18章
世の苦難が最高潮に達する時,わたしたちはだれの側にいますか
1 (イ)現在の邪悪な事物の体制の完全な滅びは,どんな手だてによってのみもたらされますか。(ロ)目ざめていることはわたしたちすべてにとってなぜ重要ですか。
人間の作り上げた事物の体制をしっかり捕らえている世の苦難は西暦1914年以来,計り知れない損害をもたらしてきました。しかし,それは政治上の「上にある権威」やそのような政治上の権威のもとで組織された人類社会を溶解させるものとはなりませんでした。(ローマ 13:1。テトス 3:1)象徴的に言って,古い「天」と「諸要素」と「地とその中の業」は依然わたしたちと共にあります。こうした古くからの事物の完全な溶解もしくは滅びは,「エホバの日の臨在」によって初めてもたらされるでしょう。聖書および歴史上のあらゆる徴候はそれが近いことを示してはいますが,それでも「エホバの日は盗人のように来ます」― ペテロ第二 3:10-12。テサロニケ第一 5:2。
2 エホバの日が到来する時,地上には油そそがれたクリスチャンがなおとどまっていることを念頭に置いた使徒ペテロは,どんな訓戒を書き記しましたか。
2 聖書の確かな証拠によれば,エホバの日がこの事物の体制に到来する時,キリストの王国共同相続者の会衆の最後の成員がなおこの地上にいることでしょう。使徒ペテロはこのことを考慮に入れました。その「日」が象徴的な古い「天」と「諸要素」と「地」にもたらす結果を述べた後,使徒が次のような訓戒を付け加えたのはそのためです。「それゆえに,愛する者たちよ,あなたがたはこれらのものを待ち望んでいるのですから,最終的に汚点もきずもない,安らかな者として見いだされるよう力をつくして励みなさい。さらに,わたしたちの主のしんぼうを救いと考えなさい。それはわたしたちの愛する兄弟パウロも,自分に与えられた知恵にしたがってあなたがたに書いたとおりであり,彼はそのすべての手紙の中でしているように,これらのことについて述べているのです。しかし,彼の手紙の中には理解しにくいところもあって,教えを受けていない不安定な者たちは,聖書の残りの部分についてもしているように,これを曲解して自らの滅びを招いています」― ペテロ第二 3:14-16。
3 その訓戒と一致して,霊的なイスラエルの残りの者は「汚点もきずもない,安らかな」者であるよう自らを保つために何を行なってきましたか。
3 霊的なイスラエルの残りの者の最後の成員は依然としてエホバの日とそれがこの不敬虔な事物の体制にもたらす滅びを待ち望んでいるので,最高の審判者であられる主権者なる主エホバから見て汚点もなく,きずもない,安らかな者として見いだされるよう最善を尽くしています。苦悩するこの世からの増大するあらゆる圧力にもめげず,彼らは「潔くして汚れなき宗教」を固守します。汚れた世から離れて汚点のない者として身を保つことにより,清い「崇拝の方式」を固守します。(ヤコブ 1:27,欽; 新)彼らは政治的な「野獣」や人間の作り上げたその「像」である国際連合を崇拝しようとはしません。(啓示 13:1-15; 15:2-4)流血の罪によって汚されるようなことは避けます。諸国家やこの世の政党間の血なまぐさい戦いに参加せず,中立を厳守するからです。彼らはこの世のものにならないという点で自分たちの指導者イエス・キリストに見倣います。―ヨハネ 15:19; 17:14,16。
4 「わたしたちの主のしんぼう」強さはどのようにして救いを意味することになりましたか。
4 彼らは,「わたしたちの主のしんぼうを救いと考えなさい」という使徒ペテロの勧告に従います。(ペテロ第二 3:15)そして,主権者なる主エホバが「不敬虔な人びとの裁きと滅びとの日」をあまり早くもたらさないよう辛抱なさったので結局自分たちが救いにあずかれたのだということを理解しています。(ペテロ第二 3:7)同時に,そのために救いの手だてが他の人びとにも差し伸べられてきました。
5 ペテロの勧告の精神と調和して,霊的なイスラエルの残りの者の成員は,どんな仕事に専念しましたか。
5 それら残りの者は救いのためのこうした時間的猶予を善用して,復活させられたイエス・キリストの命令を遂行し,行ってすべての国の人びとを弟子として水でバプテスマを施し,イエスのお命じになった事柄すべてを守り行なうよう教えてきました。(マタイ 28:18-20)そして,「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう」というイエスの預言の成就として行動することによって,自分たちの信じているものこそ希望を与える唯一のもので,全人類のための唯一の正当な政府であることを示して来ました。(マタイ 24:14。マルコ 13:10)このような道を取ることによって,キリスト教世界の僧職者や異教圏の僧侶と一緒になってこの世の政治に干渉する代わりに,「[天の父の]王国と神の義をいつも第一に求め」続けてきました。(マタイ 6:33)こうして,「キリストの代理をする大使」としての使命を果たしてきました。―コリント第二 5:20。
6 彼らは「わたしたちの主のしんぼう」強さを無にしないようにさせるためだれを助けてきましたか。今後,どれほど多くの人びとが集められるでしょうか。
6 それら王国を追い求める人たちの油そそがれた残りの者は最高の審判者エホバの辛抱強さにより,弟子を作るこの活動を世界的に進めることによって,王国相続者の残っている最後の者たちを集める以上の事を行なう特権に恵まれてきました。西暦1935年以来,啓示 7章9-17節で予告されている羊のような人びとの「大群衆」を崇拝のためのエホバの霊的な神殿に集めるよう,神のみ言葉によって導かれてきました。その預言は「大群衆」を構成することになっているそれら羊のような人たちの人数に限度を定めてはいません。それで,「ひとりも滅ぼされることなく,すべての者が悔い改めに至ることを望まれる」神の辛抱強さによって猶予されている期間中にできるだけ多くの人びとを霊的な神殿に集める業は進展して行きます。(ペテロ第二 3:9)「エホバの日の臨在」以前にそのような人びとが一体どれほど集められるかはだれも予測できません。しかし,この「大群衆」が生存者として「大患難」を切り抜けて出て来た後に,直接数えるか人口調査をするかして,「大群衆」には結局どれほどの人びとが含まれたかが分かるでしょう。
7 (イ)それらの人たちは皆,油そそがれた残りの者と共にどんな名称を受け入れましたか。(ロ)その名称にふさわしく行動するためどのように努力していますか。どれほど多くの土地で自分たちの活動を遂行していますか。
