人類の政府の為の完全な支配者
1 今日の地的エルサレムには王国がないのに,神はその約束された王を持つているとはどういうわけですか。なぜ彼はその誕生地に生まれましたか。
それでは,エルサレムのダビデ王の家系から約束されたこの完全にして永遠の王についてはどうでしようか。人間は幾千年もの年月をかけて政府に関する実験をして来ました。そして今日では,イスラエルの地のエルサレムの邑に王国はありません。しかし,神は約束された御自分の王を持つておられます! その王はダビデ王の王統を通して来ました。この事実を支持するために,私たちはヘブル語聖書からクリスチャン・ギリシャ語聖書に目を向けます。ギリシヤ語聖書のいちばん最初の言葉は次のようです,『アブラハムの子であるダビデの子,イエス・キリストの系図』(マタイ 1:1,新口)まつたくのところ,アブラハムからダビデ王を通しての王統は,イエス・キリストで最高潮に達し,キリストより先には行かないのです。このイエスは,ダビデ王の生れたところと同じ邑すなわちベツレヘムの邑に生まれました。それは偶然ではありません。これはヱホバの予言を成就するものでした。―ミカ 5:2。マタイ 2:1-16。
2 そこで生まれたこの者は,どうして実際には『天の子』でしたか。彼が約束された王であるということは,そのときどのように確証されましたか。
2 たしかにこのイエスの先祖たちの中に家長のアブラハムやダビデ王がいました。しかし,実際には彼は天的な御父を持ち,そして処女なる母親は,どうしても人間であることが必要でした。彼の母親は,ダビデを通してのアブラハムからの子孫のひとりだつたのです。(ルカ 3:23-34)それで,ベツレヘムに生まれて聖書の予言を成就したこのイエスは,実際には『天の子』でした。彼は実際には神の子であつて,天的な御父は奇蹟によつて彼を地につかわしました。それは人類の為に完全な支配者を備えるためです。不完全で罪深く,そして死に行く人類の中から完全な王を見つけることはできません。この子供のイエスがベツレヘムで生まれたとき,天からの御使は,野原に出ていた羊飼たちに次のように告げたことを思い出しましよう。『今日ダビデの町に,あなたがたのために救主がお生まれになつた。この方こそ主なるキリストである。』その御使は『すべての民に与えられる大きなよろこびを,……伝え』ました。そして,ベツレヘムで生まれたこの子供をキリストと呼びました。すなわち,彼はメシヤ,油注がれた者でした,彼は予言を成就する王になる者でした。―ルカ 2:8-11,新口。
3 この子供は何処で成長しましたか。そこで彼は何になりましたか。
3 ローマ帝国の代表者としてエルサレムで統治していたヘロデ王は,この子供を殺そうとしましたが,彼はまぬかれました。ヘロデの死後,イエスはナザレの町に連れて行かれ,そこで成人しました。彼の先祖であつたダビデ王は羊飼でしたが,彼は大工になりました。イエスはナザレの町で人目につかぬ生活をなし,働いていたのです。いわば地下にひそむような生活でした。
4 イエスをその仕事場から召したものは,何でしたか。彼のとつた次の段階が偽りのものでなかつたことは,どのように示されましたか。
4 それでは,イエスを大工の仕事場から召したものは何でしたか。全人類を支配する御国の道に彼を歩ませたのは,何でしたか。ああ,それは神の御国の宣明でした。そのときヱホバ神はゼカリヤの子,予言者ヨハネを起しておられました。時経て洗礼者ヨハネは,罪の悔い改めと,その悔い改めを象徴する洗礼について伝道しました。彼は,神の政府が近づいている故に悔い改めよとユダヤ人に告げました。ヨハネは,『天の御国は近づいた』と宣明したのです。ヨハネの宣明についてのニュースが,ナザレの大工の仕事場にいたイエスのところに達すると,イエスはすぐに仕事を止めました。彼は道具を残して,洗礼者ヨハネのところに行き,ヨハネから洗礼をほどこしてもらいました。ナザレのイエスは偽りの道をとつたのではありません。なぜなら彼がヨルダン河で洗礼を受けて水から上がられるとすぐに,天の永遠の王であるヱホバ神からの言葉がありました。信頼し得る記録の告げる光景を心に思い浮べてごらんなさい,『イエスはバプテスマを受けるとすぐ,水から上がられた。すると,見よ,天が開け,神の御霊がはとのように自分の上に下つてくるのを,ごらんになつた。また天から声があつて言つた,「これは私の愛する子,私の心にかなう者である。」』― マタイ 3:1-6; 13:17,新口。
