世界展望
ゲリラに対する教会の支援
● 世界教会協議会は“人種差別との戦い”を支援する資金を再度交付することを発表した。今回は17か国の46団体に総額58万7,000㌦(1億2,914万円)の援助資金が贈られた。南西アフリカ(ナミビア)のゲリラ運動に,「ナミビアにおける管理費と法廷弁護費およびナミビアに隣接する4か国における管理費」として最高額(12万5,000㌦)が与えられた。ニューヨーク・タイムズ紙は次のように報じている。「同協議会が1970年にこの計画を開始して以来,合計470万㌦(約1億3,400万円)が配分されてきた。ナミビアの反乱勢力だけでも69万8,500㌦(約1億5,367万円)の資金を得ている。……人種差別反対運動計画は同協議会の構成団体の間に議論を巻き起こした」。
ビザを拒否された大主教
● ギリシャ正教会のヒラリオン・カプーチ大主教が最近語ったところでは,同大主教は米国から入国査証の交付を拒否されたという。カプーチは人権侵害であるとして非難しているが,米国の当局者は,テログループと関連のあるいかなる人物の入国も移民・国籍法によって禁じられている点を指摘している。同大主教はイスラエルのテロリストに火器や爆発物をひそかに渡そうとしたかどで同国で懲役刑に科せられたことがある。
『政治にかかわる説教師にはうんざり』
● 「率直に言って,一市民である自分に,道徳的な人間になりたいのであれば“A”と“B”と“C”と“D”を信じなければならないと指図する国中の政治にかかわる説教師たちに全くうんざりしている」。米国のゴールドウォーター上院議員は最近,議会での演説でこのように述べた。政治に宗教を持ち込もうとする者たちに対する不安を表明して,同上院議員はさらにこう言葉を続けた。「上院における投票をことごとく指示するなにがしかの権利を神から与えられていると考えるあらゆる宗教団体の脅しに耐えねばならない一立法議員として私の怒りはひときわ大きい。そうした人々に今日この場で警告しておく。もし彼らが“保守主義”の名において自己の道徳信念を全アメリカ人に押し付けようとするなら,そうした試みのあらゆる段階で私が彼らと闘うであろう」。
史上最大の金の回収
● 最近,英国のある民間企業が金を回収したが,これは恐らく海底から回収された財宝としてはこれまでで最高のものと思われる。北極圏内のかなり奥の方に位置する厳寒のバレンツ海の深さ238㍍の海底に英国の巡洋艦エディンバラ号に積まれた金塊465本が沈んでいた。この軍艦は,1942年にソ連から米国へ武器の代金である金を運んでいる途中に魚雷攻撃を受けて沈没した。英国の北海油田に関連して開発された技術を利用し,潜水夫たちが非常な水圧と厳しい寒さの中で1か月をかけて金塊431本を回収した。回収された金塊は8,000万㌦(約176億円)以上の価値があるものとみられている。
その金はだれのものとなったのだろうか。サルベージ会社が45%を受け取り,残りを当初の保険契約に基づいて英国政府が3分の1,ソ連が3分の2を受け取った。しかしサルベージ会社は,必要経費の約200万㌦(4億4,000万円)を差し引いた分のほぼ90%を税金として英国の税務当局に支払わねばならない。天候が許せば,作業を再開して残りの金塊34本を回収できるものと期待されている。
カナダで発見されたティラノザウルス
● カナダでは初めてのティラノザウルスの化石が発掘された。アルバータ州レッドディアの南東105㌔の地点にある農場でこの巨大な陸生爬虫類の骨が掘り出された。古生物学者デール・マッキネスは,「このような化石はほかに存在しない。これは世界的価値がある」と語った。この恐竜は体長が12㍍,高さが6㍍もあった。ほぼ9割方整っている骨格だけでなく,ティラノザウルスの皮膚の模様が残っている化石はこれが世界最初のものである,とマッキネス博士を中心とする調査チームは考えている。同博士は,同種の恐竜がさらに3体残っており,後日発掘されることになろうとも語った。動物界の巨獣,恐竜は実に驚嘆すべき仕方で神の創造の力を証ししている。
