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目ざめよ! 1981
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アラスカの厳しい犬ぞりレース

アラスカの「目ざめよ!」通信員

粗末なそりに乗って,米国を3分の1ほど横断するのに相当する距離,もしくはロンドンからローマまでの距離を走破することなど想像できますか。風の吹きすさぶ,一面雪に覆われた不毛の荒野をこれだけの距離,昼夜兼行で旅するのは確かに体力と耐久力を試みるものとなることでしょう。62組の犬ぞりチームが今まさにその旅に出ようとしていました。私はその様子を見てみたいと思いました。

ゴールドラッシュ時代に名を馳せたアラスカの町ノームに,友人と一緒に飛行機で出掛けました。ベーリング海沿岸のここがイーディタロド道レースの決勝点になっているのです。

軽い郷愁を誘われる

イーディタロドというのは,無人の廃虚と化したかつての鉱山の町,および昔の郵便路の名称です。この郵便路は幾つもの街道を伝ってゆくもので,その始まりは1800年代の末にまでさかのぼります。この道はアラスカ湾岸のシューアードからベーリング海沿岸のノームまで全長3,200㌔以上もあります。イーディタロドに沿う夏の交通は主にユーコン川を船やはしけで行き来するものでした。しかし,冬になると交通の形態は一変し,犬ぞりが使用されました。これがイーディタロド道レースという名の由来です。

雪上車が犬ぞりに取って代わったのは最近になってのことです。ですから,昔をなつかしむ多くの人々は,イーディタロド・レースに郷愁を覚え,新開地を切り開くのに犬がいかに大切だったかを思い起こすのです。

“犬ぞりの旅”は世界の様々な土地で広く行なわれています。アラスカの長い冬の間,これはとても良い気晴らしになります。犬ぞりに乗ると,屋内に長い間いる結果生じる“密室過敏症<ケビン・フィーバー>”と呼ばれる憂うつな気分を消し去るのに役立ちます。犬ぞりの旅はそれを見ている人にも楽しいものです。すばらしい冬の銀世界の中を美しいシベリアハスキー犬やアラスカマラミュート犬がそりを引いて走っている姿には胸が躍ります。

毎年幾つかのレースが開催され,何千人もの人々を引き付け,人々はコース沿いに並び,時速29㌔から32㌔の速さで走る犬ぞりレースを観戦します。大抵のレースは1日40㌔から50㌔の道のりを二,三日間走るものです。それに対し,イーディタロド道犬ぞりレースはマラソンに似ています。それは荒野への旅であり,そこでは人間も犬も冬の様々な悪条件に試みられます。時によっては零下45度にもなる寒気と秒速15㍍の寒風にさらされ,猛ふぶきや孤独感と闘わねばなりません。夜は満足に眠れないため,極度の疲労感に襲われます。

私たちの乗った飛行機は荒涼とした美しさをたたえるベーリング海の端にあるノームの海岸に近付きつつありました。海岸はどこまでも流氷と厚い雪に覆われていました。私は窓の霜を取り,外がよく見えるようにしました。真下には,先頭をきる犬ぞりチームが,真昼の輝く太陽の光を浴びて,誇らしげにまた美しく,雪原を疾走していました。当て物をした引き具を引っ張る一群の犬は,自分たちが挑戦者に追われていること,また勝利を目前にしていることを知っています。

どれほど費用がかかるか

ノームにあるこのレースの本部で,レースにかかる費用について色々と教えてもらいました。それには,14頭の犬をそりにつなぎ,“それ行け!”と叫ぶ以上のことが関係しています。

体のがっちりした18歳のある若者は,1年前のイーディタロド・レースの時自分は最年少の犬ぞり走者であったと語りました。チームを組織してレースに備えるのに,7,000㌦(約168万円)かかったそうです。500㌦(約12万円)から600㌦(約14万4,000円)も出して犬ぞり用の優秀な犬を求める犬ぞり走者もいることを知りました。命令によく従い,いつもチームの先頭をきる,リーダーとなる優秀な犬は2,000㌦(約48万円)から4,000㌦(約96万円)もします。多くの犬ぞり走者が自分の手で犬を殖やしているのもうなずけます。

犬のえさにも費用がかかります。競技の規則には,道を走っている間1頭につき毎日900㌘のえさを与えることが定められています。これを順路の特定の場所に飛行機で運ばなければなりません。えさは犬ぞり走者によって異なっています。魚か牛肉,ラード,小麦の麦芽油,蜂蜜,植物油を犬は好んで食べます。温かい食事がいちばんなので,えさは材料を混ぜ合わせて煮た物を与えます。

