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大使聖書に対する洞察,第2巻
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キリストは天によみがえらされ,もはや地上にはいなかったので,忠実な追随者たちがその代わりを務め,神の大使として「キリストの代理をする」よう任命されました。パウロは自分の大使の職について特に述べています。(コリ二 5:18-20)彼はイエス・キリストの油そそがれたすべての追随者と同じく,至上の主権者なるエホバ神から疎外された諸国民や民のもとに遣わされました。彼は神との平和な関係にない世に対する大使でした。(ヨハ 14:30; 15:18,19; ヤコ 4:4)パウロは大使として,キリストを通してなされた神との和解の音信を携えていました。それゆえ,投獄されていた時の自分のことを「鎖につながれた大使」として述べています。(エフェ 6:20)彼が鎖につながれていたということは,この世が神,キリスト,およびメシアの王国政府に対して敵対的な態度を抱いていることを示すものでした。遠い昔から大使は不可侵権を認められていたからです。諸国民はキリストのもとにある神の王国の代表者として遣わされた大使に不敬な態度を取ることにより,最大級の敵対心と甚だしい侮べつの念を表わしていたことになります。
大使としての役割を果たすに際し,パウロは土地の法律を尊重しましたが,世の政治活動や軍事活動に関しては厳正中立の立場を守りました。これは,この世の諸政府の大使が自分の遣わされた国の法律には従わなければならないとはいえ,その国に忠誠を尽くす義務は免除される,という原則と調和していました。
霊によって生み出された,天の市民権を持つ,油そそがれた忠実なキリストの追随者たちは,使徒パウロと同じく皆「キリストの代理をする大使」です。―コリ二 5:20; フィリ 3:20。
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