落らく胆たんに負まけないようにする

 1. 落らく胆たんするとどうなりますか。

私わたしたちは毎まい日にちさまざまな問もん題だいに直ちょく面めんします。落らく胆たんしていると，うまく問もん題だいに立たち向むかえなくなります。落らく胆たんの気き持もちは厄やっ介かいなもので，自じ信しんや勇ゆう気きや喜よろこびを奪うばいます。格かく言げん 24章しょう10節せつには，「苦く難なんの時ときに落らく胆たんするなら，力ちからが失うしなわれる」とあります。落らく胆たんすると，問もん題だいを乗のり越こえる気き力りょくがなくなってしまうのです。

 2. どんなことが落らく胆たんの原げん因いんになりますか。この記き事じでは何なにを考かんがえますか。

² 落らく胆たんの原げん因いんとなるものはいろいろあります。自じ分ぶんの不ふ完かん全ぜんさや弱よわさ，病びょう気きなどです。エホバの組そ織しきの中なかで望のぞんでいる割わり当あてが与あたえられないとか，区く域いきの人ひとたちが話はなしを聞きいてくれないといったことも原げん因いんになり得えます。この記き事じでは，落らく胆たんに負まけないようにどんなことができるかを考かんがえます。

 3. どんなことを考かんがえると，自じ分ぶんの不ふ完かん全ぜんさのせいで過か度どに落おち込こまないで済すみますか。

³ 自じ分ぶんの不ふ完かん全ぜんさや弱よわさのせいで過か度どに落おち込こんでしまうことがあり得えます。自じ分ぶんは駄だ目めで，エホバが約やく束そくしている新あたらしい世せ界かいに入はいれない，と考かんがえてしまうかもしれません。そうした考かんがえ方かたは危き険けんです。自じ分ぶんの不ふ完かん全ぜんさをどう見みるべきでしょうか。聖せい書しょによれば，イエス･キリスト以い外がいの全すべての人ひとは「罪つみ人びと」です。（ロマ 3:23）しかし，聖せい書しょの著ちょ者しゃであるエホバは，人ひとのあら探さがしをする完かん璧ぺき主しゅ義ぎ者しゃではありません。私わたしたちを助たすけたいと思おもっている，愛あい情じょう深ぶかくて辛しん抱ぼう強づよいお父とうさんです。私わたしたちが自じ分ぶんの弱よわさと闘たたかい，過か度どに落おち込こまないようにしているのを見みて，助たすけてくださいます。（ロマ 7:18，19）

4-5. ヨハネ第だい一いち 3章しょう19，20節せつから，2人ふたりの姉し妹まいが落らく胆たんに負まけなかったどんな理り由ゆうが分わかりますか。

⁴ デボラとマリアの例れいを考かんがえてみましょう。b デボラは子こ供どもの頃ころよくけなされ，褒ほめられることはほとんどありませんでした。そのため自じ尊そん心しんが低ひくく，小ちいさなミスをしただけでも，自じ分ぶんは何なに一ひとつまともにできないと考かんがえていました。マリアも親しん族ぞくからけなされ，自じ分ぶんは役やく立たたずだと思おもっていました。バプテスマを受うけた後あとも，自じ分ぶんはエホバの証しょう人にんと呼よばれるには値あたいしないと感かんじていました。

⁵ それでもこの姉し妹まいたちはエホバに仕つかえるのをやめませんでした。なぜでしょうか。熱ねつ烈れつに祈いのり，エホバに重おも荷にを委ゆだねたからです。（詩し 55:22）過か去この嫌いやな経けい験けんのせいでネガティブな考かんがえ方かたをしてしまうことを，愛あい情じょう深ぶかい天てんの父ちちが理り解かいしてくださることが分わかりました。そしてエホバは，私わたしたちが自じ分ぶんでは気き付づかないような良よい面めんも見みてくださいます。（ヨハネ第だい一いち 3:19，20を読よむ。）

 6. 悪わるい習しゅう慣かんに逆ぎゃく戻もどりしてしまった時ときはどうしたらよいですか。

⁶ 根ね深ぶかい悪わるい習しゅう慣かんをやめようとしている人ひとが，逆ぎゃく戻もどりしてがっかりすることがあります。罪つみを犯おかして罪ざい悪あく感かんを感かんじるのは自し然ぜんなことです。（コリ二に 7:10）とはいえ，極きょく端たんに自じ分ぶんを責せめて，「もう駄だ目めだ。エホバに許ゆるしてもらえない」と考かんがえるべきではありません。そうしたネガティブな考かんがえ方かたは正ただしくなく，エホバに仕つかえる気き力りょくを奪うばいます。格かく言げん 24章しょう10節せつの，落らく胆たんすると力ちからがなくなるという言こと葉ばを忘わすれないようにしましょう。許ゆるしてくださいとエホバに祈いのることによって，「物もの事ごとを正ただ」しましょう。（イザ 1:18）誠せい実じつに悔くい改あらためるなら，エホバは許ゆるしてくださいます。さらに，長ちょう老ろうに話はなしてください。あなたがまた元げん気きにエホバに仕つかえられるよう，辛しん抱ぼう強づよく助たすけてくれます。（ヤコ 5:14，15）

