世界展望
精管切除術の危険
◆ メディカル・ワールド・ニューズ誌に最近載せられた,「精管切除術に多い併発症」という記事は,「このいわば非常に単純で造作のない処置」には危険が伴うと警告し,手術後に併発症の起きた事例を挙げている。アメリカのロサンゼルスに住む泌尿器の専門医,アーサー・シャピロは無責任な医師たちに次のような非難を浴びせた。「わたしは,この手術についてあまり知らない,事実,じょうずに手術をすることができるほど十分の知識を持っていない医師の多いことにあきれている…不当な利得を得る動機で精管切除術をしている人たちをやめさせなければならない」。健康な男性が突然,血液が凝固する,熱が続く,リンパ腺がはれる,はだが荒れるなどの症状を訴えることが報告されており,他の専門医たちはそうした併発症を憂慮している。また,この手術には,性に関連した心理学的な問題が伴っている。
依然として行なわれる,進化論者の当て推量
◆ 進化論者リチャード・リーキーは,人間の直接の祖先の肖像をもう一度変えなければならないかもしれないと語っている。最も新しい発見物はアフリカのルドルフ湖付近で発見された物である。いく百もの骨片がつなぎ合わされて一個の頭骨に作られたが,その頭骨は,リーキーのことばによれば,「人類の進化に関する現在ある理論のどれとも合わない」。その頭骨は現代人のそれと異なるのであろうか。リーキーはこう語っている。「頭がいの全体の形は現代人のそれと驚くほど似ているが,ホモ・エレクトスの特徴である,まゆ毛の部分の突出と厚い骨がない」。しかし彼は,同じ場所で発見された脚の標本が,「現代人のその部分の骨と実際見分けがつかないので,解剖学者や他の科学者たちを驚かせた」ことを認めた。ところがリーキーは,その頭骨が250万年以上も昔のものであると主張している。
活気づくアメリカの株式市場
◆ 昨年の11月,アメリカの大手の株式取引所の表示はこれまでの最高額を示した。中でも一番注目に価するのはダウ・ジョーンズの工業株で,その76年にわたる歴史の上で初めて1,000㌧以上にとどまった。ダウ・ジョーンズ平均は大手の工業株30種に基づいている。市場が高値を呼んだのは,現在進行中の和平交渉やニクソン大統領の再選,会社の利益の増加やインフレと税金に対する不安が薄らいだことによるものとされている。
ハーレムの犯罪
◆ アメリカ,ニューヨーク市の,おもに黒人が住む地区であるハーレムで犯罪が増加の一途をたどっている。昨年の6か月間に,盗み8,600件,夜盗9,000件,襲撃3,300件および殺人200件が報告された。しかし,届け出のない犯罪がかなりある。黒人の著述家オーデ・クームズは「ニューヨーク」誌の中で,黒人に対する犯罪の大半は別の黒人によっ行なわれていると述べた。同氏によれば,ハーレムの黒人のある婦人政治家は,彼女がひとりの政敵の次に一番恐れているのは,ユダヤ人街に住む十代の黒人です」と語った。多くの犯罪には麻薬の常用癖が関係している。クームズはこう語っている。「社会復帰計画に何百万㌦もかけたにもかかわらず,ハーレムの麻薬常用者は10年前よりもふえている」。彼は続けて,「わたしたち黒人の社会であるハーレムは世界で最も危険な場所となった」と語った。
アメリカのカトリック教会の衰退
◆ アメリカのカトリックの教会はその地歩を失いつつある。カトリックの公式の聖務案内書1972年版によると,一昨年中に司祭は740名,修道女は6,731名減少した。その不足分を埋め合わせるため,教区学校は,有給の俗人教師を雇っている。1944年には俗人教師は教職員の8%だったが,昨年その比率は55%になった。また,アメリカのカトリック教徒の総数は4,839万990人という,これまでにない最高数に達したが,実際の増加率は0,4%にも満たなかった。これはアメリカの人口増加率の半分にも達しない。