聖パウロ寺院の大司教ジエー・ジー・ムレイによつて認可されたランブルとカーデイ著『ラヂオ返答』という本の73,74頁。この本の序言は,神学博士フルトン・ジエー・シーン閣下によつて書かれています。(1939年の第9版)
33-36 (イ)霊媒術の侵入の危険に対する防壁として,ローマ・カトリック教に安心して依存することができますか?(ロ)出版されているどんな証言は,あなたのその答えを確証していますか?
33 ここにある正式なカトリックの教えは,霊媒術の侵入に対する強い守りでしようか? いいえ,それはむしろ,霊媒術をすすめているものであり,そして,ペルー・コスタ・リカ・キューバ・そしてハイタイのようなローマ・カトリック内の状態は,ローマ・カトリックがこの拡大している危難にたいして,なんらの防壁になつていないことを示しています。そのような国々では,カトリックの信者の90パーセントまでも霊媒術またはブードー教をローマ・カトリック教に交ぜ合わせています。そして,同時に両方のことをしても牧師たちから反対もされなければ罰もうけません。以前カトリックの牧師であつたジョハネス・グレベーという人が霊媒者になつて,『霊界との連絡,その律法と目的』と題する本を出したところで警くに当りません。(1932年,ニューヨーク,マコイ印刷会社)その序言の中で,グレベーは,非常に悪い偽りの言葉を記しています『最も意義のある霊媒術の本は聖書である。その主要な内容は彼世から現在生存している人々に告げられた言葉に依存するからである。』
34 ハイタイの国務次官であるジーン・ブリエルは,ハイタイの地を訪れる人々について,こう語りました『多くの人々は,ボヅンとも言われる,ブーヅーが悪い魔法では決してなく,この地の住民の90パーセント以上が行つている温和な宗教であることに気づかない。―この宗教をしていても,善いカトリック信者になり得る。ハイタイ人は土曜の夜ブーヅーの宮に行つて一晩中その儀式に参加し,それから翌日の朝早く,カトリック教会に行つてミサをうける。調べてみると,ロアスと言われるブーヅーの男神や女神は,多くカトリックの聖徒たちのように祭られてある。』(1949年10月号の真実の(人間雑誌))また『処女マリヤ』の偶像も用いられ,また特に悪霊を追い出すための十字架も至るところで用いられています。
35 キューバ,マタンザスの1934年9月1日号および15日号の雑誌『ロセンダ』の記事の中で,エム・ジー・コンセグラはこう語つていました『キューバでは,霊媒術の割合は,非常なものである。霊媒術はサューバで多くの改宗者を得ている。人口の稠密という割合から見て,キューバほど多くの改宗者がいる国は他にない。この証明に,否定し得ぬ事実を述べよう。いま霊媒術のことを語つても,それは馬鹿にもされなければ,検閲もうけない。(その本来の敵である)カトリックの牧師を始めとして,全部の人は,日の経つにつれてますます霊媒術を敬つている,数年の中に,霊媒術が『アンチレ諸島の真珠における一番の信仰になると言つても間ちがいではない。』
36 ローマ・カトリックの国々の主要宗教と霊媒術または悪鬼崇拝が交り合つて,ひろくひろがつています。そのことを示す多くの例がありますが,紙数の関係上ここに記すことができません。
37 この『危険な時』にあつて,理性をもつて神を恐れる人々は,悪鬼の侵入に対する守りとして,キリスト教国になぜ頼りませんか?
37 ローマ・カトリックの宗教制度により導かれ,かつ支配されているキリスト教国は,現在の危険な『終りの時』にあつて,悪魔崇拝に対する守りにはなり得ず,まつたく失敗しています。現在,サタンとその悪鬼共は天から地に追い落され,かつ激怒に充ちています。そして,キリスト教国と異教国をハルマゲドンの戦における全き亡びに導いています。天で次の叫びが鳴りわたつたのも全く当然なことです。『地と海とは災いである。悪魔は自分の時の短いのを知り,大きな怒りをもつてあなた方のところに来たからである。『― 黙示 12:12,新世。
38-40 (イ)霊媒術の行に対して,書かれているどんな証詞のみが,私たちを守りますか?(ロ)パウロは象徴的な言葉を用いつつ,怒り狂う見えざる悪霊共に打ち勝たせるため,どのように私たちを励ましていますか?
