世界展望
アメリカの飲酒家の実態
◆ アメリカのジョージ・ワシントン大学,社会学教授イラ・H・シズン博士は,最近,「飲酒は,アメリカ文化にきわめて強い影響を与えている。アルコール飲料は社会関係を円滑にする働きをもっており,また,その目的で用いられているようである」と述べた。飲酒者の実態を明らかにする調査が,21歳またそれ以上の2,746人を対象にして行なわれた。この調査で「アルコール飲料」というのは,ぶどう酒,ビール,ウイスキーなどあらゆる種類の酒類を含む。調査の対象となった男女のうち,ほぼ3分の1にあたる32パーセントの人は,「非飲酒家」すなわち1年に1度飲むか飲まないか,あるいは全然飲まない人であった。1年に少なくとも1度は飲むが,月に1回飲むほどでもない,「まれにしか飲まない人」は,15パーセントを占め,残り53パーセントつまり過半数は相当量をかなりひん繁に飲む人々で,大酒家の比率は最小であった。飲酒家は男性に多く,また,女性よりも多量に飲む。しかし女性の飲酒家もふえてきた。1年に少なくとも1度飲酒する女性は約60パーセントにふえた。12年前は45パーセントであった。この調査では,イタリア系アメリカ人が最高で91パーセントを占めている。ところが,常習的な飲酒家の93パーセント,大酒家の31パーセントは,アイルランド系の人々で占められている。
売春をする主婦
◆ カナダ・マニトバ州,ウィニペグからのAP通信によれば,ウィニペグの「高級」売春婦の多くは郊外地区の主婦であり,しかもそれを意に介さない夫がいる,と社会学者ウィリアム・モリソン教授が語ったとのことである。同教授によれば,彼が面接した50人以上の売春婦は既婚者で,家族を持っている者も多数いた。なかには妻のそうした行為を知っていながら,「生計の助けになる」との理由で夫の黙認を得ている主婦もいたとのことである。モリソン教授はまたつぎのように述べた。「これらの女性は,社会に貢献しているとまじめに考えている。…その顧客はたいてい,恵まれた結婚生活をしている中流以上の階級の男性であるが,彼らは自分の妻から十分の性的満足を得ることができないと考えている」。モリソン教授は二人の児童の父親であるが,成人間の合意に基く同性愛関係が許されている以上,カナダで売春を禁ずる理由は一つもないとしている。あなたは同教授の見解に同意できるであろうか。聖書はそうした見方を認めていない。
飲酒抑制運動
◆ ソ連政府は大酒を禁ずる全国的な運動を行なっている。モスクワのレストランではウォッカの値段が2倍になり,カフェはコニャックをしまってぶどう酒だけを出している。工場周辺の酒類の販売店は移転あるいは閉鎖を命ぜられ,販売時間も短縮された。酔酒を少なくしようとするこの運動が進められた理由は道徳上のそれでなく,飲酒が工業生産の停滞の一因となっているとのうわさにあるとされている。
「くさい町」
◆ イタリア,コッコラの住民は川の汚染に刺激されて,町名を「プッゾリア」と改めたが,これは「くさい町」と訳すことができる。この町のそばを流れるロンコ川の悪臭はもはや耐えられないほどになっている。調査によれば,その川は普通の下水より6倍も汚いことが明らかにされた。人口5,000万のイタリアには,ローマの専門家筋によると,ほぼ20の下水汚物処理場があると言われている。住民の多くは,ロンコ川の浅瀬を歩いた昔のことを記憶しており,コッコリアの一町民は,「昔はロンコ川で洗たくをしたり,からだを洗ったりしたものですが,今ではにおいをかいだだけで吐きけをもよおします」と語った。事の重大さに気がついた別の町民は,2年前に塗った,橋の黒い金属性の手すりがひどく腐食していることを指摘し,つぎのように語った。「川から出るガスが塗料をあのようにいためるのですから,この町の住民にもたらしている害を想像してください」。
まん延する性病
◆ 米国伝染病センター性病部門の部長ウィリアム・J・ブラウン博士によれば,アメリカの性病は疫病のような勢いでまん延しているとのことである。同博士は,性病の罹病率は1957年の当時の最底の状態から,今日では恐るべき高率に達していると述べた。アメリカでは過去5年間に報告された淋病の患者数は60パーセント増加し,淋病患者の実数は168万人とされている。性病は専門家の手にも負えなくなってきた。同ブラウン博士によると,性病に関する医学知識を人々が持ち合わせていないため,問題の専門家たちは効果的な抑制計画を講ずることができないとのことである。
非難される輸血
◆ スタンフォード大学医学部の外科教授J・ガロット・アレン博士によれば,血清肝炎の90パーセントは営利目的の血液銀行から購入した,無審査の献血者の血に起因するものであるという。アメリカのカリフォルニア州だけでも,毎年,5,000人以上が輸血のために肝炎にかかっている。
麻薬品の横行
◆ 最近,アメリカでは,十代の年少者の間で人種・貧富・都市・郊外地また男女の別なくヘロインの使用が恐ろしいほどに広まっている。1960年,ニューヨーク市では麻薬の乱用のため十代の若者が15人死亡したが,1969年,その死亡者数は224人にも達した。今年,去る3月第3週までに,ニューヨーク市では薬による死亡者は合計192名で,十代の若者はすでに58人死亡した。今日,14歳から35歳の年齢層の主要な死因は麻薬である。死亡者のすべてが麻薬中毒者であるというわけではないが,その中には初めて麻薬を使用した若者も多数いた。今年の夏までに,ニューヨーク市だけで,ヘロインを使用する若者は10万人に達するであろうと推定されている。麻薬中毒者一人につき三,四人がその影響を受けるとされていることからすれば,二,三年後の状態が想像できよう。もしお子さんを愛しておられるなら,麻薬使用の恐ろしい実態を子どもに教えるべきである。それは悲惨な経験を防ぐとともに,命を救うものとなるであろう。
病気の原因となる大気汚染
◆ 大気汚染にはどれだけの害があるだろうか。現在,あらゆる病気の過半数が大気汚染によるとされている。同じ見解を持つカナダ,トロントのヨーク-フィンチ病院の外科医ジョセフ・マッケンナ博士は,過去15年間にトロントで「呼吸器疾患」が700パーセント増加したのは大気汚染の増大によるものとみている。
カトリックの「婦人聖職者」
◆ アメリカの北アイオワ州,ダビューク市のローマ・カトリック主教管区は,司祭不足のため,やむなく,婦人の信徒ふたりを聖ざん用パンとぶどう酒を配る勤めに起用した。報道によれば,このふたりは,ふつう任命されたカトリック司祭が行なう聖ざん用のパンとぶどう酒を配る務めを果すよう正式に認められた米国で初めての平信徒の婦人である。