今日の統治体と協力する
「主人は彼を任命して自分のすべての持ち物をつかさどらせるでしょう」― ルカ 12:44。
1 キリストは西暦33年に,どんな王国において支配を開始されましたか。何を用いて支配されましたか。
西暦33年のペンテコステの日に,会衆の頭であられるイエス・キリストは,霊によって油そそがれたご自分の奴隷たちで成る王国において,積極的に支配を開始されました。どのようにそうされましたか。聖霊,み使い,目に見える統治体を通してそうされました。使徒パウロが指摘しているとおり,神は『油そそがれた者たちを闇の権威から救い出し,ご自分の愛するみ子の王国へと移してくださった』のです。―コロサイ 1:13-18。使徒 2:33,42; 15:2。ガラテア 2:1,2。啓示 22:16。
2 キリストは1914年に,より大きなどんな王国において統治を開始されましたか。
2 エホバは「諸国民の定められた時」の終わりに,キリストの王権を拡張し,それがクリスチャン会衆の外部に及ぶようにされました。(ルカ 21:24)そうです,神は1914年に,「諸国の民」,「世の王国」,つまり全人類を支配する王権をみ子にお与えになったのです。―詩編 2:6-8。啓示 11:15。
任命して「自分のすべての持ち物をつかさどらせる」
3,4 (イ)ミナに関するイエスの例えに出てくる,ある高貴な生まれの人はだれを表わしていましたか。(ロ)1918年と1919年には,王国に関して,どんな事態の進展が見られましたか。
3 ここで注目できるのは,高貴な生まれの人に関するイエスの例えです。(ルカ 19:11-27)この人は王権を確かに自分のものとするため,外国へ旅行に出るに先立ち,自分の奴隷たちに銀子(ミナ)を与え,それで仕事をするように命じました。キリストを表わしているこの人は,戻って来ると,「銀子を与えておいたこれらの奴隷」を呼び寄せました。「彼らが商取引きをしてもうけたものを確かめるためでした」。(ルカ 19:15)イエスが王権を確かにご自分のものにした後,このことはどのように進展したでしょうか。
4 即位された王イエス・キリストは,1918年に,あらかじめキリスト教世界の諸教会を離れていたクリスチャンの小さなグループが,主人の地的関心事を忙しく顧みているのをご覧になりました。イエスは火によるかのようにして彼らを精錬した後,1919年,増し加えられた権威をご自分の奴隷たちにお与えになりました。(マラキ 3:1-4。ルカ 19:16-19)イエスは彼らを任命して,『自分のすべての持ち物をつかさどらせた』のです。―ルカ 12:42-44。
『時に応じた食糧』
5,6 (イ)キリストの家令は,増し加えられたどんな割り当てを受けましたか。(ロ)1914年以降,どんな預言が成就することになっていましたか。家令級はその成就にどのように積極的にあずかることになっていましたか。
5 統治する王イエス・キリストは,地上にいるご自分の家令,つまり家の管理人に,増し加えられた割り当てをお与えになりました。油そそがれたクリスチャンたちは,地上のすべての民を支配する権威と王位を授けられた王の代理をする,神の「大使」になるはずでした。(コリント第二 5:20。ダニエル 7:14)彼ら全体に課せられていた責任は,もはやキリストの油そそがれた従者団に,『時に応じたその定めの食糧』を与えることだけではなくなりました。(ルカ 12:42)彼らは今や,1914年に王国が設立された後に成就することになっていた預言を進展させる業に積極的にあずかることになりました。
6 これは実際には何を意味していましたか。それは,「王国のこの良いたより」を宣べ伝える業を「人の住む全地」に拡大することを意味していました。(マタイ 24:14)またそれは,サタンの邪悪な体制とその支持者たちに対する裁きの強力な音信を広めることを意味していました。その音信には『諸国民を激動させる』効果がありました。そのため,キリストの「ほかの羊」である「望ましいもの」が入って来ました。(ハガイ 2:7。ヨハネ 10:16)1935年以降,世界中で「大群衆」が,群れをなしてエホバの組織に入って来るようになったのです。(啓示 7:9,10)そのために,組織の漸進的な改善が求められました。象徴的に言って,石は鉄に,木は銅に,鉄は銀に,銅は金に取って代わられることになりました。(イザヤ 60:17)このすべては,1919年以降,イエス・キリストの積極的できめの細かい指導のもとに行なわれてきました。キリストは持ち物,つまり地上における王国の関心事すべてを,忠実な奴隷級とその統治体に委ねてこられたのです。
