7-8. モーセは不敬な扱いを受けた時,どうしましたか。
7 権限を与えられた時: 何かの権限を与えられた時,柔和を保つのは簡単ではありません。特に,自分の監督下にある人が不敬な態度を取ったり,自分の判断に異議を唱えたりする時です。あなたにもそのような経験がありますか。家族の中でそんなことが起きたら,どうしますか。モーセがそうした状況のもとで,どう行動したかを考えましょう。
8 エホバは,モーセをイスラエルの指導者として任命しました。また,モーセにイスラエル人のための律法を記させました。エホバがモーセを用いておられることは明らかでした。それにもかかわらず,モーセの姉ミリアムと兄アロンはモーセに言い逆らい,モーセがクシュ人の女性と結婚したことを非難しました。人によっては,そんなことを言われたら,怒って仕返しするかもしれません。しかし,モーセは違いました。簡単に腹を立てたりはしませんでした。ミリアムを許してください,とエホバに嘆願したほどです。(民 12:1-13)モーセはなぜそのように行動できたのでしょうか。
9-10. (ア)エホバはモーセにどんなことを理解させましたか。(イ)夫や父親,また長老たちは,どのようにモーセに倣えますか。
9 エホバの訓練を受け入れたからです。40年ほど前,エジプトの王家の一員だったころのモーセは柔和ではなく,非常に短気でした。ある人の不当と思える行動に腹を立てて,その人を殺してしまったこともあります。そして,エホバは自分の行動を認めてくれるはずだと考えました。エホバは40年かけてモーセを教え,イスラエル人を導くために必要なのは勇気だけではないことを理解させました。柔和さを身に着け,謙遜で従順で温和な人になる必要がありました。モーセは教訓を学び,優れた監督になりました。(出 2:11,12。使徒 7:21-30,36)
10 今日の夫や父親,また長老たちはモーセに倣うべきです。不敬なことを言われたりされたりした時には,すぐに腹を立ててはなりません。間違いをした時には,そのことを謙遜に認めましょう。(伝 7:9,20)何かの問題に対処する時には,エホバの指示に従順に従ってください。いつも温和な話し方をしましょう。(箴 15:1)そのように行動する夫や父親,また長老たちは,エホバに喜ばれ,他の人との平和な関係を保ち,柔和さの点で良い手本になることができます。
11-13. 3人のヘブライ人の若者はどんな手本を示しましたか。
11 迫害される時: エホバに仕える人は長年,人間の支配者からの迫害を受けてきました。今でも様々な罪に問われることがあります。しかし,迫害を受ける本当の理由は,「自分たちの支配者として人間より神に従[う]」からです。(使徒 5:29)あざけられたり,投獄されたり,暴力を振るわれたりするかもしれません。しかし,わたしたちはエホバに頼り,試練に遭っても温和を保ちます。仕返しをすることはありません。
12 バビロンに捕らわれていたヘブライ人の若者ハナニヤ,ミシャエル,アザリヤの手本に注目しましょう。 彼らはバビロンの王から,大きな金の像にひれ伏すよう命じられましたが,像を崇拝しない理由を温和に説明しました。燃え盛る火の中に投げ込むと脅されたにもかかわらず,神への従順を保ちました。エホバは3人をすぐに救い出しました。もっとも,3人は当然助けてもらえるはずだとは考えていませんでした。エホバに物事をゆだね,どんな結果でも受け入れる覚悟ができていました。(ダニ 3:1,8-28)この例から,柔和な人は確かに勇敢であることが分かります。王も脅しも処罰も,エホバに「全き専心」を示すというわたしたちの決意を弱めることはできません。(出 20:4,5)
13 神への忠実さを試みられる時,どのようにこの3人に倣えるでしょうか。わたしたちは,謙遜な態度でエホバの助けを待ちます。(詩 118:6,7)わたしたちを不当に非難する人にも敬意を払い,温和に接します。(ペテ一 3:15)とはいえ,愛情深い父エホバとの友情を損なうようなことは決してしません。
14-15. (ア)ストレスを感じると,どう反応してしまうことがありますか。(イ)イザヤ 53章7,10節で予告されていたとおり,イエスはストレスのもとで柔和さを示す点で,最高の手本を示しました。なぜそう言えますか。
14 ストレスを感じる時: ストレスの原因はいろいろあります。学校のテストや大切な仕事の前に,あるいは病院での検査や治療のことを考えて,ストレスを感じるかもしれません。そのような時に柔和を保つのは簡単ではありません。普段は何でもないことも,いらいらの原因になります。つい不親切なことを言ったり,きつい口調になったりするものです。あなたもストレスを感じることがありますか。もしそうなら,イエスの手本を考えることは役立ちます。
15 イエスは,地上での最後の数か月間,極度のストレスにさらされました。自分が間もなくひどい苦しみを味わい,処刑される,ということを知っていました。(ヨハ 3:14,15。ガラ 3:13)亡くなる半年前にも,非常に苦しみました。(ルカ 12:50)亡くなる数日前には,「わたしの魂は騒ぎます」と述べています。それでも,謙遜さと神への従順を保ちました。こう祈っています。「父よ,わたしをこの時から救い出してください。しかしやはり,わたしはこのゆえにこの時に至ったのです。父よ,み名の栄光をお示しください」。(ヨハ 12:27,28)定めの時が来ると,イエスは勇気を示して,神の敵に自分を引き渡しました。そして,非常に苦しく屈辱的な仕方で処刑されました。ストレスを感じ,苦しみに耐えていたにもかかわらず,柔和さを保ち,神の望まれることを行ないました。ストレスのもとで柔和さを示す点で,最高の手本を示したのです。(イザヤ 53:7,10を読む。)
16-17. (ア)地上での最後の晩に,イエスの柔和さはどのように試されましたか。(イ)どのようにイエスに倣えますか。
16 地上での最後の晩に,イエスの柔和さは親しい友たちの行動によって試されました。イエスはすでに大きなストレスを感じていたに違いありません。イエスが死に至るまで忠実を完全に保つかどうかに,数え切れないほど多くの人たちの命がかかっていたからです。(ロマ 5:18,19)さらに重要なこととして,エホバの名誉にもかかわることでした。(ヨブ 2:4)その晩,イエスが親しい友である使徒たちと食事をしていた時,使徒たちは「自分たちのうちでだれが一番偉いのだろうかということについて」,「激しい論争」を始めました。イエスはこの件について,彼らを何度も正していました。その晩も少し前に助言したばかりでした。それでもイエスはいら立つことなく,使徒たちを温和に諭しました。親切に,しかし毅然と教えたのです。使徒たちが自分に忠実に従ってきたことを褒めることさえしました。(ルカ 22:24-28。ヨハ 13:1-5,12-15)
17 イエスと同じような状況に置かれたら,あなたはどうしますか。ぜひイエスに倣いましょう。ストレスを感じる時でも温和を保つのです。「引き続き互いに忍[ぶ]」ようにというエホバの命令に従順に従いましょう。(コロ 3:13)わたしたちは皆,他の人をいらいらさせることを言ったりしたりするものです。そのことを意識していれば,「互いに忍[ぶ]」ことができます。(箴 12:18。ヤコ 3:2,5)他の人の良い点を褒めるようにもしましょう。(エフェ 4:29)