38 悪鬼共の企ては,すべての人類をして神と御国にたいする忠実をなくせしめ,そしてハルマゲドンのときに,全人類が神よりの亡びをうけるようにという企てです。それでは,そのような企てから,私たちはどのように身を守りますか? 霊媒術に反対する本,すなわち聖書によつて,身を守ることができます。聖書の中だけに,神の教えと証しが書かれています。イエスは聖書のことを指して,神にむかつて『あなたの言葉は真理です。』と言いました。(ヨハネ 17:17,新世)イエス・キリストの予言的人物であつた予言者イザヤの次の言葉は,現在の危険な時代にいる私たちに与えられています。『証詞をつかね,律法をわが弟子の中に封ずべし。もし人なんぢらにつげて巫女および魔術者のさえずるが如くささやくがごとき者にもとめよといわば,民はおのれの神にもとむべきにあらずや。いかで生ける者のために死ねる者にもとむることを為んといえ,ただ律法と証詞とを求むべし。彼らのいうところこの言葉にかなはずば晨光あらじ。彼らは昏黒においやられん。』(イザヤ 8:16,19-22)生ける神の教えと,その書かれた御言葉の中に記されている証詞とをもとめることによつて生ける神を求める ― これこそ私たちの光の源であり,そして悪しき悪鬼たちのもたらす亡びの働きから,私たちは必らず身を守ることができます。
39 いまやハルマゲドンの全き亡びがキリスト教国と異教国の両方にさし迫つています。そして,人間の目に見えない悪鬼共は,この世の支配者と国民とを巧みに欺き導いて,ハルマゲドンの亡びに向わせており,私たちは本当に悪しき時代に生活しています。世界のどこでも『肉の業』が充ちています。その肉の業の中には,『霊媒術の行い』も含まれているのです。それについて,使徒パウロは『そのような事を行う者は神の御国を相続しない。』と警めています。(ガラテヤ 5:19-21,新世)霊媒術を行う者たちは,キリストによる神の御国の支配をうける『新しい地』にも存在しません。(黙示 21:8; 22:14,15,新世)新しい世の生命を大切に思うなら,その生命を得させまいとする見えざる敵共に対して絶えず戦わねばなりません。使徒パウロは,その敵共は実際誰であるかを曝露すると共に,これらの敵を打ち負かす唯一つの手段を用いて勝利を握り,神の新しい正義の世において永遠の生命を得るよう私たちを励ましています。パウロはこう語つています。
40 『悪魔の手立てに反抗できるために,神からの全武器を身につけなさい。私たちの戦は血肉に対するものではなく,政府や,権威や,この暗い世界の支配者や,天の場所にいる悪い霊の力に対する戦である。このために,神からの全武具を取りなさい。それはあなた方が悪しき日にあつて反抗できるためであり,これらのことを全くした後にかたく立つためである。それで,かたく立ちなさい。そして,真理の帯を腰にしめ,正義の胸当てを胸につけ,平和の良いたよりの備えを足にはきなさい。あらゆることにまして,信仰の大きな楯を手に取りなさい。それでもつて,悪しき者の放つ火の矢を消すことができる。また救のかぶとをかぶり,御霊の剣,すなわち神の言葉を取りなさい。あらゆる祈と願をなし,御霊によつて,どんな時でも祈り続けなさい。』― エペソ 6:11-18,新世。
41 パウロの健全な助言を実際に適用するとき,心と気持に襲いかかる敵の攻撃に対して,どのように『かたく立つ』ことができますか?
41 いまこそ,この助言に従うべき時です。神の言葉の真理でもつてあなたの心をかたくしなさい。その時,悪しき霊共が見えないところから攻撃を加えても,その偽りの宣伝に対して,かたく戦うことができます。死人の復活という真理をあなたの心にしつかり植えつけなさい。そうすれば,人間の魂の不滅とか,『死後の生存』というような噓偽に対して,かたくしつかりと立つことができます。また,正義の胸当てをつけることにより,人情につけこむ霊媒術から心を守ることができます。また,イエス・キリストの贖の犠牲を無視して棄てるということもありません。まつたく,その贖の犠牲により,私たち罪人の罪は取り消され,そして永遠の正義を得ることができるのです。かくして,正義の宿る新しい天と新しい地の世界にあつて,私たちは永遠の生命をいただくことができます。
42 私たちを欺き,罠に陥れようとする敵の攻撃に対しては,どのように『かたく立つ』ことができますか?
42 平和の良いたよりの備えを足にはくとき,あなたはこの世の騒乱に対する責任を避けることができます。さらに,見えざる悪鬼共によつて,集められることもなく,全世界の支配者たちの側に立つこともありません。そして,ハルマゲドンの時に,全能の神とその統治する王イエス・キリストに反対して,自ら亡びをもたらす戦争をするようなことはありません。あなたは,神との平和および和解を増進します。
43 ヱホバとその統治する王に捧げる私たちの全き従順を,一度に燃え立つ火焔の如く,焼きつくそうとする敵の攻撃に対しては,どのように『かたく立つ』ことができますか?
43 信仰の大きな盾を取るとき,敵の放つ信仰破壊の燃える火矢を止めて消すことができます。そして,この世の不信仰の道から身を守ることができます。神とその王イエス・キリストへの信仰にもとづく従順を保つことによつて,あなたはこの世に打ち勝ち,そして神をよろこばし続けます。神は信仰をかたく持つ者に生命という報いを与えます。
44 理性を持ち,一致しつつ,かつ希望に溢れて神の御意を行う者たちの,論じ合う力を打ち砕こうとする敵の攻撃に対しては,どのように『かたく立つ』ことができますか?
