世界展望
『クリスチャンを思想教育する』
◆ モザンビクのフレリモ新政権は,国内のすべての宗教を完全に自分たちの意志に服させようと躍気になっている。教会指導者の中には,新政権の言いなりになっている者がいるようである。「今日のキリスト教」誌の伝えるところによると,フレリモの書記長でもある,長老教会の理事バレンテ・マツィネーは,最近,全アフリカ教会協議会に経済援助を要請した。その目的は,「社会主義国家における自分の役割を正しく認識するようクリスチャンに思想教育を施す」ことにある。
同様に,モザンビクの長老教会は,ケニアのナイロビで最近開かれた世界教会協議会の総会に書簡を送り,「我が教会にとっての急務は,独立国モザンビクの新しい社会機構に適応することである」と述べた。同国の長老教会員たちは,「おもに,我が国の政府が選んだと同様の政治形態を有する国の人々」により祈りがささげられることを希望する,と語った。
妥協しない人々
◆ 最近,英国,ロンドンのガーディアン紙は次のように報じた。モザンビクにおける,「昨日までの自由の闘士フレリモは,今や全体主義政体への道を歩んでいる。モザンビクの司法制度の新たな特徴として挙げられるのは人民法廷である。ここでは,はだしの黒人や白人が,党の正規の方針から逸脱したとして,公衆の面前で罪状を暴露され,批判される……エホバの証人は,党の方針に従うこと,つまり敬礼や党の儀式に加わることを拒否するゆえに……その信者の多くは刑務所や矯正施設に送られている」。また,ロンドンのサンデー・タイムズ紙も次のような記事を掲載した。「逃亡してきたエホバの証人たちから得た情報によると,アフリカのクリスチャンの生活は,ポルトガルの支配下にあったころよりもずっと悪くなっている。外交関係者はこの情報を信頼に足るものとして受け止めている」。
未熟児には愛が必要
◆ 通常,未熟児は,暖かい母胎から,保育器の機械的な冷たい環境へと移される。未熟児は,この時期にどのような発育を遂げるだろうか。米国テキサス州の心理学者ルース・ライスは,およそ半数が身体もしくは精神面の障害を起こす,と判断している。しかし,最近同女史が行なった研究の結果,一日に四回赤子を保育器から出して,「愛を込めて抱擁し,体に触って刺激を与える」と,保育器に入っている赤子でも,驚くほどの発育を遂げることが明らかになった。研究終了時には,これらの赤子は,「他の未熟児と比較した場合はもちろん,生後四か月の標準児と比べても,身体および精神面でむしろ優れていた」と,ナショナル・オブザーバー紙は報じている。
税金の問題
◆ カナダの連邦税務局は犯罪者を対象にした広報を出し,わいろを含め,被害者から強奪した金銭も所得として申告しなければならないと警告した。同局のスポークスマンは,秘密厳守のたてまえからしても,正しく課税されればこの種の所得を警察に通報しないことが求められると語った。また,次のようにも述べている。「その所得を手数料とでも言って報告すればよいと思う。何も強奪した分だと告げることはない」。―トロント・スター紙。
僧職者をスパイに?
◆ CIA[米中央情報局]が外国の僧職者や宣教師を通報者として用いているとの暴露記事が数か月前にナショナル・カトリック・リポーター誌に載せられて以来,各方面からそれを否定する発表がなされてきた。ところが,「教会を堕落させる」そうした行為を非合法化する法案が議会に提出された際に政府の示した反応は,明らかに前述の非難が事実であることを裏付けるものである。フォード大統領の主席法律顧問はこう書いている。「世界のどこにおいても,大抵僧職者が,貴重な情報源である。専ら愛国心に動かされて,自主的に喜んで価値ある情報を提供し,政府を助けてくれる僧職者は少なくない」。CIA長官ウイリアム・コルビーはそれに同意し,僧職者は「重要な役割を果たしており」,いかなる禁令も「CIA当局に不利な条件を課すものとなり,今後の働きに悪影響を及ぼすであろう」と語った。
より安全な心臓手術
◆ 最近開かれたアメリカ心臓協会の年次総会の席上,カナダの心臓外科医レイ・ハインベッカーは,直視下心臓手術を行なう際,輸血をしないほうが安全であるとの見解を表明した。同医師によると,オンタリオ州のロンドン大学付属病院で「輸血をしないで」行なわれた145件の直視下心臓手術の際の死亡率は,通常の場合の11%から3.8%に低下した。人工心肺の改良によって,この種の手術も輸血なしでできるようになった,と同医師は語った。
名前だけ
◆ 最近のギャラップ世論調査によると,米国人は「極めて宗教的」ではあるが,その宗教は生活態度にほとんど影響を及ぼしていない。「例えば,大ざっぱに言って,国民の四分の三が正邪の判断を下す際,それを自分の宗教と結び付けようとしない」と,ギャラップ調査は報じている。今日見られるこうした「宗教心」なるものは,「終わりの日」に,多くの人が「敬神の専念という形を取りながらその力において実質のない者となる」という聖書の予告にぴったり当てはまる。―テモテ第二 3:5。
命令に従う
◆ 「自分は命令に従っていたにすぎない」。これは,第二次世界大戦中に大残虐行為を犯したナチ党員が事実上口にした釈明の言葉といえる。人類はこの経験から教訓を受けただろうか。特別欄寄稿家ダニエル・リンチは,ロッキーマウンテイン・ジャーナル誌上で,それを否定する「がっかりさせるような経験」について書いている。米上院議員ゲーリー・ハートの招きに応じて,士官学校入学志願者の面接に加わったリンチは,後ほど次のような結論に達した。「これら米国人の青年の大半は身なりのきちんとした,まじめで,他の面では印象的だが,命令とあらばだれでも撃ち殺し,だれの[電話]をも盗聴すると語っているのは憂うべき事実である」。
狂気のメソジスト派
◆ 米国サンフランシスコのグライド記念メソジスト教会は,A・セシル・ウイリアムズの牧師叙任10周年記念に際し,例のごとく「ジャズ・ショー,踊り,ソウル・ミュージック,俗受けのする説教」などで揺れ動いた,と「今日のキリスト教」誌は報じている。ウイリアムズに賛辞の言葉を贈った20名の来賓の中には,同教会で会合を開いた売春婦たちの組合の創設者もいた。現在グライド教会の職員である,ユダヤ教の元教師は次のように語っている。「わたしがここに来て三年になるが,その間セシルはただの一度も,教会内でキリスト教の教理について語ったことはない。ここがキリスト教の教会であるなら,わたしはこんな所にはいない。連合メソジスト教会は,セシルのような人物がここにとどまることをよく黙認しているものだ」。ところが,サンフランシスコのメソジスト教会主教R・マービン・スチュアートは,「当然のことながら,貴君の宣教奉仕はグライド教会における証の中心を成しております」と書き送り,ウイリアムズを賞賛した。
何の記録?
