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  • 目ざめよ! 1975
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目ざめよ! 1975
目75 12/8 16–19ページ

工業化した社会の生活様式は,成功であったと言えますか

工業化した社会の生活様式は成功したと言えるでしょうか。この問いに否定の答えをするのは容易であると感ずる人もいます。先進工業諸国が近年になって深い苦悩に陥っていることを示す明白な証拠があるからです。

しかし,どんな天候のもとでも井戸や泉に飲み水をくみに行ったことのある年老いた人々に,以前のそうした様式と,“すぐに”水の出る現代の屋内配管とどちらを好むか尋ねてみてください。屋内のトイレがあるのに,屋外便所を使い続けるような人を沢山知っておられますか。

電灯があるのに石油ランプのほうを好む人が多くいますか。洗たく機を使えるのに,岩にたたきつけたり,洗たく板でこすったりして衣服を洗いたいと思うでしょうか。また,だれかとちょっと話をするのに,受話器を取り上げてすぐに話すより,むしろ何㌔も歩いて行くことを選ぶでしょうか。

ふろに湯を入れるため,外部からバケツで何回も水を運んで来て,その下にまきをくべて熱し湯船を満たしたことのある人は少なくありません。(今でも,そのようにする人は少なからずいます。)年老いた人に,そうしたことを好むか,つまり近代的な浴室の湯の出る蛇口をひねるよりもむしろ,昔のようにしたいかどうか尋ねてみてください。

今日の世界で,このような事柄に関して昔の生活様式に戻りたいと思う人はほとんどいないでしょう。それで,工業化した社会の生活様式は確かに多くの人の望むような変化をもたらしてきました。1600年ごろに始まった“産業革命”によってすばらしい生活様式がもたらされるとの希望が非常に強く持たれたのももっともです。

労力を省く機械,生活を快適にする道具,より速い輸送および通信手段などは,生活をどんどん向上させてゆくと考えられました。ゆえに,科学技術を歓呼して迎え入れた人は少なくありません。そして,自動車,飛行機,電話,電灯,ラジオなどが発明されるにつれ,輝かしい新時代が確かに始まったと思い込む人は,いよいよ多くなりました。

過去数十年の間に,その過程は速度を増してきました。テレビが登場し,それと共に,コンピューター,オートメーション装置,人工衛星,ジェット機,また多くの種類の複雑な機械が登場しました。

機械のもたらす益が明白になったのに対し,根深い種々の問題はすぐには明らかになりませんでした。問題は比較的小さなものに見えましたが,やがて大きくなってゆきました。

大きくなる問題

産業革命が到来するまでは,農業が人々にとって普通の生活様式でした。小さな町はありましたが,大都市はほとんどありませんでした。数少ない都市でさえ,巨大な高層ビルなどはなく,牧歌的な趣をとどめていました。

ところが,工業時代の到来はそれを全く変えてしまいました。機械を生産するには,工場がどうしても必要です。当時,高速の通勤輸送機関など存在しませんでしたから,そうした工場で必要とされる労働力を満たすため,労働者は仕事場の近くへ移り住まねばなりませんでした。こうして,ますます大勢の人が農村を離れて都市に移り住むようになりました。やがて,世界の都市人口は幾億人にも膨れ上がりました。

例えば,日本には,第二次世界大戦以前,農業に従事する人が約1,500万人いましたが,その数は今や650万人に減少しています。一時は,家業を継ぐため農村にとどまった新卒者が毎年40万人もいたのに,今やそうする人は年に約2万人にすぎません。ところが,日本本土の人口は一億人を超えているのです。

混乱を引き起こす別の転換も起こりました。産業革命以前,多くの職人は自分の仕事から幾らかの満足を得ることができました。それには,自分の主体性や独創力がある程度関係していたからです。しかし工場では,機械が人を支配し,仕事のテンポを定めます。こうした事態を,機械への隷属とみなすようになった人は少なくありません。

また,多くの場合,機械は,もはや必要とされなくなった技能作業者に取って代わりました。こうして働き口を失った働き人は,必ずしも新しい技能を身に着けた訳ではありません。

悲惨な転換

そうした問題が大きくなっても,科学技術がやがて解決策を見いだすものと考えられました。ですから,20世紀に入ったころも,人類は“黄金時代”に入ろうとしていると考えられていました。

次いで,決定的な打撃が加わりました。1914年から1918年までの第一次世界大戦では,人間の役に立つはずであった機械そのものが,人間に災いをもたらし,一千万人近くの人が命を失いました。機関銃,潜水艦,戦車,戦闘機など新しく考案された兵器によって恐るべき数の死傷者が出ました。