44 救のかぶとを取るとき,神の御国へのあなたの希望は決して砕かれることがありません。あなたは,イエス・キリストを通してなされる神の救の道と,新しい世の神権政府について,神にたずね求めることができます。神の御準備と御要求に従つて,あなた自身の救を正しく得ることができます。そして証のため全地に亘つて『御国のこの良いたより』を伝道するヱホバの証者に加わることにより,『私たちの希望を公やけに言明します。』
45 偽りの哲学や誘惑の惑しでもつて,私たちを脅かしたり致命的に刺し貫こうとする敵の攻撃に対しては,どのように『かたく立つ』ことができますか?
45 神の言葉である霊の剣を取ることにより,悪鬼共の言葉であるこの世的な剣や,悪鬼の霊感する言葉や,宗教的な伝説や,そして人間の述べる物質的な哲学を逸らすことができます。接近した敵と切り合うときでも,あなたの剣は敵を刺し貫いてしまいます。議論をしても,敵は全くの無力になり,なんらの力をも及ぼすことができません。かくして,荒野で悪魔に誘惑された時のイエスのごとく,神の書かれた御言葉を引用し,かつ頼ることにより,敵から身を守ることができます。
46 (全体としても個人としても)私たち自身と,永遠の力の源であるヱホバとそのあいだには,交りがなされていますが,その交りを破ろうとする敵の攻撃に対して,どのように『かたく立つ』ことができますか?
46 見えざる霊界に住む悪しき霊共に対するこの神権的な戦の只中にあつて,あらゆる祈と願いを捧げることは,神をつねにおぼえていることであり,かつこの世の武器に頼らず,確かな保護者である助け主に頼つていることであります。霊媒術をしてみてはどうですかと誘われたりするとき,また霊媒術者が用いようとする神秘の魔力に反抗するとき,あなたは神に頼つて,悪しき霊者どもや,その欺きや,その反対に打ち克つことができ,そして神の聖なる御使たちがあなたに仕えるようお祈りしなさい。あなたは,単に自分自身のことだけを考えず,超自然の悪の勢力に対して同じ戦をなしている友なるクリスチャンたちをも考えています。あなたはイエスの教えに従つており,神の御名ヱホバが崇められ,そして神の御国が来て悪しき霊の力の働きが全く止めさせられるように祈つています。かくして,ヱホバの宇宙的至上権は立証され,人類に平和はもたらされ,地にパラダイスが回復され,記憶の墓から死人が復活し,そして地上にいる忠実で従順な全家族が完全な人間となつて,永遠の生命という祝福が与えられるよう祈つています。聖書に則つてなされる私たちの祈りに対する神の答は,神から与えられる全武具と同じく,悪しき霊の力に打ち克つために全く必要なものです。
47,48 この研究で得た知識を絶えず用いて,ヱホバの側に忠実に立ち続けるなら,ヱホバと座位についた王と,そして私たちにはどんな結果が生じますか?
47 このように祈りを捧げ,また神の与えた武具を身につけて戦うならば,ハルマゲドンのときに,悪鬼共の側に立つてヱホバ神とキリストによる御国に敵対するということはありません。私たちは生ける神の側に立ちます。生ける神は私たちのためにハルマゲドンの戦を行い,御自身の至上権を立証して,私たちを守り,そして私たちを栄光に輝く新しい世に入れて下さいます。サタンおよび悪しき霊者共によつて構成される悪しき天と,これら霊者共が見えないところから支配して悪く導いた人間社会の悪しき地は,消滅してしまいます。そして,イエス・キリストと栄光をうけた会衆を新しい天とする新しい世は始まります。
48 神の言葉である聖書に基くこの知識の助けを得るとき,使徒ヨハネの次の教えに従うことができます『愛する者よ,霊感の言葉をどれもこれも信じてはならない。その霊感の言葉が神から出たものであるかどうかを試しなさい。なぜなら,多くの偽りの予言者はこの世に出て行つたからである。』(ヨハネ第一書 4:1,新世)霊媒術の霊感の表現を調べてみると,その表現は神から始まつているのではなく,神の敵である悪鬼やその支配者の悪魔サタンから始まつていることが分ります。それで,霊媒術は反キリスト教のものであり,霊媒術を支持している者は反キリスト者です。いま,この試験の結果にかたく従いなさい。あなたの生命を得るためと,神に栄光を捧げるため,霊媒術に反抗しなさい。そしてサタンと悪しき霊の力に反抗しなさい。悪鬼の霊感する表現に,これ以上従つてはなりません。神の書かれた言葉に従いなさい。それこそ,神の聖霊によつて霊感された表現です。そうするならば,ハルマゲドンの戦を生きたまま通り抜けるか,あるいはハルマゲドン後に復活を与えられるかによつて,あなたは神の新しい世における生命という報いをうけます。かくして,『死後の生存』という偽りの希望で欺かれることはなく,又亡びをうけることもありまん。
[469ページの図版]
予言的な予表
ノアと妻 キリスト キリストの花嫁
方船 新しい組織制度
ノアの三人の息子とその妻たち 大いなる群衆
[475ページの図版]
悪魔と悪鬼共
異教国
キリスト強国
この世の支配者たち
破滅