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大洪水聖書に対する洞察,第2巻
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ノアとその家族は,ノアの生涯の600年目,第2の月(10-11月)の17日に箱船に入りました。(創 7:11)
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大洪水聖書に対する洞察,第2巻
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大洪水の水 大気中の水分が突然すべて雨となって降ってきたとしても,それを地表全体に広げるなら,その高さは数センチにしかならないと言われています。では,ノアの日に起きたこの大洪水の膨大な水はどこに源を発しているのでしょうか。創世記の記述によれば,神はノアに,「わたし[エホバ]はいま,地に大洪水[または,「天の大洋」; ヘ語,マッブール]をもたら(す)」と言われました。(創 6:17,脚注)起きた出来事を説明している次の章には,「広大な水の深みのすべての泉が破られ,天の水門が開かれた」とあります。(創 7:11)大洪水はあまりにも大規模なものだったので,「全天下の高い山々がことごとく覆われるようにな(りまし)た」。―創 7:19。
この「天の大洋」はどこから来たのでしょうか。創造に関する創世記の記述は,二「日」目にエホバが地球の周りに大空を造られた様子を示しており,この大空(「“天”」と呼ばれる)が,その下の水つまり大洋とその上方の水との間の区分となりました。(創 1:6-8)大空の上方に浮いていた水は,創造の二「日」目から大洪水の時までそこにとどまっていたと思われます。使徒ペテロは,「神の言葉によって,昔から天があり,地は水の中から,そして水の中に引き締まったかたちで立っていました」と述べた時,まさにそのことについて語っていました。この「天」と,その上下にあった水は,神の言葉によって作用した手段であり,「それによってその時の世は,大洪水に覆われた時に滅びを被ったのです」。(ペテ二 3:5,6)大洪水の時までどのようにして水が上空に浮いていたのか,また,どんな過程を経てそれが落下したのかについては,様々な説明が行なわれてきました。しかし,それらは憶測にすぎません。聖書は,神が大空を造ってその上方に水を置かれたこと,そして大洪水を引き起こされたことを述べているだけです。神の全能の力をもってすれば,そのようなことを成し遂げるのは容易なことでした。
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大洪水聖書に対する洞察,第2巻
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地球への影響 大洪水によって大きな変化が生じました。人間の寿命が急激に短くなったのはその一例です。大洪水の前は,大空の上方の水が有害な放射線の一部を遮断していたが,その水がなくなったために,人間の遺伝子に有害な影響を与える宇宙線が増えたという説もあります。しかし,このことについて聖書は何も述べていません。ちなみに,放射線に関して何らかの変化があったならば,大洪水前の放射性炭素年代測定がすべて無効になるほど,放射性炭素14の生成の割合は変わったはずです。
『水の深みの泉』と「天の水門」が突然に開かれたため,莫大な量の水が地球にあふれました。(創 7:11)このことによって,地表には激変が生じたかもしれません。地殻は比較的薄く,厚さが均一ではなく,直径1万㌔ほどのかなり可塑性のある塊の上に広がっています。したがって,水の重みが加わった時,地殻には大変動が起きたと考えられます。やがて新しい山が隆起し,古い山が高度を増し,浅い海盆が沈降し,新しい海岸線が形成されたのかもしれません。その結果,現在では地表の約70%が水で覆われています。こうした地殻の変動は,古い海岸線が新たな高さまで上昇することなど,地質学上の多くの現象の説明となるようです。中には,水圧だけで「1平方インチ当たり2㌧[1平方㌢当たり約300㌔]」に相当したと推定している人々もおり,それは動植物を急速に化石化するのに十分の水圧でした。―「聖書の大洪水と氷河時代」,D・パッテン著,1966年,62ページを参照。
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大洪水聖書に対する洞察,第2巻
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かつて,(オーストラリア,エジプト,フィジー,ソシエテ諸島,ペルー,メキシコその他の場所に住む)一部の未開の人々は,11月に『先祖の祝祭』や『死者の祭り』を祝うことにより,大洪水に関するそうした伝承の名残と思われるものをとどめていました。こうした風習は,大洪水によってもたらされた滅びの記憶を反映するものでした。「大ピラミッドの傍らでの生活と仕事」と題する本によれば,メキシコでの祭りは11月17日に行なわれました。彼らには,「かつてその時に世界が滅ぼされたという言い伝えがあり,同様の大変災が回り回って最後には人類を滅ぼし尽くすことになりはしまいかという恐れがあった」からです。(C・ピアッツィ・スミス教授著,エディンバラ,1867年,第2巻,390,391ページ)「死者の崇拝」と題する本もこう述べています。「この[死者の]祭りはどの場合でも,モーセの記述に従って言えば,まさしく大洪水が起きたその日,すなわち,大体今日の11月に相当する月である,第二の月の十七日に,あるいはそのころに執り行なわれている」。(J・ガルニエ著,ロンドン,1904年,4ページ)興味深いことに,聖書は大洪水が「第二の月,その月の十七日」に始まったと伝えています。(創 7:11)その「第二の月」は,現在の暦では10月後半から11月前半に相当します。
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