7 家令の増し加えられた責任には何が含まれていましたか。
7 容易に理解できることですが,主人の奴隷すなわち家令,もしくは家の管理人に委ねられている責任の増し加えられたこの荷には,熱心な執筆および編集活動が含まれていました。時に応じた霊的な食糧は,「ものみの塔」誌に定期的に掲載しなければなりませんでした。1919年には「黄金時代」誌(後に「慰め」誌となり,その後「目ざめよ!」誌となった姉妹誌)が発行されるようになりました。その目的は,「家の者たち」を築き上げることに加え,一般の人々の関心を呼び起こすことでした。(マタイ 24:45)多年にわたり,書籍,小冊子,パンフレットなども洪水のように生産されてきました。
継続的な精錬
8 当初,統治体の成員は何と同じものとみなされましたか。また,「ものみの塔」誌は1944年にどんなことを述べましたか。
8 わたしたちはこの「終わりの時」を振り返り,統治体の成員が当初,ものみの塔協会の編集部員とほぼ同じものとみなされていたと聞いても驚きません。(ダニエル 12:4)「ものみの塔」誌,1944年11月1日号に掲載された「今日の神権的路線」という記事には,「聖書の啓示された真理の出版を託された人々が,主のお選びになった統治体として,霊と真理をもって神を崇拝することを望むすべての人を指導するよう,またそれらの啓示された真理を他の飢え渇く人々に広める点で一致して神に仕えるよう期待されたのも無理はない」と述べられています。
9 後に統治体は,何とほぼ同じものとみなされるようになりましたか。なぜですか。
9 雑誌や聖書研究のための他の手引きを出版することには,法的な要求が関係していました。したがって,ものみの塔聖書冊子協会が設立され,米国のペンシルバニア州に登録されました。目に見える統治体は何年もの間に,全地の主の民が必要とし,用いる聖書研究の手引きを出版するために設立されたこの法人の,7人から成る理事会と同じものとみなされるようになりました。
10,11 1944年にはどんな精錬が行なわれましたか。この点に関して,「ものみの塔」誌上でどんな注解がなされましたか。
10 協会のそれら7人の理事は忠実なクリスチャンでした。しかし,法人団体における彼らの役割からすると,統治体における彼らの立場は,ものみの塔協会の法定会員によって選出されるという事実に負っていることが示唆されていたかもしれません。さらに,そうした会員の資格や投票権は当初,法律により,協会に寄付をした特定の人だけに与えられました。この取り決めは変更する必要がありました。それは,1944年10月2日に開かれた,ペンシルバニア州の法人であるものみの塔協会の年次総会でなされました。協会の定款が改正され,会員の資格はもはや金銭に基づくものではなくなりました。会員はエホバの忠実な僕の中から選ばれることになり,ニューヨーク市ブルックリンにある協会の本部や,世界中の支部で全時間奉仕をしている多くの人が含まれるようになりました。
11 「ものみの塔」誌,1944年11月1日号はこの改善について,「金銭的寄付という形としての金銭は,決定的な発言力を持つべきではなく,実際,地上のエホバの証人の統治体を満たすことと何の関係も持つべきではない。……物事を決定し,導くべきなのは,聖霊,すなわちキリスト・イエスを通してエホバ神からもたらされる活動力である」と述べています。
理事会とは異なる
12 エホバが,統治体の指示のもとで行なわれた精錬を祝福されたことを,何が示していますか。
12 その後数十年間の宣べ伝える業の進展は,統治体に関する理解の前述の精錬過程をエホバが祝福されたことを証明しています。(箴言 10:22)1944年には13万人足らずだった全地の王国宣明者の数が,1970年には148万3,430人へと飛躍的に増加したのです。しかし,その後もさらに改善が加えられることになっていました。
13 (イ)1971年まで,統治体はどんな状況にありましたか。(ロ)1971年の協会の年次総会で,どんなことがありましたか。
13 依然として1971年まで,統治体を構成する人々は,ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会の理事会の7人の成員と同じであると考えられていました。協会の会長は,世界中にある協会の支部の働きに影響する決定を行なう責任の主要な荷を負っていました。ところが,1971年10月1日に開かれた年次総会の席上で,画期的な話が行なわれました。協会の会長は「聖なる場所を正しい状態にする」という主題で,副会長は「法人団体とは異なる統治体」という主題で話をしました。統治体と法人団体にはどのような違いがあるのでしょうか。