“100万分の1”
● 4年前のこと,英国のある若い女性は,子宮が二つあるので子供は産めないと告げられた。ところが最近,22歳のその女性は,元気な男の赤ちゃんを二人産んだのである。病院の担当者は,「子宮が二つある女性はごくまれにしかいない。しかもその両方で妊娠することなど本当にめったにないことである」と語った。婦人科医によると,こうしたことの起きる確率は100万分の1であるという。
もり返すアフリカ医術
● アフリカの国々の中には,“呪術医”と呼ばれるアフリカのまじない師の働きを法律で認めている所がある。ジンバブエの保健相,ハーバート・ウシェオークンゼ博士は,過去において白人の入植者がまじない師の首をはねてアフリカの伝統を打ち砕いてしまった,と語った。同保健相は続けてこう語った。「その結果,我々の偉大な先祖の霊のほとんどは,霊媒が同じ運命に遭うことを恐れて,活動を停止してしまった。しかし,ジンバブエにおける,政治活動の復興の伴った宗教活動のリバイバルが起こり,このもり返しの一端として我らの偉大な先祖の霊が戻って来ている」。同国では,1980年10月までに,約4,000人のアフリカ人薬草医と霊媒が政府に登録されている。同保健相は,“呪術医”という言葉をきらってこう語った。「どのような名で呼ぼうと勝手だが,[これらの人々]はジンバブエの文化において依然として最も大きな影響力を有している」。治療師の中には神がかりの状態で薬を処方する者もいる。
流出した海面の油の吸い取り紙
● ソ連のダイジェスト誌,スプートニクによると,ソ連科学アカデミー海洋学会の研究者たちは,「海面の広い範囲に広がった石油製品を速やかに除去する合成薬剤」の開発に成功したという。ソ連で新たに開発されたこの薬剤を用いてテストが行なわれ,スプートニク誌の伝えるところでは,「数千平方㍍の海面を汚染する油膜が15分で除去された」。この新製品は,流出して海面に広がる油の全面に霧状に吹き掛ける。すると,油が固まり,汚染が除かれる。
危険にひんするピラミッド?
● 最近,カイロに本部を置くエジプト天文・地球物理学会は,有名な砂漠のピラミッドをはじめとする,「エジプトの文化遺産」は実際のところ地下水で成る巨大な海の上に浮いている,と報告した。しかも,地下水面は上昇を続けており,ギゼーではピラミッドやスフィンクスの下わずか3㍍のところに達している。王家の谷やカルナク神殿では,地下水面は地上からわずか2㍍のところにあると言われている。これについて,サイエンス・アンド・メカニックス誌は次のように説明している。「地下水面の上昇は,アスワン・ハイダムの建設,潅漑用水の非効率的利用,増加する潅漑用水を処理する十分に整備された排水路の不足によるものとされている」。地下水面が上昇を続けるなら,ピラミッドや他の古代建造物が崩壊の危機に面するものと心配されている。
貧血症とビタミンA
● 中央アメリカの6か国で行なわれたある研究によると,開発途上国の子供や乳を飲ませる母親に広く見られる貧血症とビタミンAの不足との間に関連が見られる。最近の国際栄養学会議で,ルイス・アントニオ・メジア博士は,ビタミンの欠乏が正されないと,たとえ鉄分を十分に摂取しても貧血は治らない,と語った。同博士はこう述べている。「従来の治療法で貧血症がよくならないなら,ビタミンAの欠乏について考えてみることである」。
ロック・ファンがホテルを揺るがす
