つらいことや苦くるしいことが多おおいのはどうして？

 1，2. 悲ひ惨さんなことが起おきると，どう思おもうかもしれませんか。

世せ界かいでは悲かなしいことがたくさん起おきています。地じ震しんで町まちが壊かい滅めつし，大おお勢ぜいの人ひとが家いえを失うしないます。男おとこが銃じゅうを乱らん射しゃし，多おおくの命いのちを奪うばいます。若わかい母はは親おやががんになり，子こ供どもたちを残のこして亡なくなります。

² こういう悲ひ惨さんなことが起おきると，「どうして？」と思おもうかもしれません。あなたも，世せ界かいにはどうしてこんなに悪わるいことが多おおいのだろうと思おもったことがありますか。

 3，4. （ア）ハバククは神かみにどんなことを尋たずねましたか。（イ）エホバは何なんと答こたえましたか。

³ 聖せい書しょにも，そういう疑ぎ問もんを持もった人ひとのことが書かかれています。例たとえば，預よ言げん者しゃハバククは神かみへの強つよい信しん仰こうを持もっていましたが，エホバにこう尋たずねました。「私わたしに悪あく事じを見みさせるのはどうしてですか。圧あっ制せいを見み過すごしておられるのはどうしてですか。私わたしの前まえに破は壊かいや暴ぼう力りょくがあるのはなぜですか。口こう論ろんや争あらそいがあまりにも多おおいのはなぜですか」。（ハバクク 1:3）

⁴ 神かみは何なんと答こたえたでしょうか。ハバクク 2章しょう2，3節せつで，このままにはしておかない，悪わるいことをなくす，と神かみは約やく束そくしました。エホバは人ひと々びとを心こころから愛あいしています。「神かみは優やさしく気き遣づかってくださる」と聖せい書しょは言いっています。（ペテロ第だい一いち 5:7）神かみは世せ界かいの様よう子すを見みて，私わたしたち以い上じょうに心こころを痛いためています。（イザヤ 55:8，9）では，世せ界かいにつらいことや苦くるしいことが多おおいのはどうしてか，調しらべてみましょう。

 5. 世よの中なかの悲ひ惨さんな出で来き事ごとについて，どんなことを言いう人ひとがいますか。聖せい書しょは何なんと言いっていますか。

⁵ 何なにか良よくないことが起おきると，「神かみ様さまがそう望のぞんだ」と教おしえる人ひとたちもいます。たとえ悲ひ惨さんな出で来き事ごとでも全すべては神かみが前まえもって決きめたことで，私わたしたちにその理り由ゆうは分わからない，と教おしえます。幼おさない子こ供どもが亡なくなると，「神かみ様さまが天てんに呼よんだのです」と言いう人ひともいます。でも，本ほん当とうはそうではありません。エホバは悪わるいことを起おこしたりはしません。聖せい書しょは，「真しんの神かみが悪あくを行おこなったり，全ぜん能のう者しゃが不ふ正せいを行おこなったりすることなどあり得えません！」と言いっています。（ヨブ 34:10）

 6. どんな誤ご解かいがあると，世よの中なかの悪わるいことは神かみのせいだと思おもうかもしれませんか。

⁶ 神かみが世せ界かいを治おさめていると思おもっているために，世よの中なかの悪わるいことを全ぜん部ぶ神かみのせいにする人ひともいます。でも，3章しょうで考かんがえたように，世せ界かいを支し配はいしているのは神かみではなく，悪あく魔まサタンです。

 7，8. 世よの中なかにつらいことや苦くるしいことが多おおいのはどうしてですか。

⁷ 「全ぜん世せ界かいは邪じゃ悪あくな者ものの支し配はい下かにあります」と聖せい書しょは教おしえています。（ヨハネ第だい一いち 5:19）サタンは凶きょう暴ぼうで残ざん酷こくで，「全ぜん世せ界かいを惑まどわして」います。（啓けい示じ 12:9）世せ界かいに不ふ正せいや暴ぼう力りょくや犯はん罪ざいが多おおい理り由ゆうの1つは，人ひと々びとがサタンの影えい響きょうを受うけているからです。

⁸ 世よの中なかにつらいことや苦くるしいことが多おおいのには，他ほかの理り由ゆうもあります。アダムとエバが神かみに逆さからったため，私わたしたち子し孫そんは罪つみを受うけ継ついでいます。人にん間げんはみんな間ま違ちがったことをする性せい質しつを受うけ継ついでいるということです。この性せい質しつのせいで問もん題だいが生しょうじます。人ひとより上うえに立たとうとして，争あらそったり，戦たたかったり，抑おさえ付つけたりするのです。（伝でん道どう 4:1; 8:9）悲ひ惨さんなことがある別べつの理り由ゆうは，「思おもいも寄よらないことがいつ誰だれにでも起おきる」ということです。（伝でん道どう 9:11）たまたまタイミングが悪わるくその場ば所しょにいたために，事じ故こなどに遭あうことがあります。

