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  • パウロ,I
    聖書に対する洞察,第2巻
    • 使徒 9章20-25節の記録は,パウロがダマスカスの弟子たちと共に時を過ごし,そこの諸会堂で「すぐに」宣べ伝え始めた様子を描いています。また,パウロの命をねらう企てのためにやむなくダマスカスを去る時まで彼が行なった宣べ伝える活動についても描写しています。一方,ガラテア人にあてたパウロの手紙の中には,パウロが転向後アラビアへ行き,次いでダマスカスに戻ったことが記されています。(ガラ 1:15-17)アラビアへの旅行がこうした出来事の順番のどこに位置するのか,はっきりしたことは分かりません。

      パウロは自分に対する神のご意志について黙想するため,転向した直後にアラビアへ行ったのかもしれません。その場合,ルカが「すぐに」という語を用いたことは,パウロがダマスカスへ戻ってから,またそこにいた弟子たちと交わってからすぐに宣べ伝え始めたことを意味するのでしょう。しかしガラテア 1章17節でパウロが強調しているのは,自分はすぐにはエルサレムに上らなかったということ,つまり自分がその初期の時代に赴いた,ダマスカス以外の唯一の場所はアラビアだったということのようです。ですから,アラビアへの旅行を必ずしもパウロの転向直後に置かなければならないわけではありません。パウロは最初にダマスカスで幾日かを過ごし,それからすぐに会堂でキリストへの信仰を言い表わすことにより,自分の以前の反対者としての歩みを公に放棄したのかもしれません。それからアラビアへの旅行を行ない(その実際の目的は明らかにされていない),戻ってからダマスカスで宣べ伝える業を続行し,反対者たちが彼を捜して命を奪おうとするほどにその業においていよいよ強くなったということかもしれません。この二つの記述は矛盾しているというよりも補い合うものです。また,ただ一つ残る問題は出来事の正確な順序ですが,その点は全く明らかにされていません。

  • 宣べ伝える者,宣べ伝える業
    聖書に対する洞察,第2巻
    • クリスチャンの宣べ伝える業の主題は,引き続き「神の王国」でした。(使徒 20:25; 28:31)しかし,クリスチャンが宣明する事柄には,キリストが亡くなる前に宣明された事柄と比べて,さらに多くの特色が含まれていました。神の目的の「神聖な奥義」がすでにキリストを通して明らかにされ,キリストの犠牲の死が真の信仰における肝要な要素になっていたのです。(コリ一 15:12-14)神の恵みと命を得ようとする人は皆,神から任命された王また審判者としてのキリストの高められた地位を知り,それを認め,それに服するべきです。(コリ二 4:5)このようなわけで,弟子たちはしばしば,『キリスト・イエスを宣べ伝えた』と言われています。(使徒 8:5; 9:20; 19:13; コリ一 1:23)クリスチャンが行なった宣べ伝える業について調べれば明らかなことですが,彼らが『キリストを宣べ伝える』といってもそれは,あたかもキリストが神の王国の取り決めと全体的な目的から何らかの点で独立している,もしくは分離しているかのように,聞く者の思いの中でキリストを目立たせるために行なわれたのではありません。むしろ彼らは,エホバ神がみ子のために,またみ子を通して行なわれた事柄と,当時神の目的がイエスのうちに成就している仕方,および後ほど成就してゆく仕方についてふれ告げました。(コリ二 1:19-21)このように,そうした宣べ伝える業すべては,「イエス・キリストを通して」神ご自身に賛美と栄光をもたらすためのものでした。―ロマ 16:25-27。

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