5,6 (イ)イエスの油そそがれたことは,ダビデの油注がれたこととどのようにちがいましたか。(ロ)利己的なユダヤ人は,イエスを何にしようと欲しましたか。なぜ彼は拒絶しましたか。
5 それより幾世紀もむかしに,ダビダは油を注がれてイスラエルの王になりました。しかし,このイエスは神の御霊によつて油そそがれ,約束された御国,すなわち全人類のための完全な政府の王になりました。使徒ペテロは,次のように報じています,『神はナザレのイエスに聖霊と力とを注がれました。このイエスは,神が共におられるので,よい働きをしながら,また悪魔に押えつけられている人々をことごとくいやしながら巡回されました。』(使行 10:38,新口)彼の弟子たちは彼のことを『神の子』そして『イスラエルの王』と認めました。(ヨハネ 1:49。マタイ 16:16,新口)彼は大きな試験を通り抜けたのです。イスラエルの指導者たちからの大きな反対にも耐え忍びました。
6 この反対や迫害のすべてにもかかわらず,彼は神の真の御国に忠実を保つたのです。サタン悪魔が彼を全人類の支配者にしようとしたことは,彼により拒絶されました。同様に人間であるユダヤ人たちが彼をユダヤ人の王にしようとすることは,イエスの拒否するところでした。(ルカ 4:5-8)彼が無料で5000人の男や女および子供たちに食物を与えたときを思い起します。彼は5つのパンと2匹の魚という少年の昼食を倍加して,全群衆に食べさせました。イエスが一国民に食物を与えるだけの奇蹟の力を持つていると見たユダヤ人は,イエスを王にしようという利己的な欲望を心に持ちました。しかし,聖書によると,彼らがイエスを無理やりにも王にしたいと欲しているのを見ると,イエスは彼らからしりぞいて,ただ御一人で山に行かれました。(ヨハネ 6:1-15)なぜ? イエスは,神によつて王にしてもらいたいと欲したのです。神の指定した時に全人類の為の完全な政府の王冠をいただくのは,神にしてもらおうと,彼は神に待ちのぞんだのです。このことについて私たちはうれしく感じませんか。
7,8 (イ)なぜイエスは,人類を支配する完全な政府以下のもので満足しませんか。(ロ)その目的のためにイエスはどんな道を追い求めましたか。このわけで彼は何処に坐りましたか。
7 イエスは欠点のない支配者になる能力を持つています。彼はこの地上の非常な誘惑の中にあつても完全な生活を致しました。彼を責めたユダヤ人にたいして,イエスはこう語りました,『あなたがたのうち,だれが私に罪があると責めうるのか。』(ヨハネ 8:46,新口)完全な人間であつた彼は,完全な源からくる完全な政府について祈りました。また,その政府のことを祈るようにと私たちに教えました,『天にいます我らの父よ,御名があがめられますように。御国がきますように。』(マタイ 6:9,10,新口)イエスはその完全な政府をつねに祈り求めていましたから,それ以下のもので満足することは決してありません。私たちも同じく,それ以下のもので満足すべきではありません。
8 その目的のために,イエスは死にいたるまで完全な人間であつて,神の真の御国についていつも証言をしました。彼が総督ポンテオ・ピラトのの前で裁きを受けたとき,彼は総督の誤解を討正して次のように言いました,『私の国はこの世のものではない。もし私の国がこの世のものであれば,私に従つている者たちは,私をユダヤ人に渡さないように戦つたであろう。しかし事実,私の国はこの世のものではない。』(ヨハネ 18:36。テモテ前 6:13-16,新口)イエス・キリストの人間としての完全さは,罪によつてそこなわれることなく,神の御国に忠実を保つた殉教者として死にました。神にささげた彼の忠節さは完全であつたため,天的な御父は彼を死人の中からよみがえし,天に連れ戻して,御使たちよりもはるかに高いところに坐らせ,神の右にすわらせました。そのところで,彼を王にする時まで待つようにと神は彼に告げました。そのときに,神は彼にすべての国々,そうです,彼の支配を受ける領域として,地の極までも与えるでしよう。―詩 2:6-9。ダニエル 7:13,14。詩 110:1,2。
