真に価値ある教育 ― 親として何ができますか
子どもの教育は旅に例えることができます。それは胸の躍る,しかし困難の伴う親子の旅です。親は子どもを励まし,愛情深く導いて,人生行路を進むのを助けます。子どもが学ぶべき事柄は実にたくさんあります。
真に実りある幸福な人生を送るには,道徳観と霊的価値観を身につけ,正しいことと悪いことを見分けられるようにならなければなりません。子どもたちがエホバを知り,愛するようになるなら,その教育は真に報いのあるものとなり,教えられた事柄は永遠に子どもたちの益となるでしょう。子どもがどんな事柄を学ぶかは親に大きくかかっています。また,教えられた事柄がどれほど大切か,自分にどのような意味を持つかを子どもが理解する点でも親は大きな役割を果たします。
この旅ではさまざまな困難に直面します。子どもたちは影響を受けやすく,家庭外から入ってくる,有害な情報を取り入れることがあります。わたしたちは,悪魔サタンの支配する世で生活しているのです。(ヨハネ第一 5:19)サタンは子どもたちの教育に関心があります。しかし,それは全く別の理由からです。サタンは教育を施す点での達人であり,巧みな方法を用います。しかも,邪悪な意図があるのです。「光の使い」を装っていますが,その教えは欺まんに満ちたもの,エホバのみ言葉とご意志に反するものです。(コリント第二 4:4; 11:14。エレミヤ 8:9)悪魔と配下の悪霊たちは欺きの名手であり,利己主義,不正直,道徳的退廃を助長しています。―テモテ第一 4:1。
では,誤った方向に導かれないよう子どもを守るため,親は何ができるでしょうか。正しくて価値ある事柄を受け入れるよう,どのように教えることができますか。まず大切なのは,親がよく自己吟味をすることです。良い手本を示す必要があります。子どもを訓練する責任を受け入れ,そのために必要な時間を取ることも肝要です。これらの点について考える前に,価値ある教育の基盤とは何かを見てみましょう。
真の教育の基盤
歴史上,特に優れた賢人であるイスラエルのソロモン王から学ぶことができます。聖書はこう述べています。「神はソロモンに引き続き非常に豊かな知恵と理解力と,海岸にある砂浜のような心の広さをお与えになった。それで,ソロモンの知恵はすべての東洋人の知恵と,エジプトのすべての知恵とに勝って膨大であった」。ソロモンは「三千の箴言を語ることができ,その歌は一千五首もあ(りまし)た」。動植物に関する深い知識も備えていました。(列王第一 4:29-34)さらに,エルサレムにおけるエホバの壮麗な神殿の建設を含む,イスラエルの幾つもの建設事業を監督しました。
「伝道の書」などの著作から,ソロモンが人間の本質を深く理解していたことも分かります。神の霊感を受けたソロモンは真の教育の基盤に関して,「エホバへの恐れは知識の初めである」と言いました。また,「エホバへの恐れは知恵の始めであり,最も聖なる方についての知識が理解なのである」とも述べています。―箴言 1:7; 9:10。
神を恐れる人は,神に対して崇敬の念に基づく敬意を抱き,神の不興を買わないようにします。神が至上者であり,人間が神に服すべきことも認めます。一方,自分が命を負っている方のことなど全く考えない人々もいます。そのような人々は,人からは賢いとみなされるかもしれませんが,そうした知恵は「神にとっては愚かなもの」なのです。(コリント第一 3:19)ですから,子どもには「上からの知恵」に基づく教育が必要です。―ヤコブ 3:15,17。
神の不興を買うことへの恐れは,エホバへの愛と密接に関連しています。エホバは僕たちがご自分を恐れると同時に愛することを望んでおられます。モーセはこう言いました。「イスラエルよ,あなたの神エホバが求めておられることは,あなたの神エホバを恐れてそのすべての道を歩み,神を愛し,心をつくし魂をつくしてあなたの神エホバに仕えること,わたしが今日命じるエホバのおきてと法令をあなたの益のために守ること,ただそれだけではないか」。―申命記 10:12,13。
エホバへの崇敬の念に基づく恐れを子どもに教えるなら,子どもを真に賢くする教育の基盤を据えることになります。そのような基盤があれば,子どもたちは,あらゆる真の知識の源である創造者に対する認識を深めてゆくことができます。教えられた事柄を正しく理解し,誤った結論を下さないようになります。「正しいことも悪いことも見分けられる」能力を身につけることができるのです。(ヘブライ 5:14)さらに,謙遜さを保ち,悪を行なわないようにする点でも助けになります。―箴言 8:13; 16:6。
お子さんはあなたを見ています!
