「御心が地に成るように」(その31)
この世の組織制度の「定められた終りの時」に生ずると預言された事柄をいま研究しています。第一次世界大戦が1914年に始まつたとき,復興したドイツ帝国の支配権力は『北の王』の役割を果し,英米両国の世界強国は,それと反対の『南の王』の役割を果しました。ダニエル書 11章31節は,象徴的な『北の王』について次のように預言しました,『彼より腕おこりて聖所すなわち堅城を汚し,常供の物(地上の宮級の者がヱホバ神にささげる霊的な「賛美の犠牲」を取りのぞかせ,かつ荒らす憎むべきものを立てん。』第一次世界大戦の後,この『荒らす憎むべきもの』は,国際連盟として設立されました。宗教制度は,この国際連盟を『地上における神の御国の政治的な表現』とほめそやしました。それで,いま一つの質問に直面します。
27 1945年に第二次世界大戦が終つて以来,北の王と南の王とのあいだの敵対行動は,どのようにつづけられましたか。
27 誰はそうすることができますか。誰がしましたか。出来事はすぐにそれを示しました ― ソビエット連邦,共産主義者の強国でした。1917年,ロシアで権力をにぎつて以来,ソビエット連邦は今日にいたるまで世界支配を目標にしています。それは自分の力を認識しました。そして,軍事力を戦時状態より減少させなかつたのです。それは力の立場に従い,主要な敵対国にむかつて行動し始めました。アメリカ合衆国は,第二次世界大戦の結果として,地上の最強国であると示されました。それで,アメリカ民主主義に対する宣伝と経済戦争,すなわち冷い戦争が始まりました。実際のところ,共産主義ロシアは,1947年の初期に冷い戦争を宣言したのです。1948年6月26日に共産主義者が西ベルリンの陸上封鎖したことは,冷い戦争に危険な緊迫状態を生ぜしめましたが,しかし,それはアメリカ軍の空輸によつて解決されました。共産主義ロシアは,全ドイツが一つの政府の下に一致することを長いあいだ妨害しました。そして,東ドイツを衛星国となし,東ドイツを共産主義圏内の政治国家と認める以前に,共産主義の支配形式を設立いたしました。第二次世界大戦以来,北の王が誰であるかは全く明白で疑問の余地はありません。
28 汚された「神殿と城郭」とは何でしたか。
28 第二次世界大戦前と大戦中,御使の次の預言は成就しました,「(彼らは)神殿と城郭を汚し」。この神殿は,「生ける石」で構成されているヱホバの「霊的な家」の残れる者たちです。ヱホバは,御自分の御霊によりこの家に住まわれています。統治している王イエス・キリストは,この神殿すなわち霊的な家の隅の首石です。それはヱホバの家で,彼の崇拝のためだけにささげられています。いまそれと交わつている者たちは,献身している善意者たちの「大いなる群れ」で,彼らは聖なる者たち,すなわち「聖徒たち」の聖所級と共にヱホバ神を崇拝し,ヱホバ神に仕えています。この聖所は,城郭です。なぜなら,それは何ものにも征服されない霊の力で満ちているからです。それは全能の神からの力で満ちています。その力は試験ずみのものです。それは,第二次世界大戦を通り,そしてナチ主義,ファシズム主義そしてスターリン主義が倒れても存在し,今日にいたるまで存在しています。
29 この聖所を汚すことは,どのように進みましたか。それは誰によつて為されましたか。
29 ダニエル書 8章11,13節は,この聖所の倒れることと,踏みつけられることを予告しました。それは第一次世界大戦中に生じました。それは,象徴的な「小さい角」である「猛悪な顔の王」すなわち第七番目の世界強国なる英米両国の世界強国によりなされました。a しかし,後日になつて「神殿と城郭」を汚すということは,第二次世界大戦中およびそれ以来,枢柚国やソビエット連邦の国々で聖所級の者たちが北の王のために悪い迫害を受けるということでした。この聖所級と共にヱホバを崇拝した忠節な善意者の「大いなる群衆」は,霊的なイスラエルで構成されるヱホバの「聖なる国民」の聖なる者たち,すなわち「聖徒たち」と共々に苦しみをうけました。収容所,牢獄,奴隷労働所,銃殺,斬首,集会と聖書文書の禁止,および他の手段による迫害は,ヱホバの聖所を汚すことであり,聖所をののしることでした。神に対してこのような悪い行いをしたのは,北の王ひとりだけではありませんでした。第一次世界大戦中には,南の王も同じ精神を示し,聖所を汚すという悪い行いをいたしまた。しかし,このような猛烈な迫害を受けたためにその聖所および聖所で崇拝した者たちは,滅ぼされましたか。滅ぼされませんでした。なぜですか。ヱホバの御使は,後にそのことを説明しています。
30 「常供の燔祭」は,どのように取りさられて,ダニエル書 11章31節を成就しましたか。
