17. 神の力について考えるとどんな気持ちになりますか。どんな感情を抱く必要はありませんか。
17 力がある神を畏れるのは,自然なことです。神の偉大な力について思い巡らすと,前の章で少し考えたように神を心から敬いたいという気持ちになります。聖書にも,「知恵はエホバを畏れることから始まる」と書かれています。(詩編 111:10)とはいえ,力があるからといって神に恐怖を感じたり,近づくのをためらったりする必要はありません。
18. (ア)多くの人が権力者を信頼していないのはどうしてですか。(イ)エホバが絶対に力を悪用しないと言えるのはどうしてですか。
18 「力は腐敗しやすく,絶対的な力は絶対に腐敗する」。これは,1887年に英国のアクトン卿という人が書いた言葉です。この言葉が何度も引用されてきたことからすると,その通りだと思っている人が多いのでしょう。不完全な人間が往々にして力を悪用することは,歴史を通じて明らかです。(伝道の書 4:1; 8:9)そのため,多くの人は権力者を信頼せず,距離を置いています。では,絶対的な力を持つエホバは,その力を悪用したりするでしょうか。絶対にしません。すでに考えたように,エホバは聖なる方なので,決して悪に染まることはありません。この腐敗した世の中で力を持っている不完全な人たちとは違うのです。
19-20. (ア)エホバは力を使う時,常にどんな性質も表しますか。そのことを考えると安心できるのはどうしてですか。(イ)エホバをどんな人に例えられますか。エホバのどんなところに引き付けられますか。
19 エホバは単に力がある神なのではありません。公正さや知恵や愛も持っています。そして,機械的に一度に1つの性質しか表せないような,柔軟性のない方ではありません。続く幾つかの章で考えますが,力を使う時にも常に公正さや知恵や愛を表します。さらに,世の中で力を持っている多くの人とは違い,自分を制することができます。
20 とても体が大きくて強そうな権力者に会ったところを想像してみてください。最初は怖そうだと感じますが,そのうち穏やかな人だと分かります。その人はいつも,自分の力で人々を助けたい,特に弱い立場の人を守りたい,と思っています。力を悪用することは決してありません。中傷されても毅然としていて,品位があり,親切です。力があるのに穏やかで自制心があるそのような人に,引き付けられるのではないでしょうか。そうであれば,全能の神エホバにはなおのこと引き付けられるはずです。この章の主題の聖句によると,「エホバはすぐに怒らず,偉大な力を持って」います。(ナホム 1:3)エホバは力がありますが,温和で親切な方です。悪いことをする人がいても,怒りに任せてすぐに処罰したりはしません。人々が何度も悪事を働いたり反逆したりしても「すぐに怒ら[ない]」ことが,歴史からも分かります。(詩編 78:37-41)
21. エホバが人を無理やり従わせたりしないのはどうしてですか。そのことからエホバについてどんなことが分かりますか。
21 エホバが自分を制することについて,別の角度からも考えてみましょう。人は大きな力を持つと,他の人を従わせたくなるかもしれません。でもエホバは,無限の力があるにもかかわらず,人を無理やり従わせたりはしません。一人一人を尊重し,自分に仕えて永遠の命を得るかどうかを選べるようにしています。もちろん,選択を間違えるとどうなるか,良い選択をするとどんな報いがあるかを教えてくれていますが,選択そのものは私たちに任せています。(申命記 30:19,20)エホバは,人が強制されて嫌々仕えたり,圧倒的な力への恐怖心から仕えたりすることを望んでいません。愛の気持ちから喜んで仕えてほしいと思っています。(コリント第二 9:7)
22-23. (ア)エホバが喜んで他の者に力を与えることが,どんなことから分かりますか。(イ)次の章ではどんなことを考えますか。
22 全能の神が近づきにくい存在ではないと言える理由を,最後にもう1つ考えましょう。権力を持つ人は,ほかの人に権力を与えることを渋りがちです。でもエホバは,子であるイエスにかなりの権威を与えていて,自分を崇拝する忠実な人たちにも喜んで権限を与えます。(マタイ 28:18)エホバが自分に仕える人たちにさらにどのように力を与えるかについて,聖書にこう書かれています。「エホバ,あなたは偉大で力強く,美しくて輝かしく,威厳に満ちた方です。天と地にあるものは全てあなたのものです。……あなたの手には力と強さがあり,あなたの手はあらゆるものを偉大にして強くすることができます」。(歴代第一 29:11,12)
23 この聖句にあるように,エホバは私たちを強くしてくれます。「普通を超えた力」を与えるとも約束しています。(コリント第二 4:7)極めて強い力をいつも愛情深く理性的に使う神に,引き付けられるのではないでしょうか。次の章では,エホバが創造するためにどのように力を使うかに注目します。