神の裁きの時が到来した
「神を恐れ,神に栄光を帰せよ。神による裁きの時が到来したからである」― 啓示 14:7。
1 啓示の書の最初の数章には,どんなことが含まれていますか。
啓示の書には,現代に成就する感動的な預言が幾つも収められています。象徴的な六つの封印を開くことを含め,そうした預言の幾つかは,前の記事で考慮しました。それらの封印が開かれることにより,この「終わりの日」に黙示録の四騎士が乗り進んで荒廃をもたらすことが啓示されました。(テモテ第二 3:1。啓示 6:1-8)また,天でキリストと共に支配する人々や,「大患難」を生き残って地上で永久に生きる人々のことも明らかにされました。六つの封印は,裁きを執行する神の「定められた時」が「近い」ことも示しています。―啓示 1:3; 7:4,9-17。
2 啓示 8章の象徴的な七つのラッパは,どのように用いられることになっていますか。
2 しかし,もう一つの封印,つまり第七の封印があります。啓示 8章2節は,それが開かれる時に啓示される事柄を教えています。そこには,「そしてわたしは,神の前に立つ七人のみ使いを見た。そして,七つのラッパが彼らに与えられた」とあり,6節は,「そして,七つのラッパを持つ七人のみ使いがそれを吹く準備をした」と述べています。聖書時代,ラッパは重要な出来事を知らせるために用いられましたが,同じようにこれら七つのラッパの吹奏は,現代において生死を分ける重要な事柄に注意を喚起します。また,み使いたちがラッパを鳴り響かせる時,地上の証人である人間は,各々のラッパの吹奏が布告する重大な知らせを広めることによって業を遂行します。
ラッパの吹奏が意味する事柄
3 七つのラッパの吹奏にはどんな意味がありますか。
3 それらのラッパの吹奏は,エホバが古代エジプトに注がれた災厄を思い起こさせます。それらの災厄は,その第一世界強国と,その国の偽りの宗教に対するエホバの裁きの表明でしたが,神の民が逃れるための道をも開きました。同様に,啓示の書のラッパの吹奏は現代の災厄ですが,この度はサタンの世全体とその偽りの宗教に対するものです。しかし,それは文字通りの災厄ではなく,エホバの裁きの災厄的な音信であり,神の民が逃れるための道もはっきりと説明しています。
4 七つのラッパの吹奏は,現代にどのように成就していますか。
4 それら七つのラッパの吹奏と調和して,1922年から1928年にかけて行なわれたエホバの民の年ごとの特別な七つの大会では,サタンの世を非とする強烈な決議が際立った特色となりました。決議文を掲載した印刷物が何億部も配布されましたが,焼き尽くすようなそれらの音信をラッパを吹くかのように布告することは,その時期だけのものではなく,終わりの日の間中,続いてきました。また,最初は第一次世界大戦後に宣べ伝えていた油そそがれた者たちの小規模な隊伍に,幾百万という「大群衆」が加わって声を高めている今日,その音信は一層強力に布告されるようになりました。(啓示 7:9)現在,それらの幾百万という人々は,力と数を増し加えながら,サタンの世が全く滅びに定められていることを毎年告げ知らせています。
5 最初に不利な裁きを受ける,世界の「三分の一」とはだれですか。なぜそう言えますか。
5 啓示 8章6節から12節では,最初の四つのラッパが鳴り響きます。雹と火と血が注ぎ出され,世界の「三分の一」が荒廃する結果になります。最初に不利な裁きが臨む,世界の有罪の部分が「三分の一」とされているのはなぜでしょうか。なぜなら,神にとってはサタンの体制全体が責められるべきものですが,わけても責められるべき部分が一つあるからです。それはどの部分ですか。キリストの名を自らに付している部分,つまりキリスト教世界です。また,第一次世界大戦後,同世界に対する神の裁きの音信が伝えられた時,当時のキリスト教世界の領域は人類の約三分の一を擁していました。
6 エホバがキリスト教世界を見捨てて滅びに渡してこられたのはなぜですか。
6 キリスト教世界の宗教は,イエスとその弟子たちが予告した,真のキリスト教からの1,900年に及ぶ背教の生み出した実です。(マタイ 13:24-30。使徒 20:29,30)キリスト教世界の僧職者は自らをキリスト教の教師として示しますが,彼らの教理は聖書の真理からは遠くかけ離れ,彼らの腐敗した行為は相変わらず神のみ名の評判を汚しています。この20世紀の戦争を支持したために生じた彼らの流血の罪は,あらわにされています。キリスト教世界はその全体がサタンの事物の体制の一部なので,神からのどんな恵みも受けるに値しないことを示すエホバからの強力で災厄的な音信を浴びています。エホバは,1世紀のユダヤ人の家に対して行なったのと同じほど確実に,キリスト教世界の家を見捨てて滅びに渡してこられました。―マタイ 23:38。