7 既に集められて献身してバプテスマを受けた人たちは皆,また14万4,000人の霊的なイスラエル人の油そそがれた残りの者も全世界を前にして自らエホバのクリスチャン証人であると宣言してきました。(イザヤ 43:10-12; 44:8)彼らは口頭で,また聖書を解説する印刷物を頒布することによって,その名称に伴う責任を全うし,その名にふさわしく行動するよう誠実に努力しています。主権者なる主エホバのそれらクリスチャン証人たちの組織された会衆は世界中で幾万にも達しており,1975年の「年鑑」は1974年8月31日付で3万4,576の会衆を報告しています。そして,207もの土地や群島から熱心な証人たちによる宣べ伝えて弟子を作る活動の報告が寄せられています。
8 (イ)彼らは皆,自分たちの所有者であるだれの所有権を認めていますか。このことはどのように身の守りとなっていますか。(ロ)彼らはイエスの記念としてどんな記念日を従順に守っていますか。このことをいつまで行ない続けてゆきますか。
8 彼らは偽教師の到来を予告した使徒ペテロの警告に留意しています。それらの者はクリスチャンと称しながら,「自分たちを買い取ってくださった主人のことをさえ否認し,自らに速やかな滅びをもたらすのです」。(ペテロ第二 2:1)キリストの王国共同相続者の油そそがれた残りの者と「自分の長い衣を子羊の血で洗って白くした」「大群衆」の人たちは,『自分たちを買い取ってくださった方』すなわち子羊イエス・キリストの所有権を誠実に認めています。イエスの記念として行なうようにとのその命令に従順に従った彼らは,西暦33年の過ぎ越しの日におけるイエスの死の記念の日であった1975年3月27日,木曜日に集まって,イエスがご自分の犠牲の死の記念として制定した主の夕食を行ないました。(マタイ 26:20-30。ルカ 22:14-20。コリント第一 11:20-26)彼らは,『彼が到来して』上なる天の父の家でご自分と共になるよう,その「花嫁」級の残りの者を連れて行く時まで,こうした定められた仕方で引き続き『主の死をふれ告げて』ゆく覚悟でいます。―エフェソス 5:23-27。
9 エホバのクリスチャン証人は自らの間で「安らかな者として」見いだされることの大切さを心に銘記していることをどのように示していますか。
9 使徒ペテロの勧告と一致して,それらエホバのクリスチャン証人は皆,自らの間で最終的に「安らかな者として」見いだされるよう最善を尽くしています。従って,『破壊的な分派をひそかに持ち込む』偽教師と行動を共にしたりはしません。(ペテロ第二 3:14; 2:1,2)こうして,千もしくはそれ以上の分派に分かれているキリスト教世界の宗教状態に陥らないようにしています。霊的なイスラエル人の油そそがれた残りの者は天の王国の希望を抱き,数え切れない「大群衆」がパラダイスとなる地上で永遠の命を受ける希望を抱いているのは事実です。しかし,それでもこの双方の級の人たちは皆,「ひとりの羊飼い」イエス・キリストのもとで「一つの群れ」としてエホバの霊的な神殿で平和裏に一緒に崇拝を行なっています。―ヨハネ 10:11,16。啓示 7:17。ミカ 2:12。
10,11 (イ)使徒パウロが言及し,油そそがれた残りの者と「ほかの羊」の双方が服している「管理」とは何ですか。(ロ)エフェソス 1章9-14節で示されているように,その「管理」の目的は何ですか。
10 クリスチャンの真の平和のために,天的な相続財産を持つ油そそがれた残りの者と地的希望を抱く「大群衆」の「ほかの羊」は,西暦33年のペンテコステの日以来,神が進めておられる「管理」に服しています。神がご自分の目的に従って進めておられるこの「管理」つまり管理方法についてはエフェソス 1章9-14節の中でわたしたちのために記されています。エホバ神に関するそれらの言葉を読む際,その「管理」つまり管理方法の目的に注目することにしましょう。
11 「[神は]み旨の神聖な奥義をわたしたちに知らせてくださ(いました)。それは,定められた時の満了したときにおける[つまり,西暦33年のペンテコステ以降の]管理のため,ご自身のうちに定められた意向にしたがってであり,すなわちそれは,すべてのもの,天にあるものと地にあるものを,キリストにおいて再び集めることです。そうです,[キリスト]において,彼との結びつきにおいて,わたしたちはまた[神の]相続人として選定されたのです。み旨のおもむくままにすべてのものを作用させるかたの目的のもとに,わたしたちがあらかじめ定められていたからであり,それは,キリストに望みを置く点で最初の者となったわたしたちが,その栄光の賛美に仕えるためです。しかしあなたがたも,真理のことば,すなわち,あなたがたの救いについての良いたよりを聞いたのち,彼に望みを置きました。そして信じたのち,やはり彼により,約束の聖霊をもって証印を押されたのです。それはわたしたちの相続財産に関する事前の印であり,また,神ご自身の所有物を贖いによって釈放し,その栄光ある賛美とすることを目的としています」。
12 (イ)その句の後の方で言及されている「神ご自身の所有物」とは何ですか。(ロ)エフェソス 1章10節で指摘されている「天にあるもの」とは何ですか。それらのものがキリストにあって集められるとは何を意味していますか。
12 「贖いによって」釈放される「神ご自身の所有物」とは何ですか。それは王国相続者の会衆で,それらの人たちは天的な相続財産を持っており,彼らに与えられる神の聖霊の賜物はその天的な相続物を受ける事前の印となっています。彼らはキリストにあって再び集められ,霊的な頭であるイエス・キリストのもとで勢ぞろいすることになっている「天にあるもの」です。それらの人たちは神の「相続人」またイエス・キリストの共同相続人として選定されました。頭としてのイエス・キリストのもとに彼らを再び集めるのは神の「管理」の第一段階で,その管理に従って神は全宇宙に一致をもたらされるのです。―ローマ 8:16,17。
13 (イ)神の宇宙の統一を図るために,さらにどんな処置が講じられることになっていますか。(ロ)国際連合はその目的の達成に寄与していますか。
13 しかし,「天にあるもの」を再びキリストのうちに集めることによって,神の「管理」つまりモーダス オペランディがその目的を完全に果たすのではありません。その最初の段階によって神の宇宙の至る所で完全に一致が確立されるのではありません。やはりキリストにあって再び集められねばならない「地にあるもの」があるのです。そのような地上のものを集めるのは,神の宇宙の統一を図る第二の,そして最終的段階です。悪魔サタンとその使いの悪霊たちは,神により任命されたイエス・キリストの頭の権のもとでなされるこうした統一に反対しています。同様に,この世の統治機関もそのような統一に反対しています。「地のもの」の統一という彼らの最高の概念の表われは,国際連盟の後身である,人間の作り上げた国際連合です。とは言え,何ものも,「み旨のおもむくままにすべてのものを作用させる」全能の神の目的を妨げることはできません。神のモーダス オペランディつまり「管理」は功を奏することになります。
