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生命は『偶発的化学変化』の結果ではない
● サイエンス・ダイジェスト誌の昨年10月号にカナダの一読者からの手紙が掲載されました。それは,いわゆる“生命進化”に関するものでした。分子生物学の分野における最近の発見に照らして考えると,「生命が偶然に発生した可能性は,皆無ではないまでも,ますます少なくなっている」とその筆者は書いています。
例証として次の点が指摘されました。“原始期”の地球が,必須アミノ酸類の豊富な理想状態にあり,地上のすべての窒素や炭素の分子がより複雑な分子の構成分として存在し,しかもそれら複雑な分子がこれまでに知られた最も速い速度で新たな化学物質を形成していたとしても,つまりこうした仮定がすべて現実に起きたとしても,数学上の確率論から言うと,『デオキシリボ核酸(DNA,[生物体の構成要素])は,普通唱えられる数十億年の期間をかけたとしても,偶然によってはその一分子もまず形成されえない。また,大気圏外に,太陽の質量の20倍ものガス体やじん雲があったとしても十分ではない。また次の点も考えねばならない。一個の有機生命体には,一つではなく,何千兆個もの同じ型のDNA分子が必要である。それだけの分子が同じ時に,同じ場所に存在しなければならない』。その筆者はどう結論しましたか。こうです。「生命の化学的進化および大気圏外生命に関する考えは,真の科学と相入れない」。
事実とことばの比較
● 「暴力行為,革命,植民地化政策などは,いかなる形のものであれ,教会の福音活動の手段としては用いられない」。「現代世界における福音宣明」の問題を討議するためにローマで開かれた司教会議の席上,教皇パウロ六世はこのように語りました。このことばは,同教会自身がこれまで築き上げてきた記録とどれほど調和していますか。
イエズス会系の週刊誌「アメリカ」(1974年10月12日号)が指摘するとおり,このことばは,1967年に出されたパウロ六世自身の回勅(「ポプロルム・プログレシオ」[「民の発展」])と明確な相違をなしています。その回勅の中でパウロ六世は,「明白な圧政が長期にわたって認められる」情況下で「革命蜂起」を企てることを暗に正当化する見解を表明しました。ラテン・アメリカその他で革命運動に従事するカトリック教徒は,圧政的と目される政治体制の転覆を図る自分たちの努力がその声明によって暗黙のうちに是認されたものと考えていました。“不謬”の回勅が今や修正されたのですか。
しかし,同教会の「福音活動」に関するこれまで幾世紀もの記録は,パウロ六世の前述のことばと著しい対照を成しています。大量の血を流した十字軍,異端審問所,同教会式のキリスト教を拒めば死であるという脅しのもとになされた原住諸民の大量バプテスマなど,それはまさに暴力を特色とする記録です。ラテン・アメリカやアフリカで広大な地域を支配下に置くため,同教会が植民地化政策に従ったことは明らかに認められるところです。
アメリカ誌のこの記事が,「当教会自体は,ある状況のもとでは,福音宣明もしくは神の国を広める面で助けとなっておらず,むしろ妨げとなっているのではないか」と問いかけているのも十分理由のあることです。
心臓手術に伴う問題
● 人間の心臓に関する聖書のことばは,その厳密な仕組は示されていませんが,心臓が人の動機付けと関係を持っていることを明らかにしています。その点から見て,心臓外科の専門医たちが経験する予期外の問題について次の報告を読むのは興味深いことです。
シカゴ・デイリー・ニューズ紙の一記事によると,10年ほど前,人工心肺装置が開発されて心臓切開手術が行ないやすくなった時,「[人工心肺を]用いた後精神障害を起こす患者が多い」との報告が寄せられました。同紙はこう報じています。「それらの患者は妄想にかかったり,現実から離れた“もうろう状態”にとらわれたりした。精神錯乱を起こしたり,偏執病にかかったりした者もいた。……不安,幻覚,情緒不安定,無感情,抑うつ症などは,そうした患者の間に広く見られた」。現在では,心臓切開手術を受けた患者の16ないし57%が,「手術後の精神変調」を経験しています。しかし,この心理障害は一般に漸次収まっていきます。
どんな大手術も患者にかなりの緊張を強い,時にはある程度の精神もしくは感情的混乱を引き起こします。しかし,人間の心臓が関係している場合,その精神障害の程度と頻度は注目に価するほど高いことが示されています。少なくとも,次の一つのことは確かです。つまり,時が経過し,真の知識が増すにつれ,聖書に確信を置くことは決して誤った結果にならないということがさまざまな仕方で明らかにされてゆきます。