30 ヱホバの聖所が汚されると共に,その「常供の燔祭」が取りさられました。英語訳の中では,「燔祭」という言葉が補足されているのです。ヘブル語の聖書の中では,「常供」という言葉は,ヱホバの宮とその祭司に関係する多数の神聖な事柄に適用されています。それで,この場合の「常供」という言葉は「燔祭」以外の数多くの事にも適用されます。「常供」とは,日々たえず定期的に行なわれる聖所での崇拝全部を抱括し得ます。ナチ-ファシストの勢力が絶頂であつたとき,北の王は,聖所の残れる者とその仲間の崇拝者である善意者たちから,霊的な犠牲を取りのぞきました。北の王とその同盟者たちは,聖書と聖書文書を没収し,ヱホバの証者を収容所に閉じこめ,地下活動に追いやることにより,神にたえずささげる「賛美の犠牲」が公に,公然と行なわれることを中止せしめました。ちょつと見ると,それは取りさられたようでした。しかし,地下活動をしようとも,またはヱホバの証者が投げこまれた収容所にいようとも,それは恐れなしに行なわれました。
『荒らす憎むべきもの』
31 『荒らす憎むべきもの』は何でしたか。それが再び現れるにちがいない,と黙示録 17章7-11節は,どのように述べましたか。
31 しかし,御使の預言がここのところまで進展しているときに,『驚かしめる憎むべきものを立てる』『荒らす憎むべきものを立てる』と述べられているのは,どうしてですか。このことは,国際連盟の設立と食いちがうことになりますか。国際連盟は『荒らすことをなす罪』と言われ,南の王の主唱で1919年に設立されました。b 食いちがうということはありません。神の設立した御国の代りであると称するあの憎むべき偽りもの,国際連盟は,『獣の像』であつたことを記憶して下さい。七つの頭と10の角を持つその獣の像は,二つの角を持つ象徴的な獣,すなわち英米両国の世界強国により提唱されました。そのことは,1918年に第一次世界大戦が終る頃に提唱されたのです。(黙示 13:11-15)連盟であるその『像』は,第七番目の世界強国と,以前にあつた六つの世界強国の残余のものからつくられたものです。その結果,それは七つの世界強国の表現であり,それ自身は『第八番目の王』すなわち第八番目の世界強国です。黙示録 17章7-11節(新口)によると,七つの頭をもつこの象徴的な獣は,消えて見えなくなると示されています,『あなたの見た獣は,昔はいたが,今はおらず,そして,やがて底知れぬ所から上……る。』それで,獣は再び現われるにちがいありません!
32 いつそしてどのように『獣』は,『底知れぬ所』に消えてなくなりましたか。
32 国際連合の最初の総会がロンドンで開かれた1946年1月10日に,国際連盟は正式に解体しました。しかし,実際には1939年の9月に,世界平和制度としての存在はなくなつていました。そのとき,北の王ナチの向う見ずの行動により,第二次世界大戦は勃発しました。国際連盟は非常な失敗と判明し,死滅して『底知れぬ所』に行きました。死骸のような建組みは残つていましたが,平和を保存する力はすこしもなかつたのです。
33 どのような段階を経て,この世界-平和の『獣』は『底知れぬ所』から再び現われましたか。
33 しかし,それは底知れぬ所にとどまつているでしようか。1942年の9月,ヱホバの聖所級は一つの大会を開きました。9月18日-20日まで,53のアメリカの都市で53の大会は同時に開催されたのです。この大会は,全地にわたる規模を持つものになりました。島々や四大陸で80以上の大会が,同じプログラムで開かれたからです。9月20日の日曜日,中心都市であるオハイオ州クリーブランド市で,『ものみの塔聖書冊子協会』の会長は,見える大会および見えない大会に話し,『平和 ― それはつづくか』と題する公開講演をいたしました。その講演の中で会長は黙示録 17章7-11節を論じました。この黙示録 17章7-11節から,第二次世界大戦が終ること,そして永続しない平和の期間中に国際的な世界 ― 平和の獣は底知れぬところから出てくるが,ついには滅びに行くと示しましたc 翌年,共産主義ロシア,大英帝国,アメリカ,そして中国の外務大臣たちはモスコーで会合し,国際連盟は死んだものと考えられるので,『平和愛好国』の全部をふくむ新しい世界制度が必要であると発表しました。翌年の初秋,ダンバートン・オークス会議が開かれ,永久的な国際連合制度設立のために提案された憲章が,同じ四つの国により論ぜられました。この憲章は十分に討議されて,ついにカルホルニア州サンフランシスコ市で行われた51ヵ国の会議で採決されました。1945年10月24日,共産主義ロシアは国際連合の批准機関を設置し,この国際的な制度の憲章はその日に実施されました。それは日本が降伏して第二次世界大戦が9月2日に終つて後間もない時でした。