14 「地のもの」が再びキリストのもとに集められるということはいつ以来明らかに見られますか。それはどの程度行なわれてきましたか。
14 今やエホバ神は宇宙的統一を図るためのご自身の「管理」の第二の段階を進めておられることが分かります。西暦1914年には異邦人の時の終わりに際して天でメシアによる王国が定められた時に樹立され,それに続いて「地のもの」を再び集める業を進めることができました。第一次世界大戦の終結後,キリストの共同相続者の油そそがれた残りの者を集める業は進められ,統一を図るための「管理」の第一段階の完了に向かって進展しました。しかし,大変意外なことに,また油そそがれた残りの者にとっては大いに喜ばしいことですが,頭であるキリストのもとに「地にあるもの」を再び集める業が西暦1935年に始まりました。同年の春,神の目的と時に従って,啓示 7章9-17節の長い間誤解されていた「大群衆」の実体が明らかにされました。第二次世界大戦によって引き起こされた国際的動乱と言えども,地的なパラダイスの希望を抱く「大群衆」を集める業を中止させるものとはなりませんでした。40年余の後の今日,200万余の人びとがエホバの霊的な神殿にいるあの「大群衆」と自分たちが同一であることを明らかにしています。
15,16 では,エフェソス 1章9,10節で言及されている『神のみ旨の神聖な奥義』とは何ですか。
15 今日,わたしたちはすべて,エホバ神がその創造された全宇宙の統一を図るための「み旨の神聖な奥義」もしくは「ご自身の隠された目的」をわたしたちに親切にも知らせてくださったことを感謝できます。そして,地的なパラダイスを望み見る地上の人間の「大群衆」を集めることによって,統一を図るために神が意図した物事の処置の仕方がその第二段階に入った事態を自分自身の目で見ていることを特に感謝できます。わたしたちは神の恩寵もしくは過分の親切に関して使徒パウロと共に感謝を込めてこう言うことができます。
16 「[神は]ご自分の隠された目的を私たちに知らせてくださいました。―それはキリストにあってあらかじめ定られたご自分の意志と意向でしたが ― 機が熟した時,実施されるため[もしくは,管理のため]でした。すなわち,宇宙が,天にあるものも地にあるものもすべてがキリストにあって一つにされるためなのです」― エフェソス 1:9,10,新英語聖書; ルーテル訳(ドイツ語); 新; ロザハム訳。
17 こうした統一は実際には何を意味しますか。
17 頭としてのイエス・キリストのもとで宇宙が一つにされるとは,天と地の統一を意味します。それは宇宙の主権者エホバ神のもとで宇宙が平和になることを意味しています。ゆえにそれは,「地上では平和が善意の人びとの間に」,神から善意を示される人びとの間にあることを意味します。―ルカ 2:14。
迫り来る猛攻撃に一致結束して立ち向かう
18 (イ)周囲の世の中とは対照的に,油そそがれた残りの者と「ほかの羊」の人たちの間にはどんな状態が見られますか。それはなぜですか。(ロ)それで,彼らは「エホバの日の臨在」が近いことをどう感じていますか。それは何を意味していますか。
18 地上の増大する騒乱とは著しく対照的に,霊的なイスラエル人の油そそがれた残りの者と「ほかの羊」の「大群衆」の人たちはあらゆる土地で自分たち自身の間で「安らかな者」として見いだされています。人間の自然環境はますます汚染されていますが,彼らは神の恵みと祝福のもとにある霊的なパラダイスを享受しています。彼らは聖書の詩篇 91篇に鮮やかに描写されている霊的安全を享受しています。油そそがれた残りの者と「大群衆」の双方は一緒に「至高者のもとなる秘められた所に」住んでおり,自分たちのために「まさに全能者の影に宿り場」を得てきました。(詩 91:1,新)彼らは自分たちの神エホバに頼って保護と救助を求めます。そして,神の裁きの執行と「不敬虔な人びとの滅び」を伴う「エホバの日の臨在」を恐れることなく待ち望みます。その時,この古い世俗的な体制の溶解が起きますが,彼らは頭なるキリストのもとで集い続けるので,そのクリスチャンとしての一致は消滅したりはしないでしょう。
19 「エホバの日の臨在」と関係のある出来事は油そそがれた残りの者と「大群衆」にとっては衝撃とはなりません。なぜでしょうか。
19 この問題について既に世界的な規模で語られてきた事を,たとえ人びとが,キリスト教世界の人びとさえもが信じないとしても,彼らが読むべき警告の言葉は聖書の中にはっきりと述べられています。何に関する警告ですか。それは,「エホバの日の臨在」の期間に生涯の ― 初めての衝撃,世界中の何億もの人びとの宗教感情にとって驚くべき衝撃がもたらされるということです! 衝撃を受ける人びとの中には,霊的なパラダイスの中にいる油そそがれた残りの者とその仲間の崇拝者たちの「大群衆」が含まれますか。いえ,決して含まれません! それどころか,彼らは宗教上のその衝撃的な出来事を期待してきたのです! 彼らはその出来事と調和しています。それはエホバ神の裁きの表われとなるからです。彼らは何十年にもわたってそのことについて人びとに警告を発してきました。彼らは国際的に悪名高いあの宗教上の娼婦,大いなるバビロンの驚くべき突然の滅びについて直接関係する人びとにあらかじめ警告する義務を怠りはしませんでした。
20 啓示 18章2-4節のどんな緊急な助言をエホバのクリスチャン証人は世の中に広めてきましたか。
20 大いなるバビロンとはだれか,またそれは何を象徴しているかを明らかにしてきたのはエホバのクリスチャン証人です。それで彼らは一体だれが直接危害を受ける者となるかを人びとに示してきました。単に“不吉な予言”ばかりを盛んに述べようとしてきたのではありません。次のような黙示録の緊急な助言を世の中に広めるからと言って,単に宗教上の人騒がせを引き起こしてきたのではありません。「わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄をともに受けることを望まないなら,彼女から出なさい」― 啓示(黙示録)18:2-4,新; ドウェー訳。
21 (イ)エホバのクリスチャン証人は大いなるバビロンがだれであることを明らかにしましたか。(ロ)大いなるバビロンのどんな部分がまず最初に神からの裁きの執行を受けますか。なぜでしょうか。
