世界展望
あてにならない,放射能による年代測定法
◆ 科学者は,考古学上の発見物に含まれる放射性炭素の量を測定することによって,それら物件の年代をかなり正確に算定できると考えてきた。この年代測定法は,大気中の放射性炭素の量は一定であるとの仮定に立脚した測定法である。ところが今や,そうではないことを示す証拠がある。ぶどう酒やウイスキーまた種などの放射能を調べたある研究によれば,大気中の放射性炭素の量は太陽の活動周期によって異なることが明らかにされた。太陽の活動が強まると,太陽風が強まり,その作用で地球の大気のかくはんが助長され,その結果,大気の下層部に流入する放射性炭素の量がいっそう増大するのである。したがって,その時期の植物は放射性炭素をより多く吸収することになる。そうなれば,木や布その他,放射性炭素を吸収する物質で成る考古学的人工物件の年代の測定値は正確なものではなくなってしまう。
酔酒運転者への警告
◆ アメリカでは酔酒運転のため毎年,国道での自動車事故で死者2万5,000人,さらに負傷者80万人を出しているが,警察はこうした事故を減少させるのにほとんど成功していない。酔酒運転者の免許取り消し策も功を奏さなかった。なぜなら,免許取り消しにはおかまいなく車を運転するからである。罰金も効果がない。シカゴのある判事は,酔酒運転による逮捕者すべてに最低7日間の拘禁処分を自動的に許すことを決定した。なかには6か月間の拘禁処分を言い渡された者もいる。同判事がこの処置を試験的に実施した2週間,同市の自動車事故死は急に65パーセント減少し,負傷事故は50パーセント減少した。
経済的苦境
◆ 経済的苦境に立たされているのはアメリカだけではない。1970年,英国で赤字経営に陥った会社の数は1969年の2倍に達し,失業者はおよそ25万ないし30万人に達した。オランダでも多数の中小企業が倒産したり合併されたりしている。イタリアではおよそ600の会社が財政難に陥っており,西ドイツでは,昨年12月,操業短縮のため労働者4万7,000人が影響をこうむるという,この国にとって異例の事態が生じた。経済的繁栄の見られる日本でさえ,昨年は企業の倒産件数が増大した。日本のある会社の経営者は,いま欧米諸国を悩ましている経済上の諸問題に日本は将来おそらく直面せざるをえまいと述べた。多くの国々の今後数か月の経済上の見通しは暗いといわざるをえない。
熱を放散する耳
◆ 動物を研究すればするほど,動物のからだはそう明な創造者により設計されたものであることがいよいよ明らかになる。多年,うさぎの長い耳を研究してきたウイスコンシン大学のある生態学者は,最近,うさぎの長い耳は極端な気象状態のもとで体温を調節するための放熱器の役目をするものであるとの結論に達した。気温が非常に低くなると,うさぎは耳を倒して,からだにぴたりと寄せるが,気温が非常に高くなると,耳を伸ばし,からだの熱を放散する表面を広げることが観察からわかった。
胎児に有害な喫煙
◆ 米公衆衛生局長官J・L・スタインフェルの発言によれば,母親がタバコをのむと,赤ちゃんが無事出生する割合が減少することを示す有力な証拠があるとのことだ。このことは,「タバコをのむ母親の死産率は,タバコをのまない母親の場合よりもかなり高い」と述べた英国のある報告と一致する。2,000人の妊婦を対象にして行なわれたある研究に関し,同長官は,「タバコを常用していた婦人」で出産に成功しなかった人の20%は,「もし,タバコを常用していなかったならば,無事出産できたであろう」と力説した。
危険な水差し
◆ 工芸品の水差しで,うわ薬のかけかたが不適当なものは有毒である。うわ薬に含まれる鉛がくだもののジュースやコーヒー,ぶどう酒,炭酸飲料などにさえ溶解するおそれがある。2歳の男の子が工芸品の口の広い水差しからリンゴ・ジュースを飲んだのち,鉛中毒のため死亡した事例がある。そのジュースには許容量の20倍もの鉛が含まれていた。
ブラジルを襲った大洪水
