「キリストの愛が私たちを駆り立てる」

1-2. （ア）イエスが教えたことや行ったことについて考えると，どんな気持ちになりますか。（イ）この記事ではどんなことを学びますか。

家族や友達を亡くすと，とても悲しい気持ちになります。初めのうちは，その人が亡くなるまでのことを思い出してつらくなるかもしれません。苦しい闘病生活の末に亡くなった場合は特にそうです。でも，時たつうちに，その人が教えてくれたことや励ましてくれたことを思い出して，心が温かくなることでしょう。

² 記念式の時期には，イエスの贖いについてじっくり考えます。（コリ一 11:24，25）イエスが苦しんで死んだことについて読むと，悲しい気持ちになります。でも，イエスが地上で教えたことや行ったことについて考えると，温かい気持ちになります。イエスが私たちのために今行っていることや将来してくれることについて考えると，力が湧いてきます。こうしたイエスの愛について思い巡らすなら，感謝を行動で表したいという気持ちになるでしょう。では，どのように感謝を表せるか考えていきましょう。

 3. 贖いに感謝できるのはどうしてですか。

³ イエスの生涯や死について考えると，感謝の気持ちでいっぱいになります。イエスは，神の王国がどんな素晴らしい将来を実現するかについて教えました。私たちは，王国についての真理を知ることができて，とてもうれしく思っています。イエスの贖いにも感謝しています。そのおかげで，エホバやイエスとの友情を持つことができます。イエスに信仰を抱くなら，永遠に生きて，亡くなった愛する人たちと再会することもできます。（ヨハ 5:28，29。ロマ 6:23）私たちがこうした祝福を得られるのは決して当然のことではありませんし，エホバとイエスに十分にお返しできるわけでもありません。（ロマ 5:8，20，21）でも，心から感謝していることを表すことはできます。どのようにでしょうか。

 4. マリア･マグダレネは，イエスがしてくれたことへの感謝をどのように表しましたか。（写真と挿絵を参照。）

⁴ ユダヤ人の女性，マリア･マグダレネのことを考えてみましょう。マリアは邪悪な天使7人に取りつかれていて，とても苦しんでいました。絶望的だと感じていたことでしょう。それで，イエスが邪悪な天使を追い出してくれた時，心から感謝したはずです。マリアは感謝の気持ちからイエスの弟子になり，自分の時間やエネルギーや持ち物を使ってイエスの伝道をサポートしました。（ルカ 8:1-3）でも，イエスが助けたのはマリアだけではありません。人類全てのために，もっと素晴らしいことを行おうとしていました。自分の命を犠牲にして，「独り子に信仰を抱く人が皆」，永遠の命を受けられるようにしたのです。（ヨハ 3:16）マリアはこうしたことを十分には理解していなかったかもしれませんが，感謝の気持ちからイエスを支え続けました。イエスが杭に掛けられて苦しんでいた時には，そばにいて，イエスや周りの人たちを力づけました。（ヨハ 19:25）イエスが亡くなった後は，埋葬のための香料を持って2人の女性たちと一緒に墓の所へ行きました。（マル 16:1，2）マリアはこのようにイエスを支え続けたので，大きな祝福を受けました。復活してきたイエスと会って話すことができたのです。そのような経験ができた弟子たちはごくわずかでした。（ヨハ 20:11-18）

 5. エホバとイエスがしてくれたことへの感謝をどのように表せますか。

⁵ 私たちもエホバとイエスがしてくれたことへの感謝を表すために，自分の時間やエネルギーやお金を使ってエホバへの奉仕を行うことができます。例えば，崇拝で使う建物の建設やメンテナンスに参加できます。

 6. イエスがあなたのために死んでくださったと言えるのはどうしてですか。

⁶ エホバとイエスが私たちをどれほど愛してくださっているかを考えると，感動し，エホバとイエスを愛するようになります。（ヨハ一 4:10，19）そして，イエスが自分のために死んでくださったということが分かると，エホバとイエスへの愛はもっと強くなるでしょう。パウロも，ガラテアのクリスチャンに宛ててこう書きました。「神の子は私を愛し，私のために自分を差し出してくださいました」。（ガラ 2:20）エホバはあなたを引き寄せ，ご自分の友とするために，イエスを犠牲にしてくださいました。（ヨハ 6:44）エホバがあなたの良いところを見てくださったことや，ご自分の友にするために大きな犠牲を払ってくださったことを考えると，温かい気持ちになり，エホバとイエスへの愛が強まるのではないでしょうか。では，その愛に応えてどんなことができるでしょうか。