また,様々な危険に遭う恐れもあります。天候ばかりではありません。今年,自分のなわ張りを侵されたことに1頭のヘラジカが腹を立てました。この大ジカは三つのチームの行く手をさえぎり,うなったりほえたりしている42頭の犬に立ち向かいました。一人の犬ぞり走者は近くの木の陰に逃れました。事態が極めて危険になったので,別の犬ぞり走者がとうとうその大ジカを銃で撃ち殺しました。

このレースに出るのは,お金・危険・忍耐の面で進んで犠牲を払う用意のある人たちだけです。

犬の正しい取り扱い

そりを引くこれらの犬が“ランニングシューズ”を履いていることを知ったら驚かれますか。注意して見ると,革のくつを履いているのが分かります。特にルート途中の風の強い地域にある氷原を走る時にハスキー犬の足を傷つけないように,こうした当て物を二足ずつ用意することがレースの規則によって定められているのです。

飼い主は犬を手荒に扱うことをしません。道の状態が悪いと,犬ぞり走者がそりを出さなかったり,レースそのものが中止されたりすることがあります。

途中で犬がひどく疲れてしまうような場合はどうでしょうか。病気になったり,けがをしたりした時はどうですか。そりに取り付けてあるかごの中に入れて,28あるチェックポイントの一つに連れて行きます。そこでは,獣医かレースの係官が必要な手当てを受けられるよう取り計らってくれます。ゴールですべての犬の状態について報告しなければなりません。もしそれができないと,犬ぞり走者は失格になります。犬を正しく取り扱うために多くの努力が払われています。

犬ぞり走者 ― 心の優しい人々

だれもが犬ぞり走者になれるでしょうか。前述の条件下で,急斜面にあるそりを押し上げたり引っ張ったりするのに必要とされる体力のことを考えてみてください。ベイマツの枝を敷いた上に寝袋を置き,氷点下の屋外で寝袋の中に入って眠ることができますか。確かに,丈夫でたくましい人であることが求められます。そうした人の一人に,今年75歳の老練な犬ぞり走者がいます。この人は1,600㌔の行程を走破しました。

犬ぞり走者の中には女性も7人含まれていました。このレースに備えて,一人の女性は何年か前,水着を着て凍った湖を歩き,氷に穴を開け凍りつくような水の中に入りました。万一,そりが氷を割って水の中に入ってしまった場合,家から遠く離れた場所でそのような事態に耐えられるかどうか知りたかったのです。その女性は意気をそがれてしまったでしょうか。ノームに向かう犬ぞり走者の中にその女性の姿がありました。出走した7人の女性のうち6人までが完走しました。

競技に備えた訓練

そりを引く犬は走るという目的に沿って交配されており,走っている時にはとてもきげんが良いのですが,それでも健康状態に気を配る必要があります。人間と同じように犬の場合も,心臓血管系を強め,体力をつける必要があります。人間にも言えることですが,動物の場合も太りすぎは有害です。そこで,夏の間も多くの時間を費やしてチームとして働き,犬が良い健康状態を保てるようにします。

最初の雪が降る前には,古い小型トラックのフロントバンパーにつながれた犬のチームの姿が見られることでしょう。ボンネットの上に座った犬ぞり走者は,二輪馬車よろしく道路を進むようたづなを操ります。もちろん,犬ぞり走者自身がレースのために体を鍛えたければ,ボンネットから降りて犬のチームと一緒に走る方が良いでしょう。巧みな操縦をするには,片足を忙しく動かしたりそりを押したりしなければならず,体力が求められるからです。

1980年度のイーディタロド道レースは3月1日から同25日にかけて行なわれました。1着の賞金1万2,000㌦(約288万円)を目ざして62チームが参加を申し込みました。ノームに到着する最初の20組には合計5万2,500㌦(約1,260万円)の賞金が与えられることになっていました。36組が完走しました。犬の数はチームによって異なり,10頭から20頭で一つのチームができていました。一番好まれているのはシベリアハスキー犬です。この犬は小型で丈夫で早く走りますし,体が重く仲間うちでけんかする傾向のあるアラスカマラミュート犬より性質が穏やかです。インデアンドッグ(オオカミの血が半分入っている)やラブラドル犬(足が丈夫)との交配が行なわれることもあります。

ノームのフロント通りに並ぶ1,500人ほどの観衆の見守る中を,アラスカ,トラパークリークの44歳の男性ジョー・メイが,疲れ果てた10頭の犬と共に決勝ラインをゆっくり渡りました。到着を告げるサイレンがもの悲しげに鳴った時,疲れ果てたその犬ぞり走者は1万2,000㌦の賞金を自分のものにしました。14日と7時間11分という新記録を打ちたてて,賞金をさらったのです。

ジョー・メイはイーディタロドのレースにもう一度出るでしょうか。レースの終わりに,「これが最後のレースです」と言ったものの,「たぶん」と付け加えました。来年の賞金は総額10万㌦(約2,400万円)に引き上げられることが決まりました。

[21ページの地図/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

ノーム

ナンシー湖

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