● ローリングストーンズのファン約400人がニューヨーク市のアレクサンドリアホテルを去ったあと,ホテルの幾つもの部屋は足の踏み場もないほどに荒らされていた。「被害は信じられないほどの額に上る」とナイトマネージャーは語った。それによると,ホテルにある500室のうち250室近くが荒らされ,被害額は少なくとも10万㌦(約2,200万円)に上ったという。同ホテルは350万㌦(約7億7,000万円)かけて改修したばかりであった。
信号付きのフォーク
● ジョー・カルーソーは,食餌療法をして体重を減らそうとしている人々のために,スマートフォークなるものを発明した。フォークにはバッテリーが内蔵されていて,これを使用すると,6秒間青い光がともる。これは少し食事をしてもよいという信号である。次いで,フォークに25秒間赤い光がともる。食事をしている人は青の光になるまで待つことになる。これを発明したカルーソーは次のように語っている。「自分も太ってはやせるの繰り返しだった。どうにかしなければならなかったのである」。このようにするといつ満腹になったかが分かると,カルーソーは考えている。食事をゆっくり取ると食べる量も減り,減量につながるというのがその理論である。しかし,すべての栄養学者が,信号付きのこのフォークに熱を上げているわけではない。タフツ大学栄養学部の学部長はこう問い掛けている。「だれがそんな風にして食事をするのか。なんとばかげたフォークではないか。速く食べる人が太ることを示す証拠はない」。
効き目抜群の抗生物質
● 新世代の抗生物質の出現によって,変種の耐性菌も一掃されることになるかもしれない。英国のある製薬会社は12年をかけて耐性菌を破壊する抗生物質の開発を行なってきた。アウグメンティンと呼ばれるこの薬は,通常の感染を引き起こす細菌の95%に効き目があると言われている。様々な変種の細菌が,抗生物質の働きを無効にする酵素によって身を守っていることが知られている。しかし英国の科学者たちは,この酵素の働きを無効にし,細菌の防御機構を破壊する物質を発見した。それでも,ザ・ガーディアン紙はこう伝えている。「そこには大きなわながある。早晩,悪賢いバクテリアはアウグメンティンを防ぐ方法を見いだすであろう」。
ばく大な額に上る万引きの被害
● 米国では万引きの被害が増加の一途をたどっており,今や年間160億㌦(約3兆5,200億円)に達している。バーンズ国際警備保障サービス社によると,1981年度の被害額は,この国の1世帯につき200㌦(約4万4,000円)に上る。
ディスコ死?
● 英国で11歳の少年がジュニア・ディスコクラブに参加し,音楽のテンポが速くなるに従ってそれに合わせて頭を激しく振る“ヘッドシェイク”をした。翌日その男の子は頭痛を訴え,症状は次第にひどくなって,ダンスをしてから3週間ほど後にとうとう死亡した。ロンドン・デーリー・メール紙によると,顧問病理学医ジョン・トリー博士は,検死の結果を説明して,少年は「出血による脳の急性腫脹が原因で死亡した。出血は激しい振動か強打によるものと思われる」と語った。しかし母親の話では,少年は頭を強打したとは一言も言っていなかったという。
煙になって消えるお金
● 米連邦取引委員会が議会に提出した喫煙に関する年次報告によると,たばこの宣伝費は1979年に初めて10億㌦を超えた。これは前年に比べて20%の増加であった。連邦取引委員会の報告書はこう述べている。「1970年度と1979年度とを比較してみると結果は歴然としている。ラジオとテレビのたばこの宣伝が禁止される前の1970年には,新聞による宣伝費の総額は約1,400万㌦(30億8,000万円)であった。1979年には,その数字は2億4,000万㌦(約528億円)以上に増えていた」。同じ時期に,雑誌によるたばこの宣伝費は5,000万㌦(約110億円)から2億6,000万㌦(約572億円)に大きく増加した。1979年には,愛煙家は一人で平均1万1,500本のたばこを吸った。これは年間で300㌦(約6万6,000円)以上にもなる。