若い皆さん ― あなたは何を追い求めていますか

「若さに伴いがちな欲望から逃れ，清い心で主を呼び求める人々と共に，義と信仰と愛と平和を追い求めなさい」― テモテ第二 2:22。

 1 わたしたちは一緒にいる若者たちについて，どんなことを願っていますか。

「エホバの証人は毎年最も多くの新会員を獲得し，最も多くの若者たちを擁するグループである」と，スウェーデンのペンテコステ派の新聞「ダーゲン」（「日」の意）は述べています。あなたも，神を恐れる清らかな若者たちで構成されるその仲間の一人かもしれません。幼い時からキリスト教の方法で育てられた人もいれば，自分で王国の音信を聞いてこたえ応じた人もいることでしょう。いずれにしても，わたしたちは皆さんと一緒にいられることをうれしく思います。そして1世紀の忠節なクリスチャンの若者たちと同じように，皆さんも義の道を追い求めてゆくことを願っています。そんな皆さんには，使徒ヨハネの次の言葉がぴったり当てはまるかもしれません。『あなた方は強く，神の言葉はあなた方のうちにとどまっており，あなた方は邪悪な者を征服したのです』― ヨハネ第一 2:14。

 2 「若さの盛り」の間に義の道を追い求めてゆくのが難しいのは，どんな要素があるからですか。

² 現代のクリスチャンの若者の多く ― いえ大多数 ― は，世の中の圧力によく耐えています。しかしあなたは，そのような道を進み続けるのは簡単ではないと感じているかもしれません。「若さの盛り」の時には，初めて経験する強烈な感情に圧倒されそうになることもあります。（コリント第一 7:36）また，学校や家や会衆で果たさなければならない責任も増えていると思うかもしれません。悪魔サタン自身からの圧力さえあります。できるだけ多くの人を惑わそうと決意しているサタンは，弱そうに見える人々を攻撃します。エデンの園でもまさにそうでした。その時も，年上で知識を多く持っているアダムではなく，年下で比較的経験の浅い女性だったエバのほうにずる賢い説得の術を使いました。（創世記 3:1-5）その数千年後にも，サタンはコリントのクリスチャンたちの新設されたばかりの会衆に対して同じような策略を用いています。使徒パウロはこう言いました。「わたしは，へびがそのこうかつさによってエバをたぶらかしたように，あなた方の思いが何かのことで腐敗させられて，キリストに示されるべき誠実さと貞潔さから離れるようなことになりはしまいかと気遣っているのです」― コリント第二 11:3。

 3，4 悪魔サタンが若い人を惑わすために使う手段としては，どのようなものがありますか。どんな結果になるかもしれませんか。

³ 現代でも，クリスチャンの親はあなたのことを同じように気遣っているかもしれません。それは，あなたに悪い傾向があると思っているという意味ではありません。むしろ親は，特に若い人がサタンの「ずる賢い行為」の標的になりやすいことを経験から知っているのです。（エフェソス 6:11，脚注）サタンのわなは卑劣に見えるどころか，非常に魅力的で好ましく映ります。テレビは，物質主義，露骨なセックス，生々しい暴力，心霊術などを娯楽にうまく仕立てて放映しています。若い人の思いは，『真実で，まじめで，義にかなっていて，貞潔で，愛すべきこと』とは正反対の事柄でいっぱいになるかもしれません。（フィリピ 4:8）友達からの圧力も，サタンの用いる強力な手段の一つです。友達は仲間のライフスタイルや服装や身なりのまねをするよう大変な圧力をかけてくるかもしれません。（ペテロ第一 4:3，4）新聞コラムニストのウィリアム･ブラウンはこう述べています。「もし十代の若者たちにとって世俗の神が一人だけいるとすれば，それは人まねの神だ。……ティーンにしてみれば，人と違っているくらいなら死んだほうがましなのである」。イタリアのエホバの証人の少女もこう打ち明けています。「自分がエホバの証人だということを学校の友達に知られるのが恥ずかしくて仕方がありませんでした。自分でもエホバに嫌われていると思っていたので，悲しくて気持ちが沈んでしまいました」。

⁴ 思い違いをしてはいけません。サタンはあなたを破滅させたいと思っているのです。世の中にいる多くの若者たちは，大患難の時に命を失うことになります。惑わされるままになっていたからです。（エゼキエル 9:6）生き残るための唯一の道は，正しいことを追い求めることです。