21 地上の全宗教圏が関係しています。と言うのは,事態を相当研究した後,エホバのクリスチャン証人は大いなるバビロンとはローマ・カトリック教会でも,組織化されたキリスト教世界でもなく,偽宗教の世界帝国であることを明らかにしてきたからです。宗教上その世界帝国の主要な構成要素また代弁者は,キリスト教世界です! 同世界は同帝国の中でも最も責められるべき要素です。なぜなら,同世界は“キリスト教”を奉ずると唱えているからです。同世界の冒涜的な言動は“異教圏”のそれを上回っています!(真のクリスチャンを含め)宗教上の少数者に対する同世界の迫害は,“異教世界”のそれを上回っています! また,キリスト教世界の流血の罪は,キリスト教以外の全宗教圏のそれをもしのいでいます! この点を考えると,霊感を受けた聖書から見て明らかと思えることからすれば,大いなるバビロンに対する神の裁きの執行の際,キリスト教世界がまず最初に注目されるのは奇妙なことではありません。―エレミヤ 25:13-29。
神の不思議な行ないと異常な業
22 (イ)現代のキリスト教世界の歴史的な類似物はどこに見られますか。(ロ)イザヤ書 28章15節の言葉遣いは古代エルサレムの支配者たちの取った道をどのようによく描写していますか。
22 西暦前607年にバビロンの異教徒の軍隊によってユダヤ教のあの中心地とその領域が完全に荒廃させられる前の最後の何年かの時期の不忠実なユダとエルサレムは,今日のキリスト教世界の古代の類似物となっています。不忠実なエルサレムに対するエホバの預言者たちの霊感を受けた警告が増大し続けるにつれ,彼女はこの世的な方法で自らの存続を図り,神の預言が偽りであることを示そうとしました。彼女は死と契約を結んでいたので,その契約の条項に従って死によって倒されることはないと考えました。また,シェオルと「幻」を共にしていたので,その幻によれば自分が命のない死骸のように墓に下るのをシェオル(人類共通の墓)に見られることはないと自分自身に思い込ませていました。彼女は「偽り」であることが分かることになっていたこの世的で欺瞞的な取り決めを避難所としました。主張や期待を裏切る企てのうちに隠れて,予言された滅びを免れようとし,こうして「虚偽」のうちに身を隠しました。神であるエホバを避難所としたり,その方のもとに隠れ場所を見いだしたりはしませんでした。―イザヤ 28:14-16,新。
23,24 (イ)現代のキリスト教世界はどのようにして同様の道に従ってきましたか。(ロ)それで,預言者イザヤが予告したように,キリスト教世界には何が望みますか。
23 現代のキリスト教世界も同様のことをしてきました。彼女も自らを永続させようとして世俗の政治権力と不倫な友好的取り決めを作りました。そして,エホバのクリスチャン証人が特に大戦後の西暦1919年以来世界的に宣明してきた,メシアによる神の天の王国に信仰も信頼も寄せませんでした。従って,聖書預言の縮図的成就として古代のエルサレムとユダに適中した事は,今や同じ聖書預言の主要な完全な成就として適中しようとしています。古代の歴史は,信仰の欠けたエルサレムについてエホバが次のように述べた預言がいかに適中したかを示しています。
24 「そして,わたしは公正を測鎖線とし,義を[ご自分の目的に従って物を組み立てる際に使う]水準測量器とする。そして,雹は必ず偽りの避難所を一掃し,水はまさしく隠れ場所を立ちのかせる。そして,あなたがたの死との契約は確かに解消され,あなたがたのシェオルとのあの幻は立たない。みなぎりあふれる鉄砲水は,それが通り抜ける時,あなたがたもまたそのために踏みにじる所となる。それが通り抜けるたびごとに,それはあなたがたを連れ去って行く。朝な朝な,昼間も夜の間もそれは通り抜けるからである。聞かされた事を他の者たちに理解させるのは,必ずほかならぬ身震いをする理由となる」― イザヤ 28:17-19,2,3,新。
25 (イ)預言が述べているように,起きている事に関する知らせを聞くのは,どうして「身震いをする理由」となりますか。(ロ)その時にエホバが取られる行動は,以前のどんな時に行なった事に似るものとなりますか。
25 単に知らせを聞くだけでどうしてそれが人を身震いさせる理由となるのでしょうか。なぜなら,その知らせは,神の不忠実な自称崇拝者たちによって作られた世慣れた企てがすべて,シーツを掛けたベッドに入る時のように身を覆って安心して休むには不十分なものと判明した旨告げ知らせるものとなるからです。イザヤによるその預言はさらにこう説明を続けます。「寝いすはその上で身を伸ばすには短すぎ,織った布も身を包む時には狭すぎるようになるからである。エホバは丁度ベラジム山でのように立ち上がり[そこでは,敵のペリシテ人に正面攻撃をかけた後,ダビデ王は言いました。『真の神は,水によって作られる割れ目のように,わたしの手によってわたしの敵を打ち破られた』],丁度ギベオンの近くの低い平野でのように激こうされるからである[そこでは,ダビデ王にペリシテ人に対する二度目の勝利を得させる前にエホバが彼に言われました。『真の神はペリシテ人の宿営を打ち倒すためにあなたより先に出ている』]。それはご自分の行ない ― その行ないは不思議である ― をするため,またご自分の業 ― その業は異常である ― をなさるためである。だから今,自ら嘲笑者であることを示してはならない。あなたを縛るものが強くならないためである。絶滅,それもわたし[イザヤ]が主権者なる主,万軍のエホバから聞いた,全地に対して定められた事柄があるからである」― イザヤ 28:20-22; 歴代上 14:8-16,新。サムエル後 5:17-25。また,ヨシュア 10:1-14。
26 エホバが間もなく行なう『不思議な行ない』や『異常な業』とは何ですか,それがそのように描写されているのはどうして適切なことですか。
26 キリスト教世界の滅びをもたらす以上にエホバ神の『不思議な』行ない,『異常な』業があり得るでしょうか。ほかにはあり得ないでしょう。と言うのは,人はこう問うこともできるからです。キリスト教世界は“神の恩寵によって”同宗教圏を支配しているのだと唱えてきたではないか。同世界は神のキリストを地上で代表していると唱えているではないか。その通りです! であれば,種々の聖書協会によって世界中で聖書を何百もの言語で,しかも10億冊以上も広めてきたキリスト教世界をエホバ神は存続させてくださると考えるべきではないでしょうか。それにもかかわらず,全能の神が「エホバの日の臨在」の際にキリスト教世界を存続させないのは,キリスト教世界の教会に通う何百万もの人びとにとっては『不思議に』思えるでしょう! 近づいている「大患難」の初めに神がキリスト教世界に壮烈な滅びをもたらすのは,本当に『異常に』思えるでしょう。
大いなるバビロンを素早く打ち倒せ!
