世界展望
ナイジェリアの「地に平和」大会
◆ ナイジェリアのイレシャで開かれた「地に平和」大会の公開講演に,9万7,218人もの大群衆が出席した。大会では17か国語が使用され,言語によりプログラム全部を取り上げたり,一部を削ったりした。バプテスマを受けた人は3,425人。大会に関する新聞・ラジオの報道は申しぶんのないものであった。軍当局は大会会場に向かう貸し切りおよび個人乗り物を,夜間いつでも通すようにと,路上の全防塁に指令した。大会はナイジェリア・ビアフラ間の対立が決着する少し前に開かれた。この大会で,「とこしえの命に導く真理」と題する聖書の手引きが,ヨルーバ語とエフィク語で発表されたが,大会参加者が全部求めたため,在庫切れとなった。
盗まれる高価な物品
◆ 去る11月中旬,ローマのサン・ピエトロ寺院の記念品売り場で,盗難があった。バチカンの高価なスタンプや硬貨,それに,金額は明らかにされていないが,現金も盗まれた。ニューヨーク・タイムズ紙の明らかにしたところによると,この盗難事件は事件の12日後にイタリアの新聞が取り上げ,さらに,バチカン宮殿内の法王パウロ6世の個室から,高価な絵画が盗まれたことを報じたが,バチカン当局はこの報告を否定した。ニューヨーク・タイムズ紙は,また,最近起こった別の事件も伝えているが,それによると,一人の若いドイツ人観光客が高壇の近くにある法王ピオ6世の彫像の大理石の手を打ちこわし,バチカンの護衛兵に逮捕された。この青年は,ローマ・カトリック教会が核保有国と同盟を結んだことに対して抗議したもの,と言われている。
動物1匹当たりの値段
◆ 米カリフォルニア州のある動物園が,最近破産し,動物を競売に付した。落札価格は日本円に換算して次のとおり。オランウータン1頭360万円。雌のかば108万円。双峰らくだ961万2,000円。にわとり1羽540円。
神に対する信仰
◆ ドイツ生まれの宇宙科学者ウエルナー・V・ブラウン博士は最近,「科学の進歩を否定する神学者を解せないのと同様に,宇宙の存在の背後にある,ひいでた理性を認めない科学者を理解」しかねると話したとのことである。かれはさらに次のように語った。「有人宇宙飛行は驚くべき偉業に違いないが,それは,畏敬の念を呼び起こす宇宙の広がりを見渡す,ちっぽけな戸口が開かれたにすぎない。そののぞき穴から宇宙の壮大な神秘をかいま見るとき,その創造主に対するわれわれの信仰は強められるばかりである」。
「代用血液」
◆ シンシナチ大学医学センターのルランド・C・クラーク博士は,「血の代用液」を開発した。これは将来,外科医療に多大の益をもたらすことになろう。1969年11月号,「今日の健康」誌は,次のように報じた。「この人造代用血液は,溶解血しょうの20倍もの酸素を運搬できる。この新液を使用すると,肝炎その他の病気に感染する危険はなく,血液型の検出も適合型の調査もいらない,と同博士は語った」。代用血液は安く生産でき,保存も可能である。
多年に及ぶDDTの害
◆ 殺虫剤DDTが明日禁止されるようなことがあっても,この殺虫剤が米国内にもたらした害をぬぐい去るには,「10年以上の歳月を要するであろう」と,米国の保健教育厚生省長官ロバート・H・フィンチは語った。
性別がつかない
◆ 最近,米国アトランチックシチー市の警察は,一人の少女を少年とまちがえたことを認めた。窃盗罪に問われて,アトランチックシチー市の刑務所・男子拘置場に拘留された,チャールス・A・ネフスという囚人は,実は本名フィリス・カチャーという17歳の少女であることが判明した。警察署長アルバート・ウィルソンは,「最近は,性別がつかなくなりました」とそっけなく答えた。その囚人が女であることは,拘留8日後,アトランチックシチー病院で行なわれた身体検査の際にわかった。
危機に面した教会
◆ アメリカのある地方新聞の報道によると,カリフォルニア州パシフィカ市にある教会は,それぞれ深刻な問題をかかえている。会員数は増加しないし,献金は少額である。資金不足で,抵当・僧職者の俸給・海外宣教師団,大司教や本部に対する支払いができない。幾つかのルーテル教会は,次のような対策を講じている。有給僧職者の全廃と教会の建物の売却。社会的に活躍している人のみを教会員として認める。商店・銀行・劇場などで集会を開く。会衆に説教と礼拝を受け持たせる。僧職者を一般人と同様に定職につかせる。そうした改革が実施されないかぎり,地方の小さな教会は廃止されてしまうだろう,と考えられている。
高地でも元気おう盛
◆ 推定によると,ペルーの人口1,200万人のうち半数は,標高4,500メートル以上の高地で生活している。ボリビア人も大半が,同じような高地で生活している。アンデス山脈の高地に住むインディオは,標高5,200メートルもの銅山で働くことができる。普通の人なら呼吸も満足にできないばかりか,つるはしを振ることなど考えられない高度である。かれらは,サッカーをしたり,重労働に従事したりして海面と同じ高さの平地で生活する人に負けないくらいなんでもやれる。標高4,500メートル以上の高地に住む何百万人ものペルー人の間で,心臓発作は知られざる病気といってよいだろう。この高度では,飛行機の操縦士でさえ酸素給入を受ける者が多い。初めてペルーの高地にくる人は,しばしば激しい頭痛,吐きけ,鼻血,息切れを経験する。
等級「G」の映画