世界的な宣べ伝える業のために生き返る
7,8 (イ)啓示 9章では,第五のラッパの吹奏と共に何が啓示されますか。(ロ)いなごはだれの象徴ですか。
7 啓示 9章1節では,第五のみ使いがラッパを鳴り響かせると,幻の中で,一つの星が地に落ちて来る様子が示されます。この星は手にかぎを持っています。その星はこのかぎを用い,いなごの大群が閉じ込められている坑を開けます。この星は新たに座に着けられた天の王,イエス・キリストです。いなごは,迫害を受け,指導に当たる役員たちが1918年に投獄された際に死んだかに見えた,神の僕たちです。しかし,今や天で王国の力を執っておられるキリストは彼らを解放し,彼らが世界的な公に宣べ伝える業を再開できるようにされます。そのため,その業を押しつぶそうと企てた僧職者は大いに狼狽することになります。―マタイ 24:14。
8 啓示 9章7節では,いなごがこのように描写されています。「そして,いなごの姿は戦闘の備えをした馬に似ていた。頭の上には金のような冠と思えるものがあり,顔は人間の顔のようであった」。10節はそれに付け加えて,「また,彼らには尾と,さそりに似た針とがあり」と述べています。それらのいなごは,1919年以降に再び霊的な戦いに出向いた,王国相続者の生き返った残りの者をよく表わしています。新たなエネルギーを与えられた彼らは,とりわけ腐敗したキリスト教世界を非とする,神の刺すような裁きの音信をふれ告げました。
9,10 (イ)第六のラッパの吹奏によって,何が啓示されますか。(ロ)無数の強力な馬には,だれが含まれますか。
9 次に,第六のみ使いがラッパを吹きます。(啓示 9:13)それにより,騎兵隊の解き放たれる様が啓示されます。16節は,その数が「万[英語,myriads]の二万倍」,つまり2億であると述べています。また,その騎兵隊は17節と19節で,『馬の頭はライオンの頭のようであり,その口からは火と煙と硫黄が出ていた。その尾は蛇に似ている』と描写されています。これらの軍隊は,王なるキリスト・イエスの指示を受け,すさまじい音を立てて動きます。何と畏怖の念を起こさせる光景なのでしょう。
10 これらの強力な馬は何を表わしていますか。その数は幾億にも達するので,今は地上に8,800人ほどしかいない油そそがれた残りの者のみであるはずはありません。その無数の馬には,地上で永久に生きる希望を持つ,啓示 7章の「大群衆」が含まれるに違いありません。聖書の中で「万[英語,myriad]」という語はしばしば膨大な不定の数を表わします。したがって,これら象徴的な馬には,減少の続く油そそがれた者だけではなく,いなごのような油そそがれた残りの者が始めた公の業を続行する「ほかの羊」の「大群衆」も含まれるでしょう。彼らは増加を続け,強力な音声を出す幾百万もの「大群衆」となっています。―ヨハネ 10:16。
11 『馬の権威はその口にある』と言えるのはなぜですか。彼らはどのように『尾で損ない』ますか。
11 啓示 9章19節は,『これらの馬の権威はその口にある。そして[その尾に]よって損なう』と述べています。権威はどのような意味でその口にあるのでしょうか。神の僕たちは,神権宣教学校などの集会を通して,神の裁きの音信を口頭により,権威をもって宣べ伝える方法を,数十年間教えられてきたという意味です。では,彼らはどのようにして尾で損ないますか。聖書に基づく幾十億冊もの出版物を世界中で配布し,サタンの世に対する刺すような音信を残してくることによってです。彼らの反対者たちにとって,それらの騎兵隊はまさに万の万倍のように見えるでしょう。
12 象徴的ないなごと馬は,何を行ない続けなければなりませんか。それはどんな結果を招きますか。
12 ですから,象徴的ないなごと馬は,神の復しゅうの日が近づいている現在,神の裁きの音信を一層明確に,また声高に鳴り響かせなければなりません。正直な心を持った人々にとって,それらの音信は地上における最も良いたよりです。しかし,サタンの世を好む人々にとっては,悪いたよりです。そのたよりは彼らの世が間もなく滅ぼされることを意味するからです。
13 第七のラッパの吹奏と関連のある「第三の災い」には,何が関係していますか。それはどうして「災い」なのですか。