 7. 写真からも分かるように，エホバとイエスへの愛をどんな方法で示せますか。（コリント第二 5:14，15; 6:1，2）

⁷ エホバとイエスを愛しているなら，ほかの人にも愛を示したいという気持ちになります。（コリント第二 5:14，15; 6:1，2を読む。）愛を示す1つの方法は，一生懸命伝道を行うことです。私たちは，相手の人種や民族，経済的状況や社会的地位などに関係なく，全ての人に良い知らせを伝えます。そうするならエホバに喜んでいただけます。エホバは「あらゆる人が救われて，真理の正確な知識を得ること」を望んでいるからです。（テモ一 2:4）

 8. 兄弟姉妹にどのように愛を示せますか。

⁸ 仲間の兄弟姉妹を愛することによっても，エホバとイエスへの愛を表せます。（ヨハ一 4:21）仲間のことを温かく気遣い，大変な状況にある時には力になりたいと思います。大切な人を亡くした兄弟姉妹を慰めたり，病気の仲間のお見舞いに行ったり，落ち込んでいる人を力づけたりできます。（コリ二 1:3-7。テサ一 5:11，14）仲間のためにエホバに祈ることもできます。「正しい人の祈願には大きな力があ」るからです。（ヤコ 5:16）

 9. 兄弟姉妹に愛を示すために，どんなこともできますか。

⁹ 兄弟姉妹に愛を示すためには，平和な関係でいるよう努力することも大切です。エホバに倣って仲間を許すようにしましょう。エホバは私たちの罪を許すためにイエスを犠牲にしてくださいました。そうであれば，誰かから傷つけられるとしても，快く許すべきではないでしょうか。イエスの例えに出てくる邪悪な奴隷のようにはなりたくありません。その奴隷は，王様から多額の借金を帳消しにしてもらったのに，はるかに少ない仲間の奴隷の借金を帳消しにしようとはしませんでした。（マタ 18:23-35）会衆の誰かと関係がうまくいっていないように感じるなら，記念式の前に自分の方から仲直りできるでしょうか。（マタ 5:23，24）そうするなら，エホバとイエスへの愛を表すことができます。

10-11. 長老たちはエホバとイエスへの愛をどのように示せますか。（ペテロ第一 5:1，2）

¹⁰ 長老たちは，エホバとイエスへの愛をどのように示せるでしょうか。イエスの羊を世話することによって示せます。（ペテロ第一 5:1，2を読む。）この点はイエスとペテロの会話からよく分かります。イエスを3度否認したペテロは，自分が本当はイエスを愛しているということをぜひ証明したいと思っていたことでしょう。その後，復活したイエスから，「ヨハネの子シモン，私を愛していますか」と尋ねられます。ペテロは，イエスへの愛を示すためにどんなことでもするつもりでした。そんなペテロに，イエスは「私の小さな羊を世話しなさい」と言いました。（ヨハ 21:15-17）ペテロはその後，生涯にわたってイエスの羊を優しく世話し，イエスを愛していることを示しました。

¹¹ 記念式の時期，長老たちはイエスの言葉をどのように実践できるでしょうか。兄弟姉妹の牧羊を行うことができます。集会や奉仕を休んでいる兄弟姉妹が再びエホバに活発に仕えられるよう援助することもできます。（エゼ 34:11，12）聖書を学んでいる人や関心を示して記念式に来た人たちが会衆に加わりたいと思えるように助けることもできるでしょう。このようにイエスの羊を世話するなら，エホバとイエスを心から愛していることを示せます。

12. イエスが亡くなる前に語った言葉について考えると勇気が湧いてきます。どうしてですか。（ヨハネ 16:32，33）

¹² イエスは亡くなる前の晩，弟子たちにこう言いました。「あなたたちは世で苦難に遭いますが，勇気を出しなさい！ 私は世を征服したのです」。（ヨハネ 16:32，33を読む。）イエスは敵たちから反対されても勇気を示し，死ぬまでエホバに従い続けました。そうできたのはどうしてでしょうか。エホバに頼ったからです。イエスは，弟子たちも同じような反対に遭うことが分かっていたので，弟子たちを見守ってくれるようにとエホバにお願いしました。（ヨハ 17:11）このことを知ると，勇気が湧いてきます。エホバはどんな敵よりも強い方だからです。（ヨハ一 4:4）私たちが問題にぶつかる時，エホバがそれに気付かないということは決してありません。ですから，エホバに頼るなら，恐れの気持ちを乗り越え，勇気を持って行動することができます。