悪い交わりに警戒しなさい

 5，6 （イ）若者のテモテはエフェソスに住んでいた時，どんな難しい問題にぶつかりましたか。（ロ）パウロはテモテのためにどんな助言を与えましたか。

⁵ 悪い交わりに警戒することは，使徒パウロが若者のテモテに与えた助言の要点でした。テモテは10年以上，使徒パウロの宣教旅行に同行していました。テモテが異教の都市エフェソスで奉仕していた時，パウロはローマの獄中で処刑を待っていました。パウロは自分の死ぬ時が近づくにつれ，テモテがこれからどうなるのか心配したに違いありません。エフェソスは富と不道徳と堕落した娯楽で有名な都市でした。テモテには，もう愛する助言者からの支えがなくなるのです。

⁶ そこでパウロは，「愛する子」にあててこう書きました。「さて，大きな家には，金や銀の器だけでなく，木や土の器もあり，あるものは誉れある目的のため，あるものは誉れのない目的のために用いられます。そこで，これらあとのものから離れているなら，その人は誉れある目的のための器，神聖にされたもの，持ち主に有用なもの，あらゆる良い業のために備えのできたものとなります。それで，若さに伴いがちな欲望から逃れ，清い心で主を呼び求める人々と共に，義と信仰と愛と平和を追い求めなさい」。―テモテ第二 1:2; 2:20-22。

 7 （イ）パウロが警告した『誉れのない器』とは何でしたか。（ロ）現代の若者はパウロの言葉をどのように当てはめることができますか。

⁷ このようにパウロは，仲間のクリスチャンの間にさえ，『誉れのない器』，つまり正しく振る舞っていない人々がいるかもしれないことについてテモテに注意を与えました。では，ある油そそがれたクリスチャンとの交わりがテモテに有害な影響を及ぼす恐れがあったのであれば，この世の人々との交わりはなおのこと現代のクリスチャンの若者に害を及ぼすはずです。（コリント第一 15:33）といってもこれは，学校の友達に冷たい態度を取るということではありません。しかし，たとえ独りぼっちに思える時があるとしても，学校の友達と付き合いすぎることには注意すべきです。これは，とても難しいことかもしれません。ブラジルのある少女はこう言います。「もう大変です。学校の友達からは，クリスチャンの若者が行くべきでないようなパーティーとか場所とかによく誘われます。みんなは，『えっ，行かないの？ 変な子！』って言うんです」。

 8，9 （イ）クリスチャンにとっては，この世の一見良さそうな人との交わりにさえ，どんな危険があるかもしれませんか。（ロ）健全な友達はどこで見つかりますか。

⁸ この世の若者の中にも，良さそうに見える人がいるかもしれません。それはただ，そういう人がたばこを吸わなかったり，汚い言葉を使わなかったり，不道徳なセックスをしなかったりするからです。しかし，その人が義を追い求めていなければ，その人の肉的な考えや態度は簡単にあなたにうつってしまうかもしれません。それにあなたは，信者でない人とどれほどの共通点を持てるでしょうか。（コリント第二 6:14-16）そのような人にとって，あなたが大切にしている霊的な価値観は「愚かなこと」にすぎないのです。（コリント第一 2:14）自分の信念を曲げずに，そういう人といつまでも友達でいることができるでしょうか。

⁹ ですから，不健全な仲間からは離れてください。霊的なことに熱心で，本当にエホバを愛しているクリスチャンとだけ交わるようにします。会衆内の消極的な若者や批判的な若者にさえ気をつけましょう。霊的に成長すれば，友達に関する好みも変わるものです。エホバの証人のある十代の少女は，「いろいろな会衆の人と新しく友達になりました。この世の友達なんて本当はいらないことが分かりました」と言っています。

間違った欲望から逃れる

10，11 （イ）「若さに伴いがちな欲望から逃れ（る）」とは，どういう意味ですか。（ロ）どうすれば，「淫行から逃げ去（る）」ことができますか。

¹⁰ パウロはテモテに，「若さに伴いがちな欲望から逃れ（なさい）」とも勧めています。若い時には，人気者になりたい，楽しいことをしたい，性的な欲望を満足させたいといった気持ちを抑えるのが難しくなるかもしれません。そのような欲求をそのままにしておくと，罪を犯すことにもなりかねません。それでパウロは，有害な欲望から逃れる，つまり命がかかっているかのように走り去ることを勧めました。a

¹¹ 例えば，性的な欲望のために霊的な破滅に陥ったクリスチャンの若者は少なくありません。ですから，聖書が「淫行から逃げ去りなさい」と述べているのももっともなことです。（コリント第一 6:18）ある男女が交際中にデートをしている場合，アパートや駐車中の車の中で二人きりになることなど，誘惑になる状況を避けることによって上の原則を当てはめることができます。付き添いの人に一緒に来てもらうことなど古くさいように思えるかもしれませんが，それは本当に保護になります。また，ある程度の愛情表現はふさわしいかもしれませんが，汚れた振る舞いを避けるためには道理にかなった制限を設けなければなりません。（テサロニケ第一 4:7）淫行から逃げ去ることには，間違った欲望をかきたてる映画やテレビ番組を避けることも含まれるはずです。（ヤコブ 1:14，15）もし不道徳な考えがふとしたことから思いに入り込むなら，頭の中で話題を切り換えてください。散歩に出たり，何かを読んだり，家事をしたりします。祈りはこの点で特に強力な助けになります。―詩編 62:8。b