こうして,歴史上初めて大量殺りく兵器が利用されるようになりました。それは産業革命がもたらした直接の結果の一つです。工業時代は別の面でも戦争の原因を生みました。紛争の一因は,成長する自国の産業に必要な原料と市場を獲得するためヨーロッパの列強が世界を分割しようと互いに競い合ったことにあります。

「偉大さへの約束 ― 1914年から1918年までの戦争」と題する本の中には,英国の著述家リチャード・リーズの執筆した章がありますが,そこには次のように述べられています。「1914年から1918年までの戦争は,二つの事実を明るみに出した。第一に,災害をもたらさずに技術開発を続けてゆくのは統一された世界においてのみ可能だということである。そして第二に,現存する世界の政治および社会機構はその統一を不可能にしたということである」。

これは真実でした。というのは,第一次大戦のすぐ後,先進工業諸国は再度の軍備競争に携わり,それは1939年から1945年までの第二次世界大戦で最高潮に達したからです。原子爆弾を含め,さらに憎むべき大量殺りくの兵器さえ開発されました。その結果,殺りく行為ははるかに大規模なものとなり,推定5,500万人もの人が殺されました。そして今日に至るまで,軍需産業は,これまでにないほど高度な破壊兵器を生産してきました。現在,諸国家は合わせて年間約2,400億㌦(約72兆円)を軍備に費やしています。

工業時代は,発明者に危害を及ぼす“フランケンシュタイン型の怪物”を造り出しました。兄のウイルバーと共に飛行機開発の先駆者となったオービル・ライトは,第二次世界大戦中に書いた興味深い手紙の中でこの点を認めています。その手紙は,自動車の大量生産の先駆者であるヘンリー・フォード一世にあてられたものです。ライトは次のように述べました。

「ウィルバーとわたしは,飛行機が世界平和を促進するものになると思っていました。しかし,これまでのところ,正反対の結果になっているようです。

「あなたが,歴史に残る偉大な発明とも言うべき大量生産を世に紹介された時,35年後に,世界を破壊する道具となる戦車を作るためにそれが使われるなどとは,まずお考えにならなかったでしょう。

「世に紹介された有益なものの中で,それを悪用する方法をだれも思いつかなかったものはないようです」。

一層多くの問題

これらの人々は,そうした発明また他の発明が,それに続く年月の間により多くの苦悩をさえもたらすようになるとは,ほとんど想像もしなかったでしょう。例えば,欧米の重工業諸国の交通体系は,ますます信頼のおけない,やっかいなものとなっています。

ラッシュ時になると,大都市一帯の交通は非常に混雑します。車で通勤する幾百万もの人々は,交通渋滞,汚染,いらだち,時間の浪費などを経験します。大都市周辺の空間でさえ,飛行機の往来が激しくなって,過密状態になってきています。

世界の他の国と同様,米国でも,自動車はこれまでに考え出された凶器の中で最も致命的なものの一つであることが明らかになりました。自動車が発明されて以来,国家の出した戦死者よりも多くの国民が,自動車事故で死にました。

「第二の箱船」と題する本の中で,その本の共著者デニス・ピラージスとポール・アーリックは次のように述べています。

「列車からバスへ,また自動車から飛行機へと変わった長距離輸送の歴史的な推移は,どちらも進歩とみなされている。しかし,生態学の見地からすれば,この段階は,エネルギー利用の効率か低くなるという点で,むしろ退化を象徴している……

「確かに,個々の人の幸福という点から判断した場合,交通革命が生活の質を実質的に向上させたかどうかは疑わしい。自動車や飛行機を使うがゆえの,社会,資源,および環境面の代価の明細書を示されるなら,自転車,列車,電車,そして帆船の段階で進歩を止めておくべきだったことを,世の人々は認めるであろう」。

むなしい希望

工業化が進むにつれてみじめな生活状態は除去されるだろう,との希望が持たれていました。しかし,その希望はむなしいものであることが明らかになりました。先進工業諸国には,常に幾百万人もの貧しい,しかも非常に貧しい人々がいました。

米国のインディアナ大学の政治学の教授ハーバート・ミュラーはこう述べています。「物質の富がますます豊富になったことは,産業主義の初歩的な欠陥を一層目立たせるものとなった。産業主義は,十分な食物,十分の医療,品位のある住宅,快適な環境など,人間らしい生活をする上で最低限必要なものを多くの労働者にあてがうという面で,これまでずっと失敗してきた。新興工業都市の生活状態は,全くすさまじいものであった……裕福なアメリカで,ともかくも残るのはスラム街であろう。また,いよいよ悪化すると思われる,他の根本的な害悪も一緒に残るであろう」。

犯罪,汚染,過密,麻薬中毒,貧困,飢えなど他の「根本的な害悪」は,確かにいよいよ悪化しています。そして,心臓病,精神障害,およびガンなど,工業社会での生活からくる圧力と関係した病気も増加しています。

