世界展望
東洋の「地に平和」国際大会
◆ 昨年の夏,北アメリカとヨーロッパで合計84万572名の出席者をみた,エホバの証人の「地に平和」国際大会は,さる10月,東洋の各地でも開かれた。ものみの塔協会のN・H・ノア会長はソウルで1万4,644人の聴衆を前に,「近づく一千年の平和」と題する講演をした。その三日後,同会長は,時を同じくして東京で開催されていた大会に出席し,14か国の代表を含む1万2,614名の聴衆に同じ講演を行なった。これは日本のエホバの証人の総数を約5,000人も上回る出席者数である。日本の大会の開催中,台湾でも同じ大会が行なわれ,799人の出席者最高数をみた。同時に,香港でも「地に平和」大会が開かれ,678名が出席した。香港のエホバの証人は合計225人である。これらアジアの各地では聖書の平和の音信に対する関心が急速に高まっている。
アジアの各国でエホバの証人とともに聖書を学んでいる大ぜいの人々は,自分自身の生活を大きく変化させて,創造者を喜ばせている。その結果,韓国ではエホバの証人総数の15%にあたる1,511名がバプテスマを受け,日本では798名,台湾27名,香港では17名がそれぞれバプテスマを受けた。これらの国々でその前年にバプテスマを受けてエホバ神への献身をあらわした人は合計3,313名であった。
現代に見られる矛盾
◆ 科学技術の進んだ現代の若者の多くが,周知のとおり占星術,魔術,心霊術などに手を染めているのは,現代の最も奇妙な矛盾の一つである。アメリカの場合,大学の図書室には魔術や占星術に関する本が列をなしている。大学当局は学生のこうした新たな関心を現実の諸問題を解決できない科学に対する反抗と見ている。
肝臓提供者の不服
◆ 西ドイツ,コブレンツ近郊に住む一未亡人は,夫の肝臓を他の患者に移植する許可を医師に与えた覚えがないことを申し出た。その夫の手術が行われていた時,肝臓を切除すれば生きる望みがあるとの印象を医師から受けた,と婦人は言う。西ドイツの,肝臓病の権威であるA・ガットゲマン教授は次のように語った。「死人の肝臓を除去することは,未亡人の許可がなくても,倫理的に正当化できると思った。主人をなくしたばかりの婦人の頭にピストルを突きつけて,その主人のからだから臓器を切除する権利を要求するのは精神的残酷というものだ」。
「説教を廃止せよ」
◆ カナダ合同教会の議長R・マクラー博士は教会での説教を廃止すべきであるとの私見を述べた。「説教は廃止して円卓討議にすべきだ。出席者がわずか30人でもかまわない。説教を続けるなら,現状からして教会にはだれも出席しなくなってしまうだろう」。教会が人々の心を動かす音信を持っていないことはまさに明らかである。
カトリック信者の尊敬する人物
◆ アメリカのカトリック系家庭雑誌の行なった調査によれば,この国のカトリック系大学15校の昨年の卒業生の最も尊敬する人物は,3人の現代アメリカ人であり,キリストは第5位であった。その上位5人はつぎのとおりである。(1)J・F・ケネディ,(2)ロバート・ケネディ,(3)マルチン・ルター・キング,(4)法王ヨハネス23世,(5)イエス・キリスト。
宇宙創造の年代
◆ 最近,幾人かの科学者の行なった計算によれば,銀河系には100億年を越える恒星はないとのことである。さらに,一部の原子科学者も地殻の放射性元素および安定した元素を測定し100億年という同じ数値を得た。宇宙拡大説に基づくA・サンデイジ博士の第三宇宙時計による計算も同じ数値,つまり100億年を示した。サンデイジ博士は次のように語った。「宇宙の拡大,最古の恒星の年齢,重元素の生成などに基づく三つの時計が合致していることは,少なくとも私にとっては,これら三つの時計に同時に時を刻み始めさせた遠い過去のある驚くべきできごとを如実に物語るものである。このできごとから,われわれの今日知っている宇宙 ―― 規則正しい運行を保っている月,恒星,惑星,星団のすべて ―― が出現した。宇宙が拡大しはじめ,星団が造り出され,恒星の運動が始まり,そして重化学元素が造成された。よい表現が見つからないので,このできごとを創造の誕生と呼ぶ天文学者もいる」。
僧職者は何を考えているか
◆ アムステルダムにあるローマ・カトリック神学大学の総長J・C・グルートは次のように語った。「教会に通うのはもはや義務ではなく,個人の選択すべき事柄であるとたいていの人は考えている。中には神学校に不信をいだく者もいる」。
「われわれクリスチャンの信仰は著しく欠如してしまった」とヘーグに住む老齢の牧師補A・J・シモニスは述べ,次のように付け加えた。「キリスト教を装ってはいるが,罪の可能性さえも信じなくなった人性論にわれわれは直面している」。
さらに同司祭は,「今日すでに教会の一分派が存在しているが,それは信仰そのものを失った人々から成る分派である」と述べた。
世界的な小麦の生産過剰
◆ 今日,国民を養うに足る食糧を生産できない国々が多いため,世界は飢きんに脅かされている。ところが1969年には世界の小麦生産はかなり過剰だったため,大穀物倉庫の貯蔵量はふえた反面,小麦価格は下落する一方で,アメリカ合衆国の小麦相場は25年来の最底を記録した。主要輸出国に蓄積された小麦の山は,現在7,000万キロリットルに上り,うち2,860キロリットルはアメリカに貯蔵されており,そのうち1,480万キロリットルはわずか2年前から貯蔵されているものである。今日,幾百万もの人間が飢えているにもかかわらず,ある国々では小麦が山積みにされている。