14 法人と統治体の間には,どんな相違がありますか。
14 すでに述べたように,ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会には,全部で7人という,人数の限定された理事会があります。それら献身したクリスチャンの男子は3年ごとに,全部で500人を超えない法人会員によって選出されます。会員の大多数は油そそがれたクリスチャンではありません。さらに,地理的に定められた本部を持つ法人の存在は全く法的なものなので,カエサルつまり国家によって解体させられる場合があります。(マルコ 12:17)しかし,統治体は法的な機関ではありません。その成員は選出されるのではなく,エホバ神とイエス・キリストの導きのもとに聖霊によって任命されます。(使徒 20:28と比較してください。)それに,統治体を構成している人たちは霊によって任命された男子であり,定められた地理上の場所,つまり本部に拘束されているわけではありません。
15 「ものみの塔」誌は1972年3月15日号の中で,組織に関してどんなことを述べましたか。現代の統治体に関してはどんなことが言えますか。
15 「ものみの塔」誌,1972年3月15日号は,そうした理解の精錬に関して,「エホバのクリスチャン証人は,これがひとりの人間の支配する宗教組織ではなくて,霊によって油そそがれたクリスチャンで成る統治体を持つものであることを知り,かつ断言できることを感謝しています」と述べました。油そそがれた奴隷級の,そしてほかの羊に属する幾百万人というその仲間たちの統治体は,監督の職を顧みるための準備を漸進的に行なってきました。
16 キリストの地的な「持ち物」は,1971年以来どのように増加しましたか。キリストが,統治体によって代表される,忠実で思慮深い奴隷級に世話を委ねたものとしては,どんなことがありますか。
16 王イエス・キリストの地的な「持ち物」は引き続き増加してゆきました。1971年当時は160万人足らずだったエホバの証人の数は急増し,1989年には370万余りの最高数に達しました。神の祝福を示す何とすばらしい証拠でしょう。(イザヤ 60:22)この増加によって,生産や分配の方法の近代化だけでなく,協会の本部や支部の施設の拡張が必要とされました。そのため,全世界で多くの王国会館や大会ホールが建てられる結果になりました。その間も統治体は,宣べ伝える業を監督したり,聖書の研究資料を生産したり,支部や地域区や巡回区や会衆の監督たちを任命したりする責任を果たし続けました。これらは,キリストが忠実で思慮深い奴隷の世話に委ねられた王国の関心事で,それらの奴隷たちはその統治体によって代表されます。
17 1971年,1974年,そして1976年には,監督の業に関するさらにどんな改善が行なわれましたか。
17 1世紀の統治体は,イエスの使徒たち以上の人々を含むまでに拡大されました。割礼の問題に関して結論が出た時,統治体には,「エルサレムにいる使徒や年長者たち」が含まれていたようです。(使徒 15:1,2)それに対応することとして,統治体は1971年に,そして1974年にも拡大されました。統治体は監督の業を容易にするため,五つの委員会が1976年1月1日から機能し始めるように取り決めました。各委員会は3人ないし6人の常任委員から成り,検討中の問題についてはすべての委員に平等の発言権が与えられています。それぞれの委員会に一人の司会者がおり,1年の任期で務めに当たります。統治体の各成員はそれらの委員会の一つかそれ以上に所属します。これら五つの委員会の各々は,キリストの地的な持ち物の特定な面に特別な注意を払います。6番目の委員会,すなわち毎年メンバーが交替する司会者の委員会は,緊急な問題が生じた際にそれを扱います。
統治体に積極的に協力する
18 統治体はどのように機能していますか。わたしたちが統治体と協力していることを表わせる一つの方法は何ですか。
18 統治体のこれらの委員会は週に一度会合を持ち,重要な問題を検討し,祈りのうちに考慮してから決定を下し,将来の神権的な活動を計画します。先に注目したように,使徒 15章には,解決を必要とする重大な問題が1世紀の統治体に提出されて考慮されたことが示されています。同様に今日でも,重要な問題は,週に一度,あるいは必要ならもっと頻繁に集まる統治体全員の前に提出されます。統治体の成員は現在12名ですが,聖書と祈りを通してエホバ神の指示を求めます。わたしたちが統治体と協力していることを表わす一つの方法は,毎日の祈りの中で,これら特別な任命を受けた人々のことを思い出すことです。―ローマ 12:12。