◆ 世に名高い米連邦議会議事録は,議事の進行の正確な記録をつづってはいないとの声が,議事録の刷新を求める議員の間から上がっている。これらの議員によると,議事録には,上下両院のいずれでも行なわれなかった演説が記録されていたり,実際の発言を修正したものや,無関係の事柄が一緒になっていたりする。「典型的な一日を挙げると,議事録には,大抵の場合,議題に関する資料に加えて……地元の美人コンテストの優勝者に贈る賛辞や選挙区民をたたえる演説などが記録されている」と,USニューズ・アンド・ワールドリポート誌は報じている。昨年の議事録は,ほぼ4万3,000枚に及び,一枚当たり278㌦(約8万3,000円)の費用がかかった。
パイプラインの敷設に伴う問題
◆ 最近,米国司法省が出した回報によると,巨額の資金を投入してアラスカで行なわれている,1,300㌔の石油パイプライン敷設工事に関連して,「想像を絶する」ほどの盗みや不正行為が行なわれている。敷設工事の半ばで,損害額はすでに10億㌦(約3,000億円)に達するものとみられている。週に30万円から45万円の収入を得ている組織労働者の多くは,水増し雇用や資材の横流しに関係していると報じられた。この工事に従事する夫を持つある婦人は,記者に向かって次のように語った。「[パイプライン敷設会社]は政府と同じよ。会社はガソリンでわたしたちに高いお金を払わせてずいぶんもうけたのですから,会社から何を盗もうと構わないでしょう」。
大歓迎のジャコウウシ
◆ アラスカ,ウナラクリートの貧困にあえぐエスキモーの漁村に,最近ありがたい助け,つまり一群のジャコウウシが贈られた。アラスカ大学ジャコウウシ家畜化計画の一環として,49頭(そのうち47頭が子を宿している)のジャコウウシが人口580人のこの小さな漁村に空輸されたのである。寒風の吹きすさぶ氷点下の気候の中を,「子どもたちの一隊がジャコウウシの入った木わくを飛行機から引きずり降ろした」と,同計画の責任者は語った。よくなれていて元気のよいこれらジャコウウシは,牧夫にも,また,需要の多いジャコウウシの柔らかい下毛の織物を織る婦人たちにも,仕事を提供することであろう。
“テレビ,それともお父さん?”
◆ 「テレビとお父さんとどちらが好き?」 米国バージニア州の心理学者ユング・ベイ・ラーは,この二年間に,同地に住む四歳から六歳の子供にこうした質問をしてきた。その結果,子供たちの四割以上がテレビのほうを選び,二割ほどは母親よりテレビのほうがよいと答えた。ラー博士は,「父親にとって,テレビは,子供の関心を引く上で手ごわい競争相手である」と語った。
これが謙遜な行為か
◆ カトリックと正教会の長年にわたった対立関係の解消10周年を記念するミサの際に,法王パウロ六世は,突如ひざまずき,正教会のメリトン府主教の足に接ぷんした。シアトル・ポスト・インテリジェンサー紙は,「教皇が信じられないような謙遜な態度を示した」ことに驚嘆する記事を載せた。UPI通信社も,「2,000年にわたるローマ・カトリック教会の歴史を通じて,他の人にこれほどまでの光栄を与えた法王はいない」と報じた。しかし,イエス・キリストの使徒ペテロの前に,ある者がひれ伏したとき,ペテロは,これら高位僧職者とは全く対照的な態度を取り,「立って下さい,私もただの人間です」と言った。―使徒 10:26,バルバロ訳。
こじきは“もうかる”
◆ 西ドイツのジュッセルドルフのあるこじきは,偽りをかたって物ごいをしたため逮捕された。警察によると,この男は3万㌦(約900万円)近くの銀行預金を持っていることが明らかにされた。彼は,長年,自分は「刑務所から出て来たばかり」でお金がない,と人々に語ったことを認めた。