13 災厄をもたらすいなごと騎兵隊は,神によって定められた三つの「災い」の第一および第二のものと描写されています。(啓示 9:12; 11:14)「第三の災い」とは何ですか。啓示 10章7節には,「第七のみ使いが吹き鳴らす日,……神が預言者なるご自分の奴隷たちに宣明された良いたよりに基づく神の神聖な奥義は,確かに終わりに至る」と記されています。この神聖な奥義には,最初にエデンで約束された「胤」が関係しています。(創世記 3:15)この「胤」とはおもにイエスのことですが,天でイエスと共に支配する油そそがれた仲間たちも含まれています。ですから,神聖な奥義は天の神の王国と関係があります。この王国は,神が意図された第三の「災い」をもたらします。サタンの世に対する最終的な神の裁きを執行するからです。
王国が設立される
14 啓示 11章15節にある第七のラッパの吹奏は,何を発表しましたか。
14 それから王国が設立されます。啓示 11章15節はこう述べています。「また,第七のみ使いがラッパを吹いた。すると,大きな声が天で起きてこう言った。『世の王国はわたしたちの主[エホバ]とそのキリストの王国となった。彼は限りなく永久に王として支配するであろう』」。そうです,キリストによる神の王国が1914年に天で設立されたことが発表されるのです。残りの者は第一次世界大戦後に生き返った時,このたよりを前面に押し出しました。
15 1922年,どんな出来事が合図となって,王国を宣べ伝える業の新しい波が押し寄せましたか。
15 1922年,米国オハイオ州シーダー・ポイントで開かれたエホバの僕たちの大会で,万を数える聴衆は次のような感動的な発表を聞きました。「今はあらゆる時代のうちで最も重大な時代です。ご覧なさい,王は統治しておられます! あなた方は王のことを広く伝える代理者です。それゆえに,王とその王国を宣伝し,宣伝し,宣伝しなさい」。それにより,ラッパを吹き鳴らす七人のみ使いが布告する裁きを含む,王国を公に宣べ伝える活動の大波が押し寄せました。今日では,全世界の5万7,000余りの会衆にいる350万ほどのエホバの僕たちが,王国を宣べ伝えるこの世界的な業にあずかっています。まさに万の単位です。
16 啓示 12章では,第七のラッパの吹奏により,天と地が関係したどんな新しい事態の進展が啓示されましたか。
16 しかし,第七のみ使いには,さらに啓示すべき事柄があります。啓示 12章7節には,その時「天で戦争が起こった」とあり,9節には,王なるキリストが行動された結果がこのように記されています。「こうして,大いなる龍,すなわち,初めからの蛇で,悪魔またサタンと呼ばれ,人の住む全地を惑わしている者は投げ落とされた。彼は地に投げ落とされ,その使いたちも共に投げ落とされた」。さらに12節には,「このゆえに,天と天に住む者よ,喜べ!」と記されています。そうです,天からサタンの影響力が除き去られて,それが忠実なみ使いたちの大きな歓びのいわれとなったのです。しかし,人間にとってその出来事にはどんな意味がありますか。その同じ節が答えを与えています。「地と海にとっては災いである。悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りを抱いてあなた方のところに下ったからである」。
17 啓示 13章で,世界政府が「野獣」として表現されているのがふさわしいと言えるのはなぜですか。
17 啓示 12章3節はサタンを『七つの頭と十本の角を持つ大きな龍』,つまり獣のような恐ろしい破壊者として描いています。これは,この者が13章1節と2節に描かれている地上の政治的な「野獣」の設計者であることを示すものです。この獣にも,サタンに似て,七つの頭と十本の角があります。2節には,「龍[サタン]は自分の力と座と大きな権威をその野獣に与えた」とあります。政治上の政府を野獣として表現するのは確かにふさわしいことです。この20世紀だけでも,1億人を上回る人々が諸国家の戦争で殺されたからです。
18 啓示 13章11節に出てくる,二本の角のある獣とは何ですか。その行動は,その獣の実体を知るためにどのように役立ちますか。
18 啓示 13章に出てくる次の場面は,11節にあるとおり,「別の野獣が地から上って行く」ことについて啓示しています。「それには子羊のような二本の角があった。それは龍のように話しはじめた」と記されています。二本の角を持つこの獣は,英米が政治的に結合した勢力のことであり,害を与えない,最も啓発された形態の政府であるかのように装うという意味で,子羊のようです。しかし,龍のように,サタンのように話し,「別の野獣」と呼ばれます。それが支配を行なう様は獣のようだからです。この獣は,支配に関する自らの見解が受け入れられないと,圧力や脅しをかけ,場合によっては暴力を用います。神の王国に服することよりも,サタンの世にこびへつらうことを勧めるのです。14節に,『[それは]地に住む者たちを惑わす』とあるのは,そうした理由のためです。
