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使徒の活動 注釈 7章新世界訳聖書 (スタディー版)
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ステファノは,「主イエス,……」と訴えた: 55節と56節に記されているように,ステファノは幻の中で,「天が開いて,人の子が神の右に立っている」のを見た。ステファノはエホバとイエスをはっきり区別していた。そして,エホバがイエスに死者を復活させる力を与えたことを知っていた。それで,ステファノが,幻の中で見たイエスに直接話し掛け,自分の命あるいは生命力を守ってくださいとお願いしたのは,自然なことだった。(ヨハ 5:27-29)ステファノは「主イエス[ギリシャ語,キュリエ イエースー]」という言葉を使って,イエスに語り掛けた。ギリシャ語聖書で,キュリオスはエホバ神もイエス・キリストも指せるが,ここでは文脈からキュリオスがイエスを指していることは明らか。ここで「訴えた」と訳されているギリシャ語は,ギリシャ語聖書で「祈る」という意味でよく使われるギリシャ語ではないが,多くの聖書翻訳で「祈った」と訳されていて,ステファノがイエスに対して祈ったという印象を与えている。しかし,信頼できる参考文献は,ここで使われているギリシャ語(エピカレオー)が「呼ぶ」,「呼び求める」,「権威に訴える」という意味だと述べていて,たいていそのように訳されている。(使徒 2:21; 9:14。ロマ 10:13。テモ二 2:22)同じ語が「カエサルに上訴します!」というパウロの言葉を訳すのに使われている。(使徒 25:11)それで,ステファノがイエスに対して祈ったと考えるべき理由はない。ステファノはこの幻によって,ためらうことなくイエスに訴えることができた。使徒 7:60の注釈を参照。
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