27 (イ)エホバはキリスト教世界をまず第一にどんな理由に基づいて壊滅させますか。(ロ)同世界の滅びはどうして「盗人のように」やって来ますか。
27 偽りの宗教組織の一覧表の筆頭に挙げられているキリスト教世界が壊滅させられる正当な理由は,同世界が「最終的に[エホバによって]汚点もきずもない,安らかな者として見いだされ」てはいないことにあります。(ペテロ第二 3:14)しかも,同世界こそ神の唯一真の教会であるとするそのあらゆる主張にもかかわらずそうなのです! 同世界は偽善的で,キリスト教の名のもとに行進しながら,同時に教えや行ないの点ではバビロン的であることが明らかにされています。神の裁きを執行するエホバの日に同世界に火のような滅びをもたらすのは『不思議な』行ないですし,『異常な』業ですから,それは「盗人のように」同世界に臨むでしょう。―ペテロ第二 3:10。
28 エホバの正しさが立証されるためには,どうしてキリスト教世界が滅びなければなりませんか。
28 キリスト教世界を滅ぼすことによって,主権者なる主エホバは,同世界の存続してきた何世紀もの間のその恥ずべき行動に対してご自分には一切責任がないことを弁明しなければなりません。同世界とは決して関係を持たなかったこと,また同世界をご自分の愛するみ子と霊的に結婚させて『キリストの花嫁』にするよう婚約させたりは決してなさらなかったことを立証しなければなりません。同世界は宗教上の娼婦でしたから,エホバ神は彼女を「世の友」であるゆえに「神の敵」と認めておられたことを示さなければなりません。―ヤコブ 4:4。
29 (イ)キリスト教世界が一掃されると共に偽宗教に対する神の裁きは終わりますか。それとも,どうなりますか。(ロ)大いなるバビロンは何によって滅ぼされますか。彼らはなぜそうしますか。
29 偽宗教に対する神の裁きは,キリスト教世界が一掃されると共に終わる訳ではありません。あの宗教上の偽りの世界帝国である大いなるバビロンの主要な構成要素が除去されねばならないのであれば,同世界の残余の構成部分もすべて除去されねばなりません。同世界は何ら痕跡を残すことなくことごとく除去されなければなりません。この国際的な娼婦の肉の部分はすべて野獣によるように必ず食い尽くされます。彼女は荒廃させられ,裸にされるのです! 火によるように必ず完全に焼き尽くされてしまいます。神の誤りのないみ言葉の中でそう定められているからです。「そして,あなたの見た十本の角,また野獣[今日の政治上の第八世界強国],これらは娼婦を憎み,荒れ廃れさせて裸にし,その肉を食いつくし,彼女を火で焼きつくすであろう」。(啓示 17:16)皮肉にも,彼女の以前の世俗的な友が,神とキリストに対する愛からではなく,彼女に対する嫌悪と侮べつの念から彼女を滅ぼす張本人となるのです。
30 国際連合内の政治上の諸強国が大いなるバビロンを裸にして滅ぼす時,エホバの証人もまたその影響をある程度感ずるでしょうか。
30 第八世界強国は今日,138の加盟国を擁する世界を包含する政治機構ですから,いかなる宗教的・霊的な意図であれそれに反対して世界中で行動を起こすでしょう。エホバのクリスチャン証人でさえ影響を免れることはできません。確かに国際連合の加盟138か国は,エホバのクリスチャン証人がキリスト教世界の一部ではないこと,いや,売春婦のような大いなるバビロン全体の一部でもないことを知っています。エホバの証人がこの世の卑劣な政治によって自らを汚したり,七つの頭と十本の角を持つ象徴的な緋色の「野獣」に乗ろうとしたりはしなかったことをも承知しています。それで,「大いなるバビロンをその背から引き下ろして裸にし,焼却する際,この政治的な「野獣」は,「娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの[憎まれた]母」と勘定を清算するに当たり,直接エホバの証人にほこ先を向けることはしないでしょう。(啓示 17:5)それでも,今日の国際連合に代表を送っている政治上の諸強国が自ら必要と考える処置をあらゆる宗教に対して取る時,エホバの証人も恐らくある程度の影響を受けずには済まないでしょう。例えば,宗教団体の資産全部に対する緊急課税,あるいは宗教団体の所有する貴重品や資産全部の徴収,もしくは宗教法人に対する国による設立許可を取り消してその滅びを図ろうとする措置の影響を受けるかもしれません。
31 使徒ヨハネの場合に例証されているように,大いなるバビロンが滅ぼされる際,エホバの油そそがれた証人たちはどんな立場を占めますか。
31 しかし,預言を収めた聖書は主権者なる主エホバのクリスチャン証人を何千年もの年月を経た大いなるバビロンのぞっとするような壊滅の傍観者として描写しています。流刑地パトモス島にいた年老いた使徒ヨハネは明らかに,今日の霊的なイスラエルの油そそがれた残りの者を代表する人でした。使徒ヨハネは,悪魔の見える組織に「最後の七つの災厄」を注ぐよう命じられた七人の使いの一人からこう言われました。「さあ,多くの水[民,群衆,国民]の上に座る大娼婦に対する裁きをあなたに見せよう。地の王たちは彼女と淫行を犯し,地に住む者たちは彼女の淫行のぶどう酒に酔わされた」― 啓示 17:1,2; 21:9。
32,33 (イ)それからヨハネはどんな事柄の傍観者となりましたか。(ロ)ヨハネは,大いなるバビロンと共にだれが滅ぼされるのを見ませんでしたか,かえって,神のそのような公正の行ないによってだれの復讐が行なわれますか。
32 それからヨハネはどんな事柄の傍観者となりましたか。ヨハネはこう答えます。「そして彼は,霊の力によってわたしを荒野に運んで行った。そこでわたしは,[七つの世界強国の存続期間中ずっと積み上げられてきた]冒とく的な名で満ちた,七つの頭と十本の角を持つ緋色の野獣の上に,ひとりの女が座っているのを目にした。また,その女は紫と緋で装い,金と宝石と真珠で身を飾り,手には,嫌悪すべきものと彼女の淫行の汚れたものとで満ちた黄金の杯を持っていた。そして,額には一つの名が書いてあった。それは秘義であって,『大いなるバビロン,娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母』というものであった。またわたしは,その女が聖なる者たちの血とイエスの証人たちの血に酔っているのを見た……『そして,あなたの見た女は,地の王たちの上に王国を持つ大いなる都市[バビロン]なのである』」― 啓示 17:3-6,18。