12 どうすれば悪いことを憎むようになりますか。例を挙げて説明してください。

¹² 何よりも，悪いことを憎み，憎悪し，嫌悪するようにならなければなりません。（詩編 97:10）最初は楽しく愉快に思える事柄をどうやって憎むのでしょうか。結果を考えるのです。「惑わされてはなりません。神は侮られるような方ではありません。何であれ，人は自分のまいているもの，それをまた刈り取ることになるのです。自分の肉のためにまいている者は自分の肉から腐敗を刈り取……るからです」。（ガラテア 6:7，8）情熱に身を任せたいという気持ちになった時は，さらに重大な結果，つまりそれがいかにエホバ神に苦痛を与えることになるかという点を考えるのです。（詩編 78:41と比較してください。）さらに，望んでいないのに妊娠したり，エイズのような病気にかかったりする危険についても考えます。感情面で大きな痛手を受けたり，自尊心を失ったりすることについても思い巡らしてください。また，長期的な結果もあるかもしれません。あるクリスチャンの女性はこう打ち明けています。「夫も私も互いに知り合う前にセックスの経験がありました。今では二人ともクリスチャンですが，過去の性体験が夫婦げんかやしっとの原因になっています」。さらに，神権的な特権を失うことや，クリスチャン会衆から追放される危険も見過ごすべきではありません。（コリント第一 5:9-13）一時的な快感には，それだけの犠牲を払う価値があるのでしょうか。

エホバとの親密な関係を追い求める

13，14 （イ）なぜ悪いことから逃れるだけでは不十分ですか。（ロ）どうすれば，『エホバを知ろうとして追求する』ことができますか。

¹³ しかし，悪いことから逃れるだけでは不十分です。テモテは，「義と信仰と愛と平和を追い求めなさい」とも勧められました。この言葉は積極的な行動を暗示しています。預言者ホセアも同様に，不忠実なイスラエル国民にこう懇願しました。「さあ，わたしたちは是非ともエホバのもとに帰ろう。……わたしたちはエホバを……知ろうとして追求するであろう」。（ホセア 6:1-3）あなたは自分でそのようなことを追い求めたことがありますか。それは単に集会に出席し，親と一緒に野外奉仕に出るだけのことではありません。あるクリスチャンの女性はこう打ち明けました。「両親は真理によって私を育ててくれました。私はかなり早くバプテスマを受けました。……集会を休んだことはほとんどなく，1か月奉仕に出ないということは一度もありませんでした。でも，エホバとの親密で個人的な関係は全く築いていませんでした」。

¹⁴ 別の少女も，エホバを空想上の霊のようなものとみなしていたため，友として，また父としてエホバを知るようにはならなかったことを認めています。この少女は不道徳に陥り，18歳で未婚の母になりました。これと同じ間違いをしないでください！ ホセアが勧めているように，『エホバを知ろうとして追求する』のです。祈ることと，日ごとにエホバと共に歩むことによって，エホバを何でも打ち明けられる友とすることができます。（ミカ 6:8; エレミヤ 3:4と比較してください。）わたしたちが神を求めれば，「神は，わたしたちひとりひとりから遠く離れておられるわけではありません」。（使徒 17:27）ですから，個人の定期的な聖書研究の計画がどうしても必要です。そのような日課を込み入った複雑なものにする必要はありません。「毎日15分ぐらい聖書を読んでいます」と言うのは，メロディーという名の少女です。「ものみの塔」誌と「目ざめよ！」誌の各号を読むための時間も割いてください。会衆の集会の予習をして，「[他の人の]愛とりっぱな業とを鼓舞」することができるようにしましょう。―ヘブライ 10:24，25。

