世界展望
記録破りのいん石の断片
◆ 去る3月8日,中国のチーリン省上空でいん石が爆発し,100を超える石となって地上に落下した。あるものは重さが1,766㌔もあったと伝えられている。観測されずに,落下してから発見されたいん石を含めると最大ではないが,落下が観測されたいん石としては最大のものと考えられている。
働き過ぎる妻
◆ インダストリー・ウィーク誌に載せられた二つの調査の示すところによると,共働きをしている妻は,夫が家事にほとんど手を貸さないため,一般に働き過ぎている。国際労働機関の行なった一方の調査によると,多くの場合共働きをしている妻の一週間の労働時間は,家事を入れると70時間から80時間にもなる。伝えられているところによれば,スタンフォード研究所による別の調査は,夫が手伝うのは「自分で選んだ仕事だけで,それは家事全体に要する時間のほんの一部にすぎない」とされている。
代用キャビア
◆ UPI通信の伝えるところによると,ソ連の科学者は,「汚染に脅かされているチョウザメの卵の代わりに,人工キャビアの製造に着手する」準備をしている。幾年にもわたる実験の末,ソビエト連邦科学アカデミーでこの“キャビア”が製造された。UPIによると,ソ連のモスコフスカヤ・プラウダ紙には,人工キャビアの基本的な原料として,牛乳のアルブミン,カゼイン,魚肉の脂肪と油,水,塩などが挙げられている。実験段階の製品をしばらく前に試食した,ソ連の一科学者は,「ひどい味だ」と述べていた。しかしそれ以来,モスクワの商店の中にはよく改良されたキャビアを販売しているところもあり,「一般的に良い反応が得られている」と言われる。
喫煙する医師の減少
◆ 米国ガン協会の伝えるところによると,米国では喫煙する医師の数が急激に減少している。喫煙者は,大体5人につき1人の割合にすぎない。5,604人の医師を対象に行なわれたある周期的な調査は,1959年にその中の38.6%が喫煙をしていたが,1965年までにその割合は28.3%にまで減少し,1972年にはわずか19.2%であったことを示している。調査の対象となった医師のうち,5,407人は男性で,197人は女性だった。そのうちの女医の間では,1959年から1972年にかけて,喫煙者の割合は34.4%から23.7%に減少したにすぎなかった。初めの5,604人のうち18%が死亡し,1972年の調査に応じたのは2,426人であった。
衰退するカトリック教会
◆ カトリックの僧職者であり社会学者でもあるアンドリュー・グリーリーと,全米世論調査センターのその仲間とによる一調査は,米国のカトリック教徒の間で,教会の儀式への参加が減少する傾向にあることを示している。その調査には,1963年と1974年に調査の対象となった,ほぼ1,000人の人が含まれている。毎週聖体拝領を受ける人の数は13%から26%に増加したが,毎週ミサに出席する信者の数は,1963年の71%から1974年の50%に減少した。1963年には38%の信者が週に一度告解を行なっていたのに対し,1974年にはその数はわずか17%にすぎなかった。教会が非としているにもかかわらず,産児制限を支持する者は,同じ期間中に45%から83%に増加した。1974年には,43%が婚約した男女間の性的関係を是認したが,1963年の調査のときには,全体のわずか12%がそうした見方を持っていたにすぎなかった。また,かつては70%の人々が,ローマ法王はイエス・キリストから直接継承した権威を持つと考えていたが,1974年にそうした考えを受け入れていたのは42%にすぎなかった。
一酸化炭素中毒
◆ 一酸化炭素ガスには,それと分かるにおいや色はないが,命取りになり得る。中毒症状として頭痛や眠気がしたり,対向車のヘッドライトが異常にまぶしく見えたりすることがある。走行中の自動車のエンジンから出る,この有毒物質に関連した危険を少なくするため,内燃機関を正しく調整し,排気装置を良い状態にしておくべきである。
狂犬病のまんえん
◆ 近年,狂犬病が,ポーランドの森林地帯からヨーロッパ全土に急速に広がりつつある。伝えられるところによると,現在フランスを通過中のこの伝染病の前線は,約1,200㌔にわたって,年に40㌔の速度で進んでいる。英国では,国内に持ち込まれる愛がん犬に六か月間の検疫停船期間が課せられるなど,厳しい規制があるため,今のところ狂犬病はほとんど見付かっていない。しかし,だれかが感染した犬をひそかに持ち込めば,この病気がイギリス海峡を超えて英国内に侵入する恐れはある。狂犬病にかかった人は,数日以内に適切な治療を受けないと死ぬ。
大借款
◆ 昨年国際通貨基金(IMF)は,石油価格の高騰に伴って国際収支の悪化した加盟国に,総額48億㌦(約1兆4,400億円)の資金を融資した。そのうちの20%はイタリア,またほぼ25%は英国が借り受けたものである。つまりこれらの二か国が,石油価格の高騰に伴う資金借入額の多い点で一,二位を占めている。
命取りになりかねないフットボール
◆ フットボールで負傷し,病院で治療を受けた人の数は,一年間に21万8,000人に上る。全米フットボール・コーチ協会の報じるところによると,フットボールの試合中に頭や首に負傷して,毎年20人近くの選手が死亡し,さらに,フットボールと関連して心不全や卒中などが原因で,10人ほどが死亡している。
同性愛者の監督派教会執事
