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目ざめよ! 1984
目84 12/22 18–20ページ

改心を促した,愛のむち棒

日本の「目ざめよ!」通信員

卒業式の練習のために集まっていた250人ほどの生徒のうち十数人の男子が突然席を離れ,会場の前のほうに進み出ました。それらの男子生徒は残りの生徒のほうを向いて整列しました。それらの生徒たちが,暴力を振るい,何でも壊してしまうことで知られる突っ張り派だったので,先生を含めだれもが不安に襲われました。

そのグループの一人で,リーダー格らしい15歳の少年が前に出て頭を下げ,沈んだ調子で話しはじめました。

「みんなに迷惑をかけたことを謝ります。ばかなことをしてきたと気づきました。これからは心を入れ替えることにします。最後まであきらめずにしかり続けてくれた先生にも謝ります。どうか許してください。おれたちはみんなに甘えてきたんです……」。

とつとつと話すこの生徒の姿を見て,ある先生は涙ぐんでいました。この後,残りの突っ張り派の生徒たちも一人ずつ前に出て,「これからはまじめになります」と宣言しました。

広まっている問題

東京の南に位置する工業都市,川崎の中学校で生じたこの出来事を,読売新聞は“改心宣言”と評しました。日本の他の多くの学校と同じく,田島中学校でも近年暴力行為がひどくなり,毎日のように激発的な暴力が振るわれていました。生徒たちは,トイレや教室のとびらを蹴破り,天井にモップの柄で穴を開け,非常ベルを鳴らし,いつも学校の公共物を破壊していました。ある先生などは生徒の髪型について助言したために殴打され,2週間入院するはめになりました。

東京の町田地区の別の中学校では,非行に走る生徒たちが,広島に落とされた原爆のために健康を害している一人の先生をあざけり,いじめていました。それらの生徒のうちの一人は,「あいつを脅すのは造作ない。追い詰めるとすぐにおびえた表情をするからな」と言いました。幾週間にもわたって生徒たちから追い回され,殴られ,殴打された後,この先生はナイフでその生徒の一人を刺しました。

日本全体で校内暴力の問題が深刻化しているため,中曽根首相は最近,その問題を最も重要な家庭問題と述べました。さらに,文部省はこの問題を研究するための特別調査委員会を設けました。

原因は何か

予想されるように,一般の人々はこうした校内暴力や非行の事件に驚かされました。そして,ここで当然に生ずるのは,なぜこのような問題が起こるのかという疑問です。

警察庁の調査によると,質問に答えた人々の半数以上は,校内暴力の増加の主要な原因は,ほかでもない,子供たちをしっかり監督せず,何でも許容する甘い親にある,と考えています。

同様に,英文読売の編集者に寄せられた手紙の中で,東京の74歳になる一重役は,「この責任の大半は,戦後の時期に育てられた親にある」ことを示唆しました。この人の説明によると,これらの親たちは,日本が第二次世界大戦の荒廃から立ち直ろうと骨折っていた時に育てられました。生活難,物資の不足や欠乏などが毎日のように続きました。物が豊かになった現在,彼らは自分の子供たちには同じようなつらい経験をさせたくないと考えています。そのような親たちは,子供がどうしても欲しがる物を何でも与えてしまうのです。「その結果,親たちは,欲しい物は何でも手に入るという考えを子供に植えつけてしまった」と,その重役は書きました。

教育制度そのものの責任を問う人もいます。永井元文部大臣は,「校内暴力の主要な理由の一つは,非常な圧力と詰め込み教育である」と語りました。生徒のほうもこれには同意しています。16歳になるある若者は,最近の悪い評判について,「ちっとも驚いていません。わたしも他の多くの人も,体制や先生に対して欲求不満を感じています」と述べました。

いろいろな事が指摘されましたが,それでも青少年非行と校内暴力を早急に解決する方法は出ていません。どちらかと言えば,多くの学校当局者は,全国中学校長会の調査が示しているように,問題がこれから広まることはあっても,終わることは考えられない,と予測しています。

