組織された民として神の書に従う
「エホバは知恵をもって自ら地の基を据えられた。識別力をもって天を固く定められた」。―箴 3:19。
1,2. (イ)ある人たちは,神が組織を持っているという考えにどのように反応しますか。(ロ)この記事ではどんなことを考えますか。
神は組織を持っておられるでしょうか。ある人たちはこう言うかもしれません。「組織からの指示など必要ない。必要なのは神との個人的な関係だけだ」。これは正しい見方でしょうか。事実は何を示していますか。
2 この記事では,エホバが秩序の神であり,比類のない組織者であると言える証拠を取り上げます。エホバの組織の指示にどのように応じるべきかも考えます。(コリ一 14:33,40)西暦1世紀,エホバの組織の地上の部分は聖書に従うことにより,良いたよりを遠く広く宣べ伝えることができました。今日においても同様です。また,クリスチャンは聖書に固く付き,組織の指示に従うことにより,会衆全体の清さと平和と一致を促進しています。
エホバは比類のない組織者
3. エホバは比類のない組織者である,と確信できるのはなぜですか。
3 創造物は,神が比類のない組織者であることを示しています。聖書はこう述べています。「エホバは知恵をもって自ら地の基を据えられた。識別力をもって天を固く定められた」。(箴 3:19)わたしたちの知識は,せいぜい「神の道の外縁」に過ぎません。「何とかすかなささやき事が神について聞かされたのだろう」とあるとおりです。(ヨブ 26:14)わたしたちは,惑星,恒星,銀河についてわずかなことしか知りませんが,天体が見事に組織されていることはよく分かります。(詩 8:3,4)幾百万もの恒星から成る銀河は,秩序正しく運行しています。太陽系の惑星は,交通法規に従うかのように,太陽の周りをきちんと回っています。宇宙には実に驚くべき秩序が見られます。「理解をもって天を造られ」,地を造られたエホバは,わたしたちが賛美し,忠節を示し,崇拝すべき方ではないでしょうか。―詩 136:1,5-9。
4. 科学が多くの疑問に答えられないのはなぜですか。
4 科学によって宇宙や地球について多くのことが明らかになり,生活も便利になりました。しかし,科学では答えの得られない疑問がたくさんあります。例えば天文学者は,宇宙がどのようにして存在するようになったのか,また地球にはなぜ人間や他の多くの生物が存在しているのかを明確に説明できません。また多くの人は,なぜ人間にはいつまでも生き続けたいという強い願いがあるのかを説明できません。(伝 3:11)このような多くの大切な疑問の答えを得られないのはなぜでしょうか。一つには,科学者を含め大勢の人たちは,神がいないと考えて進化論を支持しているからです。しかし,エホバはご自分の書の中で,世界中の人々が抱く疑問に答えておられます。
5. わたしたちはどのように自然の法則に従って生活していますか。
5 わたしたちは,エホバの定めた一貫した信頼できる自然の法則に従って生活しています。電気技師,設備技師,パイロット,外科医などは皆,自然の法則を信頼して仕事をしています。例えば,外科医は,どの人も体の造りが基本的に同じであるという前提で手術をします。患者の心臓がどこにあるのか探す必要はありません。逆に,自然の法則に逆らうなら大変なことになります。例えば,重力の法則を無視して高い所から飛び降りるなら,命を落とすことでしょう。
神によって組織される
6. エホバの崇拝者たちはよく組織されているはずです。なぜそう言えますか。
6 エホバは宇宙を見事に組織しておられます。そうであれば,ご自分の崇拝者もよく組織されることを望んでおられるはずです。事実,神はそのために,指針となる聖書を与えておられます。神の組織と規準がなければ,不幸で惨めな生活を送ることになるでしょう。
7. 聖書は調和の取れた書物である,と言えるのはなぜですか。
7 聖書は,相互に関連のない,ユダヤ人の書とクリスチャンの書の単なる寄せ集めではありません。神の霊感のもとに記された,調和の取れた書物であり,各書は相互に関連し合っています。創世記から「啓示」の書まで,1つのテーマが貫かれています。約束の「胤」であるキリストの支配する王国によって,エホバの主権の正しさが立証され,地上に対する神の目的が成就する,というテーマです。―創世記 3:15; マタイ 6:10; 啓示 11:15を読む。
8. イスラエル人はどのようによく組織されていましたか。