13. アリマタヤのヨセフはどのように勇気を示しましたか。

¹³ アリマタヤのヨセフの例を考えてみましょう。ヨセフは，周りのユダヤ人から良い評判を得ていた人で，ユダヤ人の最高法廷であるサンヘドリンの一員でした。イエスが生きていた間は勇気を示すことができず，「ユダヤ人たちを恐れてひそかにイエスの弟子となってい」ました。（ヨハ 19:38）ヨセフは王国の良い知らせに関心を持っていましたが，イエスを信じていることを隠していました。良い評判や立場を失うことを恐れていたのでしょう。でも聖書によると，イエスが死んだ後，ヨセフは「勇気を出してピラトの前に行き，イエスの体を頂きたいと願い出」ました。（マル 15:42，43）ついに，自分がイエスの弟子であることを明らかにしたのです。

14. 人の目が気になって勇気が出ない時，どんなことができますか。

¹⁴ あなたもヨセフと同じように，人の目が気になって勇気が出ないということがありますか。学校や職場で，自分がエホバの証人だということを知らせるのが怖いと感じるかもしれません。あるいは，人からどう思われるかを気にして，伝道者になることやバプテスマを受けることをためらうかもしれません。では，正しいことを行う勇気が出ないと感じる時，どうしたらよいでしょうか。自分の気持ちをエホバに打ち明けましょう。「あなたに喜ばれることを行うための勇気を下さい」と祈ることができます。エホバが祈りに答えてくれたと感じると，勇気を持って行動したいという気持ちになるでしょう。（イザ 41:10，13）

15. 弟子たちは復活したイエスに会った後，喜びを抱いてどんなことをしましたか。（ルカ 24:52，53）

¹⁵ イエスが亡くなった時，弟子たちはとても悲しみました。大切な友であり，自分たちを救ってくれると期待していたイエスがいなくなってしまったからです。（ルカ 24:17-21）でも，イエスは復活した後弟子たちに現れ，聖書の預言が自分にどのように実現したかを説明しました。大切な仕事も任せました。（ルカ 24:26，27，45-48）40日後，イエスが昇天する時までに，弟子たちは喜びにあふれていました。イエスが生きていて，自分たちを支え，大切な仕事を果たせるようにしてくれる，ということが分かっていたからです。その後も弟子たちは，喜びを抱いてエホバを賛美し続けました。（ルカ 24:52，53を読む。使徒 5:42）

16. どうすればイエスの弟子たちに倣えますか。

¹⁶ どうすればイエスの弟子たちに倣えるでしょうか。記念式の時期だけでなく，一年中いつでも喜んでエホバに仕えることです。そのためには，王国を第一にした生活を送ることが大切です。例えば，仕事の予定を調整して，集会や伝道に定期的に参加したり家族の崇拝を毎週行ったりできます。また，ほかの人が生活に必要だと考えている物でも，「本当に自分たちに必要だろうか」と考えることもできます。シンプルな生活を送るなら，会衆のためにもっと多くのことをしたり，伝道者の必要の大きな所に移動したりできるかもしれません。エホバに仕え続けるには努力が必要ですが，王国を第一にするなら，エホバは豊かに祝福してくださいます。（格 10:22。マタ 6:32，33）

17. 記念式の時期にどんなことをしたいと思いますか。（写真を参照。）

¹⁷ 私たちは，4月4日火曜日の記念式に出席するのをとても楽しみにしています。記念式の時期に，イエスの生涯や死，またエホバとイエスが私たちのためにしてくださったことについて考えるのは良いことです。例えば，「新世界訳聖書」付録B12の「イエスの地上での最後の週」の表に挙げられている出来事について，聖書を読みながらじっくり考えることができます。「この聖句は，エホバとイエスへの感謝や愛を深め，勇気を持って行動し，喜んでエホバに仕える上で，どのように役立つだろうか」と考えてみてください。「心から感謝していることをどのように行動で示せるだろうか」と考えることもできます。記念式の時期にイエスを思い起こすための努力を払うなら，イエスは喜んでくださいます。（啓 2:19）