11. イエスは故郷のガリラヤで観察したであろうどんなものを例えの題材にしましたか。
11 イエスは一般の人の生活に基づく例えを上手に使いました。故郷のガリラヤで観察したであろう日常的な光景をよく題材にしました。子供の頃,母親が粉をひき,パン生地に酵母を混ぜ,ランプをともし,家の中を掃くのを何度も見たことでしょう。(マタイ 13:33; 24:41。ルカ 15:8)漁師がガリラヤ湖に網を下ろすのもよく目にしたはずです。(マタイ 13:47)子供たちが広場で遊ぶのも,見慣れた光景でした。(マタイ 11:16)イエスはほかにも,種まき,結婚披露宴,色づいた穀物畑など,自分が実際に見た事柄をいろいろな例えで使っています。(マタイ 13:3-8; 25:1-12。マルコ 4:26-29)
12-13. イエスが親切なサマリア人の例え話を,「エルサレムからエリコに下っていく」道路という場面設定にしたのはどうしてですか。
12 イエスは,聞いている人たちがよく知っている細かい情報を例えに含めることもありました。一例として,親切なサマリア人の例え話の冒頭でこう言いました。「ある男性がエルサレムからエリコに下っていく途中で,強盗たちに襲われました。強盗は服を剝ぎ,殴り,半殺しにして去っていきました」。(ルカ 10:30)イエスが「エルサレムからエリコに下っていく」道路という場面設定にしたことに注目できます。この例え話が語られたのはユダヤのエルサレムからそう遠くない場所だったので,聴衆はその道路のことを知っていたに違いありません。それは人里離れた所を通る曲がりくねった道路で,強盗が隠れられるような場所がたくさんあったので,特に1人で歩くには危険なことで知られていました。
13 イエスはほかにも,聞いている人たちにとってなじみ深い情報を含めました。例え話の続きで,まず祭司が,次にレビ族の人がその道路を通ります。しかし,どちらも立ち止まって被害者を助けようとはしません。(ルカ 10:31,32)祭司たちはエルサレムの神殿で奉仕し,レビ族の人たちは祭司をサポートしていました。多くの祭司やレビ族の人が,神殿での務めがない間はエルサレムから21㌔しか離れていないエリコで暮らしていました。ですから,その道路をよく通っていたことでしょう。さらにイエスは,彼らが「エルサレムから」の道路を上っていくのではなく「下っていく」ところだったと言っています。聞いている人たちはしっくりきたことでしょう。エルサレムはエリコより標高が高かったので,「エルサレムから」来る人は確かに「下っていく」ことになったからです。 イエスが聞いている人たちにとってイメージしやすい話をしたことがよく分かります。
14. 相手にとってイメージしやすい例えを使えるよう,どんなことを考えるとよいですか。
14 私たちも,相手にとってイメージしやすい例えを使いたいと思います。相手の年齢,育った環境,職業などからして,どんな例えが合うかを考えるとよいでしょう。一例として,農村地域の人であれば,大都市に住む人よりも農業を題材にした例えを分かってもらいやすいかもしれません。相手の普段の生活や関心事に合わせて,子供,家,趣味,食べ物などを例えの題材にすることもできます。