19 統治体の指示は,どのように諸会衆に届けられますか。
19 統治体の指示や決定はどのように諸会衆に伝えられるのでしょうか。1世紀の統治体の成員は,神の霊の助けを得て決定を下した後,諸会衆に手紙を送りました。(使徒 15:22-29)しかし,今日の主要な方法となっているのは,キリスト教の出版物です。
20 (イ)1976年には,組織上のさらに別のどんな精錬が行なわれましたか。(ロ)支部委員会はどのように統治体と協力しますか。
20 1976年2月1日以降,ものみの塔協会の各支部には,統治体の任命した有能な男子から成る支部委員会が置かれています。それらの兄弟たちは,支部の監督下にある一つ以上の国や地域に関して統治体を代表する者として,忠実かつ忠節な男子でなければなりません。このことは,古代イスラエルの民を裁くモーセを助けた,有能で神を恐れ,信頼できる男子を思い起こさせます。(出エジプト記 18:17-26)支部委員会の成員は,協会の書籍,雑誌,「わたしたちの王国宣教」,それに全般的な手紙や地元の問題を扱った特別の手紙を通して与えられる指示を実行します。支部委員会は,それぞれの国の業の進展や,生じ得る問題に関して,統治体に常に最新の情報を知らせています。世界中から寄せられたそれらの報告は,統治体が協会の出版物の中でどんな事柄を考慮したらよいかを決めるのに役立ちます。
21 旅行する監督はどのように任命されますか。彼らの務めには何が含まれますか。
21 支部委員会は聖霊の導きのもとに,巡回および地域監督として仕える円熟した霊的な男子の推薦を行ないます。彼らは統治体から直接任命された後,旅行する監督として仕えます。それらの兄弟たちは,兄弟たちを霊的に築き上げるために,また兄弟たちが統治体から与えられた指示を適用するよう助けるために,巡回区や会衆を訪問します。(使徒 16:4; ローマ 1:11,12と比較してください。)旅行する監督たちは支部事務所に報告を送ります。また,聖霊と,霊感による聖書の助けを得て,地元の長老と共に,統治体もしくはその代表者たちによって奉仕の僕や長老として任命される資格を備えた兄弟たちの推薦を行ないます。―フィリピ 1:1。テトス 1:5。テモテ第一 3:1-13; 4:14と比較してください。
22 (イ)会衆の長老はどのように統治体と協力しますか。(ロ)エホバがこの神権的な取り決めを祝福しておられることを,何が証明していますか。
22 次いで,長老団を構成する人たちは,『自分自身と群れのすべてに注意を払います。聖霊が彼らをその群れの中に監督として任命したのです』。(使徒 20:28)それらの監督たちは,忠実で思慮深い奴隷とその統治体を通してエホバ神およびイエス・キリストから与えられた指示を忠実に適用するよう努めます。エホバはこの神権的な取り決めを祝福しておられます。『諸会衆は信仰において堅くされ,日ごとに人数を増している』からです。―使徒 16:5。
23 統治体に関して,わたしたちは何をする決意を抱くべきですか。
23 エホバ神と主人であるイエス・キリストが,統治体を通して神の民に対する支えを表明しておられるのは,何とすばらしいことなのでしょう。(詩編 94:14)わたしたちはエホバの組織の一員として,そのような支えから個人的に益を得ています。(詩編 145:14)このことは,神の取り決めに協力するというわたしたちの決意を強めるはずです。「水が海を覆っているように,地は必ずエホバについての知識で満ちる」時に向かって前進するわたしたちは,是非とも,エホバの証人の統治体と協力する者として,常に見いだしていただきたいものです。―イザヤ 11:9。
覚えたい要点
□ 家令級は1919年に,増し加えられたどんな責任を与えられましたか
□ 目に見える統治体は長年にわたり,何と同じであるとみなされてきましたか
□ 統治体の成員を任命することに関して,漸進的にどんな精錬が行なわれてきましたか
□ キリストが奴隷級とその統治体に委ねてきた,ご自分の地的な持ち物としては,どんなものがありますか
□ わたしたちはどのように統治体と協力できますか
[16,17ページの図版]
統治体はニューヨーク市ブルックリンの世界本部から,ものみの塔協会の93の支部で行なわれている,エホバの証人の出版活動と宣べ伝える業を監督している
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