9 神はイエスと共に誰を御国の中に入れますか。まだ地上に残つているこれらの者の残れる者の見込は何ですか。
9 その結果として,完全な政府の天的な源であられるヱホバ神は,全人類を祝福するために約束した御国の為の完全な支配者を持つています。しかし,神はイエス・キリストと共々に,完全な支配者の忠実な弟子たちをもその政府に入れられます。イエスが人間としてまだ地上におられたとき,彼は自分に従う弟子たちを召し集める業を始めました。彼は忠実な者たちに向い,御父なる神が彼と御国契約をむすんだように,彼は彼らと御国契約をむすぶと語りました。それは,彼らが彼の御国にあつて彼と共に御座に坐り,御国の食卓で飲食を共にし,イスラエルの12の支族を裁くためです。(ルカ 12:32; 22:28-30)そのとき以来,完全な支配者キリスト・イエスの忠実な共同者14万4000人に対する召と試錬はつづけられて来ました。現在までには,これらの者の大多数は死にいたるまで神とその完全な支配者への忠実を証明しました。そして,天的な栄光の中に復活を受けることにより天的な御国に入つて完全とされました。これらの御国共同者の中の残れる者だけが,存在しているのであつて,彼らは死にいたるまで自分たちの忠実を証明しようと努めています。そして,完全な王の王であるイエス・キリストと共に天的な御国の中に完全にされることを待ち望んでいます。
完全な政府の時
10 マリヤに告げた神の約束を成就するため,どんな日が来るにちがいありませんか。その来た時についてどんな明白な証明がありますか。
10 現在,私たちはもつともすばらしい時に生活しています。御使ガブリエルがイエスの誕生を処女の母マリヤに告げた言葉は,神によつて成就されるにちがいなく,そしてその日は来るにちがいありません,『この者は偉大な者となるであろう。そして最高者の子と呼ばれるであろう。ヱホバ神は父ダビデの座位を彼に与え,彼はヤコブの家の永遠の王となるであろう。彼の御国には終りがない。』(ルカ 1:26-33,新世)その日は1914年の初秋に来ました。そのとき,神の御国の干渉なしに地を支配してきた『諸国民の定められた時』は終つたのです。たしかに,現在は人類にとつて比類のない患難の時です。1914年以来,私たちの経験してきたような患難は,いまだかつて人類の経験してきた事柄ではありません。しかし,現在の大きな患難の時は,神の約束した全人類のための完全な政府が設立されていることを明白に証明するものです。
11 御国の現存していることについて,なぜ疑問を持つべきではありませんか。
11 御国は現存しており,全人類を支配するために天に設立されています。私たちは,それについて疑問を持つべきではありません。なぜなら,予言者であるイエスはいろいろの証跡を予め告げられており,私たちはその証跡によつて約束された政府の設立の時を知ることができます。イエスは次のように言われました,すなわちこの世の諸国民の『終りの時』は世界戦争とともに始まるであろう,そしてその後には食糧不足,疫病,あちらこちらの地震,そしてイエスの弟子たちに対する迫害がある,というのです。彼は又つぎのようにも言いました,神の設立した御国の良いたよりは全国民への証のために全地に伝道されるであろう,それからはじめて人間の不完全な政府の終りは来るというのです。(マタイ 24:7-14。マルコ 13:8-10)ヱホバの証者のしている神の御国の良いたよりの伝道は,毎年ますます広範囲にひろまつてきています。全世界の注意を惹いた御国伝道の最高潮の時は,ニューヨーク市のヤンキー野球場とポロ野球場でヱホバの証者が八日間にわたる国際大会を開催したときです。1958年8月3日,日旺日になされた公開講演会のとき,25万3902人は『神の御国は支配す ― 世の終りは近いか』という題について1時間にわたる講演を傾聴しました。この世の全き終りは近い,しかし完全な支配者イエス・キリストによる神の御国の支配下にあつて,正義の新しい世の始まるのも近い,と講演者は語りました。