 7. 正ただしいことをしようとしてうまくいかなくても，過か度どに落らく胆たんすべきでないのはなぜですか。

⁷ フランスで長ちょう老ろうとして奉ほう仕ししているジャンリュックは，弱よわさと闘たたかっている人ひとにこう言いいます。「間ま違ちがいをしない人ひとなどいません。間ま違ちがいをするたびに心こころから悔くい改あらためる人ひとこそ，エホバから見みて正ただしい人ひとです」。（ロマ 7:21-25）自じ分ぶんに何なにか弱よわいところがあるとしても，自じ分ぶんを責せめないでください。誰だれも，自じ力りきでエホバから見みて正ただしい人ひとになることはできません。全すべての人ひとが贖あがないに基もとづいて神かみに惜おしみない親しん切せつを示しめしてもらう必ひつ要ようがあるのです。（エフェ 1:7。ヨハ一いち 4:10）

 8. 落おち込こんだ時ときに誰だれから助たすけが得えられますか。

⁸ 兄きょう弟だい姉し妹まいたちから励はげましが得えられます。話はなしたいと思おもった時ときに聞きいてくれたり，元げん気きづける言こと葉ばを掛かけてくれたりするかもしれません。（格かく 12:25。テサ一いち 5:14）落らく胆たんしていたナイジェリアのジョイという姉し妹まいはこう言いいます。「仲なか間まがいなかったらどうなっていたでしょう。兄きょう弟だい姉し妹まいたちのおかげで，エホバが祈いのりに答こたえてくださっていることが分わかります。落おち込こんでいる人ひとをどうやって励はげましたらいいかも学まなびました」。とはいえ，私わたしたちが励はげましを必ひつ要ようとしていることに，兄きょう弟だい姉し妹まいがいつも気き付づくとは限かぎりません。ですから，経けい験けんのある仲なか間まに自じ分ぶんから話はなして，助たすけを求もとめる必ひつ要ようがあるかもしれません。

 9. 詩し編へん 41編ぺん3節せつと94編ぺん19節せつからどんな励はげみが得えられますか。

⁹ エホバに支ささえてもらいましょう。体たい調ちょうが悪わるく，特とくに慢まん性せい的てきな病びょう気きと闘たたかっている場ば合あいには，なかなか前まえ向むきになれないかもしれません。エホバは今いま私わたしたちを奇き跡せき的てきに癒いやすことはしませんが，私わたしたちを慰なぐさめ，忍にん耐たいする力ちからを与あたえてくださいます。（詩し編へん 41:3; 94:19を読よむ。）例たとえば，兄きょう弟だい姉し妹まいが家か事じや買かい物ものをしてくれたり一いっ緒しょに祈いのってくれたりするように導みちびくかもしれません。あるいは，もうすぐ新あたらしい世せ界かいで完かん全ぜんな命いのちを得えて，病びょう気きも苦く痛つうもなくなる，という素す晴ばらしい希き望ぼうなどを聖せい書しょから思おもい出だせるように助たすけてくれるかもしれません。（ロマ 15:4）

10. イサングが事じ故この後のちに落らく胆たんしたままでいなかったのはどうしてですか。

¹⁰ ナイジェリアに住すむイサングは，事じ故こに遭あって体からだがまひしてしまい，医い師しから二に度どと歩あるけないと言いわれました。「ショックで打うちのめされました」と言いいます。でも，落らく胆たんしたままではいませんでした。何なにが助たすけになったのでしょうか。こう語かたっています。「私わたしと妻つまはひたすらエホバに祈いのり，聖せい書しょを学まなび続つづけました。また，将しょう来らいの新あたらしい世せ界かいで生いきるという希き望ぼうを含ふくめ，感かん謝しゃできることを数かぞえ上あげるようにしました」。