では,エホバを愛し,恐れるよう,どのように子どもを助けることができるでしょうか。その答えは,エホバが預言者モーセを通してイスラエル人にお与えになった律法に見いだせます。イスラエル人の親たちは次のように命じられました。「あなたは,心をつくし,魂をつくし,活力をつくしてあなたの神エホバを愛さねばならない。そして,わたしが今日命じているこれらの言葉をあなたの心に置かねばならない。あなたはそれを自分の子に教え込み,家で座るときも,道を歩くときも,寝るときも,起きるときもそれについて話さねばならない」。―申命記 6:5-7。
この言葉には,親にとって大切な教訓が含まれています。一つの点は,親は良い手本を示さなければならない,ということです。エホバを愛するよう子どもを教えるには,親自身がエホバを愛し,自分の心にエホバの言葉を置かなければなりません。そうすることが大切なのはなぜでしょうか。子どもを教える点で主な役割を果たすのは親だからです。お子さんはあなたの手本から学び,学んだ事柄から大きな影響を受けるでしょう。親の手本ほど,子どもの生活に強い影響力を及ぼすものはありません。
あなたの夢,理想,価値観,関心事はあなたの話す事柄だけでなく,行なう事柄にも表われます。(ローマ 2:21,22)子どもは幼い時から親をよく観察し,いろいろなことを学んでいます。親にとって何が大切かを知り,それは子どもにとっても大切な事柄になります。親がエホバを本当に愛しているなら,子どもにもそのことが分かるでしょう。例えば,聖書の通読や研究があなたにとって大切であることに気づくでしょうし,王国の関心事を生活で第一にしていることも分かるでしょう。(マタイ 6:33)定期的にクリスチャンの集会に出席し,王国を宣べ伝える業に参加するなら,エホバに神聖な奉仕をささげることが自分にとって最も大切であるということをお子さんに示せます。―マタイ 28:19,20。ヘブライ 10:24,25。
責任を担ってください
申命記 6章5-7節から学べる別の教訓は,親には子どもを訓練する責任がある,という点です。古代のエホバの民の間では,親が子どもの教育を行ないました。1世紀のクリスチャンも,親が子どもを教育する点で肝要な役割を果たしました。(テモテ第二 1:5; 3:14,15)使徒パウロは仲間のクリスチャンへの手紙の中で,特に父親が『エホバの懲らしめと精神の規整とをもって子供を育ててゆく』ようにと述べました。―エフェソス 6:4。
親は果たすべき務めや仕事,他の関心事などに追われて,子どもを教える責任を学校の教師や保育士など,他の人に肩代わりしてもらいたくなるかもしれません。しかし,子どもを気遣う,愛情深い親の代わりができる人はいません。親の果たす役割の重要性や影響力を決して過小評価しないでください。お子さんを教える点で助けが必要であれば,だれに援助を求めるかを慎重に考えてください。しかし人任せにして,親としての神聖な務めをないがしろにしてはなりません。
時間を取ってお子さんを訓練してください
申命記 6章5-7節から学べるもう一つの教訓は,子どもの訓練には時間と努力が求められる,という点です。イスラエル人の親たちは子どもに神の真理を『教え込む』必要がありました。『教え込む』と訳されている原語のヘブライ語は,「繰り返すこと」,「何度も言うこと」を意味します。一日中,そうです,朝から晩まで,そして『家でも』,『道でも』教えなければなりませんでした。親が子どもを教えて,子どもの態度や振る舞いが神に喜ばれるものとなるようにするには,時間と努力が求められます。
真に価値ある教育を施すために親は何ができるでしょうか。多くのことができます。エホバを愛し,恐れるようにお子さんを教えてください。良い手本を示しましょう。お子さんを教える責任を担い,訓練に必要な時間を取り分けてください。親も完全ではないので,間違いをすることもあるでしょう。しかし,神のご意志を行なおうと誠実に努力するなら,お子さんはあなたの払った努力に感謝し,教えられた事柄から益を得るに違いありません。箴言 22章6節にはこうあります。「少年をその行くべき道にしたがって育て上げよ。彼は年老いても,それから離れないであろう」。この原則は女の子にも当てはまります。
教育は生涯にわたって続く旅です。あなたもお子さんも神を愛するなら,その旅を永遠に楽しむことができるでしょう。エホバについて,またエホバの目的に沿った生き方について,学ぶべき事柄は尽きないのです。―伝道の書 3:10,11。
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お子さんに聖書を読んであげていますか
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時間を取って,お子さんに創造者について教えてください