-
「大娼婦」が処刑される時は近いものみの塔 1981 | 1月15日
-
-
16 現代のバビロンが座っている「水」とは何ですか。古代バビロンの場合それに相当するどんなものがありますか。
16 古代のバビロンと現代のバビロンとの間にはもう一つ類似点があります。それは滅びの様に関するものです。古代バビロンは水の上に,文字通りのユーフラテス川の水の上に座していました。現代のバビロンも,「多くの水の上に座る」と啓示 17章1節には述べられています。この水とは何でしょうか。神の言葉が答えを与えています。「あなたの見た水,娼婦が座っているところは,もろもろの民と群衆と国民と国語を表わしている」。(啓示 17:15)古代バビロンが覆されたのは,ユーフラテス川の文字通りの水が減少した直後のことであった点に注目してください。現代のバビロンの下の象徴的な水(人間)も同じように減少しているでしょうか。確かに減少しています。そのことはわたしたちの眼前で生じています。―啓示 16:1,12。
「多くの水」はどのように減少しているか
17 娼婦の下の象徴的な「水」はどんな点で減少していますか。
17 現代のバビロンの下にある象徴的な「多くの水」はどんな点で減少していますか。幾万を数える宗教上の僧職者や働き人たちを含め,幾百幾千万という人々が,自分たちがずっと自らの宗教に与えていた支持を取り下げ,その結果その宗教は著しく弱まったという点においてです。これはとりわけキリスト教世界において真実です。キリスト教世界は神とキリストに仕えると唱えるがゆえに,その罪はそれだけ重くなります。時々,幾つかの宗教団体が,特に比較的新しい宗教団体が“勢力を盛り返したこと”について語られますが,ほとんどの場合それは表面的な現象です。幾つかの例外は別として,全体的な趨勢は間違えようのないものであり,そのことは次に挙げる世界の新聞の評論を見ても容易に理解することができます。
「キリスト教世界に何かが起こっている。どの点を取ってみても,我々が長い長い夜に入ったこと,そしてそれから出る見込みのないことを示している……
「社会構造における,影響力を持つ存在としてのキリスト教とローマ・カトリック教はすでに消失した。我々は,社会的かつ政治的に組織化されたキリスト教の死を目撃しつつある」― 有名なカトリック著作者マラキ・マーチン。1980年2月17日付,プロビデンス市のサンデージャーナル誌。
「西欧世界において,司祭や尼僧の不足が危険な瀬戸際まで来ているという国は跡を絶たない」― 1978年8月21日付タイム誌。
「キリスト教は急速に後退し[つつある]。……迷信的な不可知論,混乱,無知が見られる。……ほとんどすべての子供たちが,キリスト教とは実際に何であるかを理解していないと言っても過言ではない」― 1978年9月25日付ロンドンタイムズ紙。英国教会教育委員会からの報告に関する注解。
18,19 これらの「水」が減少していることに関するほかの証拠を挙げてください。
18 法王ヨハネ・パウロ二世が1980年の5月にフランスを訪れた際,ニューヨークタイムズ紙(5月31日付)はこう述べました。「フランスでは教会の影響力は急激に衰えている。最近の調査が示すところによると,教会では85%が洗礼を受けているにもかかわらず,カトリックの教えを実践している人々はわずか15%に過ぎない」。ブラジルの大司教ルチアーノ・カブラル・デュアルテは,「我が国のカトリック教徒は力を失いつつあり,深刻な霊的無気力のために消え去りつつある」と述べました。(1980年1月30日付ベジャ誌)ナイジェリアでは,長老派教会の一僧職者がこう述べました。「現代の教会は,記憶喪失にかかって,『私はだれ?』,『何のために自分はここにいるのか』と尋ねる人のように,自己に対する認識を失ってしまったように見える」。(1978年9月11日付デーリースター紙)ギリシャの一新聞は,かつては敬意を集めていたギリシャ正教会に関し次のように書きました。
「現在,教会は,つまり僧職者は,特に高位僧職者は,非常に多くの場合,スキャンダルの巣であり,愚かしさと無意味さの源となっている。
「それも程度を超えているので,現在のところギリシャの非常に多くの人々は,僧職者の大半を,尊敬に値する霊的な人と見るのではなく,『群れを導く』よりむだ話と熱狂によって群れを喜ばせる扇動者,スキャンダルを立てる人,急進主義者,人を食いものにする者たちの集まりとみなしている」― 1978年10月15日付「トゥー・ビマ」。
19 トルコにある東方正教会の最高中枢部に関し,タイム誌は,「かつてキリスト教界の半分の中心であった,歴史的に有名な主教の座は,滅びに向かっている」と述べています。アメリカのラビ,アルビン・レイネスは,ユダヤ人の宗教についてこう語っています。『アメリカのユダヤ民族は瀕死の危機にある。問題となっているのは,アメリカにいるユダヤ人たちが伝統的なユダヤ教の教えをまったく受け入れないことである』。英国でも非常に多くの教会が,近年になって出席者の減少により閉鎖されており,そのためある評論家はそれらの教会を,「危機に瀕した種」と呼びました。ドイツの一調査が明らかにしたところによると,神の存在を信じている35歳以下のドイツ人はわずか47%でした。日本で「あなたは何かの宗教を持っていますか」というアンケートを取った際,「いいえ」と答えた人は60%で,さらに7%の人は無回答でした。オーストラリアのメルボルンの定期刊行物「エイジ」は,どの宗派も「信者が減少している」と述べていますが,この世の宗教の実状を見ると,似たようなことが生じている国は跡を絶ちません。「信者の減少」,つまり娼婦が座っている「多くの水」の減少が現在これほどはっきりと表われているのですから,滅びをもたらす勢力の到来が遅れることなどあり得るでしょうか。そのようなことはありません。
-
-
「大娼婦」が処刑される時は近いものみの塔 1981 | 1月15日
-
-
[21ページの図版]
ユーフラテス川の水が減少したことは,敵軍がバビロンに進入し,バビロンを覆すための道を開いた
-