12,13. エゼキエルの時代に捕囚にされていたユダヤ人に対するエホバの怒りはやがて静まります。なぜでしょうか。
12 エホバはご自分の民に対する正当な怒りを率直に表しましたが,その怒りがいつまでも続くことはないという保証も与えました。例えば次のように述べています。「私の怒りは収まり,人々に対する憤りは静まり,私は気が治まる。私が彼らへの憤りを表し終える時,彼らは,私エホバが全くの専心を求めて語ったことを知らなければならなくなる」。(エゼ 5:13)エホバの憤りがやがて静まるのはどうしてでしょうか。
13 捕囚にされた人たちの中には,不忠実な同胞と一緒に捕らわれた忠実なユダヤ人たちもいました。さらに,神はエゼキエルを通して,ご自分の民の中には捕囚にされている間に悔い改める人たちもいる,ということを予告していました。後悔したそれらのユダヤ人は,自分たちが神に反逆して行った恥ずべき事柄を思い起こし,エホバに許しと恵みを懇願します。(エゼ 6:8-10; 12:16)忠実な人たちの中には,エゼキエルのほかに,預言者ダニエルと3人の友もいました。長生きしたダニエルは,バビロン捕囚の始まりと終わりの両方を目撃しました。ダニエル 9章には,イスラエルの罪に関するダニエルの心からの悔い改めの祈りが記されています。捕囚にされていた大勢の人たちも,ダニエルと同じように感じ,エホバの許しと新たな祝福を切望していたに違いありません。ですから,エゼキエルが神の聖なる力に導かれて記した解放と回復の約束に,胸を躍らせたことでしょう。
14. エホバがご自分の民を故国に帰還させるのはなぜですか。
14 とはいえ,エホバの民の解放と清い崇拝の回復には,もっと重要な要素が関係していました。長い捕囚の期間が終わるのは,民が解放されて当然だったからではなく,またしてもエホバが全ての国々の前でご自分の名を神聖なものとする時が来たからです。(エゼ 36:22)バビロニア人は,自分たちが崇拝するマルドゥクなどの神々が,主権者である主エホバの足元にも及ばないということを思い知らされます。では,エホバがエゼキエルを導き,捕囚にされていた同胞たちに伝えさせた,5つの約束について考えましょう。まず,それらの約束が当時の忠実な人たちに関連してどのように実現したかを見ます。それから,さらに大規模な実現についても考えます。
15. 帰還する人たちは,以前と違ってどのような崇拝を行うようになりますか。
15 約束1: 偶像崇拝など,間違った宗教にまつわる汚らわしい行いは取り除かれる。(エゼキエル 11:18; 12:24を読む。)この本の第5章で考えたように,エルサレムと神殿は,偶像崇拝をはじめとする間違った宗教の慣行によって汚されていました。そのため人々は堕落し,エホバから遠く離れていました。エホバがエゼキエルを通して予告したように,捕囚にされた人々には,清く汚れのない崇拝を再び行えるようになる見込みがありました。回復に関連した他の祝福は全て,神の清い崇拝が回復されることに懸かっていました。
16. エホバはご自分の民の故国に関してどんな約束をしましたか。
16 約束2: 故国に帰還する。エホバは捕囚にされていた人々に,「私はあなたたち[に]イスラエルの土地を与える」と言いました。(エゼ 11:17)これは驚くべき約束でした。神の民はバビロニア人からあざけられ,愛する故国に戻るという希望など持てなかったに違いないからです。(イザ 14:4,17)エホバはさらに,帰還した人々が忠実であり続けるなら,肥沃な土地で有意義な仕事を行って豊かな食物を得られる,ということも約束しました。飢饉によって恥や惨めさを感じることはもうなくなるのです。(エゼキエル 36:30を読む。)
17. エホバへの犠牲についてはどんなことが約束されましたか。