34 それはどのように同じ獣でしたか。ダニエル書 11章31節は,ダニエル書 8章11-14節と,どのように全く一致していますか。
34 七つの頭を持つ緋色の獣は,ふたたび底知れぬ所から出てきました。そして,1946年1月10日,その最初の総会は英国のロンドンで開催されました。それは国際連盟と酷似しており,同じ獣でした。国際連盟はいまや終了し,後になつてその所有物を国際連合に渡しました。それで,『荒らすことをなす罪』が,南の王である第7番目の世界強国により1919年にはじめて生命を与えられたということをダニエル書 11章31節は,否定するものではありません。むしろ,ダニエル書 11書31節は,次のことを意味します。すなわちこの憎むべき『獣の像』は,北の王ナチが別の世界大戦をひきおこすので底知れぬ絶望の所に投げこまれるということ,および国際的な崇拝をうける憎むべき『像』は,北の王なる共産主義者の援助によつてひき出される,ということです。この光に照らし合わせて見るとき,ダニエル書 11章31節とダニエル書 8章11-14節は,互に全く一致調和しています。それはともに黙示録 13章11-15節と黙示録 17章7-11節と一致しています。ヱホバの御使は,真理を示しました。
困難な事態下の教育のわざ
35 北の王は,どんな非政治的な団体を自分の側にひき入れようと努めますか。彼はへつらいの言葉でもつて誰を堕落させるのに成功しますか。
35 北の王は迫害によつて滅びをもたらすことができないなら,口あたりの良いなめらかな言葉で誘惑します。ヱホバの御使は,このことを警告して,次のようにかたりました,『彼は契約を破る者どもを,巧言をもつてそそのかし,そむかせるが,自分の神を知る民は,かたく立つて事を行います。民のうちの賢い人々は,多くの人を悟りにいたらせます。それでも,彼はしばらくの間,やいばにかかり,火に焼かれ,捕れ,かすめられなどして倒れます。』(ダニエル 11:32,33,新口)ナチであろうと共産主義者であろうと,北の王は宗教団体を自分の側に引きいれようと努めます。宗教的な支持があるなら,たとえ自分の良心や国民の良心を和らげることができなくても,一般の人々の前に自分の立場を強くすることができます。北の王は宗教組織を支配し,北の王の全体主義的な政策を支持する牧師指導者を是非とも持たねばなりません。北の王は,国際的なむすびつき,または外国との結びつきがある宗教組織を持つよりは,国家的な政府だけに忠誠をちかう独立した国家的な宗教組織を欲します。巧みなへつらいの言葉で誰を誘惑して堕落させ,全体主義的な北の王国を支持させることができますか。『契約を破る者ども』だけです。そのわけで,北の王の支配下にあるキリスト教国の宗教組織は,北の王に服従したのです。北の王から外面的な恩恵をうけるので,それらの宗教組織には迫害がなく,教会を公然と経営して行くことができます。
36 北の王は誰を堕落させるに成功しませんか。
36 聖所級はそれとことなります。彼らは,その御名によりまたその啓示された御言葉により自分たちの神を知つています。ヱホバの御国の契約を破るというようなことをしません。彼らは,『キリストの共同相続者』として,その御国の契約の中に入れられたのです。彼らの『国籍は天にある。』イエス御自身がこの世のものでなかつたように,彼らはこの世のものではありません。この世の友となつて,神の敵となり,御国を失うことを拒絶します。この世の『終りの時』にたいする統治している王,イエス・キリストのいましめを知つています。彼のいましめは,次のようです,『この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。』それですから,北の王のへつらいの申し出でをしりぞけ,ヱホバ神への信仰と専心の献身を強く保ちます。全国民に対するヱホバの証者として,彼らは設立された神の御国の良いたよりを伝道しつづけます。―ロマ 8:17。ピリピ 3:2。マタイ 24:14。
37 どんな面で聖所級は賢いですか。彼らはどのように多くの人にさとりを与えますか。
37 聖所級は,『賢いもの』,分別のあるもの,そして行動の規則となるべき敬虔の原則を識別します,彼らは洞察力をもつて行動し,神に対して忠実を保ち,非難のない状態で歩きつづけます。伝道するようにヱホバの御霊で油をそがれていることを認識している彼らは,たしかに伝道し,『多くの人を悟りにいたらせます』。彼らは多くの人を援助して次のことを認識させます,すなわち宇宙主権に関する最高の問題は,ヱホバ神を立証するために決定されねばならぬ,ということです。かくして,多数の者を援助して,御国の側に立たせ,北の王や南の王によつて世界支配をはかるというむだな働きを止めさせているのです。
38 彼らはどのように『倒れ』ましたか。そして,なぜ?
