欧米の近代的なスタジアムやアリーナの多くには,すでにオーディオ・ビデオ機器が備えられています。そうした会場を使う場合でも,大抵は自分たちの機材を持ち込みます。その理由について,世界本部ブロードキャスティング部門で働くデービッド兄弟はこう説明します。「大会会場として借りる施設のほとんどは,聴衆が6時間以上も話を聞き続けるのに適していません。例えばスポーツ施設では,場内放送で短いアナウンスや音楽を流す程度です。スクリーンに表示されるのは試合のスコアやリプレイや宣伝などです。でも私たちが目指すのは,聴衆がもっと長いビデオを見て,ステージからの話をはっきりと聞き取れるようにすることです」。
各大会会場にはいろんな特徴があるため,会場ごとにオーディオ・ビデオ・システムをカスタマイズする必要があります。会場が選ばれるとすぐ,支部ブロードキャスティング部門が,大会出席者の予想人数と施設の収容人数に応じて,座席の配置を決めます。それから,スピーカーとディスプレーをどこに設置し,どのように接続するかを決め,必要な機材をリストアップして,出席者全員が大会プログラムを十分に楽しめるようにします。
支部ブロードキャスティング部門(LBD)の兄弟たちが手順を注意深く確認しながら作業している。
複数の言語を話す人たちが出席する会場では,オーディオ・ビデオのシステムがもっと複雑になります。プログラムが別の言語に通訳される場合,まず通訳者に元の言語の音声と映像を流します。そして,通訳された音声を別回線で流し,聴衆が自分たちの言語で聞けるようにします。高機能なメディアプレーヤーのおかげで,同じ映像で8つの言語の音声をそれぞれの言語セクションに同時に届けることができます。デービッド兄弟はこう言います。「こうしたシステムはとても複雑なので,それを操作する奉仕者たちは十分なトレーニングを受ける必要があります」。
ほとんどの支部事務所はオーディオ・ビデオの機材を所有し,毎年使用しています。兄弟たちは,ある大会会場から次の大会会場までの機材の運搬を手配します。米国支部の場合,機材を運搬するだけで毎年20万ドル(約3100万円)以上かかります。それでも,追加の機材を購入し維持するよりも,費用を抑えることができます。カナダの地区大会でオーディオ・ビデオの監督をサポートしたスティーブン兄弟はこう言います。「オーディオ・ビデオのチームは,ナット,ボルト,ケーブルなどの必要な部品がそろっているか,きちんと管理されているかを確かめ,パッキングをして発送し,次の会場で使用できるように見届けてくれました。本当によくやってくれました」。