聖句の解説
ルカ 2:14 「地の上では,み心にかなう人々に平和があるように」
「この上なく高い所では神に栄光が,地上では神に喜ばれる人々の間に平和がありますように」。ルカ 2:14,「新世界訳」
「いと高きところでは,神に栄光があるように,地の上では,み心にかなう人々に平和があるように」。ルカによる福音書 2:14,「口語訳」,日本聖書協会
ルカ 2:14の意味
この聖句は,イエスが生まれた時に天使たちが語った賛美の言葉です。イエスに信仰を持つ人たちが神から好意を示され,穏やかな気持ちを味わえることを示しています。
「この上なく高い所では神に栄光が……ありますように」。この言葉を語った天使たちは,神が全ての栄光を受けるにふさわしい方であることを強調しました。また,この表現はイエスの誕生と地上での宣教がエホバa神の栄光になることを示しています。例えば,イエスは自分が教えていることは神から教わったものだということを認めて,こう言いました。「私の教えは私のものではなく,私を遣わした神のものです」。(ヨハネ 7:16-18)イエスが奇跡を行った時,それを見た人々は「神をたたえるようになり」ました。(ルカ 5:18,24-26。ヨハネ 5:19)イエスの死も神の栄光になりました。神は当初から,平和を愛する正しい人たちが地上全体に住むようになることを望んでいました。イエスの死は,神のこの壮大な考えが実現するための道を開きました。(創世記 1:28)
「地上では……平和がありますように」。この平和には,戦争がない状態だけでなく,心が穏やかで落ち着いている状態も関係しています。そのような平和を味わえるのは,エホバから好意を示されている人たちだけです。イエスのおかげで,人間は神との平和な関係を持てるようになりました。(ヤコブ 4:8)イエスは将来,神の王国の王として,地球全体に平和が行き渡るようにしてくれます。(詩編 37:11。ルカ 1:32,33)
「神に喜ばれる人々」。この表現は神から好意を示されている人々を指しています。神が好意を示すのは,その人たちが神と神に遣わされたイエスに強い信仰を持っているからです。人の態度や行動に関わりなくどんな人にも好意を示す,ということではありません。「ジェームズ王欽定訳」(英語)など幾つかの翻訳では,「善意が人々にあれ」と訳されています。でも,より信頼できるギリシャ語写本は,神が好意を示す人々の間に平和があるということを示しています。「新世界訳」や他の多くの現代語訳は,この点を反映した訳になっています。(「ルカ 2:14のほかの翻訳」をご覧ください。)
ルカ 2:14の文脈
ルカ 2章には,イエスが人間として生まれてから大人になるまでのことが書かれています。イエスが生まれた時,羊飼いたちは「屋外で生活して,夜間に羊の群れの番をして」いました。b (ルカ 2:4-8)そこに突然,1人の天使が現れます。その天使は「大きな喜びとなる良い知らせ」を伝え,こう言います。「今日,ダビデの町で,皆さんの救い主,主であるキリストが生まれました」。(ルカ 2:9-11)羊飼いたちは,イエスが生まれた場所を伝えられ,大勢の天使たちが神を賛美するのを目にします。ベツレヘムに着くと,マリアとヨセフと一緒にいる赤ちゃんのイエスを見つけます。(ルカ 2:12-16)そして,自分たちに起きた驚くようなことを知らせた後,「見聞きした全てのことについて神をたたえて賛美しながら」帰っていきます。(ルカ 2:17-20)
ルカ 2:14のほかの翻訳
「いと高き天には,神に栄光,地には,み心にかなう人々に平和」。ルカによる福音書 2:14,「聖書 原文校訂による口語訳」,フランシスコ会聖書研究所訳注
「栄光はいと高きところにて神に,そして地には平安 意にかなった人々の間に」。ルカによる福音書2:14,「岩波版新約聖書」,新約聖書翻訳委員会
「いと高き所には栄光,神にあれ 地には平和,御心に適う人にあれ」。ルカによる福音書 2:14,「聖書協会共同訳」,日本聖書協会
「ルカによる福音書」の紹介ビデオをご覧ください。
a エホバとは神の名前です。(詩編 83:18)「エホバとは誰のことですか」という記事をご覧ください。
b 羊飼いたちが屋外で夜を過ごしていたことから,冬にこの出来事があったわけではないことが分かります。詳しくは「イエスはいつ生まれましたか」という記事をご覧ください。