世界展望
都市の上空をおおう,よごれた空気
◆ 狭い国土に1億人もの人々がひしめき合っている日本では,土地・水・大気の汚染が危険な状態にまで達した。東京の上空を広範囲にわたっておおった白いスモッグのため,目やノドをいためたり,その他身体に不快を覚えた人々数千名が病院で手当てを受けている。
オーストラリア,シドニー市の空にも,工場からの有毒なスモッグが低くたれこめている。市民のあいだから苦情の声が上がり,市の長老らは処置を講ずることを約束し,強い臭気が,ある石油会社から来ることをつきとめた。しかし,同石油会社を非とする証拠が不十分なため,『告訴することができな』かった。
ニューヨーク市でも,今年の最高気温を記録した日,大気汚染警報が発せられ,電力が欠乏する危険が報じられた。東部沿岸の全域は,きたないスモッグに見舞われている。
現代の『ソドムとゴモラ』
◆ 最近,アメリカ,ジョージア州のバイロンで開かれた,ある大衆祭りを,州当局者は再現したソドムとゴモラと評した。屋外でおおっぴらに麻薬が売られた。議員たちは,一度に数百人の人々が麻薬による幻覚の「旅」をしているのを見たと証言し,また,公道で裸になったり,白昼に淫行がなされたとも語った。集まった人々は3万5,000人から5万人に及んだと推定されている。文明が急速に崩壊していることを示す,これほど明白なしるしが他にあるだろうか。
ルーテル教会の衰退
◆ 昨年アメリカのルーテル教会では,教会員が減少した。同教会の幹事,ジョージ・F・ハーキンズによれば,今年当初の教会員数は325万9,558人であったが,これは昨年に比べて,2万1,212人の減少である。
人格が変わる
◆ 去る8月18日のUPI通信によれば,フィリップ・ブレイバーグ氏の人格は,心臓移植手術を受けた後,全く変化したと,同氏令嬢は語った。ブレイバーグ氏は初めて心臓移植手術を受けた人のひとり。同嬢はこう述べている。「わたしは,それが薬によるものか,移植そのものによるものかわかりませんでしたが,父は別人になっていました」。
道徳の崩壊
◆ 結婚関係外の妊娠を防ぐため,経口避妊薬の処方のワクを広げる必要がある,という趣旨の論評に答え,リンゼイ・R・カーチス博士は,サンデー・デンバー・ポストというアメリカの一新聞の1970年8月16日付紙上で次のように述べた。「1964年から1966年にかけて行なわれた,政府の調査によれば,その間アメリカで生まれた長子のうち,優に3分の1は,正式な結婚をしていない女性が妊娠したもので,実際に庶出児として誕生したのは,そのうちの約14%であった,非常に意味深いことに,そうした子どもの母親の大半は,20歳以下である。……わが国の根本的な価値体系全体を,『いやがうえにも再評価』する時が来たようである。アメリカは,どのような手段をもってしても押しとどめることのできない,道徳の崩壊を経験している」。両親が子どもに,高い道徳規準を尊重するよう教えるほうが,より効果的ではないだろうか。
ラ号2世,大西洋横断
◆ 去る7月,ノルウェーの探険家,トール・ヘイエルダール氏がかじを取る,パピルスで編んだ舟ラ号2世は,モロッコを出帆して57日めに,バルバドス島,カーライルズ湾のブリッジタウン港に入港した。数千年前,エジプト人は同様な舟を使ってカリブ海にたどりつくことができた,という主張を確証するために,ヘイエルダール氏を中心とする一行は,5月17日に就航した。同船長は,自分たちの考えを支持する十分の証拠を得たと述べ,「わたしたちの目的としていた事柄は確証されたと思う」と語った。しかし彼によれば海水の汚染は驚くほどで,彼と乗組員たちは,海がよごれていたため,からだを洗うのがいやになった日があったという。
僧職者の代用
◆ ラテン・アメリカの僧職者数は,減少の一途をたどっている。深刻な僧職者不足に見舞われた,人口600万のサンパウロ市司教管区では,去る6月28日,6日間の特別訓練を受けた一般信徒90名が,聖ざん式の象徴物を配ることを特に許可された。しかし,こうした解決方法は,ブラジル,サンパウロ市,リンズのクープ司教をはじめ,多くの僧職者から反対されている。同司教は,他の司教あての書簡の中で,第二バチカン会議における彼の提議を再確認し,既婚者の叙任を提案した。
強制的な産児制限?
◆ 最近,専門家筋は,人口「爆発」を押えようという努力が世界的にみて不足していることに対し,優慮の念を深めている。どんな処置を講ずることができるだろうか。ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された一報告の中で,グラッドウィン・ヒルは,次のように述べている。「ただ二つの道しかない。一つは,避妊法・断種・中絶などにより産児調節をすすんでするよう,人々を説得することである。もう一つは,少なくとも短期間効果のある避妊薬を,広く,食品や飲料水に添加投入するといった手段による,強制的なやり方である」。こうした見方は,神の正義の律法と,人類に対する神の御目的を考慮にいれない世界が,絶望に陥っていることを物語っている。
ダムの影響
◆ エジプトのアスワン・ハイダムは1964年以来,使用されてきているが,科学者たちは,最近,このダムのため,東地中海の塩の含有量,および,海水の温度が上昇したことを明らかにした。流水を調節するために,豊富な微生物が地中海にまで達しなくなり,その結果,それら微生物を食べて生きているさかなが影響を受けている。アスワン・ハイダムの直接的な影響をこうむったのはエジプトのイワシ漁で,漁獲は大幅に減少した。
雹の核
◆ アメリカでは,雹によって,収穫物や資産にもたらされる被害が,毎年,約1,000億円にのぼり,これは,トーネードと呼ばれる大旋風のもたらす損害を上回る。重さ,700グラム,直径13センチ大の雹のために,人がケガをしたり,致命傷を負うことさえ珍しくない。同じように見える雷雨でも,雹を伴う場合があったり,雨しか降らない場合があったりするのはなぜだろうか。最近,アメリカのテネシー州を襲ったあらしでは,ヒトデの形をした雹と,カメや短剣に似た形の珍しい雹が空から降った。「これは,今まで見たこともない珍しい雹です」とC・A・ナイト博士は述べている。もう一つ不可思議なのは,雹がそれほどの大きさになるまで,地上に落下せずにどうして空中にとどまっているのかということである。氷に関する専門家はさまざまな研究をしているが,現在のところ,雹が落下しない理由は明らかにされていない。