ミュラー教授は,こうした災いの理由を挙げて,こう述べています。「人間の基本的な価値を無視,あるいは蔑視さえする,そうした事態すべてが見られるのはなぜだろうか。明白な答えはすぐに出てくると思う。すなわち,そうした事態が見られるのは,私的な利益のために産業主義を造り出し,過度に賞賛されている自由な私企業のせいである」。同教授は,産業革命の「英雄たちは,大規模な搾取,強奪,欺まんなどによって有名になった」と述べています。

利益や権力の利己的な追求は,工業化した社会の生活様式にとって災いとなってきました。新しい発明が,その結果のいかんを問わず推し進められてきた理由は,大抵その点にあります。ですから,新しい機械や製法が一つの分野で役立つように見えても,別の分野では問題を作り出す場合があるのです。ハーパーズ誌の寄稿編集家ジョン・フィッシャーの述べる通りです。

「わたしは,科学技術が限られた有用性しか持たず,非常に信頼のおけないものであることを思い知らされた。それは,一つの問題を解決しても,大抵は二つの新しい問題を作り出す。そして,その副作用は一般に予想し難い……

「現代の科学技術の驚くべき所産の一つを見るたびに,必ずや,意図されず,予測されなかった,そして大抵は致命的な副産物を見いだす。

「その上,科学技術がその本領を発揮するのは,月の石を集めたり,超音速旅客機を作ったりするといった,本当にそれを必要としている人はだれもいないような事柄においてである。深刻な問題にそれを応用しようとすると,いつも完全に失敗する」。

さらに悪いことに,科学技術の作り出した諸問題は,今や人類家族の生存そのものも脅かしています。ニューヨーク・タイムズ紙は,科学者たちの一グループが出した,このような結論を報道しています。「科学技術の進歩そのもののスピードが生み出すストレスや緊張は,心身両面の人間の適応力を超越しているだけでなく,人間の生存そのものをも脅かしている」。

徹底的な変化が必要

年ごとに増大する大変な問題すべてを解決するには,何をしなければなりませんか。「人類の将来を探求する」と題する本の中で,ロバート・ヘイルブローナーはこう述べています。「わたしは,致命的な結果をもたらす技術,不相応な生活様式,工業文明そのものの危険な精神などを徐々に捨ててゆくことが,問題の長期的な解決に最低限必要であると信じている」。

それには必然的に何が伴いますか。ヘイルブローナーはこう付け加えています。「これは,予告することのできない方法で生産様式が徹底的に再組織されることを暗示している。しかしそれは,巨大な工場,大規模な事務所,そして事によったら,都市複合体そのものの終わりをも暗示しているかのようである」。

精神分析医エリック・フロムは,「過去6,000年の歴史を通して存続してきた体制全体が,それとは根本的に異なるものによって置き換えられることによってのみ」工業化社会の現代病に対処し得る,と断言しました。[下線は当誌編者]

人間が自らそのような変化を遂げ,「体制全体」を置き換えるようなことができると思われますか。今に至るまでにそうするだけの時がなかったと言える人は一人もいません。それどころか,他の人々を犠牲にして利己的な関心事に没頭する人々の態度は,切実に求められている徹底的な変化が,人間の意志によってはもたらされ得ないことを教えています。

これは,そうした変化が全くもたらされ得ないという意味ですか。それどころか,必要とされる徹底的な変化,つまり平和や安全や幸福を人類にもたらすために求められる全く新しい生活様式は必ず到来するのです。

そのような徹底的な変化を成し遂げるのはだれですか。人類の創造者であるエホバ神です。神は,「地を破滅させている者たちを破滅に至らせ」,現存する事物の体制を『打ち砕いて終わらせる』との保証を与えておられます。―啓示 11:18。ダニエル 2:44,新。

現在の不満足な事物の体制は,全地のための一つの政府,つまり天から支配する神の王国によって置き換えられます。(マタイ 6:10)全く新しい秩序の下に置かれた地で,機械によって生活の質が左右されるようなことは許されません。機械がどんな目的で使われるとしても,それは人間の益のためです。また,人間は元来,庭園のような場所であるパラダイスに置かれたのですから,コンクリート,鋼鉄,汚染,そして騒音などではなく,自然の創造物に囲まれて生きることに,より大きな幸福を見いだします。イエス・キリストは,まさにパラダイスの回復を約束しました。―ルカ 23:43。

ゆえに,神のみ言葉を本当に受け入れる人々は,人間による貪欲な工業文明が早く終わり,人間の永遠の福祉を目指して活動する敬神的な体制によって置き換えられることを待ち望んでいます。

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