12 (イ)諸国民は何に向つて行進していますか。どんな経験を受けますか。(ロ)これはヱホバの証者が何をする強力な理由ですか。彼らがこのことをするのは,どんな証跡をまし加えますか。
12 疑いもなく私たちは諸国民の『終りの時』に住んでいます。諸国民は全能の神の大いなる日の戦争,すなわちハルマゲドンと呼ばれる宇宙的な戦争に向かつて行進しています。(黙示 16:14-16)ハルマゲドンで諸国民は,神の子の天的な政府により滅ぼされてしまうでしよう。ダニエル書 2章44節(新口)の述べる通りです,「それらの王たちの世に,天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく,その主権は他の民にわたされず,かえつてこれらのもろもろの国を打ち破つて滅ぼすでしよう。そしてこの国は立つて永遠に至るのです。」このことは,ヱホバの証者が170またはそれ以上の国々において全世界にわたり,今日設立した御国の良いたよりを宣明している極めて強力な理由であります。いまだかつて類のないこの世界の艱難の只中で,このような伝道のなされていることは,不完全で罪深い『この組織制度の神』サタン悪魔の支配を受けるこの世の終りに私たちが住んでいることを更に証明づけるものです。(ヨネハ 12:31。コリント後 4:4)そのわけで私たちは全人類のための完全な政府によつて支配される新しい世に入る間際にいるのです。それは完全な支配者イエスの手中にある政府です。
完全な利益
13 神の完全な子の政府の日に,人類は全地にわたつて何を楽しみますか。イザヤのどんな予言は成就しますか。
13 地上の不完全な人間による政治政府の為し得なかつたことも,この天的な政府は人間種族のために為し得るでしよう。神の予言の告げるところによると,その日には人類は完全な平和を全世界にわたつて持ち,まつたく地上のどの場所において戦争は決してなく,戦争の産業とか軍隊というものもないでしよう。ついには全人類は完全に武装を解除し,国が他の国に対して剣を挙げるということはなく,人は戦争のことをもはや学ばないでしよう。なぜなら,全国民の人々は完全な支配者の始める強力な,欠点のない政府の支配下にいるからです。神の完全な御子イエス・キリストのこの政府の日には,正義の人々は栄え,平和は月のつづく限り豊かなものでしよう。(詩 72:7,8)イザヤ書 9章6節と7節の予言は成就されるでしよう,『その名は奇妙,また議士,また大能の神,永遠の父,平和の君ととなえられん。そのまつりごとと平和とはまし加わりてかぎりなし。』
14 どんな面で彼は『永遠の父』という名前を成就しますか。支配を受ける忠実な民の体,思い,そして心にたいして何をなすことにより,彼の政府は完全なものであると,どのように証明しますか。
14 この完全な支配者は,平和なソロモン王よりも大きな平和の君です。しかし,それだけでなく,神の与えた支配者として彼に従い,彼に忠節をつくすすべての善意者にとつては,永遠の父でもあります。彼は彼らに永遠の生命を与えるために,彼らの永遠の父となります。彼は愛と正義の中にそのことをすることができます。彼は全人類の相続した罪のために死なれたからです。洗礼者であると共に予言者でもあつたヨハネは,彼を指して,『見よ,世の罪を取り除く神の小羊』と言いました。この小羊のごとき王は,神に支払つた人間の犠牲の価値により,従順な民のすべての罪を取りのぞくことができます。彼は彼らの罪を取り除くことにより,今日の人類の上に重くかかつている死の処罰を取り払うことができます。彼の忠実な民たちは,不完全さの中にだんだん老衰して弱まつて行き,ついには墓に行くということはありません,かえつてすばらしい仕方の中に彼らはその弱さ,不完全さ,病弱,そして病気から次第に向上します。その向上は,ついに人間としての完全さに達します。そのとき従順な人間はエデンの園にいた最初の人間アダムと同じように神の像と状になるでしよう。このようにしてこの永遠の父なる平和の君は,完全な平和の中に永遠の生命という見込を御自分の民たちに開きます。完全な政府だけが,忠実にして従順な民の体と心と思を完全にさせる仕方で支配することができるのです。
