イエスは山上の垂訓の後,カペルナウムの町に行きます。すると,ユダヤ人の長老たちが近づいてきます。ローマ軍の士官である百人隊長から派遣されたのです。
その士官の大切な召し使いが重い病気で死にかかっています。士官は異国人ですが,イエスに助けを求めています。ユダヤ人の長老たちは,士官の召し使いが「体がまひして家で寝込んでおり,ひどく苦しんで」いると話します。きっと激しい痛みがあるのでしょう。(マタイ 8:6)長老たちはイエスに,士官は「私たちの民を愛して,会堂を建ててくれ」たので,ぜひこの人を助けてあげてほしいと頼みます。(ルカ 7:4,5)
イエスは長老たちと一緒に士官の家に向けてすぐに出発します。イエスが家の近くまで来た時,士官は次のように伝えるため友人たちを派遣します。「閣下,わざわざ私のような者の家に来ていただくには及びません。それに,私はあなたの元に伺うにはふさわしくない者だと思いました」。(ルカ 7:6,7)士官は人に命令することに慣れているはずですが,何と謙遜なのでしょう。普通ローマ人は奴隷を厳しく扱いますが,この人は違っています。(マタイ 8:9)
士官は,ユダヤ人が別の人種の人と交友を持たないことを知っているのでしょう。(使徒 10:28)そのためと思われますが,士官は友人たちを通してイエスにこう頼みます。「ただ一言言ってくださり,私の召し使いが癒やされるようにしてください」。(ルカ 7:7)
イエスはとても驚き,「あなたたちに言いますが,イスラエルでもこれほどの信仰は見たことがありません」と言います。(ルカ 7:9)士官の家に戻った友人たちは,重体だった奴隷が無事に回復したことを知ります。
イエスはこの癒やしを行った後,ユダヤ人ではない人たちの信仰が報われることを次のように保証します。「大勢の人が東や西から来て,天の王国でアブラハム,イサク,ヤコブと共に食卓に着いて横になります」。不忠実なユダヤ人はどうなりますか。イエスによると,彼らは「外の闇に放り出され,そこで泣き悲しんだり歯ぎしりしたりします」。(マタイ 8:11,12)
ユダヤ人はキリストと共に王国の一員となる機会を最初に与えられました。しかし,それを受け入れないなら,神から退けられます。その代わりに,異国人が「天の王国で」いわば食卓に着いて横になります。