世界展望
家庭の崩壊
◆ 去る9月23日付の朝日新聞は,「進む家庭崩壊 ― 子を野放しの親たち」という見出しの特集記事の中で,アメリカにおけるその実情を報告したが,次にその一部を抜すいする。
「『ことしこれほど反響を呼んだニュースはほかにない』とニューヨーク・タイムズ紙編集幹部が一致して認める記事である。5月15日同紙第一面に載った『子どもたちが家の中で(友人と)セックスをするのを認める親もいる』というルポだ……セックスをすることにはほとんどの親たちがもうあきらめてしまっている……ある父親は弱々しげにいう。『セックスをしてもよいから弟や妹への影響を考え,この家でやることだけはかんべんしてくれ』。またある母親は『麻薬にさえ手を出さなければ何をしてもいいよ』……だがそれにしても最近の親たちの中には,権威も自信もすっかり失い,子どもたちのやり方をただおろおろ見守っているだけ,といったものがふえてきている……官僚化した技術社会におけるきびしい生存競争,個人の無力感,成功のチャンスも生きがいも乏しくなった……父親は外の仕事でくたくたになり,家で子どもをリードしようとの意欲も能力も失いがち。母親も物質主義,快楽主義に毒され,頼みの学校,教会も子どもの人格形成への影響力は薄くなる一方……しかし不満足でも,親があり家庭があるのはまだよい方だ。米国では親のない子ども,継父母との同居,別居を繰返す子どもが急テンポでふえている。ここ二,三年離婚が簡単に出来るよう家族法を改正した州がかなりあるため,1930年には結婚した夫婦の4分の1程度が離婚したのに対し,いまでは5分の2(今年だけで100万人近く)が離婚するという。カリフォルニア州では離婚率が50%近く,法律でもすでに「離婚」という言葉をやめ「解消」と呼んでいる……『家庭の崩壊は米国にとってベトナム戦争以上の脅威』(クリスチャン・サイエンス・モニター紙)との警鐘が鳴らされている。これは日本にとっても他人ごとでないはずだ」。
物質的に富んでいながら家庭が崩壊し,道徳が低下してゆくこうした実情は何を示しているのだろうか。家庭生活の健全な導きと高い道徳規準を教える聖書こそ,この時代に人々が必要としているものである。
肺が回復するのに10年
◆ カナダのあるガンの専門家は,喫煙するのをやめてからその人の肺が回復するまでに少なくとも10年かかると述べている。ロバート・テイラー博士は,「かつての喫煙者にガンの発生する可能性が,喫煙の未経験者のそれにまで下がるのは,タバコをやめてから10年になる」と語った。同博士によれば,肺ガンの90%は喫煙によるという。
交通事故のために新しい道具
◆ アメリカ,ニューヨーク市の消防局は,交通事故で押しつぶされた自動車から犠牲者を救助するために設計された新しい道具を実験している。それは重さが23㌔ほどの軽便な道具だが金属板を押し広げたり切断したりするのに4,500㌔の圧力を出すことができる。また,押しつぶされたドアは普通アセチレン灯で焼き切らねばならないが,この道具はそれを迅速に取りはずす。それはさらに,こわれたかじ取り柱を運転席からたちどころに引き抜くこともできる。
希望のないことが問題
◆ 最近,アメリカのフィラデルフィア病院で自殺未遂者とのインタビューが行なわれたさい,希望のないこと,将来に何の良い見通しもないことが,自殺を図った最大の要因であることがわかった。であれば,正義の新秩序がまもなく実現するとの希望を人に与える,神のことば聖書はなんと実際的ではないか。
『聖書は最も良い参考書』
