お酒を飲む量や頻度について,周りの人に影響されて決めるのは危険です。私たちは食べることや飲むことについても,エホバに喜ばれることを行いたいと思っています。聖書には,「食べるにしても,飲むにしても,ほかのどんなことをするにしても,全てのことを神の栄光のためにしましょう」と書かれています。(コリ一 10:31)どんな聖書の言葉が役立つでしょうか。幾つかの点を自己分析してみましょう。
周りに合わせるために飲んでいるだろうか。出エジプト記 23章2節には,「群衆に従ってはならない」と書かれています。イスラエル人は,エホバに喜ばれないことを行っている人たちに従わないようにと警告されていました。これは現代の私たちにも当てはまる良いアドバイスです。お酒について周りの人と同じような考え方や決定をするようになるなら,やがてエホバの基準に従わなくなり,エホバとの絆を失ってしまうかもしれません。(ロマ 12:2)
かっこよく見せようとして飲んでいるだろうか。ある文化圏ではお酒をたくさん飲むことはよくあることで,特に問題視はされていません。(ペテ一 4:3)では,聖書はどんな見方を教えているでしょうか。コリント第一 16章13節では次のように勧められています。「目を覚ましていましょう。信仰を持ってしっかり立ちましょう。勇敢に行動し,強い人になってください」。お酒を飲むと,強い人になれるのでしょうか。いいえ。それどころか,思考力や判断力が鈍り,愚かな行動をしてしまうこともあります。それで,お酒をたくさん飲むのはかっこいいこととはいえません。イザヤ 28章7節には,お酒のせいで堕落した人がよろめいたり,間違った判断をしたりするとあります。
正しいことを行うために必要な強さは,エホバが与えてくださるものです。本当に強い人は目を覚まし,信仰を持ってしっかり立つことができます。(詩 18:32)そのためには,危険に注意し,エホバとの友情を壊すようなことをきっぱり避ける必要があります。イエスは,地球で人間として生活していた時,勇気を持っていつでも正しいことを行ったので,多くの人から尊敬されました。
現実逃避のために飲んでいるだろうか。詩編作者はこう書きました。「心配事で圧倒されそうな時,あなた[エホバ]は私を安心させ,落ち着かせてくださった」。(詩 94:19)問題に押しつぶされそうになっているなら,お酒にではなくエホバに頼るようにしましょう。たくさん祈るなら,不安を和らげることができます。信頼できる兄弟姉妹にアドバイスを求めることも助けになります。お酒に頼って問題を解決しようとしても,うまくいくことはありません。正しいことをしようという決意が弱まってしまうからです。(ホセ 4:11)先ほど出てきたダニエル兄弟はこう言っています。「不安や罪悪感から解放されたくてお酒を飲みました。でも,問題はなくなるどころかどんどん増えていき,友達も失いました。自尊心はぼろぼろでした」。その後,兄弟はどうなったでしょうか。こう言っています。「自分に必要だったのはお酒ではなくエホバの助けだ,ということに気付きました。エホバのおかげで問題を乗り越えることができました」。希望がないように思える状況でも,エホバは私たちを必ず助けてくださいます。(フィリ 4:6,7。ペテ一 5:7)
時々お酒を飲んでいるなら,次の点を考えてみましょう。「家族や友達から,お酒の飲み方について心配されているだろうか」。もしそうなら,自分では気付いていなくても,飲み過ぎている可能性があります。「前より飲む量が増えているだろうか」。そうであれば,お酒に依存し始めているのかもしれません。「お酒を飲めない日が数日間でも続くと耐えられないだろうか」。もしそうなら,すでにお酒から抜け出せなくなっている可能性があります。その場合,克服するために専門家に相談する必要があるかもしれません。
飲酒によってこうした問題が起きる可能性を考えて,お酒を一切飲まないことにしているクリスチャンもいます。また,そもそも味が好きではないので飲まない人もいます。それで,一緒にいる誰かがお酒を飲まないことにするとしても,あれこれ言うのではなく,その人の決定を尊重するようにしましょう。
お酒をどれぐらい飲むかを決めておくのが助けになると感じている人もいます。また,お酒を飲む頻度を決めておくことも役立つかもしれません。例えば,1週間に1度とか,食事の時に適度に飲むといった具合です。飲むお酒の種類を決めている人もいます。ワインやビールは飲んでも,アルコール度数の高いものはほかの飲み物と割ったものであったとしても,飲まないかもしれません。はっきりと限度を決めておくなら,飲み過ぎないように守られます。クリスチャンとして成長した人は,他人の目を気にせず,自分の決めたルールを守り抜くことができるでしょう。
ほかの人の気持ちを考えることも大切です。ローマ 14章21節には,「肉を食べることやぶどう酒を飲むことなど,兄弟に過ちを犯させるような事柄は何も行わないのがよいでしょう」とあります。この言葉に沿って愛を示しましょう。例えば,お酒を飲むと嫌な気持ちになる人がいるかもしれないと思うなら,その時はお酒を飲まないことにできるかもしれません。そのようにして,ほかの人の気持ちを尊重し,自分ではなく人のためになることを優先できます。(コリ一 10:24)
さらに,クリスチャンはお酒に関して政府が定めている法律に従います。政府によっては年齢制限を定めていたり,お酒を飲んだ状態で運転したり機械を操作したりすることを禁じている場合があります。(ロマ 13:1-5)
エホバは私たちにたくさんの贈り物を与え,それを自由に楽しめるようにしてくださっています。私たちは,何を食べ,何を飲むかを自分で自由に決めることができます。では,この自由を天のお父さんエホバに喜んでもらえるような仕方で使い,エホバからの贈り物を大切にしていることを示していきましょう。