17 約束3: エホバの祭壇でまた供え物が捧げられるようになる。この本の第2章で見たように,律法の下では,犠牲や捧げ物が清い崇拝に欠かせませんでした。帰還したユダヤ人たちは,従順であり続け,エホバだけを崇拝するなら,捧げ物をエホバに受け入れてもらえました。そのようにして贖罪を行い,神との親しい関係を保つことができました。エホバはこう約束していました。「イスラエル国民全体は……その土地で私に仕える。私はそこで彼らのことを喜び,寄進物や最上の捧げ物,あらゆる聖なるものを求める」。(エゼ 20:40)清い崇拝がまさしく回復され,神の民は祝福されるのです。
18. エホバはご自分の民をどのように世話しますか。
18 約束4: 悪い牧者は除かれる。神の民が大きく道を踏み外した主な理由の1つは,堕落した指導者たちの影響を受けたことです。エホバはそうした状況を変えることを約束しました。悪い牧者たちについて,「彼らに私の羊の世話をやめさせ,……彼らの口から私の羊を救い出[す]」と述べています。また,忠実な人々については,「私は自分の羊を世話する」と保証しています。(エゼ 34:10,12)どのように世話するのでしょうか。忠実で神に尽くす人たちを牧者とするのです。
19. エホバは一致に関してどんな約束をしましたか。
19 約束5: エホバを崇拝する人たちは一つになる。神の民は捕囚にされる前,分裂していました。忠実な崇拝者たちはそれを見てつらい気持ちになったことでしょう。偽預言者や堕落した牧者の影響を受けた人たちは,エホバの忠実な預言者たちに逆らい,派閥に分かれて対立することさえしました。ですから,回復に関する約束の中でもとりわけ魅力的だったのは,エゼキエルを通して語られた次の言葉です。「私は,彼らに一致した心を与え,新たな精神を持たせる」。(エゼ 11:19)帰還したユダヤ人たちは,エホバ神と一つに結ばれ,神の民として一つになっている限り,敵に打ち負かされることはありません。1つの国民としてエホバに,非難や不名誉ではなく,栄光を再びもたらすことができるのです。
20,21. 帰還したユダヤ人たちは,神の約束の実現を目の当たりにしました。なぜそう言えますか。
20 バビロン捕囚から帰還したユダヤ人たちは,これら5つの約束が実現するのを見たでしょうか。昔の忠実な人ヨシュアが語った,次の言葉を思い起こしましょう。「皆さんの神エホバが話した全ての良い約束のうち,果たされなかった言葉は一つもありません。皆さんにとって全てその通りになりました。果たされなかった言葉は一つもありません」。(ヨシュ 23:14)ヨシュアの時代にそうだったように,故国に帰還したユダヤ人たちの時代にもそうだったと確信できます。
21 ユダヤ人たちは,偶像崇拝など,自分たちをエホバから遠ざけることになった間違った宗教の汚らわしい行いをやめました。故国に戻るなど夢のような話でしたが,実際に帰還でき,土地を耕して豊かな暮らしを楽しむようになりました。まず行ったことの1つは,エルサレムにエホバの祭壇を作り直し,受け入れられる捧げ物をすることでした。(エズ 3:2-6)エホバは民を祝福し,神に従う立派な人たちを牧者としました。忠実な祭司で写字生でもあったエズラ,総督のネヘミヤやゼルバベル,大祭司ヨシュア,勇敢な預言者だったハガイ,ゼカリヤ,マラキといった人たちです。民はエホバからの指示や導きに進んで従う限り,非常に長い間見られなかった一致を味わうことができました。(イザ 61:1-4。エレミヤ 3:15を読む。)
22. 回復に関する預言は古代に一度実現しましたが,それはもっと大規模な実現の予告編にすぎませんでした。なぜそう言えますか。
22 当時,回復に関するエホバの約束が実現したのは非常に喜ばしいことでした。ですが,それは後のはるかに大規模な実現の予告編にすぎませんでした。なぜそう言えるのでしょうか。エホバの約束の実現には条件があり,民は従順であり続けなければなりませんでした。やがてユダヤ人は再び不従順になり,反逆したので,条件が満たされなくなり,約束の全面的な実現には至らなかったのです。とはいえ,ヨシュアが述べたように,エホバの言葉は全てその通りになります。ですから,エホバの約束はさらに大規模に,もっと長期にわたって実現します。どのようにそうなってきたかを見てみましょう。