15 今日,不完全な支配者たちは,この地に何をしていますか。しかし,完全な支配者は臨終の際の約束を成就するため,ハルマゲドン後に何をしますか。
15 この完全な支配者は,自分の民たちにその完全な益を与えますが,それと共にこの地上における完全な住居をも与えます。今日,諸国民の不完全な支配者たちは,いろいろな仕方で地を荒らしています。彼らは原子爆発や核爆発で生ずる灰でもつて,地のまわりの空気を汚しているのです。特に第三次世界大戦によつて彼らは,この地を人の住めない場所にしそうな危険さえ示しています。しかし,天の御座につかれている完全な支配者イエス・キリストはちがいます。ハルマゲドンの宇宙的な戦争の後に,彼は東から西まで,北極から南極まで,この地を楽園に変化するでしよう。いまから1900年のむかしカルバリで苦しみの杭にかかり,イエスの側で死んだ同情心のある悪行者に対し,彼は『あなたは私と共に楽園にいるであろう』と言いました。(ルカ 24:43)主イエスの臨終の際の約束は成就されます。主イエスは今や御国に来ている故に,最初の人間アダムとその妻エバが創造者なる神に反逆の罪を犯して私たちに対して失つた楽園を,ふたたび地上に復興します。
16 この地につき,いろいろな面でどんな変化が起りますか。従順な人間に対する生活状態は,どんな面で理想的に完全となりますか。
16 王イエス・キリストは美に対して完全な目を持たれ,また神の創造されたものに対して正しい尊敬を持ちます。それで彼は地を修理して地を治め,地を楽園のごとき完全な状態にします。人類の住居を破壊したり,畠にできる作物をだめにしたりする暴風とかハリケーン,又は洪水というようなものはないでしよう。そのとき,人類の半数が飢餓に瀕するということはないでしよう。食糧不足とか飢饉そしてひでりというものは,もはや人類に災をかけないでしよう。地の天候は調節されて完全なものとなり,地は変化に富んだ多くのものを産出するでしよう。そして,従順な人類全部には繁栄がまし加わるでしよう。完全な政府は,ソロモン王の時代のときよりも平和,幸福,そして人間の福利をずつと勝つたものにするでしよう。そして,従順な人類の生活状態は理想的に完全なものとなります。この状態に妨害を加えるものはひとりもいません。目に見えぬ霊界にいるサタン悪魔やその悪鬼共もいなくなります。ハルマゲドンの戦いの最高潮の時に,それらの悪しき霊者たちは縛られて,完全な束縛という底のない坑に投げこまれます。―黙示 19:11–20:3。
17,18 (イ)その政府の支配は,生きてるい者のためだけでなく,死んでいる者のためでもあるとは,どのようにですか。(ロ)天的な御座からの神の声は,どんな言葉を語ることによりこのことを予めに告げましたか。
17 神のたしかな御言葉は,次のことを保証します,すなわち今日の善意者の大多数の人々は,ハルマゲドンの戦を生き残り,全人類のための完全な政府を持つ新しい世に入るということです。しかし,その政府の支配は,ハルマゲドンを生き残る者たちだけの為ではなく,人間家族の死んだ者たちの為にもなされます。その中には,アブラハム,モーセ,ダビデ王,そして洗礼者のヨハネも含まれているのです。王なるイエス・キリストは地上におられたとき人々を死人の中からよみがえしました。全人類の為に死なれた贖い主なるイエスは,生命を回復せしめるその力をふたたび天から行使するでしよう。彼に裁きをする権威が与えられている王なる彼は,次の約束を実現させるでしよう『記憶の墓にいる者がみな彼の声を聞いて出て来る時が来る。善を行つた者は生命の復活を受け,悪を行つた者は裁きの復活をうけるであろう。』(ヨハネ 5:27-29,新世)その完全な政府の下にあつて,ハルマゲドンを生き残つた者たちと,記憶の墓からよみがえされた者たちは,完全な仕方の中に正義と真理を教えられるでしよう。従順な者たちは完全な支配者イエス・キリストと完全な政府の源なるヱホバ神に変らざる従順な態度を取ることにより,楽園の地で神の像と状になつて永遠の生命という贈物を受けるでしよう。
