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変ぼう聖書に対する洞察,第2巻
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その変ぼうは西暦32年の過ぎ越しの後しばらくして,つまりイエスがエルサレムへの最後の旅を行なうかなり前に,ある山で起こりました。
変ぼうの少し前,イエスとその弟子たちはカエサレア・フィリピ,つまり現在のバニヤスという村の地域にいました。(マル 8:27)キリストと使徒たちがその付近もしくはその地域を離れて「高大な山」に向かったとは考えられません。(マル 9:2)西暦4世紀ごろから伝承上,タボル山がその場所とみなされてきましたが,カエサレア・フィリピの南南西約70㌔のところにあるため,変ぼうの起きた場所とは思えません。―「タボル」1項を参照。
一方,ヘルモン山はカエサレア・フィリピの北東わずか25㌔ほどのところにあります。それは海抜2,814㍍もあるので,「高大な山」ということになるでしょう。(マタ 17:1)したがって,この変ぼうはヘルモン山のどこかの尾根で起きたのかもしれません。現代の学者でこうした見解を持つ人は少なくありません。もっとも,聖書はそのことについて何も述べていないので,正確な場所は定かではありません。
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