 9. 悪わるいことが起おきるのを神かみが止とめないことには何なにか理り由ゆうがあるはずです。どうしてそう言いえますか。

⁹ エホバが悲ひ惨さんなことを起おこす，ということはありません。戦せん争そうも犯はん罪ざいも暴ぼう力りょくも神かみのせいではありません。地じ震しんも台たい風ふうも洪こう水ずいも神かみのせいではありません。でも，こう思おもうでしょうか。「エホバが宇う宙ちゅうで最もっとも力ちからが強つよい方かたなら，どうして悪わるいことが起おきるのを止とめないのだろう」。神かみは人にん間げんのことをとても大たい切せつに思おもっています。悪わるいことが起おきるのを止とめないことには，きっと何なにか理り由ゆうがあるに違ちがいありません。（ヨハネ第だい一いち 4:8）

10. サタンはエホバをどのように非ひ難なんしましたか。

¹⁰ エデンの園そので，悪あく魔まサタンはアダムとエバを惑まどわしました。サタンは，神かみの統とう治ちは良よくないと言いいました。神かみはアダムとエバに良よいものを与あたえない悪わるい統とう治ち者しゃだ，と非ひ難なんしたのです。サタンは2人ふたりにこう思おもわせようとしていました。「エホバよりサタンの方ほうが良よい統とう治ちをしてくれる。神かみなんか必ひつ要ようない」。（創そう世せい 3:2-5。補ほ足そく情じょう報ほう29を参さん照しょう。）

11. エホバはどんなことを証しょう明めいしますか。

¹¹ アダムとエバはエホバに従したがうのをやめ，逆さからいました。何なにが正ただしくて何なにが悪わるいかを決きめる権けん利りは自じ分ぶんたちにある，と考かんがえたのです。エホバは，2人ふたりが間ま違ちがっていること，人にん間げんにとって何なにが一いち番ばん良よいかを神かみは知しっているということをどうやって証しょう明めいするでしょうか。

12，13. （ア）エホバが2人ふたりをすぐに処しょ刑けいしなかったのはどうしてですか。（イ）神かみがサタンに世せ界かいを支し配はいさせ，人にん間げんにも政せい府ふをつくらせることにしたのはどうしてですか。

¹² エホバは2人ふたりをすぐに処しょ刑けいすることはしませんでした。子し孫そんを持もつことを許ゆるし，誰だれに治おさめてもらうかを子し孫そんたちに選えらばせることにしました。悪あく魔まが何なにをしようと，神かみは地ち球きゅうと人にん間げんについて決きめたことを必かならず実じつ現げんさせます。最さい終しゅう的てきには，神かみが最さい初しょに考かんがえていた通とおり，楽らく園えんになった地ち球きゅうで人ひと々びとがいつまでも暮くらすようになります。（創そう世せい 1:28。イザヤ 55:10，11）

¹³ サタンは，たくさんの天てん使したちの前まえでエホバを非ひ難なんしました。（ヨブ 38:7。ダニエル 7:10）それでエホバはサタンに，その非ひ難なんが正ただしいかどうかを証しょう明めいする時じ間かんを与あたえました。サタンに世せ界かいを支し配はいさせてみることにしたのです。人にん間げんにも，サタンの支し配はい下かで政せい府ふをつくって自じ分ぶんたちでやってみる時じ間かんを与あたえました。そうすれば，神かみの助たすけがなくてもうまくやっていけるかどうかが明あきらかになります。

14. どんなことが証しょう明めいされてきましたか。

¹⁴ 何なん千ぜん年ねんにもわたって，人にん間げんは自じ分ぶんたちの力ちからで社しゃ会かいを治おさめようとしてきました。でも，全まったくうまくいっていません。サタンが言いっていたことはうそでした。人にん間げんには神かみの助たすけが必ひつ要ようです。預よ言げん者しゃエレミヤが言いっている通とおりです。「エホバ，私わたしはよく知しっています。人ひとは自じ分ぶんの道みちを定さだめることができません。自じ分ぶんで自じ分ぶんの歩あゆみを導みちびくことができないのです」。（エレミヤ 10:23）

15，16. （ア）エホバが長ながい間あいだ，悪わるいことを止とめずにいるのはどうしてですか。（イ）サタンが引ひき起おこした問もん題だいをエホバが解かい決けつしなかったのは，どうしてですか。