38 このように神の宇宙主権を支持して,妥協をゆるさぬ立場をとることと,またナチであろうと共産主義者であろうと,北の王の支配圏内で統治している御子イエス・キリストの御国を宣明することは,苦難を招くことになりました。サタンの世の『終りの定められた時』の期間中,そのような苦しみと迫害が来る,とイエスは前もつて告げておられました。(マタイ 24:7-13)聖所級は政治的な国家を崇拝しようとしないので,ナチおよび共産主義者の北の王は,彼らを残酷に迫害しました。北の王は,彼らを『倒しました』どのように?『やいばにかかつて』死に処刑し,強烈な一般人の非難,禁令,批判の宣伝,官吏たちの焼きつくすような怒りの言葉などで『火に焼』き,牢獄,奴隷労働収容所,天幕,追放また地下監禁所に『捕』えているのです。『しばらくの間かすめられる』とは,家屋や,御国会館や大会が正しい法律の許しなしに侵入されて,聖書文書や神の御言葉そのものを没収するということです。聖所級は,神の御言葉から力を受けその救いの良いたよりを真理と正義を愛する者たちに伝道します。このことは『しばらくの間』つづきました。特にナチの総統が1933年に独裁権力をにぎつた時から始まり,ヒットラーが死んでから,共産主義者スターリンの独裁支配の時に達し,そして現在の時にいたつているのです。東部欧州のエホバの証者のある者たちは,幾年という期間ナチの迫害を受け,それからすぐに共産主義者の圧迫を受けるようになりました。
39 そのようにつまづき倒れることは,いつまでつづくと前もつて告げられていますか。
39 恵みに富みたもう神は,御自分の賢明な聖所級が北の王からの迫害にも耐え忍んで切り抜けるように援助いたしました。また,他の国々で北の王の宣伝や秘密の手先などを用いて北の王がひき起すあらゆる迫害にも耐え忍んで切り抜けさせるように援助したのです。愛の御心にみちるヱホバは,御使を通して語つた御自分の言葉を成就しました,『その倒れるとき,彼らは少しの助けをえます。また多くの人が,巧言をもつて彼らにくみするでしょう。また賢い者のうちのある者は,終りの時まで,自分を練り,清め,白くするために倒れるでしよう。終りはなお定まつた時の来るまでこないからです。』(ダニエル 11:34,35,新口)この迫害は,北の王がハルマゲンドの『終りの時』に達するまでつづく,と前もつて告げられています。マゴグのゴグの役割を果す悪魔が『北の果』から最終的な全力の攻撃を加えてくるとき,その攻撃軍勢のうちに共産主議者の北の王をふくませることはたしかです。(エゼキエル 38:1-9; 39:1,2,新口)それで,その時までヱホバの聖所級は全体主義的,独裁主義的な『王』の下にあつてつまずきたおれるでしょう。
40 しかし,彼らはどのように『すこしの助け』を得ましたか。
40 現在まで,彼らはこのように倒れましたが,しかしたしかに『すこしの助けを得』ました。(新口)その助けとは,ナチ・ドイツ,フアシスト・イタリー,帝国日本でつくりあげられた枢軸国が敗北して,民主主義的な『地』がその『口』を開き,北のナチの王を通してサタン悪魔が吐き出した『川』を飲み乾したからです。(黙示 12:15-17)彼らが敗北したことは,北のナチの王とその同盟の支配下の国々,すなわち西ドイツ,ノルウエイ,デンマーク,オランダ,ベルギー,フランス,イタリア,フィリッピン諸島,韓国,ビルマ,シャム,インドネシア,マレー,シンガポール,ウェーキ諸島,香港,ギリシャ,でヱホバの聖所級が他の者たちと共に自由に解放される助けとなりました。しかし,ロシアの国では,自由解放はありませんでした。また,多くの国々の法廷は,ヱホバの証者に有利な判決を下し,北の王や北の王と同じ精神を持つ者たちが課す制限や圧迫を取りのぞきました。1956年6月30日から,1957年3月1日まで全世界の199の都市で開かれた大会で,合計46万2936名のヱホバの証者は,当時モスコーのソビエット連邦首相ニコライ・エイ・ブルガニンに宛てて強い決議を採決し,ロシアとシベリアで残酷な迫害を受けている幾千人という霊的な兄弟たちが自由釈放されるように懇請しました。ソビエットと政府の官僚や法廷は,このことにいささかの恩恵も援助も示しませんでした。しかし,北の王から迫害されていた者たちは大きな道徳的な支持と多くの励ましを受けることになつたのです。d
41 しかし,いちばん大きな助けは誰から来ましたか。そして,どのように?