11. シンディーは病びょう気きで大たい変へんな中なか，どのように喜よろこびを感かんじることができましたか。

¹¹ メキシコに住すむシンディーは，命いのちに関かかわる病びょう気きと診しん断だんされました。前まえ向むきでいられるようにどんなことをしたのでしょうか。治ち療りょうを受うけている間あいだ，毎まい日にち伝でん道どうすることを目もく標ひょうにしました。こう書かいています。「そうすることにより，手しゅ術じゅつや痛いたみや体たい調ちょうの悪わるさにではなく，他たの人ひとに思おもいを向むけることができました。こんなふうにしました。お医い者しゃさんや看かん護ご師しと話はなしている時ときに，家か族ぞくのことを聞ききます。それから，なぜ大たい変へんな仕し事ごとを選えらんだのかを尋たずねます。そうすると，どんな話わ題だいに関かん心しんがあるかが分わかります。患かん者じゃから気き遣づかいの言こと葉ばを掛かけられることはめったにない，と言いうお医い者しゃさんや看かん護ご師しもいましたし，感かん謝しゃしてくれる人ひともたくさんいました。連れん絡らく先さきを教おしえてくれる人ひともいました。人じん生せいの中なかで大たい変へんな時じ期きでしたが，エホバはびっくりするぐらい深ふかい喜よろこびを感かんじられるようにしてくださいました」。（格かく 15:15）

12-13. 病びょう気きの人ひとや体からだが弱よわい人ひとはどのように伝でん道どうしていますか。どんな成せい果かが見みられていますか。

¹² 病びょう気きの人ひとや体からだが弱よわい人ひとは，伝でん道どうで行おこなえることが限かぎられているために落らく胆たんすることがあります。それでも多おおくの人ひとが努ど力りょくしてきました。米べい国こくのローレルという姉し妹まいは，鉄てつの肺はいの中なかで37年ねん間かん過すごしました。がんになり，大おおきな手しゅ術じゅつを何なん度ども受うけ，慢まん性せい的てきな皮ひ膚ふ病びょうもありましたが，非ひ常じょうに大たい変へんな中なかでも伝でん道どうをやめませんでした。家いえにやって来きた看かん護ご師しや他たの医い療りょう従じゅう事じ者しゃたちに真しん理りを伝つたえました。その結けっ果か，聖せい書しょをよく知しるように少すくなくとも17人にんを助たすけることができたのです。c

¹³ フランスのリシャールという長ちょう老ろうは，自じ宅たくや介かい護ご施し設せつなどから出でられない兄きょう弟だい姉し妹まいに役やく立だつ提てい案あんをしています。「人ひと目めにつく所ところに出しゅっ版ぱん物ぶつを少すこし並ならべておくことをお勧すすめします。人ひとの興きょう味みを引ひき，会かい話わのきっかけになります。それは家いえから家いえに伝でん道どうできない兄きょう弟だい姉し妹まいにとって励はげみになります」。家いえから出でられない人ひとは，手て紙がみや電でん話わで伝でん道どうすることもできます。

14. ダビデ王おうはどんな素す晴ばらしい手て本ほんを示しめしましたか。

¹⁴ 年ねん齢れいや健けん康こうや他たの理り由ゆうで，会かい衆しゅうや巡じゅん回かい区くで望のぞんでいる割わり当あてが与あたえられないことがあるかもしれません。そのような経けい験けんをしているなら，ダビデ王おうの例れいから学まなべます。ダビデは神しん殿でんを建たてることを切せつに願ねがっていましたが，その仕し事ごとを与あたえられませんでした。それでも，神かみが選えらんだ人ひとを全ぜん面めん的てきにサポートし，神しん殿でんの建けん設せつのために惜おしみなく寄き付ふをしました。素す晴ばらしい手て本ほんです。（サム二に 7:12，13。代だい一いち 29:1，3-5）

15. ユーグはどのように落らく胆たんを乗のり越こえましたか。

¹⁵ フランスのユーグという兄きょう弟だいは，体からだを悪わるくして簡かん単たんな家か事じもできなくなり，長ちょう老ろうを辞やめました。こう書かいています。「最さい初しょは，自じ分ぶんは役やくに立たたないと思おもって，ひどく落おち込こみました。でも，できないことばかり考かんがえるのではなく，エホバのために今いまできることをしたら，喜よろこべるようになりました。あきらめずに頑がん張ばりたいです。疲つかれていたのに戦たたかったギデオンと300人にんの兵へい士しのように，私わたしも闘たたかい続つづけます」。（裁さば 8:4）