8 古代イスラエル人はよく組織されていました。例えば,モーセの律法下では,「会見の天幕の入口で組織的奉仕に携わっていた婦人たち」がいました。(出 38:8)イスラエル人の宿営や幕屋の移動は,整然とした仕方で行なわれました。後にダビデ王は,レビ人と祭司たちが効果的に奉仕できるよう,彼らを幾つかの組に分けました。(代一 23:1-6; 24:1-3)イスラエル人はエホバに従った時,秩序と平和と一致を保つことができました。―申 11:26,27; 28:1-14。
9. 1世紀のクリスチャン会衆は組織されていた,と言えるのはなぜですか。
9 1世紀のクリスチャン会衆も組織されていました。会衆は,当初使徒たちで構成されていた統治体から指示を与えられました。(使徒 6:1-6)統治体には,後に他の兄弟たちも加わりました。(使徒 15:6)会衆に対する助言や指示は,1世紀の統治体の成員や,統治体と密接に働く兄弟たちが霊感のもとに記した手紙によっても与えられました。(テモ一 3:1-13。テト 1:5-9)諸会衆は統治体の指示に従うことによって,どんな益を受けたでしょうか。
10. 初期クリスチャン会衆は統治体の決めた定めを守り行なった時,どんな結果になりましたか。(冒頭の挿絵を参照。)
10 使徒 16:4,5を読む。統治体を代表して旅行していた兄弟たちは,「エルサレムにいる使徒や年長者たちの決めた定め」を諸会衆に伝えました。諸会衆はその定めを守り行なったので,「信仰において堅くされ,日ごとに人数を増して」いきました。聖書のこの記述から,わたしたちが神の組織内で当てはめるべき教訓を学べます。
あなたは指示に従いますか
11. 責任を持つ兄弟たちは,神の組織からの指示にどのように応じるべきですか。
11 今日,支部委員会や国内委員会の成員,巡回監督,会衆の長老たちは,神の組織から指示を受ける時,どうすべきですか。エホバ神の書はわたしたちすべてに対して,指示に従い,柔順であるよう求めています。(申 30:16。ヘブ 13:7,17)神の組織の中には,批判的な精神や反逆的な精神の占める場所はありません。そのような精神は,会衆の愛や平和や一致を損ないかねないからです。もちろん,忠節なクリスチャンは,デオトレフェスのような不敬で不忠節な態度を示したいとは思わないでしょう。(ヨハネ第三 9,10を読む。)それで,こう自問しましょう。「わたしは周囲の人たちの霊性に良い影響を与えているだろうか。指導の任に当たっている兄弟たちからの指示をすぐに受け入れ,それに協力しているだろうか」。
12. 長老や奉仕の僕の任命は,どんな方法で行なわれるように調整されましたか。
12 最近,統治体が下した決定について考えてみましょう。「ものみの塔」2014年11月15日号の「読者からの質問」では,長老と奉仕の僕の任命手順の調整について説明されました。1世紀の統治体は,そのような任命を行なう権限を旅行する監督たちに与えていました。その型に倣い,2014年9月1日以降,長老や奉仕の僕の任命は巡回監督が行なうようになっています。巡回監督は,推薦されている兄弟たちを知るように努め,可能なら野外奉仕で共に働きます。推薦されている兄弟の家族のことも観察します。(テモ一 3:4,5)長老団と巡回監督は,奉仕の僕や長老の聖書的な資格を注意深く考慮します。―テモ一 3:1-10,12,13。ペテ一 5:1-3。
13. 長老たちから指示を受ける時,どのように協力できますか。
13 わたしたちは,長老たちから聖書に基づく指示を受ける時,それに従う必要があります。神の組織内の忠節な牧者たちは,神の書の「健全な」教えを指針とします。(テモ一 6:3)1世紀の会衆には無秩序な人たちがおり,「少しも働かないで,自分に関係のないことに手出しして」いました。彼らは長老たちから訓戒されても助言を無視し続けていたようです。会衆の成員はそのような人にどう接するべきでしたか。パウロは,「その人に特に注意するようにし,交わるのをやめなさい」と指示しました。しかし同時に,敵のように扱うことがないようにとも述べました。(テサ二 3:11-15)今日,長老たちは,未信者とのデートなど,会衆に悪影響を及ぼす行動を続ける人がいるなら,会衆に警告の話をするかもしれません。(コリ一 7:39)そのような時,あなたはどう反応しますか。話で扱われた状況に気づいているなら,その人との社交的な交わりを避けますか。あなたが愛ある気遣いを示しつつも毅然とした態度を取るなら,その人は無秩序な歩みをやめようと思うかもしれません。[1]
清さと平和と一致を保つ
14. 会衆の清さにどのように貢献できますか。