¹⁵ エホバがこれほど長ながい間あいだ，悪わるいことが起おきるのを止とめずにいるのはどうしてでしょうか。サタンの支し配はいが良よくないことが証しょう明めいされるには，時じ間かんが必ひつ要ようです。人じん類るいはいろいろな政せい治じ制せい度どを試ためしてきましたが，どれもうまくいっていません。どんなに科か学がく技ぎ術じゅつが進しん歩ぽしても，不ふ正せい，貧ひん困こん，犯はん罪ざい，戦せん争そうはなくならず，逆ぎゃくに増ふえています。人にん間げんは自じ分ぶんたちの力ちからで社しゃ会かいをうまく治おさめることはできないのです。

¹⁶ エホバは，サタンが引ひき起おこした問もん題だいを解かい決けつすることはしませんでした。解かい決けつしてしまうと，サタンの支し配はいをサポートすることになるからです。それに人にん間げんも，自じ分ぶんたちの力ちからでうまくやっていけると思おもってしまいます。人にん間げんに神かみの助たすけは要いらないとサタンは言いいましたが，それはうそです。エホバはうそが本ほん当とうだと思おもわせるようなことはしません。絶ぜっ対たいにうそをつかない方かただからです。（ヘブライ 6:18）

17，18. サタンの反はん逆ぎゃくによって生しょうじた悪わるいことをエホバはどうしますか。

¹⁷ エホバは，サタンと人にん間げんの反はん逆ぎゃくによって生しょうじた悪わるいことをなくすことができないのでしょうか。そんなことはありません。神かみにできないことなどありません。エホバは，サタンの非ひ難なんが間ま違ちがっていることが完かん全ぜんに証しょう明めいされたと言いえる時とき，行こう動どうします。最さい初しょの考かんがえ通どおり，地ち球きゅう全ぜん体たいを楽らく園えんに変かえるのです。「記き念ねんの墓はかの中なかにいる人ひとが皆みな」復ふっ活かつします。（ヨハネ 5:28，29）病びょう気きや死しはもうありません。エホバからの指し示じで，イエスが「悪あく魔まの行おこないを終おわらせ」ます。サタンが引ひき起おこした悪わるいことをイエスが全ぜん部ぶなくします。（ヨハネ第だい一いち 3:8）エホバがこれまで，行こう動どうするタイミングを辛しん抱ぼう強づよく待まってくれたので，私わたしたちはエホバについて知しることができました。サタンではなくエホバに治おさめてもらうことを選えらべるようになりました。（ペテロ第だい二に 3:9，10を読よむ。）つらいことや苦くるしいことがあっても頑がん張ばっていけるよう，エホバは助たすけてくれます。（ヨハネ 4:23。コリント第だい一いち 10:13を読よむ。）

¹⁸ エホバに治おさめてもらうことを選えらぶよう，エホバが私わたしたちを強きょう制せいすることはありません。私わたしたちはエホバから自じ由ゆう意い思しを与あたえられています。その自じ由ゆうがどれほど素す晴ばらしいものか，考かんがえてみましょう。

19. 私わたしたちはエホバから何なにをもらっていますか。それはどれほど素す晴ばらしいことですか。

¹⁹ 私わたしたち人にん間げんには，エホバからもらった自じ由ゆう意い思しがあります。動どう物ぶつとは違ちがいます。動どう物ぶつは本ほん能のうで行こう動どうしますが，私わたしたちはどう生いきるかを自じ分ぶんで選えらべます。エホバに喜よろこばれる生いき方かたをするかどうかも自じ分ぶんで選えらべます。（格かく言げん 30:24）私わたしたちはロボットでもありません。何なにをするかプログラムされてはいません。どんな人ひとになるか，どんな人ひとと友とも達だちになるか，どんな生いき方かたをするかを選えらぶ自じ由ゆうがあります。生いきることを楽たのしんでほしいとエホバは思おもっています。

20，21. 私わたしたちにはどんな自じ由ゆうがありますか。

²⁰ エホバは私わたしたちのお父とうさんのようです。私わたしたちに愛あいされたいと思おもっています。（マタイ 22:37，38）子こ供どもが心こころから「お父とうさん，大だい好すき」と言いうと，お父とうさんはとてもうれしく思おもいます。でも無む理りやりそう言いわされているなら，お父とうさんはうれしくありません。エホバも同おなじです。私わたしたちが心こころからエホバを愛あいすると，エホバはとてもうれしく思おもいます。エホバを愛あいするかどうかは，私わたしたちの自じ由ゆうです。サタンとアダムとエバは，エホバを裏うら切ぎりました。あなたはどうしますか。

²¹ ぜひエホバを愛あいする生いき方かたを選えらんでください。大おお勢ぜいの人ひとがサタンにきっぱり背せを向むけ，神かみに喜よろこばれる生いき方かたを選えらんでいます。（格かく言げん 27:11）もうすぐ世せ界かいは新あたらしくなり，つらいことも苦くるしいことも全すべてなくなります。では，その時ときそこにいるために，今いま何なにができるでしょうか。次つぎの章しょうで考かんがえましょう。