33 外のその「荒野」の観察地点で使徒ヨハネは,「大娼婦に対する裁き」つまり七つの頭と十本の角のある緋色の野獣による大いなるバビロンの滅びの傍観者となりました。ヨハネは「イエスの証人たち」が血で酔いしれた大いなるバビロンもろとも滅ぼされるのを見た訳ではありません。(啓示 17:15,16)次いで,使徒ヨハネは大いなるバビロンが廃墟と化した大商業都市として描かれているのを見た後,観察者たちに対して天からの次のような叫び声が出るのを聞きます。「天よ,また聖なる者と使徒と預言者たちよ,彼女について喜べ。神はあなたがたのため,彼女に司法上の処罰を科したからである」。(啓示 18:20)こうして,公正の神は,大いなるバビロンの手で苦しめられてきた忠実な崇拝者たちの復讐を行なわれます。喜びを抱くべき何と当然な理由でしょう。
34,35 使徒ヨハネの見た預言的な幻は,大いなるバビロンの滅びがだらだらと長引く事件とはならないことをどのように示唆していますか。
34 最後に,使徒ヨハネは預言的な幻の中で,大いなるバビロンから「出なさい」という神からの命令に留意して,全能者なるエホバ神の民となる現代の傍観者たちが目撃することになる事柄を見ます。ヨハネが見る活劇のような光景は,大いなるバビロンの完全な倒壊がだらだらと長引く事件とはならないことを示唆しています。ヨハネはその預言的な劇的光景を描写してこう述べています。
35 「また,強い使いが,大きな臼石のような石を持ち上げ,それを海に投げ込んで言った,『大いなる都市バビロンはこのように,速い勢いで投げ落とされ,二度と見いだされることはない。そして,自分のたて琴に合わせてうたう歌い手や楽人や笛吹きやラッパ吹きの音は,二度とあなたのうちで聞かれない。どんな仕事の職人も二度とあなたのうちに見いだされない。ひき臼の音は二度とあなたのうちで聞かれず,ともしびの光は二度とあなたのうちに輝くことなく,花婿と花嫁の声も二度とあなたのうちで聞かれないであろう。あなたの旅商人たちは地の高位の者であったからであり,あなたの心霊術の行ないによってあらゆる国民が惑わされたのである。しかも彼女の中には,預言者と聖なる者たちの血,そして地上でほふられたすべての者の血が見いだされたのである」― 啓示 18:21-24。
36 エホバのクリスチャン証人は大いなるバビロンに激烈な滅びを被らせることに加わりません。どうしてでしょうか。
36 その預言的な幻の迫り来る成就に際して,エホバのクリスチャン証人は大いなるバビロンを滅びの深みに激しく投げ込むことには加わりません。彼らは自ら宗教建造物に無理に入って,宗教的な像や絵画を粉砕する偶像破壊者になりはしません。彼らはエホバ神が復讐を果たすことをご自分の特権として要求しておられることを念頭に置くでしょう。神に報復をしていただくので,復讐心を抱いて自ら報復しようとしたりはしないでしょう。最高の審判者また公正の神に,七つの頭と十本の角のある象徴的な緋色の「野獣」のような他のいかなる代理者であれ,お望みのものを天でも地でも用いていただきましょう。しかし,エホバのクリスチャン証人は大いなるバビロンに対して自ら厳しい処置を取ることをよしとする権限を,書き記された神のみ言葉の中に何ら見いだしていません。エホバに誉れと賛美とが帰されて,こう言われるようにすべきでしょう。「神は,その淫行によって地を腐敗させた大娼婦に裁きを執行し,ご自分の奴隷たちの血について報復をなし,それを彼女の手から要求された」― 啓示 19:2。
ハルマゲドンにおける,彼女をうとんじた愛人たちの消滅
37 (イ)エホバのクリスチャン証人はどんな手段によって初めて,大いなるバビロンの滅びに生き残ることができますか,(ロ)その時,「王国のこの良いたより」を証しのために宣べ伝える点で彼らには依然なすべき仕事がもっとあるでしょうか。(ハ)逆に,彼らはどんな事態に面しますか。
37 地の表から大いなるバビロンが激しく除き去られる時,エホバのクリスチャン証人は全能の神からの保護を受けて初めて生き残ることができます。彼らは世を震憾させるこの出来事の傍観者として存続させられるので,清い崇拝を受ける神のその『不思議な』働きの証人となり,またそれゆえにやがて他の人びとにそれについて語る義務を負わされるでしょう。その時までには,『王国のこの良いたより(を)あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で』宣べ伝える彼らの業は終わっているでしょう。神のみ子によって命じられたように,告知者として家から家に,戸口から戸口に,店から店に,また路上でなされるその業は仕終えられていることでしょう。(マタイ 24:14。マルコ 13:10)今や彼らは,この「事物の体制の終結」の何十年もの期間中絶えず宣べ伝えてきたそのメシアによる神の王国のために確固とした立場を取らなければなりません。なぜでしょうか。今度は,「世のすべての王国」を表わす,宗教心の欠けた政治上の諸強国に直面するからです。
38 今や,この世の政治上の諸強国はどんな誤った結論に達するでしょうか。
38 事態は本当に挑戦的なものとなるでしょう! 今や,あらゆるバビロン的な宗教から絶縁したこの世の政治上の諸強国は,地の支配を引き継ぐ「神の王国」というようなものの権利に対して今やかつてないほど異議を唱えるでしょう。彼らは目に見えない天の政府などというものを信じません。彼らは偽宗教のバビロン的な世界帝国を滅ぼすことを許されたため,生ける唯一真の神などはいない,地上でそのような神を代表すると唱える何者よりも自分たちのほうがもっと強力だ,「王国のこの良いたより」を宣明する者たちをさえ神からの処罰を受けることを恐れずに攻撃できる,というような誤った結論に達することでしょう。
39 世の政治支配者たちがその時どのような考え方をすると考えるのは理にかなったことでしょうか。
39 彼らの見解は,有形のもの以外考慮に入れない全く唯物主義的なものとなるでしょう。従って,地に対する支配はすべて見える人間の支配者によって行なわれねばならず,地球はその上に住む人間のものであって,彼らが悪魔サタンとその悪霊の見えない統制下にあるという教えは信じられない事柄です。彼らは自分たちの政治権力を見えない支配者としての悪魔に負ってもいなければ,それまでの幾多の世紀の全期間中単に主権者なる主エホバの許しによって地を支配してきたのでもありません。それで,彼らは西暦1914年における異邦人の時の終わりなどを重大な意義のある事実とは認めないでしょうし,自分たちの信じていない神に自らの政治権力や国家主権を引き渡そうとはしないでしょう。地上の生きている者は皆,彼らのこうした考え方に従わねばならず,順応しない者,異論を持つ者はすべて,地から除去されねばならないのです。大いなるバビロンの政治的撲滅者たちによれば,それら順応しない者たちとは,生き残るエホバの証人のことなのです。
