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    聖書に対する洞察,第2巻
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      (そこしれぬふかみ)(Abyss)

      パークハーストの「新約聖書希英辞典」(ロンドン,1845年,2ページ)によると,ギリシャ語のアビュッソスには,「非常に,またはひときわ深い」という意味があります。リデルとスコットの「希英辞典」(オックスフォード,1968年,4ページ)によると,それは「測りがたい,果てしない」を意味します。ギリシャ語セプトゥアギンタ訳は,創世記 1章2節,7章11節に見られるように,ヘブライ語のテホーム(水の深み)の訳語としてこの語をいつも用いています。

  • ブル
    聖書に対する洞察,第2巻
    • 創世記 7章11節と8章14節によれば,ノアの日の大洪水は「第二の月」の第17日に始まりました。そして,太陰年の1年と10日後の同じ月までに地はすっかり乾いていました。その点についてヨセフスは(ユダヤ古代誌,I,80 [iii,3])こう注解しています。「この大災害はノアが支配していた期間の第600年に生じた。マケドニア人がディオスと呼び,ヘブライ人がエジプトで従っていた暦の取り決めに準じてマルスアンと呼んだ第2の月のことである」。したがってヨセフスによれば,ノアの時代の第2の月はブルの月,すなわち,マルヘシュワンに相当しました。

  • 大洪水
    聖書に対する洞察,第2巻
    • 大洪水の起きた時 大洪水は,警告もなく突然に襲ったのではありません。幾年もの歳月が箱船の建造に費やされました。「義の伝道者」ノアはその歳月を,当時の邪悪な世代に警告を発するためにも用いました。(ペテ二 2:5)ついに,「ノアの生涯の六百年目,第二の月,その月の十七日」に制限時間は尽きました。ノアの家族と共に「あらゆる肉なるものの雄と雌」,また,そのすべてのための十分な食糧が箱船に運び込まれ,『そののちエホバが戸を閉じられました』。それから,「天の水門が開かれた」のです。(創 7:11,16)「四十日四十夜」絶え間ない奔流のような豪雨があり,150日間『水は地にみなぎっていました』。(創 7:4,12,24)豪雨が始まって5か月後に,箱船は『アララトの山にとどまりました』。(創 8:4)「山々の頂が現われた」のは,それから2か月半近くたった時で(創 8:5),ノアが箱船の覆いを取りのけ,地面から水が大体はけているかどうかを見たのは,それからさらに3か月後(創 8:13),また戸が開けられて,生き残った人々が乾いた地面を再び踏んだのは,それから2か月近くたった時でした。―創 8:14-18。

      ノアとその家族は,ノアの生涯の600年目,第2の月(10-11月)の17日に箱船に入りました。(創 7:11)その1年後(360日から成る1年)は,601年目の第2の月の17日でした。その10日後は第2の月の27日に当たり,彼らが外に出たのはその日のことでした。箱船で過ごしたのは,合計370日,あるいは足かけ371日でした。(創 8:13,14)ノアは,つけていた航海日誌の中で30日を1か月としていたようです。それで12か月は360日に相当しました。このようにしてノアは,29 1/2日よりわずかに長い期間から成る厳密な太陰月を使っていたなら生じていたはずの複雑な端数計算を一切避けました。その記述の中でそうした計算法が使われていたことは,5か月の期間が150日で成っていたという事実から明らかです。―創 7:11,24; 8:3,4。

      大洪水の水 大気中の水分が突然すべて雨となって降ってきたとしても,それを地表全体に広げるなら,その高さは数センチにしかならないと言われています。では,ノアの日に起きたこの大洪水の膨大な水はどこに源を発しているのでしょうか。創世記の記述によれば,神はノアに,「わたし[エホバ]はいま,地に大洪水[または,「天の大洋」; ヘ語,マッブール]をもたら(す)」と言われました。(創 6:17,脚注)起きた出来事を説明している次の章には,「広大な水の深みのすべての泉が破られ,天の水門が開かれた」とあります。(創 7:11)大洪水はあまりにも大規模なものだったので,「全天下の高い山々がことごとく覆われるようにな(りまし)た」。―創 7:19。

