-
ノアの箱船が見つかった?ものみの塔 2009 | 7月1日
-
-
聖書によれば,ノアの箱船はアララトの山地に漂着しました。(創世記 8:4)トルコ東部,アルメニアやイランとの国境に近いアララト地方には,アララト山と呼ばれるひときわ目立つ山があります。
その地域でノアの箱船の捜索が幾度となく行なわれ,好奇心をそそる発表がなされましたが,決定的な証拠に欠けています。いかにもそれらしい航空写真,タールで覆われた木片,目撃談などが探究心に拍車をかけ,より確かな証拠を求めて探索が行なわれてきました。しかし,捜索は容易ではありません。よく話題になる場所はアララト山の中腹,標高4,600㍍ほどの所にあり,その地域の政治的緊張のために外国の捜索隊は入山許可を得にくいのです。
とはいえ,箱船マニアたちは捜索隊の派遣を願っています。雪を頂くアララト山,その雪と氷の下に箱船が今も眠っているに違いない,暖かい夏が来れば見つけて調査できるだろう,と考えているのです。
そうした期待感を支えてきたのは幾つもの目撃談です。1世紀のユダヤ人の歴史家ヨセフスは,アララト山地の高所に箱船がまだあるとの歴史家たちの言葉を引き合いに出しています。タールで覆われた材木のかけらを記念に持ち帰った人もいたとのことです。西暦前3世紀のバビロニアの年代記筆者ベロッソスの言葉も,ヨセフスは引用しています。
20世紀になると,もっと興味をそそる話が伝えられました。アルメニア人のジョージ・ハゴピアンが,子ども時代の1900年代初めにおじと一緒に箱船の所に行き,実際にその上に登ってみた,というのです。ハゴピアンは1972年に亡くなりましたが,この目撃談は今も多くの人を夢中にさせています。
信仰の根拠?
箱船が発見された,あるいは今後発見される,と考えてよい根拠があるでしょうか。ないとは言えませんが,疑念を抱かせる根拠のほうが多そうです。例えば,聖書は洪水の水が引いたときに箱船が着いた厳密な場所を述べてはいません。アララトの山地と述べているだけです。
探検家や山師がよく目をつけるのはアララトの最高峰です。とはいえ聖書は,神がアララト山の頂上に箱船を漂着させたとは明言していません。今日のアララト山頂は標高5,000㍍ほどの,厳寒の場所です。a ノアの家族は,漂着後の数か月間を箱船の中で過ごしました。そのような場所で過ごしたとはとても思えません。(創世記 8:4,5)さらに,箱船から出た後にたくさんの動物と一緒に険しい山を登山家のようにして下ったとも考えられません。ですから箱船が着いた場所は,現代の探検家たちの想像よりは低く,創世記 8章4,5節の記述に合致するぐらいには高い所だったのでしょう。そして,アララト地方のどこに漂着したにせよ,ずっと昔に朽ち果てるか盗み去られるかしているのではないでしょうか。
-
-
ノアの箱船が見つかった?ものみの塔 2009 | 7月1日
-
-
a 現在のアララト山は1840年以来活動休止中の火山で,標高は5,165㍍,頂上付近は1年じゅう雪に覆われています。
-