◆ 最近,ほとんど40日間降雨を見なかった,ブラジルのリオデジャネイロ市は24時間に360ミリの大雨に見舞われ,同地方の85の河川がはんらんして大洪水を起こし,3,000余の世帯が家を失い,負傷者700人,死者40人を出した。水は2メートルの深さに達したところもあった。首都サンパウロでは2,000世帯が家を失った。
教会の礼拝に裸体で参加する
◆ 最近行なわれた米ルーテル教会,東南ミネソタ地区大会でのこと,出席者800人の面前で,20代にはいってまもない男女二人が衣服をぬぎ,聖ざん式に連なる信徒の列に裸体のまま加わった。そのふたりをいましめるとか,聖ざん式から除外すべきだとかという声は出席者の間からはひとつも聞かれなかった。ふたりは牧師からパンとぶどう酒を受けたのち,座席に戻って衣服を着たが,なぜそのような行為をしたかについてはひと言も釈明しなかった。
廃止された受胎調節資料普及禁止令
◆ イタリアの最高裁は最近,受胎調節に関する情報のイタリアにおける普及に対する禁令を無効と裁定した。同禁令は言論の自由の権利を侵すゆえに憲法違反であると宣言された。ローマ・カトリック教会が器具や薬品による受胎調節に反対したため,その禁令は,1929年にバチカンと政教条約を結んだムッソリーニのファシスト政権時代以来,施行されてきたものであった。
改革を要求する司祭たち
◆ アメリカの148司教管区中122の司祭たちのグループを代表する,全米司祭連合協議会評議員会は,8対1の比率(182票対23票)で強制的童貞制の廃止を採択した。同協議会の理事長W・F・グレニー司祭は,アメリカの多くの司教管区では過去3年間に司祭の10ないし15%を失ったと述べ,さらに,改革を求めるこうした最近の声に,もしバチカンが耳を傾けないならば,司祭をやめる者の数はふえるであろうとの見解をも表明した。
準星,不可思議な天体
◆ 恒星また島宇宙のいずれでもないとされる準星は科学者を当惑させている。準星はいくつかの島宇宙よりもおよそ100倍もの明るさを持つ強烈な電波源である。準星が地球からどれほど隔たっているかはかなりの論争の的とされてきた。こうした天体は非常に遠い存在と考えられているが,中には,それほど遠い天体ではないとする科学者もいる。最近,カリフォルニア理工科大学のある天文学者は,準星が10億ないし100億光年とされるほどのかなたに存在することを示唆する証拠を発見した。
宇宙線を目にあびた宇宙飛行士
◆ これまでの月旅行の途上,宇宙飛行士は不思議なせん光を見たとの報告を寄せている。今のところ,そうしたせん光は宇宙線が宇宙飛行士の目を通って,網膜つまり視神経に直接衝撃を与えたために知覚されたものと結論されている。この結論はアポロ14号の乗組員が行なった実験によって確証された。科学者は,1年あるいはそれ以上の長期間にわたる宇宙飛行中,宇宙線が目や脳に重大な障害を起こすのではなかろうかと憂慮している。
水銀にかんして警告された女性
◆ 最近,ニューヨーク州厚生局長官H・イングラハム博士は,マグロおよびメカジキを食べないよう妊婦に警告した。これらの魚類はいずれも水銀の含有量が比較的に高いことがわかった。同博士はこう述べた。「メチル水銀は,相当量蓄積すると,ある種の脳損壊をひき起こすおそれがあるが,それが胎児に集中的に蓄積する傾向があることを示す証拠がある」。このことを考えると,魚に含まれている程度の量の水銀は,おとなや子どもには害はないとされているものの,出生前の胎児にとっては危険性があるといえよう。
食事と脳脊髄硬化症
◆ デンマークの一研究家によれば,不飽和脂肪の高い食事は中枢神経組織の脳脊髄硬化症に対する抵抗力をつけるのに役だつという。同博士は次のように語っている。「子どもが母乳で育てられ,その後,動物性の飽和脂肪よりも魚からの多不飽和脂肪や植物油を多く摂取すれば,脳脊髄硬化症の原因となるあらゆるものの攻撃に抵抗しうる強い髄鞘ができる」。彼はまた,そうした髄鞘は子どもが15ないし16歳になるまでには完全に発達すると述べた。