40 その時,エホバの証人は妥協して世に順応したりはしません,どうしてでしょうか。
40 その重大な時に臨んでエホバのクリスチャン証人が順応しようとしないのは,宇宙の主権者であられるいと高き神エホバを認めているからです。地も天も,創造者であられるその方のものです。王を立てるその正当な方は,復活したみ子イエス・キリストを人類のために地を千年間統治するよう任命されました。イエスはその人類のために贖いの犠牲として死なれたのです。キリストのその千年統治がなされる時は近づきましたし,エホバの証人は聖書に対する全き信仰を抱いてその時を待ち望んでいます。「終わりの時」の期間中地上でその大使や公使となってきた,あの神権政府を,彼らはいかなる状況のもとでも否認しないでしょう。彼らはそのような立場の者として決して「世のもの」とはなりませんでしたから,宇宙主権にかかわる論争が戦いによって最終的に決着をつけられるハルマゲドンに今や立つ世のものにさせようとする試みを彼らは今こそはねつけます!
41 (イ)エホバのクリスチャン証人の取る立場から考えて,唯物主義的な政治上の諸強国はその時,彼らに対してどんな態度を取るでしょうか。(ロ)マゴグの地のゴグに関して予告されている事柄は,彼らが物事に対して取る見方をどのように示唆していますか。
41 人間による世界支配を自分たちの当然の権利とする主張に対するこうした妨害に遭って,政治上の諸強国は憤り,それを片付けてしまえ! という態度を取るでしょう。それに,エホバのクリスチャン証人のあのちっぽけな一団は人手で記された一冊の書物にすぎない聖書以外,自分たちの立場を支持する何を持っていると言うのでしょう。軍事上支えとなるもの,彼らの神や彼らのメシアなる王のために戦うのに用いる肉の武器はどこにあるのでしょう。エゼキエルの預言のマゴグの地のゴグのように論ずる彼らは,軍備を持たぬ政治的に無力なエホバの証人は無防備で無力だと結論するでしょう。(エゼキエル 38:10-12)物事に対する唯物主義的な見解からすれば,彼らを滅ぼし,その霊的なパラダイスを一掃し,「天の王国」を代表するとのその主張を排除するのは造作ないことのように思えるでしょう!
42 国際連合の加盟国がエホバの証人に対する攻撃に移る時,彼らは実際にはだれに対する反抗を表わすことになりますか。
42 では,国際平和と安全のための世界機構の加盟国は一致結束して攻撃を進めなさい! そうです,しかし実際には主権者なる主エホバの生き残る証人たちにではなく,むしろ彼らの天の指導者で,かつて犠牲にされた「神の子羊」イエス・キリストに向かって進むのです! 人類を支配するためのその世界機構に自らの地的な「力と権威」を与えた政治上の諸強国についてこう記されているからです。「これらの者は子羊と戦うであろう。しかし子羊は,主の主,王の王であるので,彼らを征服する。また,召され,選ばれた忠実な者たちも彼とともに征服する」― 啓示 17:13,14。
43,44 (イ)その攻撃に直面する時,この地上のエホバの僕たちはどんな記録を思い起こす必要があるでしょうか。(ロ)詩篇 27篇はどのように彼らを励ますものとなるでしょうか。
43 このような預言的な言葉によってエホバ神は,地的な経験のこのいよいよという時のために存続させているご自分のクリスチャン証人の忠実さに対するご自身の確信のほどを示しておられます。その攻撃は世界中でどんな形を取ろうと,どのようにしてもたらされようと,神の油そそがれた残りの者と忠節な仲間の「大群衆」の信仰と献身を試みるものとなるでしょう。全能の神が一見無力と思えるその民を敵に一斉に攻めさせながらも直ちに敵を打ち負かして死なせた,聖書に記されている他の事件を彼らは思い起こさねばならないでしょう。それで,ダビデ王の次のような言葉を思い起こすのは適切なこととなるでしょう。
44 「エホバはわたしの光またわたしの救いです。だれをわたしは恐れるでしょう。エホバはわたしの命のとりでです。だれをわたしは怖がるでしょう。悪行者たちがわたしの肉を食い尽くそうとしてわたしに向かって近づいて来た時,彼らは個人的にわたしの敵対者また敵だったので,自らつまずいて倒れました。宿営がわたしに敵して天幕を張ろうと,わたしの心は恐れません。わたしに敵して戦いが起ころうとも,わたしはその時でもより頼み続けるでしょう。一つの事をわたしはエホバに求めました。―それをわたしは待ち望みます。わたしの命の日の限り,エホバの家に住むことを。エホバの喜ばしさを見,その神殿を正しい認識をもって見るために。災難の日に,彼はご自分の隠れがにわたしを隠し,ご自分の天幕の秘められた場所にわたしを潜ませ,岩の高みにわたしを置いてくださるからです。それで今,わたしの頭はわたしの周囲一帯にいる敵より高くなります。そして,わたしはその天幕で喜びの叫びの犠牲を捧げ,エホバに向かって歌い,また調べをかなでます」― 詩 27:1-6,新。
45 不敬虔な諸国民は宇宙の主権者によって滅ぼされるべきどんな理由をその方に与えてきましたか。
45 聖なる天は皆,また地上の聖なる者たちも皆,今やまさに起きる事柄を見守っています! 天と地の造り主であられるいと高き神の宇宙主権に関する地上の諸国家の厚かましい反抗と挑戦は今やついに絶頂に達しました! 今や宇宙主権の天の請求者はだれの立場が,つまり地上のご自分のクリスチャン証人の立場,それとも死すべき被造物なる人間の自らを称揚する諸国家の立場が正しいかを決めなければなりません。諸国家は汚染や創造者の法の侵犯によって「地を破滅させ」てきただけでなく,神の「特別な所有物となる民」である霊的なイスラエルの油そそがれた残りの者をその「特別な所有物となる民」に善を行なう,神を恐れる人たちの「大群衆」もろとも滅ぼそうとして今や立ち上がっているのです。(啓示 11:18。ペテロ第一 2:9)宇宙の主権者が不敬虔な諸国家を滅ぼす理由を求める上でさらにどんな理由を必要とするのでしょう。何も必要ではありません!
