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世界展望目ざめよ! 1980 | 4月8日
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セメントを混ぜると,建築用の良質の石材ができる。地面の割れ目から伝わってくる熱で水を熱し,パイプを通して家庭に引き込み,暖房に利用している。また,冷えた溶岩の造る高い壁は,季節によって吹き荒れる風をさえぎる新たな防風壁となっている。町の港は溶岩流によって封鎖寸前になり,狭くなっているが,これがかえって防波堤の役割を果たし,漁師に恵みとなる静かな港を作り出している。漁師たちは,今までにないほどの漁があると語っている。冷えた溶岩が穏やかな水面を作り出し,営巣に適した岩棚や岩の割れ目が多く使えるようになったため,海岸の絶壁にすむ幾百万羽の海鳥も恩恵を受けているようである。
類をみない集金人
◆ ロンドンのエコノミスト誌の伝えるところによると,企業心の旺盛なある会社が,口実を設けて支払いを遅らす企業から貸金をほぼ確実に集金する方法を考案した。スメリー・トランプス(臭い浮浪者)社は,20ポンド(約9,800円)で,「普通は礼儀正しい社員に胸の悪くなるような服を着せ,胃をむかつかせるような特別の化学物質をつけて」,これを強情な負債者の事務所に向かわせる,とエコノミスト誌は伝えている。「戦法は簡単で,小切手にサインするまで相手の事務所に座り込んでいるだけである」。スメリー社のある社員は,「受付係がわたしの仕事をほとんどやってくれます。一度においをかいだだけで,上司の所に行って,あんな人をとても置いておくわけにはいきません,と言ってくれます」と語っている。同社によると,負債のある企業の約9割が,訪問を告げる通知を一週間前に受け取るだけで支払いをすませるとのことである。相手が本当にお金を借りているかどうか確かめるために,同社は仕事を行なう前に申し込みを選別している。
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聖書理解の助け ― バアル目ざめよ! 1980 | 4月8日
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聖書理解の助け ― バアル
「知恵は主要なものである。知恵を得よ。自分の得るすべてのものをもって,悟りを得よ」― 箴 4:7,新。
バアル [主人,所有者]。
1. ベニヤミン人エイエルの息子として四番目に挙げられている人。―歴代上 8:30,32; 9:35,36。
2. ルベン人のひとり。その息子ベエラはアッシリア人「テルガテピルネセル」(テグラテピレセル)により捕囚のひとりとして連れて行かれた。―歴代上 5:5,6,26。
3. ユダの領地内にあったシメオン人の飛び地の都市。バアラテベエル,またネゲブのラマと同じであったと思われる。―歴代上 4:32,33とヨシュア 19:7-9を比較せよ。
4. 聖書の中で,ヘブライ語「バアル」は次の八つのものに関して用いられています。(1)自分の妻を所有する者としての夫(創世 20:3)。(2)地主(ヨシュア 24:11)。(3)「諸国民の所有者」(イザヤ 16:8,新)。(4)同盟者(字義的には「契約の所有者」)。(創世 14:13)。(5)有形物の所有者ないし持ち主(出エジプト 21:28,34; 22:8。列王下 1:8)。(6)特色となる性質,方法,職分などを有する人や事物。例えば,弓を射る者(字義的には「矢を所有する者」)(創世 49:23),「負債に対する債権者」(字義的には「負債を所有する者」)(申命 15:2,新),「怒りにくれる人」(字義的には「怒りを所有する者」)(箴 22:24,新),「わたしの係争相手」(字義的には「わたしの裁きを所有する者」)(イザヤ 50:8,新),「二本の角を持つ」(字義的には「二本の角を所有する者」)(ダニエル 8:6,新)。(7)エホバ(ホセア 2:16)。(8)偽りの神々 ― 士師 2:11,13。
「バアル」の語が偽りの神バアルを指すときには,定冠詞(「ハ」)を付けて他の名詞とは区別されているのが普通です。聖書の中で,「ハ ベアリーム」(バアルたち)という表現は,ある特定の場所を所有ないし所持し,その場所に対して影響力を持つとみなされる地方的な神々を指しているようです。それに対し,「ハ バアル」(単数)の語はカナン人のある特定の神を指す際に用いられています。「バアル」という呼び名は当初は一種の称号で,この称号がその神の名に代わってもっぱら用いられるようになったと考えられています。
イスラエルの歴史の中で時おりエホバが「バアル」の名で呼ばれていますが,それはエホバがその国民の主もしくは夫であるという考えを表わすためです。(イザヤ 54:5)また,背教したイスラエルが誤ってエホバをバアルと結び付けた場合もあったようです。そのことを裏書きする例としてホセアの預言があり,イスラエルが捕囚の身となり,そこから戻った後に,悔い改めてエホバを「わたしの夫」と呼び,もはや「わたしの所有者」(「わたしのバアル」,アメリカ訳)とは呼ばなくなる時が来る,と述べられています。その文の続きはさらに,「バアル」の名も偽りの神にちなむその連想ももはや二度とイスラエル人の唇に上ることはないと述べています。(ホセア 2:9-17)ヘブライ語「バアル」が堕落したバアル崇拝と結び付きを持ったため,この語は良くない含みを持つようになったのでしょう。サムエル後書の筆者が,「エシバアル」や「メリバアル」の代わりに「イシボセテ」や「メピボセテ」(ボセテの意味は「恥」)の名を使用したのはそうした理由によると見る人々もいます。―サムエル後 2:8; 9:6。歴代上 8:33,34。
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