世界展望
読み書きの能力に関する問題
◆ 米国の大学一年生の間には,読み書きの能力の劣る者がますます増えている。例えば,バークレイのカリフォルニア大学で,最近の適性検査の読み書きに関する検査では,新入生の半数が及第点に達しなかった。各種の大学で,ジャーナリズム関係の講座の受講を希望する学生のうち三割ないし五割の学生は,つづり・句読法・語法に関する基礎的なテストに落ちている。大学講師ゲイ・ライアンズはハーパー誌の中で,「大学一年生が,高校一年生向きとみなされていたものを実際に読んでいる」という証拠は「説得力のあるもの」である,と書いている。こうした点を改善するために,大学は何らかの努力を払うだろうか。同講師は,「個々の学生に読み書きや考えることを教えるのは確かにアメリカの大学の目的とするところではない」と語っている。カリフォルニア州サンタクララ大学の作文の講師ジェームズ・デグナンは,「頭の良い」学生の中にも「自分の意図する事柄を簡明な文章で表現できない」者が少なくない,と語っている。
“自暴自棄の心理”
◆ 最近の不況のため,低所得者層を中心とする多くの人が経済面で苦境に立たされた。ところが,ハーバード大学商学部のスティーブン・スターは次のように語っている。「高額所得者層の大半は不況の影響も受けておらず,この時期に蓄財した者さえいる。彼らには,依然として自由に使える十分の所得があり,高価な品物を買う傾向がある」。高級車の製造部門の一役員は,「人々は将来に確信を持てないため,現在ぜいたくをしている」と語った。その役員は,これを“自暴自棄の心理”と評した。
清浄作用のあるバクテリア
◆ 産業廃棄物の多くは,分解したり,浄化したりすることが困難である。動物の排出物などに見いだされる胞子を形成するバクテリアが,廃棄物を浄化するために,ある期間処理工場で用いられた。しかし,この種のバクテリアは,油脂類や中性洗剤,種々の毒物などの処理には余り役立たない。しかし生物学者は,よりがんこな産業廃棄物をも分解できる他のバクテリアを研究してきた。このバクテリアは栄養物を入れた大きなフラスコの中で培養される。次に,それを凍結乾燥して容器に入れる。こうしてバクテリアは市販されることになる。バクテリアの数は,1㌘につき50億個にも上る。この容器を摂氏38度の温度で1時間ほど温めると,バクテリアは再び活発になり,廃棄物を処理し始める。
銃が人を殺す
◆ 三歳の少年がピストルで六歳の少年を射殺した。ニューヨーク・タイムズ紙が述べているように,銃の愛好家は,「銃が人を殺すのでなく,人が人を殺すのだ」と主張している。しかし,同誌の社説が指摘しているように,もし銃が子供の手の届くところになかったなら,「目の回りに黒あざを作り,すねをすりむき,気分を害したとしても,その少年は生きていたであろう。人を殺すのは確かに銃である」。
電話で支払いを済ませる
◆ 米国ワシントン州シアトル市にある同市最大の相互貯蓄銀行では,加入者が電話で様々な支払いのできるコンピューター・システムを備えている。ダイヤル式の電話機を持っている人は,その銀行に電話をかけ,出納係に自分の暗証番号と支払い先,および支払い金額を告げるだけで,1,600軒の商店や信用販売会社のどれにでも支払いを済ませることができる。プッシュホンを持っている加入者は,直接コンピューターを呼び出すことができる。その場合,コンピューターから声の指示があるので,それに応じて電話のボタンを押せばよい。
鉄砲水
◆ この夏,百余名の命を奪った米国コロラド州の鉄砲水は,異常な豪雨によるものであった。近年,こうした洪水のため相当数の死傷者が出ている。その理由はと言えば,鉄砲水の発生しやすい地域で休暇を過ごす人が増えていることにある。暴風雨の際,またその後には,河原や峡谷その他の,排水路から遠ざかるように,と当局者は勧告している。就寝中に鉄砲水に襲われそうな低地でキャンプをすることについても,当局者は警告している。事前に高台の位置を確認しておき,洪水の徴候に気付いたら,すぐにそこへ移動することも肝要である。
かみそりの持ちを良くする
◆ かみそりをぬらしてひげをそる人は,多くの場合ほんの数回そっただけで,新しい刃と取り替えなければならない。しかし,米国ロードアイランドのある医師が語っているように,各地の理容学校では,かみそりの刃をずっと長持ちさせる技術が教えられている。その秘けつは,ひげをそる前に,実際に時計を見て,少なくとも2分間,顔にせっけんなどで勢いよくあわを立てることである。
漁獲高の減少
◆ 改良された近代的装備を持つ世界の漁船団は,このところ幾年にもわたって,海洋資源を乱獲している。その結果はどうだろうか。動物学者ガレット・ハーディンは次のように語っている。「70年代の初めから総漁獲高が減少しているが,これは我々が漁業資源をその自然回復力を超えて乱獲している徴候である」。同氏は,「海生動物が次々に絶滅の危機にひんしている」にもかかわらず,多くの場合人間は,乱獲をやめようとしない,と語っている。
動力芝刈り機に注意