16. 天てん使したちの手て本ほんからどんなことを学まなべますか。

¹⁶ 忠ちゅう実じつな天てん使したちも良よい手て本ほんです。悪わるいアハブ王おうの治ち世せい中ちゅうに，エホバはどのようにアハブをだましたらよいか天てん使したちに意い見けんを求もとめました。何なん人にんかの天てん使しが意い見けんを言いいましたが，神かみは1人ひとりの天てん使しの提てい案あんを採さい用ようしました。（王おう一いち 22:19-22）他たの天てん使したちはがっかりして「言いっても意い味みがなかった」と考かんがえたでしょうか。そんなはずはありません。天てん使したちはとても謙けん遜そんで，自じ分ぶんではなくエホバがたたえられることを願ねがっています。（裁さば 13:16-18。啓けい 19:10）

17. 望のぞんでいる割わり当あてが与あたえられなくて落おち込こんでいるなら，どうしたらよいですか。

¹⁷ エホバの証しょう人にんとして王おう国こくについて伝つたえるという素す晴ばらしい務つとめが与あたえられていることを忘わすれないでおきましょう。私わたしたちは受うけている割わり当あてによって神かみから評ひょう価かされるわけではありません。エホバや兄きょう弟だい姉し妹まいから本ほん当とうに愛あいされるのは，謙けん遜そんで慎つつしみ深ぶかい人ひとです。いつも謙けん遜そんさや慎つつしみを示しめせるようにエホバに助たすけを求もとめましょう。聖せい書しょに記き録ろくされているたくさんの良よい手て本ほんを思おもい巡めぐらし，兄きょう弟だいたちのためにできることを進すすんで行おこないましょう。（詩し 138:6。ペテ一いち 5:5）

18-19. 区く域いきの人ひとたちが話はなしを聞きいてくれないように思おもえても，どうすれば奉ほう仕しを楽たのしめますか。

¹⁸ 区く域いきの人ひとたちが話はなしを聞きいてくれなかったり留る守すが多おおかったりして，落らく胆たんしたことがありますか。そのような状じょう況きょうで奉ほう仕しを楽たのしむにはどうしたらいいでしょうか。「もっと楽たのしく奉ほう仕しするには」という囲かこみに，役やく立だつ提てい案あんがあります。宣せん教きょうに対たいする正ただしい見み方かたも大たい切せつです。どんな見み方かたでしょうか。

¹⁹ 大だい事じなのは，神かみの名なと王おう国こくについて知しらせることです。イエスによれば，命いのちに至いたる道みちを見みつける人ひとは多おおくありません。（マタ 7:13，14）私わたしたちは伝でん道どうする時とき，素す晴ばらしいことにエホバやイエスや天てん使したちと一いっ緒しょに働はたらいています。（マタ 28:19，20。コリ一いち 3:9。啓けい 14:6，7）エホバは良よい心こころを持もつ人ひとを引ひき寄よせます。（ヨハ 6:44）話はなしを聞きかない人ひとも，次つぎに訪ほう問もんした時ときには聞きくかもしれません。

20. エレミヤ 20章しょう8，9節せつによると，落らく胆たんに負まけない上うえで何なにが助たすけになりますか。

²⁰ 預よ言げん者しゃエレミヤから多おおくのことを学まなべます。エレミヤは大たい変へんな区く域いきで伝でん道どうしなければならず，人ひと々びとから「一いち日にち中じゅう」侮ぶ辱じょくされ，からかわれました。（エレミヤ 20:8，9を読よむ。）とても落らく胆たんし，あきらめそうになりました。それでも伝でん道どうし続つづけたのはなぜでしょうか。「エホバの言こと葉ば」がエレミヤの中なかで火ひのようになり，抑おさえられなかったからです。私わたしたちも，神かみの言こと葉ばで心こころがいっぱいになっているなら，同おなじようになります。ですから，毎まい日にち聖せい書しょを学まなんでよく考かんがえることは大たい切せつです。そうするともっと喜よろこべるようになり，宣せん教きょうも楽たのしくなるでしょう。（エレミヤ 15:16）

21. どうすれば落らく胆たんに負まけることはありませんか。

²¹ この記き事じに出でてきたデボラは，「落らく胆たんはサタンが使つかう強きょう力りょくな武ぶ器きの1つです」と言いいます。でもサタンの武ぶ器きよりエホバ神かみの方ほうがはるかに強つよいので，安あん心しんできます。ですから，落らく胆たんした時ときにはエホバに頼たよりましょう。エホバは不ふ完かん全ぜんさや弱よわさと闘たたかうのを助たすけてくれます。病びょう気きになっても支ささえてくれます。自じ分ぶんの割わり当あてにこだわらず，前まえ向むきに宣せん教きょうに取とり組くめるようにしてくれます。天てんの父ちちに祈いのって，気きに掛かかっていることを伝つたえてください。エホバの助たすけがあれば，落らく胆たんに負まけることはありません。