◆ 映画企業の自主検閲・規正団体であるアメリカ映画協会は,最近封切られた映画に「一般(General)」向きを意味する「G」の等級を指定した。この等級に指定された映画は,小学生からおばあさんまで家族全員が楽しめる健全なもの,ということになっている。この映画は,おおかたの映画評論家たちから好評を博した。しかし,「ニューズフロント」誌によると,上映開始後5分たたないうちに,スクリーンで男が射殺された。それから,3人の絞殺,身体の切断,刃物による殺人,大ぜいの襲撃,もう一件の射殺,頭がい骨の粉砕,馬上でのピストルによる決闘,別の襲撃,へびにかまれるシーン,そして最後の撃ち合いなどの場面が続いたそうである。こういう映画が「G」に指定されるなら,「X」(入場制限)に指定されるものはいったいどんな映画であろうか。
「自殺行為」
◆ 米国ミズリー州セントルイス市にあるワシントン大学の生態学者バリー・コモナー博士は,人間の環境にみられる化学的均衡が崩壊されてしまったことについて,米国の現状は抜き差しならないところまできており,その「自殺行為」を思いとどまらせるには,あと一世代を残すのみであると警告した。コモナー博士は,自然界における窒素の循環,ニューヨークの港での細菌問題,イリノイ州の河川の汚濁などを,致命的な「破壊」がなされうる兆候であると指摘した。
人気の衰えない家族
◆ 一般的な定義によると,家族は父・母・子どもたちから構成されている。米国の人口は約2億であるが,その家族数は概算5,000万である。この数は1960年に実施された人口調査のときの数を約500万上回る。近年における結婚件数のもっとも多かった年は1968年で,210万の新家族が誕生した。この数を上回ったのは1946年で過去に一度あっただけである。1967年にはアメリカ総人口の92%,そして18歳未満では99%に相当する人々が,家族とともに生活した。アメリカの家族の大きさは平均3.7人で,現在これだけの人が血縁・婚姻関係をとうして,一つの家族を構成している。
高くつく騒動
◆ 昨年カナダのモントリオールで,警察官と消防団員がストを行なったが,そのときの騒動は膨大な被害をもたらした。警官の非常動員に要した費用と建物の損害は,合計41億7,600万円余と一部では推定している。もっとも高い損害を出したのは,学生によるサー・ジョージ・ウィリアムズ大学の占拠であった。警官が学園に導入され,学内に立てこもった学生たちは応戦した。乱闘収拾後,被害額が推定されたが,損害は10億8,000万円以上とされている。
ベトナムに売春婦
◆ ベトナム在留アメリカ陸軍医療団の最高責任者であるディビッド・E・トマス准将は,南ベトナム各地に設置されている物品販売店が,米軍兵士のために売春のあっせんをしてはどうかと提案した。彼の話を引用すると,次のようである。「物品販売システムの一環として,軍隊が売春施設の運営を許されるなら,性病を最小限に減らすことができるだろう。しかも軍隊としては,その運営を監督しさえすればよい」。聖書にしるされている道徳規準を無視するため,毎年4万ないし4万5,000人のアメリカ兵が,ベトナムで性病にかかる。
犯罪の増加
◆ 米国における1960年代の犯罪は,「人口増加率を上回ること11対1の比であった」,とJ・E・フーバーは報告した。彼は「この傾向が弱まるけはいは現在のところないし,特に凶悪犯罪が激増するであろう」,と判断している。フーバーにとって特に困惑の種となっているのは,徐々に,「相互の尊敬・容認・理解の上になりたつ法の権威が失われつつある」という実状である。聖書が末の世に起こることとして,テモテ後書 3章1節から5節に預言しているのはまさにこの状態である。
赤面させられたバチカン
◆ 86歳になるイタリアの画家,ルイギ・カルネバリは,1年前に毛沢東の写真を見て,彼の絵をかく気になった。それは毛沢東の青年時代の写真であった。カルネバリは自分の書いた絵を友人に貸した。ところが驚いたことに,その絵が今ではバチカンにあることがわかった。バチカン当局は,描かれている青年が中国式の長い上着をきていることから,司祭に似ていると判断して,新聞記者室の壁にパウロ6世の肖像画から数メートルの間隔を置いて掛けたものである。中共共産党首席の肖像画であることを知ったバチカン当局は当惑したが,絵はそのままにしておくと発表した。
子どもの中毒
◆ カナダ,トロントの「スター紙」によると,カナダの幼児が中毒にかかる割合は,最近66%も増加した。業者が家庭用洗剤や薬品を包装する方法に原因があるとされている。頭痛薬を飲んで中毒症状を起こし,同市近辺の三つの病院で昨年治療を受けた幼児の数は1,300人に達した。排水管洗剤,種々の洗浄剤,そのほか家庭で使われる化学薬品は液体であるため,幼児はなんなく飲み込んでしまう。危険な化学薬品や薬剤は,子どもの手の届かないところにしまうよう,親は厳重に注意する必要がある。
科学という名の宗教
◆ 英国のフィリップ公はカナダ訪問中,「科学という名の新しい宗教」が神の宗教と対立を続けるなら,「自然界は侵食されてしまう」かもしれないと警告し,また人類が探究してきた諸問題に対する解答を科学が提供しうると唱えることは,科学が宗教に対し多くの面で略奪を犯かしてきたことを意味すると述べた。同公の見解は大ぜいの人が見過ごしにしてきたものである。すなわち,科学を神とする人は今日ますます多くなってきているという事実である。