このような事情のため,その日の朝に田島中学校で生じた出来事は,一層興味深いものとなりました。ほかの多くの学校では警察の保護を依頼している中で,この学校の突っ張り派全体が前に出て生徒たち全員に謝ったのはなぜでしょうか。

暴力に対しては背中をたたく

読売新聞は,田島中学校での驚くべき“改心宣言”について報じた後,突っ張り派の改心を促したと思われる詳しい事情を説明しています。その記事には「ツッパリ改心へ愛のむち」という見出しが付けられていました。その見出しの左側には,出典は明記されていないものの,「ムチ棒を控える者はその子を憎んでいる」という引用句が示されています。

その記事は,「これらの生徒はある日突然心変わりしたわけではない」と述べました。2年前,着任早々の下山進義教諭は,田島中学校の生徒指導の仕事を任命されました。教師全体の会議が招集されました。新聞記事の説明によると,事のてん末は次の通りです。

「下山教諭は……聖書を開いて,『ムチ棒を控える者はその子を憎んでいる』という一節を読んだ」。それから同教諭は,教師は共同戦線を張り,シンナーを吸うこと,喫煙,つばを吐くこと,学校の公共物を破壊することなどの違反に対しては厳しい懲らしめを与えるべきであると提案しました。他の教師もそれに同意し,『温情に名を借りた事なかれ主義は捨てよう。問題を避けるためだけに悪行に対して目をつぶるようなことはやめよう。そして我々が親切で憐れみのあることを話そう』と述べました。

いま日本では非行が増加しているとはいえ,一般に教師は依然として深く尊敬されており,教師に対して崇敬の念が示される場合さえあるということを指摘するのは適切でしょう。ほとんどの学校では,授業の開始時と終了時に生徒と先生が礼を交わし,めったに行なわれないとはいえ,厳しい懲らしめ,体罰でさえ今なお受け入れられています。

このような方法は生徒にどんな影響を与えたでしょうか。暴力を振るって先生を脅かしたり,殴打したりしましたか。その新聞記事は,「突っ張り派は下山教諭が自分たちより上であることをほとんどすぐに認め」て,すべての人を驚かせた,と述べました。生徒たちは,「すごい先生が来た。下山先生にだけは手を出すな」と言いました。

教師たちは,き然とした態度を取ることに加えて,罰を受けた生徒と個人的に話をするため,電話をしたり,生徒の家まで足を運んだりすることに決めました。このような訪問と個人的な関心は,生徒と教師を近づける結果になりました。

その間,突っ張りグループは生じている事柄すべてを傍観者の立場で見守っていました。しかし,生徒と教師が示す団結の精神と,満足げな様子を見て,少し不安になりはじめました。彼らは間もなく,自分たちが偉い者のように威張り散らすのは本当は子供染みた,ばかげたことであるのを悟り,結局は“改心宣言”を行なうに至りました。

成功の秘けつ

まさに感動的なこの話は日本で広く報道されました。独特の文化と背景があったために下山教諭の方法は成功しました。同じ方法が他の学校や国で成功するかどうかは,数多くの要素に依存しています。それでも,田島中学校で生じた事柄は,愛のうちにき然とした方法で懲らしめが与えられるなら,強情な若者の心をも勝ち得ることができることを示しています。

ついでに言うと,下山教諭はエホバの証人です。同教諭が他の教師たちの前で読んだ聖句は箴言 13章24節で,その節全体は次の通りです。「むち棒を控える者はその子を憎んでいるのであり,子を愛する者は懲らしめをもって子を捜し求める」。もちろんこの聖句は,家庭における正しい懲らしめ,つまり親の権威という「むち棒」の重要性を指摘しています。教師や他の人も助けになれますが,親が昔ながらのこの聖書の原則を心にとめ,それを家庭で適用するのははるかに優れた方法です。

[18ページの図版]

突っ張り派のリーダーが,生徒と先生に謝る

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