41 残酷な北の王の仕打の下に倒れた聖所級をいちばん良く助けたものは,この世の終りについての預言の中でイエスがあらかじめに告げた『羊』から来ました。羊のような性質を持つこれらの善意者は,『山羊』とはちがい,エホバの聖所の一部であるイエスの霊的な兄弟たちに同情しました。彼らの数は1931年以来ますます増加しましたが,特に1935年以来ふえてきました。その時の8月号の『ものみの塔』は,黙示録 7章9-17節を説明し,天的な羊飼の『他の羊』に啓発と励ましを与えました。(ヨハネ 10:16)彼らは神の設立した御国の良いたよりを受け入れ,羊と山羊についてのイエスの譬話に述べられている仕方で聖所級を助けました。(マタイ 25:31-46)しかし,彼らは次のような行いによつてこの援助を最も強力にしたのです。すなわち宇宙の主権者なる神に献身して,聖所級と共に集まり,彼らと共に神の御国の良いたよりを公に野外で伝道し,さらに他の『羊』を集めることです。彼らは聖所級と共に崇拝し,共に証言し,そして北の王と南の王から苦難を受けても,死にいたるまで忠実に耐えしのびます。
42 どのように多くの人々は,あざむきのお世辞で『彼らにくみ』しますか。
42 しかし,『彼らにくみする』多くの人々は,心から誠実な動機をもつて参加せず,利己的な理由の故にへつらいの言葉を語り,なめらかな行いでくわわるだけです。そのような者のある者たちは,北の王の間蝶であると判明しました。他の者たちは,ヱホバの証者について賞賛の言葉を述べますが,ヱホバに崇拝と奉仕をささげようとはしないのです。多くの人々はヱホバの証者が忠節と忠実を保つて節義を守ることに感嘆し,ほめ言葉を言います。しかし,ヱホバに献身して,活潑に伝道するヱホバの証者になろうとはしません。この事実は,次のことを明白に示します。すなわち『他の羊』と称する者たち,またははしばらくの間ヱホバの証者から聖書教育を受ける人々は,はたして真の神に心からの献身をしているかどうかを験されていることになります。それらの人々は,被造物をへつらうべきでなく,むしろ創造者をよろこばすようにつとめるべきです。―ガラテヤ 1:10。
43 賢い者のある者たちが『つまづく』のを許したもうヱホバの目的は何ですか。賢い者たちは,何をしようと決意していますか。
43 救いをもたらす神は,証者たちにこのような迫害のふりかかることを許しました。それは,神を求めて神を愛すると称する者たちを試みるためです。迫害者や圧迫者からの火のごとき試練により,ヱホバは彼の民と称する者たちを精練します。その目的は,価値のない滓のような者たちを暴露して取りのぞいてしまい,清純で貴重な金属のような者たちを表明して清め,そして保持するためです。愛の心からヱホバに献身の誓を果すこれらの真実の者たちによつて,ヱホバは彼らが選んだ至上者であると御自身を立証します。そのわけで,ヱホバは幾千人という御自分の賢い証者たちが迫害を受けてつまづき,殉教者の死を遂げることすら許したのです。それは,生き残る証者たちの質を精練し,また終りまで耐えしのんで救われようとしない者たちを排斥するためです。(マタイ 24:9-13)北の王と,その仲間の迫害者たちが悲惨な最後に達するまで,宇宙主権についての最高論争を深く認識するヱホバの賢い者たちは,迫害による精練と清めを受けることを覚悟しています。彼らの受ける報いには終りがありません。しかし,『定められた時』になると,敵である迫害者たちは終つてしまいます。
[脚注]
a 1959年の「ものみの塔」437-438頁,22-28節を見なさい。
b 1959年11月15日号の『ものみの塔』438貢(27節)と439頁。また1959年12月1日号の456頁と457頁を見なさい。
c 『平和 ― それはつづくか』(英文)という冊子の18-22頁を見なさい。1942年の版権。
d 1957年6月1日号の『ものみの塔』214-217頁を見なさい。