何が真実で何が間違いかを見分けるのが難しい世の中になってきている,と感じることはありませんか。何かを決めるとき,事実や真実よりも自分の気持ちや考えを重視する人がたくさんいます。こうした状況を表す「ポスト真実」という言葉が最近メディアなどでよく使われるようになっています。 この言葉は,真実なんてどこにもないと考える人が多い今の世の中にぴったり当てはまります。
こうした見方をする人は昔からいました。およそ2000年前,ローマ総督ポンテオ・ピラトはイエスに皮肉を込めて「真理とは何か」と尋ねました。(ヨハネ 18:38)ピラトはイエスの答えを聞こうとしませんでしたが,重要な質問をしていました。その質問の納得のいく答えが聖書にあります。そしてその答えは,真実を軽視する世の中で,何が真実で何が間違いかを見分ける助けになることでしょう。
真理はあるのか
あります。聖書は「真理」という言葉を,事実に基づいていること,また道徳的に正しいことを指して用いています。そして,エホバ神が絶対的な真理の源であると教えており,「真理の神」と呼んでいます。(詩編 31:5)聖書には神からの真理が収められています。そして,聖書はその真理を光に例えています。今の混乱した世界にいる私たちを導くものとなるからです。(詩編 43:3。ヨハネ 17:17)
どうすれば真理を見つけられるか
私たちが何も考えずに聖書の真理を受け入れたり,自分の感情のままに何が真理かを判断したりすることを,神は望んでいません。むしろ,理性を働かせながら聖書の真理をよく調べてほしいと思っておられます。(ローマ 12:1)神は,私たちが「知力を尽くし」てご自分のことを知り,愛するようになることを望んでいます。そして,聖書から学んでいることが真理かどうかを確かめるようにと勧めています。(マタイ 22:37,38。使徒 17:11)
うそはどのように始まったか
聖書は神の敵である悪魔サタンによってうそが始まったと教えていて,サタンを「うその根源」と呼んでいます。(ヨハネ 8:44)サタンは,最初の夫婦に神についてのうそを言いました。(創世記 3:1–6,13,17–19; 5:5)それ以来,サタンはうそを広め,神についての真理を隠しています。(啓示 12:9)
今,うそが普通になっているのはなぜか
聖書によると,今は「終わりの時代」で,人々を惑わすサタンの影響が今までになく強くなっています。うそをついて人をだましたり,利用したりする人が増えています。(テモテ第二 3:1,13)うそは多くの宗教にも広まっています。聖書が預言していた通り,人々は真理に耳を傾けるのではなく,「耳をくすぐるような話をしてもらうために教師を寄せ集め」ています。(テモテ第二 4:3,4)
真理はなぜ大切か
信頼関係の基盤となるのは,うそではなく真実です。信頼がなければ,個人間の友情も社会全体もやがて崩壊します。聖書には,私たちが真理に基づいて崇拝することを神は望んでいる,と書かれています。こうあります。「神を崇拝する人は聖なる力と真理に導かれて崇拝しなければなりません」。(ヨハネ 4:24)「神を身近に感じられないのはなぜか」という一連の記事を読むと,宗教上のうそを見分けて惑わされないために,聖書の真理がどのように役立つかが分かります。
神があなたに真理を知ってほしいと思っているのはなぜか
神はあなたを救いたいと思っています。救われるためには,神についての真理を学ぶ必要があります。(テモテ第一 2:4)何が正しくて何が間違っているかについての神の基準を学び,それに沿って生活するなら,神の親しい友になることができます。(詩編 15:1,2)人々が真理を学べるよう,神はイエスを地上に遣わしました。神は私たちに,イエスの教えを聞いてほしいと思っています。(マタイ 17:5。ヨハネ 18:37)
いつか神はうそを取り除くか
はい。誰かにうそをついて利用しようとする人を神は憎みます。それで,うそをつき続ける人たちを地球から除くと約束しています。(詩編 5:6)神はその約束だけでなく,「真実を語る唇は永続[する]」という約束も果たされます。(格言 12:19)