18 神の御座からの声は,このことを予めに告げて次のように語つていました。それは,聖書の最後の本にこう記録されています,『見よ,神の幕屋が人と共にあり,神が人と共に住み,人は神の民となり,……人の目から涙を全くぬぐいと叫びも,痛みもない。先のものが,つて下さる。もはや,死もなく,悲しみも,すでに過ぎ去つたからである。』『すると,御座にいます方が言われた,「見よ,私はすべてのものを新たにする。』― 黙示 22:3-5,新口
19 人間家族のためにそのような事柄をことごとく行うことにより,神の約束した政府は何を表明しますか。
19 サタンの支配下にある人間の設立した政府で,そのような事柄を人類のためにいままでに為し得たもの,または為すと約束した政府がありますか。人間のつくつた政府で,そのような政府はひとつもありません! しかし,ヱホバ神を源とする政府,そして御自分の御名にかけて述べた予言により設立すると神の誓い給うた政府は,人間家族のためにそのようなすばらしい事柄をことごとく行い,人類に対し完全さを示すでしよう。かくして彼らは完全な地上で永久に住み,創造者なる神を楽しみ,彼をあがめるでしよう。
20 その政府の来るのを見たいと思うなら,今は私たちが何をする時ですか。
20 将来のそのような事柄を考えて見るとき,いまこそ全人類の為のこの完全な政府に対して準備をする時です。私たちはその完全な政府の来ることを見たいと欲するではありませんか。ハルマゲドンの戦いは,悪魔の見えざる支配と利己的な政治家たちの不完全な政府をこの地から取りのぞいてしまいます。ほんとうに私たちは,神の与えた政府の来るのを見たいと欲します。それの来るのを見たいなら,そして死なずにその祝福を楽しみたいなら,その支配下で生活するためハルマゲドン前のいま,私たちは準備しなければなりません。それで,ハルマゲドンが突然に始まる前の今こそ,私たちは神の聖なる御言葉,聖書を研究すべきであり,そして完全な支配者なるイエス・キリストの統治の下に新しい世に生き残る神の要求が何であるかを知るべきです。
21 なぜヱホバの証者は熱心に各人を援助して聖書を研究させますか。そして,私たちはどのように,完全な政府のためのイエスの祈りと活動を一致調和させるべきですか。
21 ヱホバの証者は,各人をよろこんで援助して,生命を与えるこの本を研究し,それを理解させ神の要求の何であるかをを知らせています。それは,恐るべき最高潮がハルマゲドンの宇宙的な戦争という,来るべき大きな患難のあいだ,各人が神の保護と祝福を持つためです。私たちが神の言葉を研究するとき,神の御国を祈り求めましよう。完全な人,イエス・キリストは,その完全な政府のために祈るように私たちを教え,次のように言いました,『天にいますわれらの父よ,御名があがめられますように。御国が来ますように。みこころが天に行われるとおり,地にも行われますように。』(マタイ 6:9,10,新口)さらに,私たちが研究してその御国を祈り求めるとき,無私の心から,他の人々にそのことを宣べ伝えて,彼らも救いを得るようにしなさい。そのようにして,ヱホバの証者と共々に,イエスの次の予言を成就するのに参加しなさい,『この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。』(マタイ 24:14,新口)神に栄光を捧げるため,私たちは,全人類の為の完全な政府の名誉ある代表者として自分自身を証明しましよう。