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この書物は信頼できるかすべての人のための書物
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聖書を読む人であれば,イスラエルの王となった勇敢な年若い羊飼いダビデのことはよく知っています。聖書の中にその名は1,138回,おもにダビデの王朝を指す「ダビデの家」という表現は25回出てきます。(サムエル第一 16:13; 20:16)ところが最近まで,ダビデが実在した明白な証拠は,聖書以外には全くありませんでした。ダビデは単なる架空の人物だったのでしょうか。
アブラアム・ビラン教授の率いる考古学者のチームが1993年に驚くべき発見をし,その報告が「イスラエル踏査ジャーナル」に掲載されました。イスラエルの北部に位置するテル・ダンと呼ばれる古代の塚の遺跡で,玄武岩の石が見つかったのです。石には「ダビデの家」および「イスラエルの王」2 という文字が刻まれており,西暦前9世紀のものとされるその碑文は,イスラエルの敵で東方に住んでいたアラム人が立てた戦勝記念碑の一部だと言われています。古代のこの碑文にそれほどの意義があるのはなぜですか。
ビラン教授とその仲間であるヨセフ・ナベ教授の報告に基づき,「聖書考古学レビュー」誌の一記事は,こう述べました。「聖書以外の古代の碑文の中でダビデという名が発見されたのは,これが最初である」。3a この碑文に関しては,ほかにも注目すべきことがあります。「ダビデの家」という語句は一つの語として記されています。言語の専門家であるアンソン・レイニー教授は次のように説明しています。「単語区分記号はしばしば省略される……。その組み合わせが固有名詞として定着している場合は特にそうである。『ダビデの家』という語句は確かに,西暦前9世紀半ばのそうした政治的また地理的固有名詞であった」。5 ですから,ダビデ王とその王朝は,古代世界に広く知られていたものと思われます。
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a この発見の後アンドレ・ルメール教授は,1868年に発見されたメシャ石碑(別名,モアブ碑石)の破損部分を新たに再構成した結果,そこにも「ダビデの家」に言及する箇所が含まれていることが判明した,と伝えています。4
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