46 (イ)諸国家は詩篇 2篇10-12節に記されている霊感による助言に留意しようとしていないことをどのように示してきましたか。(ロ)それで,詩篇 2篇5-9節の言葉と調和して,どんな行動を起こす時が到来しますか。
46 西暦1914年以来,『王国の良いたより』が証しのため世界的に宣べ伝えられてきた期間中,諸国家は強情にも霊感による次の助言に留意することを拒んできました。「では,今,王たちよ,洞察力を働かせなさい。地の裁き人たちよ,矯正を受けなさい。恐れをもってエホバに仕え,おののきつつ喜びなさい。子[メシア]に口づけしなさい。彼[エホバ]がいきり立たないため,そしてあなたが道から滅び失せないため。彼の怒りは容易に燃え上がるからです」。(詩 2:7,10-12,新)諸国家は,エホバがご自分の独り子であることを全世界に告げ知らせたその王に口づけすることを強情にも差し控えてきました。と言うのは,諸国家は和解を目ざしてその顔をなごめるために何もしていないからです。また,自分たちのものと主張している領土に対する主権をその王に引き渡そうとはしていません。神の時間表によれば,時計は神が『怒りをもって諸国民に語り,激しい不快の念をもって彼らをかき乱す』時刻を報じています。それで,今こそ「鉄の笏」の支配を実施させましょう。エホバの即位した王なるみ子に諸国家を砕かせ,陶器師の陶器のように粉々に打ち砕かせましょう。(詩 2:5-9,新)では,直ちに鉄の笏を持つ神のみ子に敵の軍勢と戦っていただきましょう!
47 (イ)ハルマゲドンで行動を開始するよう,だれが天の軍勢に合図を出しますか。(ロ)啓示の書の記録は,その殺りくの日の戦場を何になぞらえて描写していますか。
47 丁度,ダビデ王がギベオンの低い平野でエホバからの戦闘開始の合図を待ち望んだように,「あらゆる国民を鉄の杖で牧する」ことになっている,エホバの戦士である王は,天の最高司令官からの合図を待ち望んできました。(啓示 12:5)ご覧なさい! 合図です! 王なる元帥は直ちにその白い軍馬を駆って進み,これまた白い軍馬にまたがった天の軍勢を導き,地上のハルマゲドンの戦場に結集して戦闘隊形を整えたすべての敵に対する勝利の突撃を行なわせます。それら敵の王たちやその軍隊や支持者たちを,集めてつぶすぶどうのように扱いなさい。ハルマゲドンのその戦場を酒ぶねに変えなさい! そこで,王の王に「全能者なる神の憤りの怒りの酒ぶね」を踏んでもらいましょう。それらの「ぶどう」の生き血を酒ぶねの大おけの中でいよいよかさを増させ,そうです,「馬のくつわに届くほどに」させましょう。(啓示 19:11-16; 14:18-20)全能者なる神に長らく押しとどめられていたその憤怒を今やついにことごとく吐露していただきましょう。諸国家のこれほどまでの苦難を神が二度ともたらす必要がないようにしていただきましょう。―ナホム 1:6-9。
48 イザヤ書 34章1-6節は,その時起こる事柄をどのように描写していますか。
48 確かに今や,全天地が注目すべき時です!「エホバはすべての国の民に対して憤りを,彼らのすべての軍隊に対して怒りを抱かれるからである。この方は必ず彼らを滅ぼし絶やし,必ず彼らを殺りくに渡される。そして,彼らの殺された者たちは投げやられ,彼らの死骸はと言えば,その臭気が立ち昇る。山々は彼らの血のゆえに必ず溶ける。そして,天の軍勢のすべては必ず朽ち果てる。そして天は巻き物の書のように,必ず巻き上げられる。その軍勢は皆,しなび果てる。葉がしなびてぶどうの木から落ちるように。いちじくの木から落ちるしなびたいちじくのように。『天ではわたしの剣は確かにびしょぬれになるからだ。見よ,エドムの上にそれは下り,わたしにより公正をもって滅ぼし絶やされる民の上に下る。エホバは剣を持たれる。それは必ず血で満ちる』」。(イザヤ 34:1-6,新)エホバは霊感を与えて,無意味な冗談の意味でこのような預言的な言葉を書き記させたのではありません。その成就の時は近づいています。古い事物の体制は必ず消滅します!
49 今やわたしたちは各自どんな緊急な決定に直面していますか。
49 わたしたちは古い事物の体制と共に滅びますか。わたしたちはエホバ神がそのみ子である戦士イエス・キリストによって地上の敵すべてを処刑するため公正の剣を揮うその「日」に,政治支配者やその軍隊や支持者たちと共に処刑されることを望みますか。主権者であられる主なる神がこの古い事物の体制と勘定を清算するに際して生死にかかわる個人的な決定を下すことがわたしたちに許されている残された時間は,非常に短いに違いありません。助命されて生き残れるか,それとも有罪宣告を受けた俗人のように処刑されるかは,わたしたちが今決める立場にかかっています。世の苦難が恐るべき最高潮に達する時,わたしたちはだれの側にいることになるだろうかという問題を決するのは,今や決して早すぎません。わたしたちすべてが知恵と分別を働かせて神の新しい事物の体制のもとで命を享受する道を選べますように!