      この「天の大洋」はどこから来たのでしょうか。創造に関する創世記の記述は,二「日」目にエホバが地球の周りに大空を造られた様子を示しており,この大空(「“天”」と呼ばれる)が,その下の水つまり大洋とその上方の水との間の区分となりました。(創 1:6-8)大空の上方に浮いていた水は,創造の二「日」目から大洪水の時までそこにとどまっていたと思われます。使徒ペテロは,「神の言葉によって,昔から天があり,地は水の中から,そして水の中に引き締まったかたちで立っていました」と述べた時,まさにそのことについて語っていました。この「天」と,その上下にあった水は,神の言葉によって作用した手段であり,「それによってその時の世は,大洪水に覆われた時に滅びを被ったのです」。(ペテ二 3:5,6)大洪水の時までどのようにして水が上空に浮いていたのか,また,どんな過程を経てそれが落下したのかについては,様々な説明が行なわれてきました。しかし,それらは憶測にすぎません。聖書は,神が大空を造ってその上方に水を置かれたこと,そして大洪水を引き起こされたことを述べているだけです。神の全能の力をもってすれば,そのようなことを成し遂げるのは容易なことでした。

  • 大洪水
    聖書に対する洞察,第2巻
    • 地球への影響 大洪水によって大きな変化が生じました。人間の寿命が急激に短くなったのはその一例です。大洪水の前は,大空の上方の水が有害な放射線の一部を遮断していたが,その水がなくなったために,人間の遺伝子に有害な影響を与える宇宙線が増えたという説もあります。しかし,このことについて聖書は何も述べていません。ちなみに,放射線に関して何らかの変化があったならば,大洪水前の放射性炭素年代測定がすべて無効になるほど,放射性炭素14の生成の割合は変わったはずです。

      『水の深みの泉』と「天の水門」が突然に開かれたため,莫大な量の水が地球にあふれました。(創 7:11)このことによって,地表には激変が生じたかもしれません。地殻は比較的薄く,厚さが均一ではなく,直径1万㌔ほどのかなり可塑性のある塊の上に広がっています。したがって,水の重みが加わった時,地殻には大変動が起きたと考えられます。やがて新しい山が隆起し,古い山が高度を増し,浅い海盆が沈降し,新しい海岸線が形成されたのかもしれません。その結果,現在では地表の約70%が水で覆われています。こうした地殻の変動は,古い海岸線が新たな高さまで上昇することなど,地質学上の多くの現象の説明となるようです。中には,水圧だけで「1平方インチ当たり2㌧[1平方㌢当たり約300㌔]」に相当したと推定している人々もおり,それは動植物を急速に化石化するのに十分の水圧でした。―「聖書の大洪水と氷河時代」,D・パッテン著,1966年,62ページを参照。

  • 大洪水
    聖書に対する洞察,第2巻
    • かつて,(オーストラリア,エジプト,フィジー,ソシエテ諸島,ペルー,メキシコその他の場所に住む)一部の未開の人々は,11月に『先祖の祝祭』や『死者の祭り』を祝うことにより,大洪水に関するそうした伝承の名残と思われるものをとどめていました。こうした風習は,大洪水によってもたらされた滅びの記憶を反映するものでした。「大ピラミッドの傍らでの生活と仕事」と題する本によれば,メキシコでの祭りは11月17日に行なわれました。彼らには,「かつてその時に世界が滅ぼされたという言い伝えがあり,同様の大変災が回り回って最後には人類を滅ぼし尽くすことになりはしまいかという恐れがあった」からです。(C・ピアッツィ・スミス教授著,エディンバラ,1867年,第2巻,390,391ページ)「死者の崇拝」と題する本もこう述べています。「この[死者の]祭りはどの場合でも,モーセの記述に従って言えば,まさしく大洪水が起きたその日,すなわち,大体今日の11月に相当する月である,第二の月の十七日に,あるいはそのころに執り行なわれている」。(J・ガルニエ著,ロンドン,1904年,4ページ)興味深いことに,聖書は大洪水が「第二の月,その月の十七日」に始まったと伝えています。(創 7:11)その「第二の月」は,現在の暦では10月後半から11月前半に相当します。

  • 天
    聖書に対する洞察,第2巻
    • 大気のあるこの大空が形造られた時,地表の水と大空の上方の他の水とが分けられました。このことは,ノアの時代の全地球的な大洪水に関して,「広大な水の深みのすべての泉が破られ,天の水門が開かれた」という表現が用いられた理由の説明となります。(創 7:11。箴 8:27,28と比較。)大洪水の際,大空の上に浮かんでいた水は,何らかの水路が開かれたかのように,雨となって落下したものと思われます。この巨大な貯水池が空になった時,そのような「天の水門」は事実上「ふさがれ」ました。―創 8:2。

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