テレビとビンゴ・ゲームに親を奪われる子供たち
◆ 最近の一報道によれば,テレビやビンゴ・ゲームのため,ロンドンの子供たちの多くはあたかも「みなしご」になっている。子供たちが床についてしまうまで父親が帰宅しないことはたびたびである。その間,父親は酒屋か,フットボールの試合見物で時間をつぶす。また,早く帰宅した場合でも,新聞やテレビにほとんどの時間を費やしている。一方,多くの母親はビンゴ・ゲームが好きで,子供がいようがいまいが,なにはともあれビンゴを楽しんでいる。しかし,両親との交わりや,その導きを失った子供はいったいどんな人間に成長するのであろうか。
十代の若者の購買力
◆ 世界中の十代の若者のうち,2,300万人を数えるアメリカの若者の購買力は最も大きいようだ。それらアメリカの若者は年間150億ドル(5兆4,000億円)もの驚異的な購買力を持っている。さらに家族の財源のうち350億ドル(12兆6,000億円)の消費に直接影響を及ぼしている。ウールワース社の市場開発部長A・グロスは,十代の少年は男子人口の12%を占めるにすぎないが,男子用スポーツ着の40%以上を消費していると述べた。十代の少女は女子人口の11%を占めるが,婦人衣類の20%,化粧品の30%,あいさつ状の25%,レコード・アルバムの50%を購入する。また,十代の青年男女は始終,乗用車,テレビセット,家庭用品などの購入や,休暇旅行計画の相談をもちかけている。
分岐点
◆ 教義神学の教授でローマ・カトリック司祭アンソニー・パドバーノは,アメリカのカトリック教会が「重大な分岐点」に立っていると語った。そして,司祭も一般の人々も,「信仰がなんの益になるのか」という疑問を投げかけていると述べた。「信仰のためではなく,社会的また経済的理由および徹底した利己的な理由から,神・キリスト・教会を信する」という考えにまっこうから立ち向かう人もでて来ている。今必要なのは,同司祭によれば,教会制度の改革ではなくて,信仰の証としての人間改造である。しかし「人間改造」が行なわれていないのは,教会が神のことば聖書を教えなかったからではないだろうか。
教会に失望した司教
◆ 「これ以上教会に信頼を置くかどうか,わたしには確信がない」とカナダ,ブリティシュコロンビア州,カリブーの司教ラルフ・ディーンは最近語った。そして,「教会の合同運動に対する関心すら失ってしまった。世界の現状に関するかぎり,その運動はもはや手遅れである」と指摘した司教はまた,現代の教会は今後幾年もしないうちに滅びるであろうと語った。
月までの距離
◆ 最近,科学者たちはアポロ11号の二人の宇宙飛行士が月面に設置した鏡にレーザー光線を反射させて,地球から月までの距離を測定し,22万6,970.9マイル(約36万5,273キロ)であることを知った。この観測値は誤差150フィート(約45メートル)の正確な数値とされている。しかし,地球から月までの距離は,月が地球のまわりを公転するに従っていろいろ異なってくる。
テレビと暴力との関係
◆ アメリカの全国暴力防止対策委員会がまとめた31ページの報告書によれば,テレビの暴力番組は文字どおり,とりわけ子供の暴力行為を助長しているとのことである。同委員会はこう述べた。「テレビで人々を動かすことができると考えている広告会社は毎年25億ドル(9,000億円)テレビ広告に投じ,また,テレビ産業も広告会社を盛んに支持している。……テレビの暴力番組は聴視者,ことに子供に悪影響を及ぼし,また子供の思考に介入して,暴力に関する文明社会の規範に反する道徳および社会的価値を子供に教えている。入手できる証拠のすべてはこのことを明示している」。
神に対する信仰
◆ アメリカのギャラップ世論調査によれば,信仰の有無に関して13か国を対象に調べたところ,信仰を持っている人々が最も多いアメリカで,調査の対象となった人のうち98%が神を信じていると答えた。第2位はギリシアで,96%,第3位はカナダの92%であった。しかし,こうした信仰が皮相的なものであることは明らかだ。なぜなら,聖書に対する信仰の喪失はもとより,道徳の崩壊,犯罪の増加,権威に対する不敬がはびこっているからである。確かに,神のみことば聖書が述べているごとく,「彼らは神を知っていると,口では言うが,行いでそれを否定している」― テトス 1:16,口語。
神を信じない牧師
◆ 最近,29歳の牧師デビッド・ハートは「わたしはかなり前から神が信じられなくなった」と語り,人々を驚かせた。この時,英国のバーミンガム大学附属教会の牧師に就任しようとしていたハートは,同大学で,「わたしは学生のひとり」になりたいと述べ,「神」ということばを口にしないつもりだと語った。その後,バーミンガムの司教レオナード・ウィルソン博士は,ハート牧師と面接し,英国教会の礼拝を司会する許可を与えたと述べた。
はびこる悪質な破壊行為
◆ アメリカでは無軌道な破壊行為のため,資産が多大の損害をこうむり,そのための政府の出費はふえ,税金や保険率は引き上げられ,そうでなくても高い国民の生活費は全体として何百万ドルも増大している。米教育局は,破壊行為によって公立校の受ける損害を年間360億円と見積っている。市の所有物権の損害は,ニューヨーク市だけでも一昨年36億円を上回った。同年,ニューヨーク市では被害届けが10万件余あったにもかかわらず,逮捕されたのは,3,216人にすぎず,逮捕者の多くは軽い懲戒処分に付されただけである。