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列王記の2冊の書から得られる洞察ものみの塔 1985 | 5月1日
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イエスがご自分の郷里の町ナザレで話をした時に,驚くほど激しい反応を引き起こす話をされたことがありました。ナザレの住民は,イエスが他の町々で行なったほど多くの奇跡をナザレで行なわないのはなぜか疑問に思っていたようです。その理由を人々に告げるに当たって,イエスは聖書から二つの例を引き合いに出し,次のように言われました。
「あなた方に真実に言いますが,預言者はだれも自分の郷里では受け入れられないものです。例えば,あなた方にほんとうに言いますが,エリヤの日に,イスラエルには多くのやもめがいました。その時,天は三年六か月のあいだ閉ざされ,そのため大飢きんが全土を襲いました。それでも,エリヤはそれら女たちのだれのもとにも遣わされず,ただシドンの地のザレパテにいた一人のやもめのもとに遣わされました。また,預言者エリシャの時に,イスラエルには多くのらい病人がいましたが,そのうち一人も清められず,ただシリアの人ナアマンが清められたのです」。(ルカ 4:24-27)この言葉を聞いて,耳を傾けていた人々は怒りでいっぱいになり,イエスを殺そうとしました。人々はどうしてそういう暴力的な反応を示したのでしょうか。
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列王記の2冊の書から得られる洞察ものみの塔 1985 | 5月1日
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好ましくないものと同列に置く
まず,エリヤとエリシャが900年以上も前に行なった二つの奇跡にイエスが言及した時,ナザレの住民はなぜひどく腹を立てたのでしょうか。イエスがナザレ人を,エリヤとエリシャの時代のイスラエルの北の王国に住んでいたイスラエル人と同列に置いておられたことは明らかです。列王記の2冊の書によれば,当時,イスラエルは霊的に良い状態にはありませんでした。イスラエル人はバアル崇拝の深みにはまり込み,エホバの預言者たちを迫害していました。他国の地ザレパテのやもめがエリヤを迎え入れ,食物を与えた時,実際にエリヤは自分の国の人々から逃れて来ていたのです。その時,エリヤはイエスが言及された奇跡を行ないました。(列王第一 17:17-24)エリシャがシリアの軍の長であるナアマンのらい病をいやした時,イスラエルには依然としてバアル崇拝が満ちていました。―列王第二 5:8-14。
ナザレの住民は当時の異教化したユダヤ人と同列に置かれたことを快く思いませんでした。イエスがナザレ人をそのようにご覧になったのは妥当なことと言えたでしょうか。確かにそう言えたようです。イスラエルでエリヤの命が危険にさらされていたのと同様,この時イエスの命は危険にさらされていました。記録はこう述べています。「会堂でこれらのことを聞いていた者はみな怒りでいっぱいになった。そして,立ち上がって彼を市の外へせき立て,彼らの都市が建てられた山のがけ端に連れて行った。彼をさかさに投げ落とそうとしてであった」。しかし,エホバはかつてエリヤを守られたように,イエスを守られました。―ルカ 4:28-30。
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