14 神の言葉の指示に従うなら,会衆の霊的な清さに貢献できます。古代コリントの状況について考えましょう。パウロはコリントで熱心に宣教を行ないました。また,仲間の「聖なる者」であるコリント会衆の兄弟姉妹を愛していました。(コリ一 1:1,2)ですから,会衆内で性的不道徳が容認されていることを知って,大きな心痛を味わったに違いありません。パウロはどうしたでしょうか。不道徳な人をサタンに引き渡す,つまり排斥するよう,長老たちに指示しました。会衆の清さを保つために「パン種」を取り除く必要があったのです。(コリ一 5:1,5-7,12)今日においても,悔い改めない悪行者を排斥するという長老たちの決定を支持するなら,会衆の清さを保つことに貢献できます。また,その悪行者は悔い改めてエホバの許しを求めるよう心を動かされるかもしれません。
15. どうすれば会衆内の平和を保てますか。
15 コリントには別の問題もありました。仲間の兄弟を法廷に訴える人たちがいたのです。パウロはそのような人たちに,「なぜむしろ害を受けるままにしておかないのですか」と尋ねました。(コリ一 6:1-8)今日でも同じようなことが生じています。例えば,ある兄弟が投機的事業に失敗した結果,別の兄弟が金銭的な損害を被ったり,詐欺に遭ったと感じたりして,平和な関係にひびが入ったことがあります。裁判を起こした人もいます。しかし神の書は,エホバのみ名に非難をもたらしたり,会衆の平和を乱したりするよりは,損失を被るほうがよい,ということを教えています。[2] もちろん,重大な問題や争いを解決するためには,イエスの助言を当てはめる必要があります。(マタイ 5:23,24; 18:15-17を読む。)そうすれば,エホバの崇拝者たちから成る家族の一致を促進できます。
16. 神の民が一致していることを期待できるのはなぜですか。
16 神の民が一致していることを期待できるのはなぜでしょうか。エホバ神の書にはこう記されています。「見よ,兄弟たちが一致のうちに共に住むのは何と良いことであろう。それは何と快いことであろう」。(詩 133:1)イスラエル人はエホバに従った時,組織され,一致しました。神はご自分の民の将来の状態について,こう予告しておられます。「わたしは彼らを,囲いの中の羊の群れのように……一つにならせる」。(ミカ 2:12)またエホバは,預言者ゼパニヤを通して次のようにも予告されました。「わたしはもろもろの民に[聖書の真理という]清い言語への変化を与える。それは,すべての者がエホバの名を呼び求め,肩を並べて神に仕えるためである」。(ゼパ 3:9)一致してエホバを崇拝できるのは,本当に大きな特権です。
17. 会衆の一致と清さを保つため,長老たちは悪行が関係する問題をどのように扱うべきですか。
17 会衆の一致と清さを保つためには,長老たちが審理問題を迅速に,また愛情深く扱わなければなりません。パウロは,神の愛が感情に流されるものではないことを知っていました。神は悪行を大目に見たりはされません。(箴 15:3)それで,パウロはコリント人への第一の手紙を書きました。毅然とした中にも愛情のこもった手紙です。数か月後に書かれたコリント人への第二の手紙によると,長老たちがパウロの指示に従ったため,会衆の状況は改善されていました。今日でも,資格のある兄弟たちは,兄弟姉妹がそれと知らずに誤った歩みをする場合,温和な霊をもって再調整を施すよう努めるべきです。―ガラ 6:1。
18. (イ)神の言葉の助言は,1世紀の会衆にとってどのように助けになりましたか。(ロ)次の記事ではどんな点を取り上げますか。
18 神の書に収められている助言は,1世紀のコリントや他の場所のクリスチャンにとって,会衆の清さと平和と一致を保つ助けになりました。(コリ一 1:10。エフェ 4:11-13。ペテ一 3:8)その結果,当時の兄弟姉妹は宣教で多くのことを成し遂げることができました。実際パウロは,「良いたよりは天下の全創造物の中で宣べ伝えられた」と述べています。(コロ 1:23)今日においても,神の素晴らしい目的は世界中で宣べ伝えられています。それは,神の民が一致した組織として活動しているからです。次の記事では,神の民が聖書を重んじ,主権者なる主エホバを賛美したいと願っていることを示す証拠をさらに取り上げます。―詩 71:15,16。
^ [1](13節)「エホバのご意志を行なうための組織」の134-136ページを参照。
^ [2](15節)仲間の兄弟に対して法的な訴えを起こすかもしれない状況については,「自分を神の愛のうちに保ちなさい」の223ページの脚注を参照。