親に本心を打ち明けましょう

15 （イ）親に従うのが時として難しいのはなぜですか。（ロ）大抵の場合，従順が若者のためになるのはなぜですか。

¹⁵ 神を恐れる親は実際に助けと支えを与えてくれます。しかし，あなたが果たさなければならない役割にも注目してください。「子供たちよ，主と結ばれたあなた方の親に従順でありなさい。これは義にかなったことなのです。『あなたの父と母を敬いなさい』とあり，これは約束を伴った最初の命令です。すなわち，『それはあなたにとって物事が良く運び，あなたが地上で生き永らえるためである』」。（エフェソス 6:1-3）確かに，成長するにつれて，もっと自由が欲しくなるかもしれません。親の弱点も段々分かってくることでしょう。使徒パウロも認めているとおり，「わたしたち人間の父親は，自分が最善と考えた事を行なえたにすぎません」。（ヘブライ 12:10，エルサレム聖書）しかし，長い目で見れば，親に従うことはやはりあなたのためになるのです。親は子供を愛しており，ほかのだれよりも子供のことをよく知っています。あなたは親の意見にいつも同意できるわけではないにしても，親は大抵あなたの最善の益を心にかけています。「エホバの懲らしめと精神の規整とをもって」あなたを育てようとする親の努力にどうして抵抗するのでしょうか。（エフェソス 6:4）実際，「父の懲らしめを軽べつする」のは愚かな人だけです。（箴言 15:5）賢い若者は親の権威を認め，ふさわしい敬意を示します。―箴言 1:8。

16 （イ）若者が問題を親に隠すのはなぜ賢明ではありませんか。（ロ）親との対話を改善するために，若者には何ができますか。

¹⁶ これには，親に本当のことを話すこと，例えば，真理に関する疑問がなかなか解けないとか，好ましくない行為に陥っているといった問題があるなら，それについて親に知らせることも含まれるはずです。（エフェソス 4:25）そうした不安な事態を親に隠しているなら，ますます問題が起きてきます。（詩編 26:4）確かに，対話のための努力をほとんどしない親もいます。「母が座って話をしてくれるようなことは一度だってありません。自分の気持ちなんか，とてもじゃないけど打ち明けられません。どうせしかられるに決まっていますから」と，ある少女はこぼしています。もしあなたも同じような状況にあるなら，適当な時をよく見計らって，自分の気持ちを親に話してみることです。「我が子よ，あなたの心をわたしに向けよ」と，箴言 23章26節は勧めています。深刻な問題が持ち上がる前に，心配事を親と定期的に話し合うよう努力してみましょう。

義を追い求め続けなさい！

17，18 若者が義を追い求める道にとどまるために，どんなことが役立ちますか。

¹⁷ パウロはテモテにあてた2番目の手紙の最後のほうで，「自分が学びまた確信した事柄に引き続きとどまっていなさい」と訓戒しています。（テモテ第二 3:14）あなたも同じようにする必要があります。だれかに，あるいは何かに誘われて，義を追い求める道からそれるようなことがあってはなりません。サタンの世がどれほど魅力的でも，そこには悪がはびこっています。やがてサタンの世も，世のものになっているすべての人も全滅してしまいます。（詩編 92:7）サタンの仲間たちと一緒に滅びるようなことがないよう決意を固めてください。

¹⁸ そのためには，自分の目標や願いや関心をいつも調べなければなりません。次のように自問しましょう。『親や会衆の人たちが見ていない時でも，話すことや行なうことについて高い規準を守っているだろうか。どんな種類の友達を選んでいるだろうか。服装や身なりは，この世の友達の言いなりになっていないだろうか。自分のためにどんな目標を立てただろうか。心から望んでいるのは全時間宣教だろうか。それとも，サタンの滅びゆく事物の体制の中での仕事だろうか』。

19，20 （イ）若者がエホバのご要求を守るのは無理だと感じるべきでないのはなぜですか。（ロ）若者はエホバのどんな備えを活用することができますか。

¹⁹ 恐らく，あなたも考え方を少し変えなければならないかもしれません。（コリント第二 13:11）自分には無理だと思わないでください。思い出すのです。エホバは道理に合わないようなことは要求されません。預言者ミカはこう尋ねました。「エホバがあなたに求めておられるのは，ただ公正を行ない，親切を愛し，慎みをもってあなたの神と共に歩むことではないか」。（ミカ 6:8）あなたを助けるために設けられたエホバの備えを活用すれば，これはそれほど難しいことではありません。親と親密な関係を保ちましょう。クリスチャン会衆とも定期的に交わります。特に，会衆の長老たちと知り合うように努力してください。長老たちはあなたのことを気遣っており，支えと慰めを与えてくれます。（イザヤ 32:2）何よりも，エホバ神との親密で温かな関係を築いてください。エホバは，正しいことを追い求める強さと意志を与えてくださるのです。

²⁰ しかし，せっかく霊的に成長しようと努力しているのに，不健全な音楽を聴くことによってその努力を台なしにしている若者たちもいます。次の記事では，この問題について特に考えます。

[脚注]

覚えていますか

□ 特に若者がサタンの「ずる賢い行為」の標的になりやすいのはなぜですか

□ この世の若者と親しく付き合うのは，なぜ危険ですか

□ どうすれば，性の不道徳から逃れることができますか

□ どうすれば，エホバとの親密な関係を維持できますか

□ 親との対話が大切なのはなぜですか

[16ページの図版]

交際中の男女は，アイススケートをするなど，二人きりにならない状況で互いに知り合うようにするのが賢明です