◆ 幾百万もの人々は動力芝刈り機を使って芝を刈っている。全米安全協議会の推定によると,米国では毎年15万人以上の人が動力芝刈り機でけがをしており,そのうちの約6万5,000人は病院の手当を必要とした。手や足が芝刈り機に巻き込まれて,けがをしたり,時には手足の指を切断したりして事故となる。回転刃にはじかれた石や枯れ枝などが投げ矢のように飛んでゆき,近くにいる人にけがをさせることもある。ある筋によると,毎分3,000回転する,刃渡り70㌢の動力芝刈り機の回転刃には,35.7口径の大型ピストルの持つ銃口エネルギーの三倍に匹敵する推進力がある。
若年化する銀行強盗犯
◆ カナダ・モントリオール市の警察当局によると,ケベック州の銀行強盗犯の平均年齢は19歳まで低下した。同州は,銀行関係の犯罪数がカナダで一番多い。昨年,カナダ全土で1,057件の銀行強盗が発生したが,そのうち62%に相当する656件はケベック州で起きたものであった。「当地では銀行強盗がひん発しているため,多くの若者にとって,銀行強盗などはたいしたことではなくなっている」と,ケベック州の一警部は語り,さらに次のようにも語った。「彼らの多くはハシッシュやマリファナなどの弱い麻薬を買う金が欲しいと供述している」。
“すきを用いない”農耕の利点
◆ 米国では,風雨による浸食作用の結果,毎年約30億㌧の貴重な表土が失われている。収獲の後,畑を耕してすべての植物を取り除き,表土を風雨にさらしておく習慣もその一因となっている。一方,侵食作用から畑を保護するために,刈り株を残しておく農夫も増えている。その場合,種まきの前に,機械を使って刈り株の間に細いみぞを掘る。そのみぞの中に一定の間隔で種を落とし,車輪でみぞを埋めれば種まき作業は完了する。「すきの使用を最小限に抑えることにより,問題を克服できるであろう。現在,我々は目的達成の一歩手前まで来ている」と,一農業専門家は予測している。事実,10年前に比べて10倍もの農地が,現在この方法で耕されている。
日本人の一番大きな不安
◆ ジャパン・タイムズ紙の伝えるところによると,日本人の間で一番不安の種となっているのは,生活費の天井知らずの高騰であり,調査の対象となった人々の90%がこの点を憂慮している。「昨年に比べて生活は良くなったと思うか」との問いに対して,65%の人が昨年と変わらないと答え,悪くなったとする人は21%いた。生活が向上したと答えた人はわずか12%であった。残りは回答しなかった人である。
同性愛者の司祭
◆ ロンドンのサンデー・テレグラフ紙は次のような記事を掲載した。「英国教会の一教区主管者代理の語ったところによると,司祭の六人に一人は本質的に同性愛者であり,これは職業別に見ると演劇界に次いで高い率である。1973年以来エセックス州のサクステッドで教区主管者代理を勤め,かつ同性愛者を自認するピーター・エルダーズ師は,英国教会所属のある神学大学では,学生の三分の二に同性愛的傾向が見られると語っている」。しかし,神の言葉は,「こうした事をならわしにする者は死に価する」と告げている。―ローマ 1:32。
米国の人口動態統計
◆ 米国における1975年の主要死因は,心臓病,がん,発作とそれに関連した病気,そして自動車事故であった。がんによる死亡者は,1974年より2.3%増加し,全国保健統計センターの報告した暫定的な数字によると,これほどの増加はかつて見られなかった。1975年に生まれた赤ん坊の平均余命は,72.4歳で,女子は76.4歳,男子は68.5歳であった。
ロシアの宗教
◆ 「ソ連では,キリスト教は廃れるどころか,現在驚くほどの活気を呈している」と,ニューズウィーク誌は伝えているが,その中で,「徴兵に反対するエホバの証人たちは刑務所の中でさえ内密に集まって,祈りをしたり,[彼らの聖書関係の定期刊行物]ものみの塔誌の小型の写しを読んでいる」ということを述べている。エホバの証人は『徴兵反対者』ではなく,人間を軍事上の目的で徴集しようとするいかなる国家の努力にも干渉しない。しかし,彼ら自身は,イザヤ書 2章4節の原則に従い,聖書およびクリスチャンの厳正中立の立場を守るために,様々な国で拘禁されてきた。(ヨハネ 15:19)ロシアやその他の国々で,こうした理由のために拘禁されても,彼らは聖書を勉強することをやめない。
クロロホルムが禁止される
◆ 米国食品医薬品局は,今後化粧品や薬剤にクロロホルムを使用することを禁じた。ある種の口内洗剤,せき止めシロップ,また歯みがきには,長い間クロロホルムが含まれていた。薬としての価値は何もないがその刺激性のためにある消費者は,クロロホルムが含まれていると効き目があるように考えた。ところが,様々な動物実験の結果,クロロホルムはがんの原因となることが分かった。食品医薬品局局長アレグザンダー・シュミットは,クロロホルムが人体にがんを発生させた証拠はないことを指摘しながらも,次のように語った。「一,二の例外は考えられるが,人体内で発がん性を有する化合物は,実験用動物を用いての一つかそれ以上の生物検定システムにおいて発がん性を示すことが,これまでの経験で分かっている」。
新たな貧困水準
◆ 米国で週給100㌦(約3万円)の人が成功した人とみなされていたのはそれほど昔のことではない。米国の労働省の発表によると,現在4人家族でその程度の収入なら,貧困水準以下ということになる。これは,高騰し続ける生活費に原因がある。国勢調査局の調べでは,昨年貧困水準以下の生活を余儀なくされた人は3,300万人を上回った。