19,20 (イ)エホバの僕たちの忠誠は何を実証していますか。(ロ)油そそがれた残りの者が確かにサタンの世に対して勝利を収めるとどうして分かりますか。
19 サタンの支配するこの世は,真のクリスチャンに対するイエスの命令に調和して世のものとならない人々にとって,住みにくい所です。(ヨハネ 17:16)ですから,今日,全世界で神の僕たちが忠誠を保ち,エホバとエホバの義の道を一致して賛美し続けることにより,エホバの力と祝福が顕著な仕方で実証されているのです。彼らは激しい反対や迫害,さらには死に面してさえ,そのようにします。
20 油そそがれた残りの者は,キリストの共同支配者になる見込みがあるので,特にサタンの標的となってきました。しかし,啓示 14章は,14万4,000人の全員が,王国の力を執っておられるキリストの側に,勝利のうちに集められていることを示しています。彼らは忠節に自分たちの主人に付き従ってきました。4節が述べているように,「これらは,子羊の行くところにはどこへでも」,サタンからもたらされる残忍な迫害をものともせず「従って行く者たちである」からです。
神の裁きを最初に受ける
21,22 (イ)啓示 14章7,8節によると,み使いたちはどんな発表を行なっていますか。(ロ)宗教上のバビロンがまだ存在しているのに,一人のみ使いがその倒壊を発表しているのはなぜですか。
21 啓示 14章7節によれば,一人のみ使いはこう叫びます。「神を恐れ,神に栄光を帰せよ。神による裁きの時が到来したからである。それゆえ,天と地と海と水のわき出るところとを造られた方を崇拝せよ」。神の不利な裁きを最初に受けるのはだれですか。8節が答えを与えています。「また,別の,二人目のみ使いがそのあとに従って,こう言った。『彼女は倒れた! 大いなるバビロン,あらゆる国民に自分の淫行の怒りのぶどう酒を飲ませた者は倒れた!』」啓示の書はここで初めて,「大いなるバビロン」,つまり偽りの宗教の世界帝国について語っていますが,ここが最後ではありません。
22 宗教は今でも地の様々な部分に影響を及ぼしているというのに,み使いが,大いなるバビロンは倒れた,と発表しているのはなぜですか。では,古代バビロンが倒壊したものの,まだ完全に滅ぼされていなかった西暦前539年に何が起きましたか。捕虜となっていたエホバの僕たちが2年後に故国に帰り,真の崇拝を回復しました。同じように,神の僕たちが回復させられ,1919年から新たな活動と霊的な繁栄にあずかったことは,その年,つまり1919年に,大いなるバビロンがエホバから見て没落を経験したことを示す明白な証拠なのです。エホバはその段階で,大いなるバビロンを有罪とし,後に根絶することを定められました。
23 (イ)大いなるバビロンの滅びの道は,どのように整えられていますか。(ロ)次号の「ものみの塔」誌では,さらにどんな預言について考慮しますか。
23 現代のバビロンは,近づきつつある全滅の前触れとして,すでに大きな混乱に陥っています。その腐敗,由々しい不道徳,不正直,政治への介入などが各地で暴露されてきました。ヨーロッパの大半の地域では,人々はほとんど教会に行かなくなっています。多くの社会主義国では,宗教は“人民のアヘン”とみなされていますし,現代のバビロンは,神の真理のみ言葉を愛するすべての人の目に恥辱を被っています。ですから,彼女は今,言わば当然の処刑を死刑囚の独房で待っているようなものです。そうです,世界を打ち砕く出来事が生じる『定められた時は近い』のです。次号の「ものみの塔」誌では,さらに別の研究記事を通して,差し迫っている宗教上の「娼婦」の滅びと,サタンの事物の体制全体の滅びについて,啓示の書が述べる預言を調べることにしましょう。
どのように答えますか
□ 啓示 8章から始まる七つのラッパの吹奏は,わたしたちの時代にとってどんな意味がありますか
□ キリスト教世界が最初に不利な裁きを受けるのはなぜですか
□ 油そそがれた残りの者と「大群衆」による宣べ伝える業は,啓示 9章の中でどのように描写されていますか
□ 啓示 11章15節にある発表は,天と地にとってどんな意味がありましたか
□ 啓示 14章8節に描かれているとおり,宗教上のバビロンはどのような意味で1919年に倒壊しましたか。また,それはそのバビロンにとって何を意味しますか