◆ ニューヨークの監督派教会主教ポール・ムーアは,同性愛者を自認するエレン・バレット女史が執事としての聖職に就いたことは,「我々の文化および教会における健全な発展である」と述べ,さらにこう語った。「歴史的にみて,我々の教会の非常に優れた僧職者たちはこうした性格構造を有してきたが,最近になってようやく,社会の風潮がそれを容認するようになった」。ムーア主教は,同性愛は「道徳の問題ではない」と断言した。しかし,神は同主教とは異なり,「自らの自然の用を自然に反するものに」変える女性の性行為を「恥ずべき」こととみなしている。―ローマ 1:26,27。
類例を見ない地下鉄
◆ スウェーデンは,最近ストックホルムから郊外のフジュルスタまで約10㌔を走る地下鉄線を完成させた。装飾を施した駅には,彫刻,金のモザイク,壁画,そして子供によるスケッチなどの芸術品が見られる。それで,パレード誌によれば,この地下鉄線を「世界最長の画廊」と名付けた人がいる。
手術に関して別の医師の意見を求める
◆ 労働組合の中には,組合員が随意の手術を受ける場合,別の医師の意見を求めるよう義務づけているところがある。他の組合の場合そうした計画は任意であり,患者は別の医師の意見を求めるかどうかを選択することができる。最近発表されたある研究結果によると,別の医師の意見を求めるよう義務づけられている場合,勧められた外科手術のうち,あとで不必要であることが分かったのは16%であったが,義務づけられていない場合,その率は35%であった。ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙は,コーネル大学医学部のユージーン・マッカーシー博士の言葉を引用し,次のように報じている。「今回の調査結果からすれば,看護の質を向上させ,経費の節約を図るために,随意の手術に際し別の医師の意見を求めるという方法が広く採用されて然るべきである」。
“タカのような目”
◆ これは鋭い視力を表わすのに用いられる表現である。しかし,この表現は事実に基づいているのだろうか。最近,米国バンダビルト大学の三人の研究者は,ハイタカの視力が人間の視力を上回っていることを発見した。一方には垂直の格子があり,もう一方にはしゃへい物の何もない,明るく照した二つの実験用の窓を用いて,ハイタカの視力が調べられた。格子のある窓のほうに飛んで来ると,ほうびとしてえさが与えられた。格子を次第に細くしてゆき,最後には人間の目では見えないほどにした。研究班は,この方法でハイタカの視力を測定し,日中では人間のほぼ2.6倍の視力があるものと算定した。サイエンス・ニューズ誌は,そうした発見を別の言葉で言い表わし,ハイタカには,「90㍍以上離れたところから視力表を読み取る,もしくは800㍍ほどの距離から信号を見分けるのに匹敵する視力」が備わっている,と報じた。
残った巡礼記念メダル
◆ 伝えられるところによると,1975年の“聖年”が終了した時点で,バチカンには約100万個の巡礼用メダルが売れ残っていた。ナショナル・カトリック・リポーター紙によると,「[これらのメダルの]原価は50セント(約150円)そこそこであるが,聖年中央委員会認可と称するイタリアの一企業はそれに5㌦(約1,500円)の値をつけて売っている」。中央委員長マクシミリアン・ド・フルステンベルク枢機卿は,昨年11月,「メダルの売れゆきが思ったほどでない」ことを認めた。
ヨーロッパ・バイソン
◆ 1919年当時,最後の一頭と思われたヨーロッパ・バイソン,つまり欧州野牛が食用として殺された。それ以来,ごくわずかのヨーロッパ・バイソンが動物園で飼育されていたにすぎない。ところが今日では,ポーランドとソ連の国境沿いに広がるビアロウィーザ森林地帯に,1,650頭のヨーロッパ・バイソンが生息している。この森林は1921年にポーランド最初の国立公園となり,1923年にはポーランド人の一教授が各地の動物園からヨーロッパ・バイソンを集めて来るようになった。アメリカ・バイソンとも類縁のこのヨーロッパ・バイソンのうち,第二次世界大戦の戦火を生き残ったのはわずか17頭であった。その後繁殖を続け,現在,多数のヨーロッパ・バイソンがこの森に生息するようになっている。
処方薬の減少
◆ 米国では,ここ数年来初めて,薬局で調合された処方薬の件数が減少した。医薬トピックス誌の伝えるところによれば,1975年に調合された処方薬は前年に比べ750万件も少ないことがある調査で明らかにされた。しかしながら,患者の支払った料金は総額で6.6%増え,処方薬は平均4ドル93セント(約1,500円)となって前年より33セント(約100円)高くなった。処方薬の数が減少したのは,医師が精神安定剤や抗生物質を以前ほど気軽に処方しなくなったためであると考えられる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の伝えるところによると,医薬トピックス誌は,その減少を,景気の後退および「病院の外来患者用診療所や全米保健管理機構に属する薬局の調合する処方薬の件数が増えたこと」とも結びつけている。
清め,それとも病気に感染?
◆ 清められることを願って,ヒンズー教徒の巡礼者はインドのヤムナ川で沐浴する。しかし,ヤムナ川とガンジス川の合流点で水質検査を行なったインドの科学者は,その場所でチフスやコレラなどの病気を引き起こす病原菌を発見した,と報告している。この危険な汚染の源はアラハバード市の下水にあるとされている。