◆ カナダのバンクーバー・サン紙によれば,中東で調査をしている考古学者や研究者の中には,自分たちの発見物を実証するために聖書にたよる人がふえている。エルサレムにある,アメリカ聖地調査協会会長,G・D・ヤング博士は,「最近まで,聖書を誤りで満ちたものとするのが一般的な傾向だった。しかし,今日われわれは聖書を信ずるに足る情報源であるとみなしている」と語った。同博士はさらに,聖書は「非常に信頼できる」史料であり,また発掘された物はしばしば聖書の記録の正しさを証明していると述べた。彼が,昔のハゾルの遺跡の調査に初めて行った時,探険隊長にどんな参考書を持って行くべきかを尋ねたところ,「聖書は最も良い参考書です」と言われたという。
家庭と麻薬
◆ 麻薬を使うきっかけの多くは家庭にある。アメリカのフロリダ州マイアミ周辺で1年間にわたって行なわれた調査によれば,学生が麻薬を使用する主要な原因は家庭問題にあることがわかった。マイアミでは中学生と高校生の10%が麻薬を常用している。別の調査は,ブルックリンのベッドフォードスチュイベサントとフォート・グリーン地域に住む家庭の40%以上が麻薬の影響を受けていることを示している。ニューヨーク・タイムズは,インタビューを受けた612人のほとんど全員が「最初は友人や家族の者から麻薬を使うよう勧められた」と伝えている。ペンシルベニアのある青少年補導員は,親は子どもが「ただつかれている」のだと思って,常用にほとんど気づかないでいると語っている。
宗教界の『クレディビリティ・ギャツプ(断絶感)』
◆ 政治家は事実をわい曲することで有名である。1971年の『米国防省新聞』事件は政治家と国民間の『クレディビリティ・ギャップ』をあらわすものであった。ジャーナリストや広告業者も欺まんを働く。では,僧職者はどうであろうか。UPI通信社のベテラン記者ルイス・カッセルズはこう述べている。「わたしは宗教関係のニュースの報道員として,教会のスポークスマンが,ある特定の情況で実際に何が起きたかを人々に隠しておこうとしてわざとろうばいしたり,事実をゆがめたりするのをしばしば見た」。
精神病患者を支持
◆ 最近,アメリカのニューヨーク州最高裁判所の判事は,電気ショックの治療を拒絶した31歳の女性の権利を支持した。その女性は拘束されることが必要なほど「重い精神病」と考えられたが,指示された治療法を判断する能力はあった。判決を下した当の判事は次のように語った。「この治療法は,効力と危険の双方の点で,精神病医の間でも大きな論争の的になっている。これは,精神病患者の治療に著しく役だつが,肺水腫,骨折など他の病気の原因になったり,ごくまれだが,死をさえ招くことで知られている」。
汚染されている世界中の湖
◆ 世界中の湖は生物学的な死の脅威にさらされている。生物学者のR・ザーナーによれば,西ドイツのコンスタンス湖は20年間に「1万年も年を取った」。その湖に注ぎ込まれた危険な廃棄混合物は,浅瀬に藻やその他の植物を過度に繁茂させた。一日に2万隻にのぼるモーターボートが湖上に現われるがその大半はオイルを流すエンジンを船外につけているので,濃厚な石油のかすをふやしている。シベリヤのバイカル湖も同様な汚染の害にあっている。カナダのトロントのある大学教授は,ひどく汚染しているエリー湖を干上がらせて現われた土地を有効に使ってはどうかと提案している。
コーン・サラダ
◆ 雪が積っている時に,緑の生野菜のサラダを食べたいと思われるだろか。コーン・ラダサ(野ヂシャ)は,世界のある場所では知られていないが,ヨーロッパでは普及している。コーン・サラダは暑さに弱いが霜とか雪には強い。9月に種を植えると,10月から1月にかけてとれる。
アルコル中毒は大きな問題
◆ 飲酒する9,500万のアメリカ人のほぼ10分の1はアルコール中毒の犠牲者であると言われている。検死を受けた交通事故の死者の半数と,殺人事件の犠牲者の3分の1に血液中にアルコールが認められた。昨年モスクワかいわいででき死した人500人のうち,半数以上はよっぱらっていた。現在,英国は約50万人のアルコール中毒患者を報告しており,これは医師たちが推定した数字の20倍に当たる。